薬剤師の脳みそ

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タケキャブ錠(ボノプラザン)の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【P-CABとPPIの違いを比較】

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(ここからが記事本文になります)

この記事ではタケキャブ錠(成分名:ボノプラザンフマル酸塩)についてまとめています。
(当初は2015.2.26に公開した記事ですが、2020.7.3に大幅に修正しています。)
タケキャブ錠は世界初のカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB*1)として、世界に先駆けて平成27年2月26日(2015年2月26日)に販売開始されました。
  
この記事に記載されている情報は最終更新(2020.7.3)時点のものになります。
  
  
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タケキャブ錠の基本情報

まずはタケキャブ錠の基本情報についてまとめます。

医薬品名 タケキャブ錠10mg
タケキャブ錠20mg
成分名 ボノプラザンフマル酸塩
英語名 takecab(vonoprazan:VPZ)
製造販売元 武田薬品工業
提携など 大塚薬品工業(コ・プロモーション)
命名の由来 タケダのP-CAB(Potassium-Competitive Acid Blocker:ピーキャブ
効能・効果 ○胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
○下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
用法・用量 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍〉
通常、成人にはボノプラザンとして1回20mgを1日1回経口投与する。
なお、通常、胃潰瘍では8週間まで、十二指腸潰瘍では6週間までの投与とする。
〈逆流性食道炎〉
通常、成人にはボノプラザンとして1回20mgを1日1回経口投与する。
なお、通常4週間までの投与とし、効果不十分の場合は8週間まで投与することができる。
さらに、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1回10mgを1日1回経口投与するが、効果不十分の場合は、1回20mgを1日1回経口投与することができる。
〈低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制〉
通常、成人にはボノプラザンとして1回10mgを1日1回経口投与する。
〈非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制〉
通常、成人にはボノプラザンとして1回10mgを1日1回経口投与する。
〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉
通常、成人にはボノプラザンとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。
なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。
ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。
プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合は、これに代わる治療として、通常、成人にはボノプラザンとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びメトロニダゾールとして1回250mgの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。
指定等 なし
開発コード TAK-438
審議 2014年11月21日 薬食審第一部会
承認日 2014年12月26日
薬価収載日
収載時薬価
2015年2月24日
タケキャブ錠10mg:160.10円/錠
タケキャブ錠20mg:240.20円/錠
薬価算定方式 類似薬効比較方式(II)
タケキャブ錠10mg:類似薬の最低1日薬価(ネキシウムカプセル20mg:160.10円)に合わせて算出
タケキャブ錠20mg:ネキシウムカプセル20mgとネキシウムカプセル10mgの規格間比は0.8024だがタケキャブ錠20mgが類似薬の通常最大用量を超える用量に対応する規格であることを考慮して0.5850を規格間比として算出
販売開始 2015年2月26日
新医薬品の
投与日数制限
対象
(2016年2月末日で解除)

タケプロン(ランソプラゾール)などと同じようにプロトンポンプを阻害する薬剤には変わりないんだけど、従来のPPIとは異なる作用機序で効果を発揮するP-CABと呼ばれる新規作用機序の薬剤になります。

従来のPPIと比較して次のような効果が期待されているよ。
1、効果発現が早い。
2、CYP2C19による代謝を受けないので個人差が少ない。
3、効果の持続時間が長い。

  

P-CABとPPI

ボノプラザンはP-CABと呼ばれてはいますが、P-CABは広義のPPIに含まれます。
現時点で、日本国内で発売されているPPIはタケキャブを加えると以下のとおりです。

  • 従来のPPI
    • オメプラゾール(オメプラール、オメプラゾンなど)
    • ランソプラゾール(タケプロンなど)
    • ラベプラゾール(パリエットなど)
    • エソメプラゾール(ネキシウム)
  • P-CAB
    • ボノプラザン(タケキャブ)

  

ボノプラザンの作用機序

ボノプラザンはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)と呼ばれる薬剤です。
P-CABと言うと全く別の薬剤のように思えますが、プロトンポンプを阻害し、胃酸分泌を抑制するという意味ではP-CABもPPI*2(プロトンポンプ阻害薬)に含まれます。
ボノプラザンは胃酸分泌の最終段階を担うプロトンポンプを可逆的に阻害することで効果を発揮します。
  

