薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
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【薬食審・医薬品第一部会】ネキシウムに小児への適応追加と懸濁用顆粒分包の剤型追加【承認了承】

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(ここからが記事本文になります)

平成29年11月2日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会が開催されました。
今回、審議されたのは、

  • ネキシウムの小児適応・新剤形の追加
  • ノルディトロピンフレックスプロ注・ノルディトロピンS注の適応追加

の2つで、ともに承認が了承されました。
※ノルディトロピンについては平成29年11月30日付で承認済です。
  
  

  
  

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くすり
  

ネキシウムの小児適応・新剤形追加

成分名:エソメプラゾールマグネシウム水和物

  • ネキシウムカプセル10mg
  • ネキシウムカプセル20mg
  • ネキシウム懸濁用顆粒分包10mg(追加)
  • ネキシウム懸濁用顆粒分包20mg(追加)

申請者:アストラゼネカ
効能・効果:胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群の小児適応(追加)
用法・用量:小児用量の追加(詳細不明)
  
  

小児適応を持つPPIは初めて

PPI(Proton Pump Inhibitor:プロトンポンプインヒビター)は胃酸により引き起こされる様々な疾患に対する第一選択薬として広く使用されています。
現在日本国内で使用されているPPIには以下のものがあります。

  • オメプラゾン・オメプラール(成分名:オメプラゾン)
  • タケプロン(成分名:ランソプラゾール)
  • パリエット(成分名:ラベプラゾール)
  • ネキシウム(成分名:エソメプラゾール)
  • タケキャブ(成分名:ボノプラザン)

ですが、小児適応を持っているものはありませんでした。
近いうちに(おそらく平成30年1月)ネキシウムの小児適応が承認されれば、国内初の小児適応を持つPPIとなります。
  
ちなみに、H2ブロッカーの場合、日本国内で小児適応を持つのは、アルタット(成分名:ロキサチジン)のみです。
  
  

小児の胃酸関連疾患

小児の胃酸関連疾患はそこまで多いと感じたことはありませんが、小児科の処方を扱うことは少なくても、消化器科等の処方で経験したことがあります。
乳幼児においては下部食道括約筋の機能が未発達なため、胃の内容物や胃酸・胃液が逆流してしまう胃食道逆流症が起こりやすいことが知られています。
本来、下部食道括約筋の発達とともに、胃食道逆流症は減少していくのですが、食の欧米化やストレスの増加により、大人のように逆流性食道炎などの胃食道逆流症を発症してしまうケースが増えているようです。
また、心身障害を持つ場合も、胃食道逆流現象は起こりやすくなります。
胃食道逆流症により胃酸が逆流することで、食道炎、体重増加不良、反復性肺炎、喘息などを起こしてしまうことがあるので、適切な治療が必要となります。
  
  

懸濁用顆粒分包の剤型にも期待

ちなみに、懸濁用顆粒分包は成人適応も取得しており、その効能効果はカプセルと同じです。
(カプセルも懸濁用顆粒分包も小児の適応は限られている)
PPIは粉砕不可の薬品が多いので、高齢者などに適した剤型として、懸濁用顆粒分包の発売に期待しています。
  

PPIの粉砕可否

  • 腸溶錠のため粉砕不可
    • オメプラゾン錠・オメプラール錠
    • タケプロンOD錠(顆粒を潰さなければ溶かして飲める)
    • パリエット錠
  • 脱カプセル可能
    • タケプロンカプセル
    • ネキシウムカプセル
  • 遮光保存が必要だが粉砕可能
    • タケキャブ(成分名:ボノプラザン)
  
  

ノルディトロピンフレックスプロ注・ノルディトロピンS注の適応追加(平成29年11月30日に承認)

成分名:ソマトロピン(遺伝子組換え)

  • ノルディトロピンフレックスプロ注5mg
  • ノルディトロピンフレックスプロ注10mg
  • ノルディトロピンフレックスプロ注15mg
  • ノルディトロピンS注10mg

申請者:ノボ ノルディスク ファーマ
追加される効能・効果:骨端線閉鎖を伴わないヌーナン症候群における低身長
追加される用法・用量:1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.23mgを6~7回に分けて皮下に注射する。なお、効果不十分な場合は1週間に体重kg当たり0.47mgまで増量し、6~7回に分けて皮下に注射する。
  
  

ヌーナン症候群に対する初めての薬

ヌーナン症候群は日本で指定難病に指定されています。
今回の適応追加により、ヌーナン症候群における低身長の治療に対する保険治療が可能となりました。
  

小児内分泌学会が使用に対する注意について公表

日本小児内分泌学会から以下の案内が公表されています。
ヌーナン症候群における低身長に対するGH治療の実施上の注意

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