薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
2020年11月からURLが変更となりました。(新URL https://yakuzaishi.love)
  

カドセイラ 承認

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カドサイラ点滴静注用100mg・160mg(トラスツズマブ エムタンシン遺伝子組換え/中外製薬)
効能・効果は、「HER2陽性の手術不能または再発乳がん」。
優先審査品目に指定されていた薬です。
米国ほか2カ国で承認済みで、欧州では承認審査中です。

トラスツズマブ エムタンシン

抗体薬物接合体

トラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)と化学療法剤であるエムタンシンが結合された抗体薬物接合体。
トラスツズマブによるHER2シグナル伝達阻害や抗体依存性細胞障害作用とともに、エムタンシンを直接HER2陽性のがん細胞の内部に送達し、がん細胞を破壊することが可能です。
3週間隔で点滴静注を行います。

ミサイル療法

抗体に化学療法剤を結合させることで、特定の細胞内だけで化学療法剤を働かすミサイル療法剤です。
トラスツズマブでは、HER2陽性であっても細胞表面に露出するHER2抗原の数が少なければ、期待するような効果を得ることができませんでしたが、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)だとその効果が上がるというデータが出ています。
また、化学療法剤(エムタンシン)はHER2抗体であるトラスツズマブが結合する細胞、つまりHER2を有する細胞のみで活性化されるので、化学療法剤由来の副作用が非常に少ないことが想像できます。

今のところセカンドラインの治療と位置付けられ、ハーセプチンで効果不十分または再燃した患者に用いるようになっていますが、ミサイル療法の効果・安全性に大きな期待が寄せられています。

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