(復習)胃酸分泌のメカニズム

ボノプラザンの作用機序の説明に入る前に、胃酸分泌のメカニズムを復習します。
胃酸の分泌には複数の生理活性物質が関わっています。
食事に伴う匂いや味、記憶により脳は副交感神経を刺激してアセチルコリンを分泌します。
また、胃の中に食べ物が入ってくる物理的な刺激によりG細胞からガストリンが分泌されます。
アセチルコリンは胃壁細胞のムスカリンM3受容体に結合、ガストリンは同じく胃壁細胞のガストリン受容体に結合します。
これらの刺激により胃酸分泌は促進されますが、胃酸分泌において最も重要な役割をもつ生理活性物質はヒスタミンです。
アセチルコリンやガストリンは直接胃酸分泌を促進すると同時にECL細胞*3(腸クロム親和性細胞様細胞)を刺激し、ヒスタミンの生合成と放出を促進します。
ヒスタミンは胃壁細胞のヒスタミンH2受容体に結合することで胃酸分泌を促進します。
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アセチルコリン、ガストリン、ヒスタミンの刺激による胃酸分泌の最終段階を担っているのが胃プロトンポンプ(H+/K+ ATPase)です。
胃プロトンポンプ(H+/K+ ATPase)は、ATPを消費として、細胞内のH+と胃内(細胞外)のK+を交換(輸送)します。
その結果、胃内(細胞外)のH+濃度が上がり、胃酸(HCl)が分泌されるというわけです。
  

ヒスタミンはよく知っていると思うけど、ガストリンは後からも登場するので覚えておくように!

  

可逆的プロトンポンプ競合阻害薬

ボノプラザンは胃酸分泌の最終段階に位置する胃プロトンポンプ(H+/K+ ATPase)を阻害することで胃酸分泌を抑制します。
ボノプラザンはK+と競合して細胞表面に発現したH+/K+ ATPaseに結合し、K+とH+の交換輸送を阻害します。
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胃酸分泌の最終段階であるプロトンポンプをブロックすることで、胃酸分泌を強力に抑えることが可能です。
  
ボノプラザンの作用機序は従来のPPIと比較して以下の2点で優れています。

  • 酸による活性化を必要せず速やかに効果発現
  • 酸性下でも安定なため壁細胞の分泌細管内に留まることが可能

これによる性質の違いについてはこのあと詳しく説明します。
  

参考:ボノプラザンとプロトンポンプの結合様式
2018年、名古屋大学細胞生理学研究センター/大学院創薬科学研究科の阿部一啓 准教授、藤吉好則 客員教授らの研究グループがボノプラザンと複合体を形成した胃プロトンポンプの構造を解明しました。

その結果(リンク先で画像が見れます)によると、プロトンポンプが持つトンネルのような通り道にボノプラザンがすっぽりと入り込んでおり、それによりカリウムを取り込むことができずに胃プロトンポンプが正常に機能できなくなることがわかります。
  

(復習)従来のPPIの作用機序

従来のPPIの作用機序について復習します。
  
従来のPPIは酸性下で活性化されて初めて効果を発揮します。
吸収されたPPiは血中から胃の壁細胞の分泌細管内に放出された後、酸による活性化を受けます。
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活性化されたPPIは細胞表面に発現したプロトンポンプに不可逆的に結合(S-S結合、ジスルフィド架橋)して働きを阻害します。
プロトンポンプを阻害するという意味ではP-CABと同じなので胃酸分泌を強力に抑えることが可能です。
ただし、従来のPPIは効果発揮のために酸による活性を必要としながら、酸性条件下では不安定という欠点を持っています。
そのため、服用時に胃酸で失活してしまわないように腸溶コーティングなど製剤化の工夫が施されています。
  
PPIは胃酸を強力に抑えることができ、大きな副作用もないため広く使用されています。
ですが、それ故に以下のような欠点が知られることになりました。
PPIの欠点

  • 効果発現に数日必要
  • 夜間に効果が途切れることがある
  • 効果に個人差がある
  • 酸に不安定なため腸溶製剤にする必要がある

登場したころはもてはやしたのに・・・。人間はよく深い生き物だ・・・。

  

従来のPPIとボノプラザンとの違い

従来のPPIとボノプラザン(P-CAB)、どちらも同じPPIですが細かな作用機序は異なります。
その違いによりボノプラザンの方がより優れた胃酸分泌抑制薬になっています。
  

効果が現れるのが早い

ボノプラザン(P-CAB)は従来のPPIと比較して、効果発現が早いという特性を持っています。
この特性は作用機序の部分に記載した「酸による活性化を必要としない」という性質によるものです。
  
