薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
2020年11月からURLが変更となりました。(新URL https://yakuzaishi.love)
  

ページニオ・ビーリンサイト・オデフシィなど承認了承〜平成30年8月3日 薬食審 第二部会

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(ここからが記事本文になります)

厚生労働省の薬食審医薬品第二部会が平成30年8月3日に開催されました。
今回の部会では新医薬品3つの製造承認に加え、オプジーボとヤーボイの適用拡大などについて審議が行われ、すべて了承されています。
また、ハーセプチンのバイオ後続品としては2番目となるトラスツズマブBS点滴静注用「第一三共」などが報告品目に挙げられています。
(承認了承、報告品目については正式に承認されるまでは保険適応となりません)
さらにはテモダールの再発・難治性ユーイング肉腫の公知申請についても認められ、保険使用可能となっています。
  
  

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新規有効成分を含有する新医薬品

新しい有効成分を含有する2つの医薬品について審議が行われ、承認が了承されています。

ベージニオ錠

  • 医薬品名
    • ベージニオ錠50mg
    • ベージニオ錠100mg
    • ベージニオ錠150mg
  • 成分名:アベマシクリブ
  • 申請者:日本イーライリリー
  • 効能・効果:ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん
ベージニオ錠の有効成分であるアベマシクリブはサイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6*1)阻害薬に分類され、ホルモン受容体陽性の乳がんの細胞周期を調節することでがん細胞の増殖を抑制します。
すでに承認されているイブランスカプセル(成分名:パルボシクリブ)と同じ作用機序で、正式に承認されれば2剤目のCDK4/6阻害薬になります。
  

CDK4/6阻害剤アベマシクリブの作用機序

細胞は一つの細胞が二つの細胞に分裂(細胞分裂)することで増殖していきます。
細胞分裂の周期を細胞周期と言いますが、細胞周期は間期(G1期→S期→G2期)とM期に分けられます。
通常、細胞は過剰に増殖しないための自己調節を行っていますが、ホルモン受容体陽性の乳がんの場合、その調節機能が失われてしまい、がん細胞が増殖していしまいます。
  
細胞周期を回転させるために必要な転写因子の一つがE2Fです。
細胞休止期において、E2Fはがん抑制因子であるpRBが結合することで抑制されています。
ホルモン受容体陽性の乳がんでは、E2Fが常に活性化している状態になってしまうため、がん細胞が増殖を続けてしまいます。
ホルモン受容体陽性とはエストロゲン受容体(ER*2)陽性のことを指しますが、ER陽性のがん細胞がエストロゲンと結合するとサイクリンDという物質が合成されます。
このサイクリンDとCDK4/6という酵素が複合体を形成した結果、E2FとpRBの結合が切られてしまい、E2Fが活性化、細胞周期が回転し続ける状態になってしまいます。
  
ベージニオ錠の有効成分であるアベマシクリブはCDK4/6を選択的に阻害することで、ER陽性の乳がんの過剰な増殖を抑制します。
  
  

ビーリンサイト点滴静注

  • 医薬品名:ビーリンサイト点滴静注用35μg
  • 成分名:ブリナツモマブ(遺伝子組換え)
  • 申請者:アステラス・アムジェン・バイオファーマ
  • 効能・効果:再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病
ビーリンサイト点滴静注の有効成分であるブリナツモマブは二重特異性T細胞誘導(BiTE*3)抗体に分類されます。
  

BiTE®抗体ブリナツモマブの作用機序

BiTE®抗体とは標的細胞とT細胞の二種類に対して特異性を有するように作られた抗体で、それぞれに結合することで標的細胞とT細胞を近くに誘導します。
その結果、T細胞本来の働きにより標的細胞の細胞自己死(アポトーシス)が誘導されます。
  
ブリナツモマブはT細胞表面に発現するCD3とB細胞表面に発現するCD19に対して特異性を持つBiTE®抗体であるため、B細胞性急性リンパ性白血病に対して抗がん作用を発揮します。
  
  

既存の有効成分を用いた新医薬品

今回の部会ではオデフシィ配合錠が審議され、了承されていますが、この医薬品の有効成分は全て他の薬剤として承認されている有効成分です。
  

オデフシィ配合錠

平成30年8月21付で承認されました。
抗HIV薬「オデフシィ®配合錠」の製造販売承認を取得
  • 医薬品名
    • オデフシィ配合錠
  • 成分名:リルピビリン塩酸塩/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩
  • 申請者:ヤンセンファーマ
  • 効能・効果:HIV-1感染症
  • 用法・用量:通常、成人および12歳以上かつ体重35kg以上の小児には、1回1錠(リルピビリンとして25mg、テノホビル アラフェナミドとして25mgおよびエムトリシタビンとして200mgを含有)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。
HIV-1感染症に対して使用される配合剤で1日1回1錠の服用で治療を行うことが可能です。
  

服用が容易でより安全に治療を行えるHIV-1感染症治療配合薬

オデフシィ配合錠の有効成分は全て他のHIV-1感染症治療薬で使用されているものです。
  
リルピビリン(RPV*4)は非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI*5)で、

  • エジュラント錠25mg(リルピビリン25mg)
  • コムプレラ配合錠(リルピビリン塩酸塩25mg/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩245mg/エムトリシタビン200mg)

としてすでに承認されています。
※リルピビリン塩酸塩:リルピビリンとしての量を記載
※テノホビルジソプロキシルフマル酸塩:テノホビルジソプロキシルとしての量を記載
  
