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薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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タケプロンと授乳

脳みそ

そろそろ出産が近い患者さん。
妊娠後期の胃酸分泌増加のせいか、胃の不快感を訴え、タケプロンOD(一般名:ランソプラゾール)を服用中。少しずつ効果も出てきたようです。

出産後は母乳育児を考えているようで、内科の先生に出産後、この薬を続けて授乳を行ってもいいものか訪ねたそうです。
内科先生の回答は「うーん。たぶんいいと思うけど心配ならやめる?」
不安になったので薬局でも同じ質問をされました。
さて、どのように回答するべきか。
国立成育医療研究センターを見るとファモチジン(商品名:ガスター)は安全に使用できる薬に含まれています。
PPIより胃酸抑制効果は弱いですが状態によってはこちらへの切り替えも考えれます。
大分県『母乳と薬剤』研究会の母乳とくすりハンドブックを見ると
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf
PPIの中でもオメプラゾール(商品名:オメプラール、オメプラゾン)は比較的安全であるというデータがあるようなのでそちらを勧めれば間違いないと思います。

まあ、上記が回答の一つなんですが、薬を変えずにそのまま継続できるかを考えてみたいと思います。

とりあえず、国立成育医療研究センターの「授乳とお薬」を見ますよね。
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist.html
とりあえず、「安全に使用できると思われる薬」にタケプロンは入ってないですねー。

次に添付文書の「妊婦、産婦、授乳婦への投与」の項を見ると、
「授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。[動物試験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。]」
と記載されています。
じゃあ、子供が口にするとどうなるの?ということで、「小児等への投与」の項を見ると、
「小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。」
はっきりしない…。

一般的に考えればPPIは酸性下で失活するので乳汁中に移行しても経口的に摂取する限りはほとんど吸収されません。
ただし、新生児では胃内のpHは大人ほど低くなく、pHは4とも6とも言われています。
ということは、PPIはあまり失活せずに吸収されてしまう可能性あり?

じゃあ、乳汁中にどの程度移行するのか?
ランソプラゾールの血漿蛋白結合率は98%です。
さらに添付文書の薬物動態を見ると、15mg服用時のCmaxが450ng/mLと非常に低いです。
これは血中濃度なので蛋白結合している薬物も含みます。
乳汁移行は血漿中の薬物濃度が影響します。
単純に考えるとランソプラゾールの血漿中濃度は9ng/mLとなり、授乳による吸収量は極めて少なくなります。
ランソプラゾールの場合、血漿中から乳汁中にどの程度移行するかは不明ですが、倍に濃縮される(M/P比2)と考えるとします。
新生児の母乳摂取量は多く見積もって1000mL。
となると18μgが新生児の口に入ってしまう可能性があるということになります。

量としては本当に少ないですね。
メルクマニュアルを見てみると、
http://merckmanual.jp/mmpej/print/sec02/ch013/ch013f.html
ランソプラゾールの小児用量は10kg未満の場合、7.5mgとなっています。
これを見る限り、授乳により摂取する可能性のある量は極めて少なく全く問題ないであろうという値という事になります。

ただし、ごく微量ながらも赤ちゃんの体に入るのは間違いないので、積極的にオススメすることはできないですね。
飲んでしまった とか 短期間のみの服用であれば問題ないと考えてもいいのではないでしょうか?
もちろん、オメプラゾールやファモチジンをオススメしますが…。

薬物治療コンサルテーション妊娠と授乳

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妊娠・授乳とくすりQ&A (実践Q&Aシリーズ)

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