薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
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酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症 高齢者は慎重投与に〜厚生労働省から添付文書改訂指示

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(ここからが記事本文になります)

平成27年10月20日、厚労省医薬・生活衛生局は、新たな副作用について、医療従事者に注意を促すため添付文書を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。

その中で、個人的に一番目を引いたのは、酸化マグネシウムの高マグネシウム血症に関するものです。
  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。
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酸化マグネシウム製剤のまとめ

酸化マグネシウム製剤としては、
  • 酸化マグネシウム
  • 酸化マグネシウム原末
  • 重質酸化マグネシウム
  • 軽カマ
  • 重カマ
  • マグミット
  • マグラックス
などが発売されています。
  
効能・効果としては、
  1. 下記疾患における制酸作用と症状の改善:胃・十二指腸潰瘍、胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎を含 む)、上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわゆる胃 下垂症、胃酸過多症を含む)
  2. 便秘症
  3. 尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防
となっていますが、実際に使用されるケースのほとんどが便秘症に対するものではないでしょうか?
  
便秘症に対する薬剤としては、
プルゼニド(センノシド)、アローゼン(センナ/センナ実)、ラキソベロン(ピコスルファートナトリウム)、ヨーデル(センナエキス)、アミティーザ(ルビプロストン)などが知られていますが、酸化マグネシウム製剤が一番効果がマイルドで使いやすいイメージがあると思います。
なので、漫然と使用されてしまっているケースが多いのも事実ですよね。
  
  

添付改訂指示の内容

今回、添付文書の改訂指示が出された部分をまとめます。
 
  

慎重投与

高齢者」が追記
  

重要な基本的注意

「本剤の投与により、高マグネシウム血症があらわれることがある。特に、便秘症の患者では、腎機能が正常な場合や通常用量以下の投与であっても、重篤な転帰をたどる例が報告されているので、以下の点に留意すること。
  1. 必要最小限の使用にとどめること。
  2. 長期投与又は高齢者へ投与する場合には定期的に血清マグネシウム濃度を測定するなど特に注意すること。
  3. 嘔吐、徐脈、筋力低下、傾眠等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、直ちに受診するよう患者に指導すること。
太字部分が改訂部分です。
  

高齢者への投与

「高齢者では、高マグネシウム血症を起こし、重篤な転帰をたどる例が報告
されているので、投与量を減量するとともに定期的に血清マグネシウム濃度を測定するなど観察を十分に行い、慎重に投与すること。」
太字部分が改訂部分です。
  
今回の改訂については、下記リンクのように適正使用についてのお願いも発行されています。
  
  

酸化マグネシウムと高Mg血症

酸化マグネシウム製剤による高Mg血症は過去にも注意喚起が出されていました。
平成20年9が19日には添付文書の使用上の注意が改訂されています。
  
一度使い初めるとそのまま長期に渡って使用し続けることが多い薬剤であるため、高齢者、腎障害者かつ活性型ビタミンD3製剤服用者(マグネシウムの吸収増)など、特に注意していくべき患者を決めて対応したいですね。
なかなか気付きにくいところでは、健康食品などの摂取も気になります。
  
今回の件は色んなところで報道されています。
患者さんが不安にならないよう、スタッフはもちろん、近隣医療機関のドクターと連携していきたいですね。
  
 
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