薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
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新医薬品の処方日数制限一覧(2020年11月18日更新)

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(ここからが記事本文になります)

新薬の投与日数制限(処方日数)についてのまとめとその一覧です。
2020年11月18日に薬価収載された医薬品のうち、エクロックゲル5%、エナロイ錠2mg/4mg、ジセレカ錠100mg/200mg、ゼジューラカプセル100mg、リベルサス錠3mg/7mg/14mgが処方日数制限の対象となっています。
  
  
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新薬の投与(処方)日数制限

療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等の一部を改正する告示(平成30年厚生労働省告示第42号)
新医薬品の投薬期間は1回14日分を限度とされています。
この日数制限は薬価基準収載の翌月から一年間と決められてます。
  

処方日数制限を超して処方可能なケース

旅程その他の事情を考慮し、必要最低限の範囲において、1回30日分を限度として投与してさし支えないもとのする。

厚生労働省保険局医療課長通知 保医発第0404001号(平成14年4月4日付)
上に示す通知に記載されている通り、「旅程その他の事情」がある場合、「必要最低限の範囲において、1回30日分を限度」として長期投与が可能となっています。
  
具体的には、以下の場合についてです。
  • 長期休暇
    • ゴールデンウィーク
    • 年末年始
  • 海外渡航
これらにあてはまる場合、14日分の投与制限のある医薬品について、30日分を限度として必要最小限の範囲での投与が可能となっています。
なお、お盆休みは法定休暇ではないので長期休暇の対象にはなりません
また、長期休暇の理由で日数制限を解除できるのは、14日後が休みにかかる場合のみとなっています。
例えば12月の上旬に「長期休暇のため」日数制限を免除することはできないということです。
Point!


旅程その他の事情を理由に長期投与を行う場合

  • 30日分を越すことはできない
  • お盆休みは対象外
  • 14日後が受診不可の場合に長期投与可能

たまに30日分の薬を35日分で出そうとする処方を見ることがありますが、ダメです!
  

投与期間に上限のある薬を長期投与する場合のレセプト記載

「旅程その他の事情」を理由に長期投与を行う場合、その理由をレセプト*1の摘要欄に記載する必要があります。

項番14 長期の旅行等特殊の事情がある場合に、日数制限を超えて投与された場合
長期の旅行等特殊の事情がある場合において、必要があると認められ、投薬量が1回14日分を限度とされる内服薬及び外用薬であって14日を超えて投与された場合は、処方箋の備考欄に記載されている長期投与の理由を転記すること。

保医発0326第5号「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について(平成30年3月26日)
  
具体的には、

  • 「長期連休のため長期投与」
  • 「年末年始のため長期投与」
  • 「海外渡航のため長期投与」

のようにレセプト適応欄に理由を記載します。
  

新医薬品の処方日数制限の例外となる医薬品

下記のとおり、一部の条件にあてはまるものについては新医薬品の処方日数制限の例外として扱われます。

  • 新医薬品については、薬価基準収載の翌月の初日から1年間は、原則、1回14日分を限度として投与することとされているところである。しかしながら、当該処方日数制限を行うことが不合理と考えられる下記のような場合は例外的な取扱いとする。
    1. 同様の効能・効果、用法・用量の既収載品の組合せと考えられる新医療用配合剤など、有効成分にかかる効能・効果、用法・用量について、実質的に、既収載品によって1年以上の臨床使用経験があると認められる新医薬品については、新医薬品に係る処方日数制限を設けないこととする。
    2. 疾患の特性や、含有量が14日分を超える製剤のみが存在しているといった製剤上の特性から、1回の投薬期間が14日を超えることに合理性があり、かつ、投与初期から14日を超える投薬における安全性が確認されている新医薬品については、薬価基準収載の翌月から1年間は、処方日数制限を、製剤の用法・用量から得られる最少日数に応じた日数とする。
  • 例外的な取扱いとする新医薬品は、個別に中医協の確認を得ることとする。

新医薬品の処方日数制限の取扱いについて(案) 平成22年10月27日 中医協了承
具体的には以下のようなものが該当します。

  • 新医療用配合剤(有効成分にかかる効能・効果、用法・用量が同じもの)
  • 抗HIV薬(市販後は原則として全例調査が義務づけられているため)