ボノプラザンも従来のPPIも胃の壁細胞の分泌細管内に集まりやすい性質を持っていますが、より塩基性の高いボノプラザンの方が分泌細管内への集積性が高くなっています。
また、従来のPPIは酸で活性化されないと効果を発揮できないのに対して、ボノプラザンはそのままの形で効果を発揮できます。
この違いにより、従来のPPIよりボノプラザンの方が早く効果を発揮すると考えられます。
  

効果の持続時間が長い

ボノプラザン(P-CAB)は従来のPPIと比較して、効果が長く持続するという特性を持っています。
この特性は作用機序の部分に記載した「酸性下でも安定」という性質によるものです。
  
従来のPPIは酸性下で不安定なため、分泌細管内で短時間で失活していきます。

2 .有効成分の各種条件下における安定性(ランソプラゾール)
酸性溶液(pH1)中での安定性:0.5 時間の残存率は約1.7%(1mg/mL、24°C)

タケプロンカプセル・OD錠インタビュー フォーム 2019年5月改訂(第19版)
それに対して塩基性が強いボノプラザンは酸性下でも安定なため、分泌細管内に長時間留まることが可能です。
分泌細管内で長時間存在できない従来のPPIは血中濃度の低下とともに効果を発揮できなくなりますが、ボノプラザンは血中濃度が低下した後も分泌細管内に留まり効果を発揮できると考えられます。
プロトンポンプは1日を通して産生され新しく分泌細管の膜上に移動してきます。
従来のPPIは血中濃度が低下すると分泌細管内にも存在できないので新たに現れたプロトンポンプを阻害することはできませんが、ボノプラザンは血中濃度低下後も分泌細管内に留まっているため新たに現れたプロトンポンプを阻害することが可能です。
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ちなみに、従来のPPIは半減期自体も短く約2時間程度で、それに対してボノプラザンの半減期は7.7時間となっており、半減期自体もボノプラザンの方が長くなっています。
  

効果の個人差が少ない

従来のPPIとボノプラザン、どちらもCYP450(シトクロムP450)を介して代謝を受けますが、その分子種が異なります。
  
PPIの代謝酵素
従来のPPIはCYP2C19により代謝されますが、薬剤ごとにその寄与率が異なります。

  • オメプラゾール:主にCYP2C19で代謝、CYP3A4でも代謝される
  • ランソプラゾール:CYP2C19とCYP3A4で代謝
  • ラベプラゾール:CYP2C19でも代謝されるが、主たる代謝経路は非酵素的
  • エソメプラゾール:オメプラゾールと比較してCYP2C19に対する寄与率が少ない

CYP2C19に対する寄与率が高い順に並べると、
オメプラゾール>エソメプラゾール>ランソプラゾール>>ラベプラゾール
といった順番になると思います。
ちなみに、CYP2C19に対する寄与率の大きいオメプラゾールは添付文書上でもクロピドグレル(商品名:プラビックス等)と併用注意になっています。
  

補足:日本人に多いCYP2C19の遺伝子多型
CYP2C19は日本人において遺伝子多型があることが知られています。
そのため、PPIの効果に個人差が生じることが予想されます。
  
CYP2C19の発現が多い人(RM*4)ではPPIの血中濃度が上昇しにくく、 逆に発現が少ない人(PM*5)では血中濃度が上昇しやすくなります。
  
ちなみに、日本人におけるCYP2C19の遺伝子多型の頻度は、
RMが35%、IMが49%、PMが16%とされています。
※IM*6:中間型
  
ボノプラザンはCYP2C19遺伝子多型の影響を受けない
ボノプラザンはCYP3A4による代謝を受けます。
CYP2C19とは異なり、CYP3A4は日本人における遺伝子多型が多くないため、個人差は生じにくいです。
ですが、多くの薬剤の代謝に関わる分子種であるため、相互作用には注意が必要です。
実際、クラリスロマイシン等のCYP3A4阻害剤が併用注意として挙げられています。
  

まとめ

P-CABは従来のPPIと比較して、より「早く」、より「安定」、「個人差の少ない」胃酸分泌抑制効果を発揮できる薬剤です。
その特性の違いをまとめると以下のようになります。

特性 ボノプラザン 従来のPPI
分泌細管内への集積性
より高い
高い
酸による活性化
不要
必要
酸性下での安定性
安定
不安定
プロトンポンプ阻害様式
競合阻害
(可逆的)
共有結合
(不可逆的)
主な代謝酵素
CYP3A4
CYP2C19
(一部を除く)

