薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
2020年11月からURLが変更となりました。(新URL https://yakuzaishi.love)
  

イトラコナゾール錠50「MEEK」にリルマザホン塩酸塩水和物が混入【自主回収(クラスI)】

この記事で取り上げるのは抗真菌薬イトラコナゾール錠50「MEEK」の自主回収についてです。
自主回収の対象となるのはあくまでもイトラコナゾール錠50「MEEK」のみで、先発品のイトリゾールをはじめとする他のイトラコナゾール製剤やMEEKの50mg以外の規格は自主回収の対象にはなっていません。
先発品のイトリゾールをはじめとする他のイトラコナゾール製剤は自主回収の対象にはなっていません。
当初、自主回収の対象はイトラコナゾール錠50「MEEK」の特定ロットのみでしたが、その後、自主回収の範囲が拡大されました。

  • イトラコナゾール錠50「MEEK」 LOT番号:T0EG08(クラスI 自主回収)
  • イトラコナゾール錠50「MEEK」 LOT番号:T0EG08以外(クラスⅡ 自主回収)
  • イトラコナゾール錠100「MEEK」 全LOT(クラスⅡ 自主回収)
  • イトラコナゾール錠200「MEEK」 全LOT(クラスⅡ 自主回収)

  
(イトラコナゾール製剤を服用中の方へ)
「MEEK」以外のイトラコナゾール製剤(イトリゾールなど)を服用している方は心配ありませんので、安心して服用を続けてください。
また、対象となっているのはイトラコナゾール錠50「MEEK」の一部です。
イトラコナゾール錠100「MEEK」やイトラコナゾール錠200「MEEK」は対象外です。
イトラコナゾール錠50「MEEK」も全てが自主回収の対象となっているわけではなく、対象となっているのは2020年9月28日~2020年12月3日の期間に出荷されたT0EG08というロットのみです。

睡眠薬が混入しているのはイトラコナゾール錠50「MEEK」の中でも2020年9月28日~2020年12月3日の期間に出荷されたT0EG08というロットのみですが、それ以外の全てのイトラコナゾール錠50「MEEK」についても念のため回収の対象となっています。
また、イトラコナゾール錠100「MEEK」、イトラコナゾール錠200「MEEK」についても自主回収の対象となっていますが、こちらについては別の理由での回収なので製品自体に問題はありません。
健康被害が発生する恐れはありませんので手元にあるものについては安心して服用してください。
自身が服用しているイトラコナゾール製剤が自主回収の対象となるものであれば薬局や病院から連絡が来るはずですが、気になる場合は薬をもらった薬局や医療機関に確認をしてください。
くれぐれも、自己判断で薬をやめて、そのまま放置しないようにしてください。

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2020年8月17日に承認された(12月 薬価収載)ジェネリック医薬品の承認情報まとめ【リリカ、イクセロン/リバスタッチ】

2020年8月17日付で新規後発医薬品が承認されています。
今回承認されたジェネリック医薬品は2020年12月11日に薬価収載、販売開始となりました。
薬価収載された内容についての詳しい記事は以下になります。

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テリルジーエリプタの特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【COPDと気管支喘息】【日本初のICS/LAMA/LABA 3剤配合吸入薬】

2019年5月22日(令和元年5月22日)、テリルジー100エリプタ14吸入用/30吸入用が発売されました。
テリルジー100エリプタは2019年3月26日に製造承認を取得していた3成分配合吸入薬で、COPD*1(慢性閉塞性肺疾患)治療薬です。
これまで、ICS*2/LABA*3、LABA/LAMA*4の吸入配合薬は存在していましたが、ICS/LAMA/LABAの3剤配合吸入薬はテリルジーが国内初となります。
2020年11月27日には気管支喘息の適応を取得。
テリルジーはCOPDと気管支喘息両方の適応を有する初のICS/LAMA/LABAの3剤配合吸入薬になりました。
気管支喘息の適応専用となるテリルジー200エリプタ14吸入用/30吸入用の薬価収載、発売日は未定です。

*1:Chronic Obstructive Pulmonary Disease

*2:Inhaled CorticoSteroids:吸入スロイド

*3:Long-Acting Beta2-Agonists:長時間作用性β2刺激薬

*4:Long-Acting Muscarinic Antagonist:長時間作用性抗コリン薬

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新医薬品の処方日数制限一覧(2020年11月18日更新)

新薬の投与日数制限(処方日数)についてのまとめとその一覧です。
2020年11月18日に薬価収載された医薬品のうち、エクロックゲル5%、エナロイ錠2mg/4mg、ジセレカ錠100mg/200mg、ゼジューラカプセル100mg、リベルサス錠3mg/7mg/14mgが処方日数制限の対象となっています。

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【令和2年度】レセプト摘要欄への記載事項(電算コード化)【2020年度改定】

令和2年度診療報酬改定に伴ってレセプトの記載内容の見直しが行われ、2020年3月27日に保医発0327第1号『「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について』が公開されました。
その中から、「レセプト摘要欄への記載項目」に関する部分ついてまとめました。
今回の改定に伴い、レセプト摘要欄に記載するコメントが電算コード化されています。
各薬局のレセコンが対応してくれる内容ですが、どんな項目が必要なのかを知っておくことは大切です。
この機会にレセプト摘要欄の記載項目についてしっかり復習しておきましょう。

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オンジェンティス錠(オピカポン)の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【コムタンとの違いを比較】【COMT阻害薬】