また、例外中の例外として以下のようなケースもありました。

  • ソバルディ錠(包装単位が28錠入りの瓶のみ、開封後は45日間しか品質が保証されないため)
  • ハーボニー配合錠(同上)

  

新医薬品の処方日数制限一覧

記事を更新した段階で処方日数制限の対象となっている新医薬品の一覧に加えて、その半年以内に解除されたものについての一覧をまとめます。
  

投与制限解除済のもの

過去半年くらいに投与制限が解除されたものです。
    

解除済:2020年3月1日(令和2年3月1日)に長期処方が解禁された医薬品

  • エプクルーサ配合錠
  • セリンクロ錠10mg
  • タリージェ錠2.5mg/5mg/10mg/15mg
  • デムサーカプセル250mg
  • ビジンプロ錠15mg/45mg
  • ビラフトビカプセル50mg
  • ミネブロ錠1.25mg/2.5mg/5mg
  • メクトビ錠15mg
  • レルミナ錠40mg

  

解除済:2020年6月1日(令和2年6月1日)に長期処方が解禁された医薬品

  • アーリーダ錠60mg
  • スマイラフ錠50mg/100mg
  • ビバンセカプセル20mg/30mg

※同時に薬価収載されたもののうちロスーゼット配合錠LD/HD、テリルジーエリプタ14吸入/30吸入は新薬の投与日数制限の対象外
  

解除済:2020年10月1日(令和2年10月1日)に長期処方が解禁された医薬品

  • アジマイシン点眼液1%
  • ゾルトファイ配合注フレックスタッチ
  • ビベスピエアロスフィア28吸入
  • ビレーズトリエアロスフィア56吸入
  • ミニリンメルトOD錠25µg/50µg
  • ロズリートレクカプセル100mg/200mg
  • ロナセンテープ20mg/30mg/40mg

  
  

新医薬品の処方日数制限の対象となっている医薬品一覧(解除月ごと)

投与制限解除が近いものから順番に列挙します。
  

2020年12月1日(令和2年12月1日)に長期処方が解禁される医薬品

  • エクフィナ錠50mg
  • エベレンゾ錠20mg/50mg/100mg
  • コララン錠2.5mg/5mg/7.5mg
  • トリンテリックス錠10mg/20mg
  • ハルロピテープ8mg/16mg/24mg/32/mg/40mg
  • フィアスプ注100単位/mL
  • フィアスプ注フレックスタッチ
  • フィアスプ注ペンフィル
  • ベネクレクスタ錠10mg/50mg/100mg
  • ラスビック錠75mg

※同時に薬価収載されたもののうちアイベータ配合点眼液は新薬の投与日数制限の対象外
  

2021年5月1日(令和3年5月1日)に長期処方が解禁される医薬品

  • コレクチム軟膏0.5%
  • デエビゴ錠2.5mg/5mg/10mg
  • ニュベクオ錠300mg
  • ノクサフィル錠100mg
  • ユリス錠0.5mg/1mg/2mg
  • リンヴォック錠7.5mg/15mg

  

2021年6月1日(令和3年6月1日)に長期処方が解禁される医薬品

  • カボメティクス錠20mg/60mg
  • テプミトコ錠250mg
  • ベレキシブル錠80mg
  • メラトベル顆粒小児用0.2%
  • ラツーダ錠20mg/錠40mg/錠60mg/80mg
  • ルムジェブ注100単位/mL
  • ルムジェブ注カート
  • ルムジェブ注ミリオペン
  • ルムジェブ注ミリオペンHD
  • ロケルマ懸濁用散分包5g/10g

※同時に薬価収載されたもののうちキャブピリン配合錠、ソリクア配合注ソロスター、 アイラミド配合懸濁性点眼液は新薬の投与日数制限の対象外
  

2021年9月1日(令和3年9月1日)に長期処方が解禁される医薬品

  • アテキュラ吸入用カプセル低用量/中用量/高用量
  • エナジア吸入用カプセル中用量/高用量
  • エンスプリング皮下注120mgシリンジ
  • エンレスト錠50mg/100mg/200mg
  • オンジェンティス錠25mg
  • ダーブロック錠1mg/2mg/4mg/6mg
  • タブレクタ錠150mg/200mg
  • バフセオ錠150mg/300mg
  • メーゼント錠0.25mg/2mg

