薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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リオベル配合錠LDの自主回収

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今日のお昼のNHKニュースでも報道されたようですが、リオベル配合錠LD(一般名:アログリプチン安息香酸塩/ピオグリタゾン塩酸塩配合錠)の自主回収が案内されています。
在庫している薬局の方には、卸さんや武田薬品から案内が届いているのではないかと思います。
PMDAのホームページでもクラスⅡ自主回収として掲載されていますね。
薬局としては、患者さんが過剰に不安になり、問題ないのに服薬を避けるということがないようにしたいものです。


武田薬品のプレスリリースは以下です。
糖尿病治療薬「リオベル®配合錠LD」の自主回収について | ニュース | 武田薬品工業株式会社
PMDAの自主回収情報のリンクは以下になっています。
http://www.info.pmda.go.jp/rgo/MainServlet?recallno=2-6240

回収の概要

通常、リオベル配合錠に打刻されている識別番号は「382」となっていますが、
誤って「383」(これはリオベル配合錠HDの識別番号)と打刻されてしまったロットが存在したようです。

対象ロットは以下の通りです。

  • 100錠包装(10錠×10):O085、O086、O087、O088
  • 500錠包装(10錠×50):O088、O089

出荷時期:平成27年2月9日~平成27年4月1日

識別番号こそ違いますが、中に入っている成分・量、PTPシートや錠剤の色・形はリオベル配合錠LDのままです。
本来リオベル配合錠は下記のような錠剤となっています。

  • リオベル配合錠LD:微黄色、上面 武田薬品のロゴ+382、下面 15/25
  • リオベル配合錠HD:微黄赤色、上面 武田薬品のロゴ+383、下面 30/25

今回、回収対象となる錠剤は、

  • リオベル配合錠LD:微黄色、上面 武田薬品のロゴ+383、下面 15/25

となってしまっているというわけですね。

懸念される問題

つまりは、見た目はリオベルLDなんだけど、よく見ると識別番号が違うという状態ってことです。
おそらく、患者さんは見ても気づくのは難しいのではないかと思います。
そのまま飲んでしまっても、中身はちゃんとリオベル配合錠LDとのことなので、健康被害の心配は全くありません。

薬局などで一包化など分包を行っている場合、監査した薬剤師の方は驚いたのではないでしょうか?
色や形だけで監査している場合は、おそらく気づけないでしょうね・・・。

ところで、なんでこんなことが起こったのでしょうか?
自分の勝手なイメージでは、医薬品の製造ラインって、薬・規格ごとに固定で、リオベル配合錠LDとして製造されたものが、リオベル配合錠HDのラインに紛れ込まない限り、こんなことは起こらないと思っていたのですが・・・。
もし、そんなことが起きたのであれば、ちょっと恐ろしいですね。
今回、たまたま刻印が異なっただけですが、もっと大きな間違いも起こりうるということになってしまいますもんね。

各種報道

今回の回収、各ニュースサイトでも取り上げられていますね。
各社厳し目の報道って気がします。www3.nhk.or.jp
mainichi.jp
www.asahi.com
www.qlifepro.com
www.sankei.com

こういった記事を見て、患者さんが不安になり来局したり、電話してきたりする可能性もあるので、安心していただけるようにきちんと準備しておかなければいけませんね。
各薬局、卸さんから過去に購入した製品ロットが該当しているかどうかもわかると思うので、該当してなければ安心して大丈夫ということを伝えましょう。
該当があった場合、刻印の間違いは確かに大きな問題ですが、それを飲んだからと言って健康被害が生じることはなく、不安になる必要はないということを正確に伝えたいですね。

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