薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。何卒、ご理解ください。   

タケキャブ・クエチアピンによる重篤な皮膚障害などが追記〜平成31年3月19日 添付文書改訂指示

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(ここからが記事本文になります)

平成31年3月19日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は5つの成分に対して改訂指示が出されています。
  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。
  
  

添付文書改訂指示
  
  

使用上の注意の改訂指示(平成31年3月19日)

PMDAへのリンクを貼っておきます。

  

クエチアピンフマル酸塩による重篤な皮膚障害

クエチアピン錠12.5mg、錠25mg、錠50mg、錠100mg、錠200mg、細粒10%、細粒50%「アメル」の使用上の注意を改訂いたしました。(「添付文書の改訂に関するお知らせ」参照)(共和薬品工業)
ビプレッソ徐放錠50mg、錠150mgの使用上の注意を改訂いたしました。(「添付文書の改訂に関するお知らせ」参照)(共和薬品工業)
  
添付文書改訂の対象となる医薬品は以下のとおりです。

(リンクはそれぞれの添付文書)
  

添付文書の具体的な改訂内容

添付文書の「副作用」の「重大な副作用」の項に以下の内容が追記されます。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑:中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
引用元:ビプレッソ徐放錠 添付文書
  

症例報告

直近3年度の国内副作用症例の集積状況で、クエチアピンフマル酸塩によるそれぞれの報告は以下の通りです。

  • 中毒性表皮壊死融解症:1例報告(因果関係が否定できな症例1例)
  • 皮膚粘膜眼症候群:1例報告(因果関係なし)
  • 多形紅斑:1例報告(因果関係なし)

  
  

クロザピンによる腸潰瘍、腸管穿孔

クロザリル錠 使用上の注意改訂のお知らせ
  
添付文書改訂の対象となる医薬品は以下のとおりです。

(リンクは添付文書)
  

添付文書の具体的な改訂内容

添付文書の「副作用」の「重大な副作用」の項の腸閉塞、麻痺性イレウスに関する記載が下線部の通り修正されます。
腸閉塞、麻痺性イレウス、腸潰瘍、腸管穿孔:本剤の抗コリン作用により腸閉塞、麻痺性イレウス、腸潰瘍、腸管穿孔があらわれ、死亡に至った例も報告されている。便秘等の異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
引用元:クロザリル錠 添付文書
  

症例報告

直近3年度の国内副作用症例の集積状況で、クロザピンによる腸潰瘍関連症例はありませんでしたが、腸管穿孔関連症例は4例報告されています。
そのうち、因果関係が否定できない症例はなく、死亡例もありませんでしたが、海外症例の集積状況を踏まえて添付文書の改訂となったようです。
  
  

ボノプラザンフマル酸塩による重篤な皮膚障害

「タケキャブ錠10mg・20mg」「ボノサップパック400・800」「ボノピオンパック」添付文書改訂のお知らせ
  
添付文書改訂の対象となる医薬品は以下のとおりです。(リンクはそれぞれの添付文書)
  

添付文書の具体的な改訂内容

添付文書の「副作用」の「重大な副作用」の項に以下の内容が追記されます。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑:中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
引用元:タケキャブ錠 添付文書
  

症例報告

直近3年度の国内副作用症例の集積状況で、ボノプラザンフマル酸塩を含む製剤によるそれぞれの報告は以下の通りです。
  • 中毒性表皮壊死融解症
    • ボノプラザンフマル酸塩:8例(因果関係が否定できない症例1例)、死亡1例(因果関係が否定できない症例はなし)
    • ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン:1例(因果関係の評価なし)、死亡例なし
    • ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール:0例
  • 皮膚粘膜眼症候群
    • ボノプラザンフマル酸塩:8例(因果関係が否定できない症例2例)、死亡例なし
    • ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン:14例(因果関係の評価なし)、死亡例なし
    • ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール:0例
  • 多形紅斑
    • ボノプラザンフマル酸塩:22例(因果関係が否定できない症例1例)、死亡例なし
    • ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン:50例(因果関係の評価なし)、死亡例なし
    • ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール:3例(因果関係の評価なし)、死亡例なし
  
  

デスノマブ120mg製剤による「治療中止後の高カルシウム血症」、「治療中止後の多発性椎体骨折」

ランマーク皮下注120mg 使用上の注意改訂のお知らせ
  
添付文書改訂の対象となる医薬品は以下のとおりです。

(リンクは添付文書)
  

添付文書の具体的な改訂内容

添付文書の「副作用」の「重大な副作用」の項に以下の内容が追記されます。
治療中止後の高カルシウム血症:骨巨細胞腫患者において、本剤治療中止後、高カルシウム血症があらわれることがある。
治療中止後の多発性椎体骨折:本剤治療中止後、多発性椎体骨折があらわれることがある。
引用元:ランマーク皮下注 添付文書
  

症例報告

直近3年度の国内副作用症例の集積状況ではデノスマブ(遺伝子組換え)120mg製剤の使用による報告はそれぞれ以下の通りです。

  • 治療中止後の高カルシウム血症関連症例:1例(因果関係が否定できないものではない)、死亡例なし
  • 治療中止後の多発性椎体骨折関連症例:なし

  
  

ソルビトール、果糖を含む製剤(静注用)について慎重投与が追記

添付文書改訂の対象となるのは、添加剤としてソルビトール(D-ソルビトール)、果糖を含有する全ての静注用製剤です。
  

添付文書の具体的な改訂内容

それぞれ添付文書の「慎重投与」の項に以下の内容が追記されます。
ソルビトール含有製剤(静注用)
遺伝性果糖不耐症の患者〔本剤の添加剤ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。〕
D-ソルビトール含有製剤(静注用)
遺伝性果糖不耐症の患者〔本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。〕
果糖含有製剤(静注用)
遺伝性果糖不耐症の患者〔本剤の添加剤果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。〕
  

添付文書改訂に至った経緯

欧州 EMA にて、添加剤としてソルビトール又は果糖を含有する静注製剤の遺伝性果糖不耐症患者への使用を禁忌とする外国措置報告を受け、遺伝性果糖不耐症の病態、複数の公表論文等の情報に基づき、本邦における改訂の必要性を検討した。専門委員の意見も踏まえた調査の結果、添加剤としてソルビトール又は果糖を含有する静注製剤において、遺伝性果糖不耐症に関連し重篤な転帰に至った事例は確認できないこと等から、本邦においては、「慎重投与」の項に「遺伝性果糖不耐症の患者」を追記することが適切と判断した。引用元:添加剤としてソルビトール又は果糖を含有する静注製剤の「使用上の注意」の改訂について

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