PPIの欠点を克服したのがボノプラザンって言えるね

  
  

タケキャブの適応

基本的には従来型PPIと同様の適応をもつタケキャブですが、「吻合部潰瘍」、「Zollinger-Elison症候群」、「非びらん性胃食道逆流症」の適応は取得していません。
また、逆流性食道炎に対する投与期間が「通常4週間までの投与とし、効果不十分の場合は8週間まで投与」となっており、他のPPIに比べて短期間になっています。(ほかのPPIは「8週間までの投与」)
  

適応ごとの用法・用量

他のPPIと同様に、タケキャブは効能・効果ごとに用法・用量が異なるのでまとめておきます。

  • 1回10mg 1日1回
    • 逆流性食道炎の維持療法
    • 低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
    • NSAIDS投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
  • 1回20mg 1日1回
    • 胃潰瘍(8週間まで)
    • 十二指腸潰瘍(6週間まで)
    • 逆流性食道炎(通常4週間、効果不十分の場合8週間)
    • 逆流性食道炎の維持療法(効果不十分の場合)
  • 1回20mg 1日2回
    • ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
      • 胃潰瘍
      • 十二指腸潰瘍
      • 胃MALTリンパ腫
      • 特発性血小板減少性紫斑病
      • 早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃
      • ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

※一次除菌:アモキシシリン水和物 1回750mg、クラリスロマイシン 1回200mg(最大400mg)と併用して1日2回を7日間
※二次除菌:アモキシシリン水和物 1回750mg、メトロニダゾール 1回250mgと併用して1日2回を7日間
  

各PPIの適応、用量・用法を比較

各PPIの用法・用量、投与期間をまとめます。                                                                                                              
成分名
(医薬品名)
ボノプラザン
(タケキャブ)
エソメプラゾール
(ネキシウム)
ラベプラゾール
(パリエット)
ランソプラゾール
(タケプロン)
オメプラゾール
(オメプラール/オメプラゾン)
逆流性
食道炎
治療
(8週間まで)
20mg
(通常4週間まで)
(効果不十分8週間まで)
20mg10~20mg※A
(1日2回投与あり)※B
30mg20mg
維持療法10~20mg※C10~20mg10mg15~30mg※C10~20mg
胃潰瘍
(8週間まで)
20mg20mg10~20mg※D30mg20mg
吻合部潰瘍
(8週間まで)
-
十二指腸潰瘍
(6週間まで)
20mg
Zollinger-Elison症候群-
非びらん性
胃食道逆流症
(4週間まで)
-10mg10mg15mg10mg
LDA*7投与時10mg20mg5~10mg※C15mg-
NSAIDs*8投与時10mg20mg-15mg-
H.pylori除菌補助1回20mg
1日2回
1回20mg
1日2回
1回10mg
1日2回
1回30mg
1日2回
1回20mg
1日2回
基本的にすべて1日1回投与

  • ※A:高用量は「病状が著しい場合及び再発性・難治性の場合」
  • ※B:PPIによる治療で効果不十分な場合は1回10mgを1日2回(さらに8週間)
       重度の粘膜障害を有する場合は1回20mgを1日2回
  • ※C:高用量は「効果不十分の場合」
  • ※D:高用量は「病状が著しい場合及び再発性・難治性の場合」

  

ピロリ除菌で高い効果を発揮

強い酸分泌抑制効果を持つボノプラザンはピロリ除菌に対しても効果的に働きます。
一次除菌(クラリスロマイシン耐性を含む)・二次除菌ともに高い成功率が報告されています。
※1次除菌:投与4週後の除菌率92.6%(ランソプラゾール3剤併用:75.9%)
※2次除菌:投与4週後の除菌率98.0%

この除菌率を見てしまうと、ピロリ除菌に使用するPPIはボノプラザン一択になるよね!