  

2021年12月1日(令和3年12月1日)に長期処方が解禁される医薬品

  • エクロックゲル5%
  • エナロイ錠2mg/4mg
  • ジセレカ錠100mg/200mg
  • ゼジューラカプセル100mg
  • リベルサス錠3mg/7mg/14mg

  

新医薬品の処方日数制限の対象となっている医薬品一覧(五十音順)

解除月ではなく医薬品名の五十音順に並べます。
索引 医薬品名 解除月
アテキュラ吸入用カプセル低用量/中用量/高用量 2021年9月1日
(令和3年9月1日)
エクフィナ錠50mg 2020年12月1日
(令和2年12月1日)
エクロックゲル5% 2021年12月1日
(令和3年12月1日)
エナジア吸入用カプセル中用量/高用量 2021年9月1日
(令和3年9月1日)
エナロイ錠2mg/4mg 2021年12月1日
(令和3年12月1日)
エベレンゾ錠20mg/50mg/100mg 2020年12月1日
(令和2年12月1日)
エンスプリング皮下注120mgシリンジ 2021年9月1日
(令和3年9月1日)
エンレスト錠50mg/100mg/200mg 2021年9月1日
(令和3年9月1日)
オンジェンティス錠25mg 2021年9月1日
(令和3年9月1日)
カボメティクス錠20mg/60mg 2021年6月1日
(令和3年6月1日)
コララン錠2.5mg/5mg/7.5mg 2020年12月1日
(令和2年12月1日)
コレクチム軟膏0.5% 2021年5月1日
(令和3年5月1日)
ジセレカ錠100mg/200mg 2021年12月1日
(令和3年12月1日)
ゼジューラカプセル100mg 2021年12月1日
(令和3年12月1日)
ダーブロック錠1mg/2mg/4mg/6mg 2021年9月1日
(令和3年9月1日)
タブレクタ錠150mg/200mg 2021年9月1日
(令和3年9月1日)
テプミトコ錠250mg 2021年6月1日
(令和3年6月1日)
デエビゴ錠2.5mg/5mg/10mg 2021年5月1日
(令和3年5月1日)
トリンテリックス錠10mg/20mg 2020年12月1日
(令和2年12月1日)
ニュベクオ錠300mg 2021年5月1日
(令和3年5月1日)
ノクサフィル錠100mg 2021年5月1日
(令和3年5月1日)
バフセオ錠150mg/300mg 2021年9月1日
(令和3年9月1日)
ハルロピテープ8mg/16mg/24mg/32mg/40mg 2020年12月1日
(令和2年12月1日)
フィアスプ注フレックスタッチ
フィアスプ注ペンフィル
フィアスプ注100単位/mL
2020年12月1日
(令和2年12月1日)
ベネクレクスタ錠10mg/50mg/100mg 2020年12月1日
(令和2年12月1日)
ベレキシブル錠80mg 2021年6月1日
(令和3年6月1日)
メーゼント錠0.25mg/2mg 2021年9月1日
(令和3年9月1日)
メラトベル顆粒小児用0.2% 2021年6月1日
(令和3年6月1日)
ユリス錠0.5mg/1mg/2mg 2021年5月1日
(令和3年5月1日)
ラスビック錠75mg 2020年12月1日
(令和2年12月1日)
ラツーダ錠20mg/錠40mg/錠60mg/80mg 2021年6月1日
(令和3年6月1日)
リベルサス錠3mg/7mg/14mg 2021年12月1日
(令和3年12月1日)
リンヴォック錠7.5mg/15mg 2021年5月1日
(令和3年5月1日)
ルムジェブ注100単位/mL
ルムジェブ注カート
ルムジェブ注ミリオペン
ルムジェブ注ミリオペンHD
2021年6月1日
(令和3年6月1日)
ロケルマ懸濁用散分包5g/10g 2021年6月1日
(令和3年6月1日)

*1:調剤報酬明細書

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