薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
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アーリーダとイクスタンジによる間質性肺疾患〜2019年11月15日添付文書改訂指示

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(ここからが記事本文になります)

令和元年11月15日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品等について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は去勢抵抗性前立腺がん治療薬としての適応を持つアンドロゲン受容体阻害薬であるイクスタンジとアーリーダについて改訂指示が出されています。
  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。
  
  

添付文書改訂指示
  
  

使用上の注意の改訂指示(令和元年11月15日)

PMDAへのリンクを貼っておきます。
令和元年度指示分 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
  
添付文書の改訂が実施されたのは以下の2つです。

  • アパルタミド(アーリーダ錠):間質性肺疾患
  • エンザルタミド(イクスタンジ錠):間質性肺疾患

アーリーダ錠、イクスタンジ錠ともに間質性肺炎についての改訂で改訂内容も全く同じです。
  
ちなみに、今年度からpmdaが発出する改定案の一部は旧記載要領と新記載要領の両方が掲載されるようになっています。

現時点で各医薬品が採用している記載方式に従ってまとめます。
  

アパルタミドによる間質性肺疾患

  
添付文書改訂の対象となる医薬品は以下のとおりです。

アパルタミド

  • アーリーダ錠60mg

  

改訂指示の内容

「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項に「間質性肺炎」についての記載が追記されます。
  
【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 「使用上の注意」 > 「1. 慎重投与」に以下の内容が追記されます。
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
4)間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者 [間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)]
引用元:アーリーダ錠60mg 添付文書
  
また、添付文書 > 「使用上の注意」 > 「2. 重要な基本的注意」に以下の内容が追記されます。
2. 重要な基本的注意
4)間質性肺疾患があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。また、患者に副作用について説明するとともに、間質性肺疾患の初期症状が発現した場合には、速やかに医療機関を受診するよう説明すること。(「慎重投与」、「重大な副作用」の項参照)
引用元:アーリーダ錠60mg 添付文書
  
さらに、添付文書 > 「使用上の注意」 > 「4. 副作用」 > 「1)重大な副作用」に以下の内容が追記されます。
4. 副作用
1)重大な副作用
(4)間質性肺疾患(頻度不明):間質性肺疾患があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照)
引用元:アーリーダ錠60mg 添付文書
  

報告内容

直近3年度の国内での「間質性肺疾患関連症例」の報告は4例、そのうち因果関係が否定できないものは2例ありました。
死亡例は1例で因果関係が否定できないものでした。
  

監査で活かすべきこと

重篤副作用疾患別対応マニュアル(患者・一般の方向け):間質性肺炎
この改訂を受けて監査時に反映すべき思考をまとめておきます。
ベージニオのブルーレターは記憶に新しいところです。
劇症例ではかなり急激な進行を見せるので患者さん自身が初期症状に気づき、受診してもらうことが大切です。
「稀ではありますが、このお薬の影響で肺に対する副作用が起きてしまうことがあります。場合によっては急激に進行することもあるので、初期症状が見られた時点で医師や薬剤師に相談するようにしてください。具体的な症状としては、「階段を登ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる 」、「空咳が出る」、「発熱する」などです。これらの症状が急に出現したり、持続する場合はすぐに連絡してください。」って感じですかねえ・・・。
  
  

エンザルタミドによる間質性肺疾患

  
添付文書改訂の対象となる医薬品は以下のとおりです。

エンザルタミド

  • イクスタンジ錠40mg
  • イクスタンジ錠80mg

  

改訂指示の内容

「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項に「間質性肺炎」についての記載が追記されます。
  
【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 「使用上の注意」 > 「1. 慎重投与」に以下の内容が追記されます。
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
4)間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者 [間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)]
引用元:イクスタンジ錠 添付文書
  
また、添付文書 > 「使用上の注意」 > 「2. 重要な基本的注意」に以下の内容が追記されます。
2. 重要な基本的注意
4)間質性肺疾患があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。また、患者に副作用について説明するとともに、間質性肺疾患の初期症状が発現した場合には、速やかに医療機関を受診するよう説明すること。(「慎重投与」、「重大な副作用」の項参照)
引用元:イクスタンジ錠 添付文書
  
さらに、添付文書 > 「使用上の注意」 > 「4. 副作用」 > 「1)重大な副作用」に以下の内容が追記されます。
4. 副作用
1)重大な副作用
(4)間質性肺疾患(頻度不明):間質性肺疾患があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照)
引用元:イクスタンジ錠 添付文書
  

報告内容

直近3年度の国内での「間質性肺疾患関連症例」の報告は19例、そのうち因果関係が否定できないものは5例ありました。
死亡例は3例報告されていますが因果関係が否定できないものはありませんでした。
  

監査で活かすべきこと

アーリーダ(アパルタミド)でまとめたのでそちらを参考にしてください・・・。
  
アンドロゲン受容体阻害薬 両剤で間質性肺疾患が報告されているってことがポイントですね。
作用機序由来なのか構造的なもの由来するのか。。。

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