オンジェンティス錠(成分名:オピカポン)は2020年6月29日に承認された「レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善」を適応とするCOMT阻害薬です。
COMT阻害薬として使用されているコムタン錠(成分名:エンタカポン)が複数回の投与(最大8回)を必要とするところ、1日1回の投与で効果を発揮することが可能です。
ただし、レボドパ製剤の服用や食事とは前後1時間以上あけて服用する必要があるため、服用のタイミングに注意が必要な薬剤です。

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【脂質異常症】失われし後発医薬品名【ジェネリックのブランド名】

少し前に書かせていただいた製造中止になった医薬品の記録記事。

twitterで色んな方から情報をいただく中で、後発医薬品の名前についてのリクエストも多くありました。
当初は後発医薬品まで手を出すとキリがないのでやめようと思っていたのですが、たしかに懐かしい名前がたくさんある・・・。
ということで、少しずつではありますが、疾患ごとにまとめていこうと考えています。

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【販売中止】製造中止となって失われた医薬品たち【名称変更】

様々な理由で製造中止となった医薬品等の記録です。
現在は販売中止となっていますが、多くの人々の健康に寄与してくれた薬達です。
簡単なデータと紹介文でまとめていきます。(随時更新予定)

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エナロイ錠(エナロデュスタット)の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【他のHIF-PH阻害薬との違いを比較】

2020年9月25日に承認された腎性貧血を適応とするエナロイ錠(成分名:エナロデュスタット)についてまとめた記事です。
エナロイ錠はHIF-PH阻害薬と呼ばれる薬剤で、内因性エリスロポエチンの増加作用等により腎性貧血を改善する薬剤です。
これまで腎性貧血にはネスプ(成分名:ダルベポエチン アルファ)やミルセラ(成分名:エポエチン ベータ ペゴル)などのESA製剤が使用されてきましたが、HIF-PH阻害薬はそれに代わる薬剤(ポストネスプとも呼ばれます)として期待されています。
エナロイ錠は4剤目のHIF-PH阻害薬になります。

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【メルビンの思い出】メトグルコとグリコランと乳酸アシドーシス【メトホルミン】

(2014年当時のメトホルミン販売開始初期の状況を表す記事としてお読みください)
とある薬局での会話。
「この先生、メデット(一般名:メトホルミン)とメトグルコ(一般名:メトホルミン)の両方を使うんだけど何でだろう?」
「よくわからないね。1日3回のときはメトグルコが多い気もしたけどそうとも限らないし・・・。気分で変えてたりして・・・」
もちろんこの使い分けにはちゃんとした理由がありました。(今回の場合は「年齢」による使い分け)
備忘録としての意味も含めてまとめます。

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バフセオ錠(バダデュスタット)の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【他のHIF-PH阻害薬との違いを比較】

2020年6月29日に承認された腎性貧血を適応とするバフセオ錠(成分名:バダデュスタット)についてまとめた記事です。
バフセオ錠はHIF-PH阻害薬と呼ばれる薬剤で、内因性エリスロポエチンの増加作用等により腎性貧血を改善する薬剤です。
これまで腎性貧血にはネスプ(成分名:ダルベポエチン アルファ)やミルセラ(成分名:エポエチン ベータ ペゴル)などのESA製剤が使用されてきましたが、HIF-PH阻害薬はそれに代わる薬剤(ポストネスプとも呼ばれます)として期待されています。

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ダーブロック錠(ダプロデュスタット)の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【他のHIF-PH阻害薬との違いを比較】

2020年6月29日に承認された腎性貧血を適応とするダーブロック錠(成分名:ダプロデュスタット)についてまとめた記事です。
ダーブロック錠はHIF-PH阻害薬と呼ばれる薬剤で、内因性エリスロポエチンの増加作用等により腎性貧血を改善する薬剤です。
これまで腎性貧血にはネスプ(成分名:ダルベポエチン アルファ)やミルセラ(成分名:エポエチン ベータ ペゴル)などのESA製剤が使用されてきましたが、HIF-PH阻害薬はそれに代わる薬剤(ポストネスプとも呼ばれます)として期待されています。

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アテキュラ吸入用カプセル(ブリーズヘラー)の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【気管支喘息の適応を持つLABA/ICS】

2020年6月29日に承認された気管支喘息治療薬 アテキュラ吸入用カプセルについてまとめた記事です。
アテキュラ吸入用カプセルはLABA*1/ICS*2 2剤配合吸入薬で気管支喘息の適応を有する薬剤です。
同時に承認されたエナジア吸入用カプセル(LAMA/LABA/ICS)からLAMAであるグリコピロリウムを除いたものです。
エナジアについての記事はこちら↓です。

*1:ラバ、Long Acting β2 Agonist

*2:アイシーエス、Inhaled CorticoSteroids

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エナジア吸入用カプセル(ブリーズヘラー)の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【気管支喘息の適応を持つ初のLABA/LAMA/ICS】

2020年6月29日に承認された気管支喘息治療薬 エナジア吸入用カプセルについてまとめた記事です。
エナジア吸入用カプセルはLABA*1/LAMA*2/ICS*3 3剤配合吸入薬としてはテリルジー、ビレーズトリに続いて3番手になりますが、気管支喘息の適応を有するのはエナジアが初めてです。
同時に承認されたLABA/ICS 2剤配合吸入薬アテキュラ吸入用カプセルについての記事はこちら↓です。

*1:ラバ、Long Acting β2 Agonist

*2:ラマ、Long Acting Muscarinic Antagonist

*3:アイシーエス、Inhaled CorticoSteroids

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