  
胃酸分泌を抑制し、胃内のpHを高くすることは以下の2つの理由でピロリ除菌において重要です。

  1. ピロリ菌の増殖期に抗生物質を作用させる
  2. アモキシシリンとクラリスロマイシンの抗菌活性を保つ

ボノプラザンは、素早く、一日中安定して、個人差なく、強く胃酸分泌を抑制することが可能です。
この性質がH.pyloriに対する高い除菌率につながっていると考えられます。
  
ピロリ除菌に対するボノプラザンを含むパック製剤としてボノサップとボノピオンが発売されています。

  

ピロリ菌の検査前の休薬は他のPPIと同じく必要

PPIがピロリ菌の診断に影響を与えることは広く知られています。
これはPPI自体がH.pyloriに対する抗菌活性を持っているためです。
ボノプラザンはH.pyloriに対する抗菌活性を有していませんが、診断に影響を与えないというわけではないようです。

2.診断

  • Q1:ウレアーゼ活性に影響を与える具体的な薬剤は何ですか
  • A1:まずは抗生物質などの抗菌薬が影響を及ぼすことは明確です。各種PPIはH. pyloriに対して抗菌活性を有しており、ウレアーゼ活性に影響を及ぼします。また、一部の防御因子増強薬(エカベトナトリウムなど)は抗ウレアーゼ活性を示します。新しい酸分泌抑制薬P-CAB(ボノプラザン)には抗菌薬活性はないとされていますが、ウレアーゼ活性を阻害し尿素呼気試験に影響するとされています1)。除菌判定には従来のPPIと同様に注意が必要です。

1) Takimoto M, Tomita T, Yamasaki T, et al. Effect of vonoprazan, a potassium-competitive acid blocker, on the 13C-urea breath test in Helicobacter pylori-positive patients. Dig Dis Sci. 2017; 62: 739-745.

H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2016改訂版Q&A
結局、PPIと同様に検査の4週間前には休薬が必要なようですね。

P-CABでも休薬は必要!しっかり覚えておきましょう。

  
  

タケキャブの注意点

添付文書とIF、RMPを参考に注意点についてまとめていきます。
  

併用禁忌・併用注意

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者

タケキャブ錠 添付文書 武田薬品工業株式会社

  • アタザナビル硫酸塩(レイアタッツ):HIV-1プロテアーゼ阻害薬
  • リルピビリン塩酸塩(エジュラント):HIV-1非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI*9

どちらの薬剤も溶解度が酸性度に依存しているため、胃酸分泌抑制作用により吸収が阻害されてしまいます。
そのため、ボノプラザンだけでなく、他のPPIとも併用禁忌になっています。
  
胃酸分泌抑制作用に伴う相互作用には他にも以下のようなものがあります。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等
臨床症状
機序・危険因子
ジゴキシン
メチルジゴキシン
左記薬剤の作用を
増強する可能性がある。
本剤の胃酸分泌抑制作用により
ジゴキシンの加水分解が抑制
され、ジゴキシンの血中濃度が
上昇する可能性がある。
イトラコナゾール
チロシンキナーゼ阻害剤
 ゲフィチニブ
 ニロチニブ
 エルロチニブ
ネルフィナビルメシル酸塩
左記薬剤の作用を
減弱する可能性がある。
本剤の胃酸分泌抑制作用により
左記薬剤の血中濃度が低下
する可能性がある。

タケキャブ錠 添付文書 武田薬品工業株式会社

  
胃酸分泌抑制作用に伴うものだけでなく薬物代謝酵素を介した相互作用にも注意が必要です。

10. 相互作用
本剤は主として肝薬物代謝酵素CYP3A4で代謝され、一部CYP2B6、CYP2C19及びCYP2D6で代謝される。また、本剤の胃酸分泌抑制作用により、併用薬剤の吸収を促進又は抑制する可能性がある。

タケキャブ錠 添付文書 武田薬品工業株式会社

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等
臨床症状
機序・危険因子
CYP3A4阻害剤
 クラリスロマイシン 等
本剤の血中濃度が
上昇する可能性がある。
クラリスロマイシンとの併用
により本剤の血中濃度が上昇した
との報告がある。

タケキャブ錠 添付文書 武田薬品工業株式会社

併用禁忌以外の相互作用はそこまで影響が大きくないかもしれないけれど、機序的にイメージしやすいと思うので頭にいれておこう!

  

重大な副作用(重要な特定されたリスク)

11.1 重大な副作用
〈効能共通〉

  • 11.1.1 汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少(いずれも頻度不明)
  • 11.1.2 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)

〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉(略)

タケキャブ錠 添付文書 武田薬品工業株式会社
「中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)」については2019年3月19日に追記されました。

「汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少」については2019年10月29日に追記されました。

「汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少」、「中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑」のいずれもRMPの「重要な特定されたリスク」に記載されています。
  

重要な潜在的リスク

タケキャブ錠に係る医薬品リスク管理計画書(RMP)の概要には以下の内容について記載されています。

  • 重要な特定されたリスク
    • 汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少
    • 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)及び多形紅斑
  • 重要な潜在的リスク
    • 肝機能障害
    • 骨折
    • クロストリジウム・ディフィシルによる胃腸感染
    • 血清ガストリン値の上昇による神経内分泌腫瘍
    • 肺炎

重要な特定されたリスクの2つについては重大な副作用で触れたので省略します。
  

肝機能障害

ボノプラザンの臨床試験では肝機能障害について特段の懸念は認められません。
実際にボノプラザンの国内臨床試験では肝機能障害の発現頻度はコントロールと大差なかったようです。
ですが、海外で他のP-CAB(Revaprazan)と肝機能障害の関連性が報告されているため、重要な潜在的リスクとされています。
  
ボノプラザンはRevaprazanなど他のP-CABと異なる構造を持っているため肝毒性を起こす可能性は極めて低いのですが、念のため注意が必要ということですね。
ちなみに、他のP-CABは肝毒性を抑えるために少ない用量での使用となっていますが、ボノプラザンは高用量で使用できるため従来のPPIよりも強い効果を発揮できます。

ボノプラザンは他のP-CAB(日本国内未承認)とは異なる骨格を持っているため、肝毒性を回避して高用量で使用できるんだよ。

  

骨折

胃酸分泌の抑制により、酸性状態で可溶化するカルシウムの吸収が低下する可能性が示唆されています。
実際に、PPIの服用による骨粗しょう症の発症や骨折リスクの憎悪化が報告されています。
タケキャブならびに各PPIの添付文書には以下のように記載されています。

15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.3 海外における複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターによる治療において骨粗鬆症に伴う股関節骨折、手関節骨折、脊椎骨折のリスク増加が報告されている。特に、高用量及び長期間(1年以上)の治療を受けた患者で、骨折のリスクが増加した。

タケキャブ錠 添付文書 武田薬品工業株式会社
  

クロストリジウム・ディフィシルによる胃腸感染

pH上昇により、偽膜性大腸炎の原因とされるクロストリジウム・ディフィシル(CD*10)の胃腸感染が上昇する可能性があると言われています。
タケキャブ(および各PPI)の添付文書には以下のように記載されています。

15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.4 海外における主に入院患者を対象とした複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターを投与した患者においてクロストリジウム・ディフィシルによる胃腸感染のリスク増加が報告されている。

タケキャブ錠 添付文書 武田薬品工業株式会社
CDについては過去記事でまとめています。

  

血清ガストリン値の上昇による神経内分泌腫瘍

胃酸分泌が強く抑制されると、胃前庭部からのガストリン分泌が増加し、高ガストリン血症を引き起こします。
ガストリンは胃カルチノイド腫瘍や各種腺腫を増加させる作用を持ちます。
ちなみに、PPIではマウスによる実験で腺腫の増加がみられましたが、ヒトにおける検討ではそのような報告はありませんでした。
添付文書には以下のような記載があります。

15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 本剤の長期投与中に良性の胃ポリープを認めたとの報告がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
マウス及びラット2年間経口投与がん原性試験において、臨床用量(20mg/日)におけるボノプラザンの曝露量(AUC)と等倍程度の曝露量で胃の神経内分泌腫瘍が、約300倍で胃の腺腫(マウス)が、また、約13倍以上(マウス)及び約58倍以上(ラット)で肝臓腫瘍が認められている。

タケキャブ錠 添付文書 武田薬品工業株式会社

ここでガストリンが再登場!覚えてますか?

  
補足:胃酸分泌のリバウンド
RMPには記載されてませんが、高ガストリン血症状態により懸念されるのが、服用中止後のリバウンドです。
ガストリン分泌が高まった状態で急に胃酸分泌抑制剤を中止すると胃酸分泌のリバウンドが起こってしまう可能性があります。
より強く胃酸分泌を抑制するボノプラザンにおいてはこの症状が起こりやすい可能性があります。
  

肺炎

PPIの使用により市中肺炎が増加したという報告があります。
胃酸分泌を抑制することで胃内細菌叢が変化し、その結果、細菌が肺に侵入するのではないかと考えられているようですが、まだまだ不明な点が多いです。
  

そのほか(胃酸分泌抑制剤としてのリスク)

従来型のPPIに比べて効果が早く・強いとされているボノプラザンですが、それは問題点にも繋がります。
胃酸分泌の抑制に由来する問題点はPPIでも多くあげられており、これらの問題点はボノプラザンにおいても同様と予想されるので、復習しておこうと思います。
  

鉄欠乏性貧血

食事中、特に野菜や果物に含まれる非ヘム鉄は胃酸による還元を受けて、小腸付近から吸収されます。
胃酸分泌が抑制された結果、鉄の吸収が下がり、鉄欠乏性貧血が引き起こされるのではないかと考えられましたが、従来型のPPIにおいては、特に問題ないことがわかっています。
  

ビタミンB12の吸収低下

ビタミンB12はたタンパクに結合しているため、胃酸によるタンパク質分解を受けて遊離しないと、内因子と結合して吸収されることができません。
そのため、胃酸分泌が抑制されると、ビタミンB12の吸収が抑制されるのではないかと懸念されます。
PPIにおいては、ビタミンB12の吸収低下を引き起こすという結果と、影響ないという結果の両方が報告されています。
ですが、通常であればそれほど問題ないのではないかと言われています。
  

collagenous colitis

CC*11は慢性の水溶性下痢と大腸上皮の膠原線維帯(collagen band)の肥厚を特徴とする病態です。
大腸上皮のプロトンポンプの阻害により、大腸管腔内のpHが上昇した結果、免疫反応により発症するのではないかと考えられています。
PPIにおいては、「顕微鏡的大腸炎(collagenous colitis、lymphocytic colitis)」、「大腸炎(collagenous colitis等を含む)」といった形で副作用として記載されています。
タケキャブの添付文書には今のところ記載はありませんが、症例報告はされており注意は必要かと思います。
CCについては過去に記事にしています。

  
  

まとめと感想

ボノプラザンの特徴をまとめます。
ボノプラザンの特徴

  • 強い胃酸分泌抑制作用
  • 効果発現が早い
  • 作用の持続時間が長い(一日中安定した効果)
  • 効果の個人差が少ない

PPIの欠点を克服したのがP-CABと言えます。
  

PPI抵抗性逆流性食道炎に対する効果

PPIは逆流性食道炎(GERD*12)の治療に有効であることが知られていますが、GERDの一部にPPIによる治療に対して抵抗するものがあることがわかっており、PPI抵抗性GERDと呼ばれています。
PPI抵抗性の原因としては、

  • PPIの血中濃度が上がりにくい(遺伝子多型によりPPIの代謝が早いため)
  • NAB*13(夜間胃酸急増、夜間胃酸回帰)と呼ばれるPPI投与中の夜間酸分泌

が考えられます。
  
胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015には以下のように記載されています。

CQ4-7 常用量のPPIで効果が不十分な場合はどうするか?

  • ステートメント:常用量のPPIの1日1回投与にもかかわらず食道粘膜傷害が治療しない、もしくは強い症状を訴える場合にはPPIの倍量・1日2回投与を行うことを推奨する。
  • 推奨の強さ(合意率):1(92.3%)
  • エビデンスレベル:A

以前はPPIの投与に加えて夜間にH2ブロッカーを併用する方法が取られていましたが、エビデンスに乏しく(同ガイドラインではエビデンスレベルC)、保険上も認められないことが明記されています。

10.H2ブロッカー(ガスター錠等)とプロトンポンプ・インヒビター(PPI)(オメプラール錠等)の併用投与について
取扱い
H2ブロッカー(ガスター錠等)とプロトンポンプ・インヒビター(PPI)(オメプラール錠等)との併用投与は、原則として認めない。
取扱いを作成した根拠等
H2ブロッカー(ガスター錠等)は、添付文書上の適応が、「胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善」となっている。
プロトンポンプ・インヒビター(オメプラール錠等)は、「胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、非びらん性胃食道逆流症、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」となっている。
胃や十二指腸の潰瘍は、胃酸分泌を抑えることで改善へ向かうものであり、胃酸の分泌には、ヒスタミンが胃にある壁細胞に刺激を与え、プロトンポンプから塩酸が出る仕組みとなっている。
H2ブロッカー(ガスター錠等)とプロトンポンプ・インヒビター(オメプラール錠等)は同効の薬剤であり、それぞれが単独使用で所期の効果は期待できる。
PPI抵抗性の難治性逆流性食道炎については、PPIの弱点である夜間の効果減弱すなわちnocturnal gastric acid breakthrough(NAB)に対して、速効性のあるH2ブロッカー投与が効果的であるとの報告はあるが、その効果は1週間程度で長期投与では効果が減弱するとの報告もあり、併用による効果について一定の見解は得られていない。PPI抵抗性の難治性逆流性食道炎に対しては、まずPPIの倍量あるいは1日2回投与が強く推奨されている。(胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015)
さらに、2015年2月に薬価収載された新しい作用機序を持ったPPI、ボノプラザン(タケキャブ)は胃酸で失活しない、速効性のPPIである。この新規PPIの登場により、今後、PPI抵抗性の難治性逆流性食道炎の治療方針が変更される可能性が高いと思われる。
したがって、H2ブロッカー(ガスター錠等)とプロトンポンプ・インヒビター(オメプラール錠等)の併用投与は、原則認められないと判断した。

社会保険診療報酬支払基金 支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)
  
ここにも記載されている通り、遺伝子多型による影響を受けず、夜間にも効果が途切れることのないボノプラザンであればNABを含めたPPI抵抗性逆流性食道炎に対しても有効であると考えられます。
  
ただ、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー抵抗性逆流性食道炎というものも報告されているようなので・・・。
次から次へといたちごっこですね。
  

タケキャブの臨床的な位置づけ

ボノプラザンは効果の立ち上がりが早いことから、タケキャブは重症例、特に急性期の胃腸障害に対する高い効果が期待されます。
また、ピロリ除菌に使用した場合、高い除菌率を発揮するため、ピロリ除菌については従来のPPIではなくボノプラザンを使用するのが標準になると思います。
上に書いたように難治性の逆流性食道炎に対する効果も期待できます。
ですが、どんな症例に対してもボノプラザンを使えばいいということにはなりません。
これは従来のPPIにも言えることですが、強い胃酸分泌抑制がもたらす有害事象も考えられるため、すべてのケースに対して、P-CAB(PPIも)が適しているとは限らないからです。
また、薬価も高い(10mg:160.10円、20mg:240.20円)ため、患者さんの負担となりますし、査定の対象となる可能性も高いです。
※薬価収載時の薬価
なんでもかんでもタケキャブというわけでなく、初期治療にはタケキャブ、そこから従来のPPI(ジェネリックを含む)に変更し、状況に応じてH2ブロッカーになどの検討をしていくことが大切です。
あくまでも一つの選択肢という考えですね。
  

タケキャブ(ボノプラザン)の最新情報

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添付文書の改訂や臨床での使用方法について紹介されています。
m3.com ボノプラザン検索結果
今後、学会や論文などで新しい報告がされればそれが記事として公開されるはずですから定期的にチェックしたいですね!
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参考資料

  • タケキャブ錠 添付文書 武田薬品工業株式会社
  • タケキャブ錠 医薬品インタビューフォーム 武田薬品工業株式会社
  • タケキャブ錠10mg/タケキャブ錠20mgに係る医薬品リスク管理計画書 武田薬品工業株式会社
  • オメプラール錠 添付文書 アストラゼネカ株式会社
  • タケプロンカプセル・OD錠 医薬品インタビューフォーム 武田薬品工業株式会社
  • 新規カリウムイオン競合型アシッドブロッカー ボノプラザンフマル酸塩の薬理学的特性と臨床効果(日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)152,104〜110(2018))
  • Crystal structures of the gastric proton pump(Nature volume 556, pages214–218(2018))
  • ボノプラザン起因性collagenous colitisの1例(Progress of Digestive Endoscopy 94(1) 104-106 (2019.6))
  • Role of proton pump inhibitors in preventing hypergastrinemia-associated carcinogenesis and in antagonizing the trophic effect of gastrin.(Journal of physiology and pharmacology : an official journal of the Polish Physiological Society2015Apr01Vol. 66issue(2))
  • プロトンポンプ阻害薬抵抗性の逆流性食道炎への対応(日消誌 2006;103:1233―1237)
  • 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015
  • H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2016改訂版Q&A

*1:Potassium-Competitive Acid Blocker

*2:Proton Pump Inhibitor

*3:EnteroChromaffin-Like Cells

*4:Rapid Metabolizer

*5:Poor Metabolizer

*6:Intermediate Metabolizer

*7:Low dose Aspirin(低用量アスピリン)

*8:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs(非ステロイド性抗炎症薬)

*9:Non-Nucleoside Reverse Transcriptase Inhibitor

*10:Clostridium Difficile

*11:Collagenous colitis

*12:Gastro Esophageal Reflux Disease

*13:Nocturnal gastric Acid Breakthrough

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