エムトリシタビン(FTC)は核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI*6)で、

  • エムトリバカプセル200mg(エムトリシタビン200mg)
  • ツルバダ配合錠(エムトリシタビン200mg/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩245mg)
  • スタリビルド配合錠(エルビテグラビル150mg/コビシスタット150mg/エムトリシタビン200mg/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩245mg)
  • コムプレラ配合錠(リルピビリン塩酸塩25mg/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩245mg/エムトリシタビン200mg)
  • ゲンボイヤ配合錠(エルビテグラビル150mg/コビシスタット150mg/エムトリシタビン200mg/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩10mg)
  • デシコビ配合錠(エムトリシタビン200mg/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩25mg)

としてすでに承認されています。
※リルピビリン塩酸塩:リルピビリンとしての量を記載
※テノホビルジソプロキシルフマル酸塩:テノホビルジソプロキシルとしての量を記載
※テノホビルアラフェナミドフマル酸塩:テノホビルアラフェナミドとしての量を記載
  
最後にテノホビルアラフェナミドフマル酸塩(TAF*7)ですが、これもNRTIになります。
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF*8)と同様にテノホビルのプロドラッグですが、TDFと比較してTAFは感染細胞に取り込まれやすくなっており、TDFよりもはるかに少ない量で効果を発揮することができるため、製剤の大きさを小さくすることが可能です。
また、体内への暴露量を減らすことにより、副作用の頻度も低下します。
元々、B型肝炎治療薬として単剤で承認された成分です。

  • ベムリディ錠25mg(HBV感染症治療薬)
  • ゲンボイヤ配合錠(エルビテグラビル150mg/コビシスタット150mg/エムトリシタビン200mg/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩10mg)
  • デシコビ配合錠(エムトリシタビン200mg/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩25mg)

※テノホビルアラフェナミドフマル酸塩:テノホビルアラフェナミドとしての量を記載
  
海外で承認されている内容をみると、オデフシィ配合錠の成分量は、

  • リルピビリン塩酸塩27.5mg(リルピビリンとして25mg)
  • エムトリシタビン200mg
  • テノホビルアラフェナミドフマル酸塩28mg(テノホビルアラフェナミドとして25mg)

のようです。
つまり、コムプレラ配合錠のTDFをTAFに置き換えたものになります。
  
コムプレラ配合錠はかなり大きかった(長径:19.0mm、短径:8.5mm、厚さ:8.0mm)ので、オデフシィはHIV感染症治療配合剤の中では比較的小さいサイズになり、服薬の際の負担が軽減されるのではないかと思います。
また、TDFがTAFに変更されて投与量が減ったことにより、腎や骨に対する副作用が軽減されることが期待されます。
  
  

適応・用法・用量などの追加

今回の部会で適応の追加や新規用量、新規格が審議された医薬品についてまとめます。
全ての承認が了承されています。
  

オプジーボ点滴静注

平成30年8月21日、固定用量の追加と適応拡大については正式に承認されました。
オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注の「悪性胸膜中皮腫」と「悪性黒色腫の術後補助療法」への適応拡大、「固定用量への用法・用量」の変更、およびオプジーボとヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)点滴静注との併用療法における「腎細胞がん」への適応拡大に対する国内製造販売承認事項一部変更承認取得
  • 医薬品名
    • オプジーボ点滴静注20mg
    • オプジーボ点滴静注100mg
    • オプジーボ点滴静注240mg(新規格)
  • 成分名:ニボルマブ(遺伝子組換え)
  • 申請者:小野薬品
  • 追加される効能・効果:切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫及び悪性黒色腫
  • 追加される用法・用量:成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する
オプジーボの有効成分であるニボルマブはヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体です。
  

効能・効果の追加

以下の2つの適応追加についての承認が了承されています。

  • 悪性黒色腫術後補助療法(適応拡大)
  • 切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫

悪性黒色腫については「根治切除不能な悪性黒色腫」としての適応を取得していますが、今回正式に承認されれば、術後補助療法まで適応が拡大されることになります。
  

固定用量の追加

オプジーボは現在、体重あたりで投与用量を決めています。
今回、240mg製剤の承認が了承されましたが、それと合わせて、以下の効能・効果については1回240mgの固定用量の承認が了承されています。
(「悪性黒色腫術後補助療法」と「切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫」については報告品目としての承認了承です)

  • 悪性黒色腫(術後補助療法含む) ※今回適応変更
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
  • 根治切除不能又は転移性の腎細胞がん
  • 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
  • 再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌
  • がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌
  • 切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫 ※今回適応追加

  

根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対するイピリムマブとの併用療法の追加

これまでこの適応に対してはオプジーボ単剤のみの用法・用量しかありませんでしたが、ヤーボイ(成分名:イピリムマブ)との併用療法がの承認が了承されています。
これについては下に詳しく書きます。
  

ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体オプジーボ の作用機序

オプジーボの作用機序は過去に何回もまとめていますが、再度復習しておきます。
  
活性化された免疫細胞(T細胞やB細胞)の表面には、PD-1(Programmed cell death-1)と呼ばれる、免疫細胞のアポトーシス(細胞自己死)に拘わる分子が存在しています。
PD-1は免疫のブレーキ役(免疫チェックポイント)として免疫応答を調節しています。
また、PD-1に特異的に結合する物質(リガンド)とて発見されたのがPD-L1とPD-L2です。
PD-1にPD-L1が結合すると、免疫細胞としての反応が抑制されてしまいます。
がん細胞は自身の表面にPD-L1を発現させることで、免疫反応による攻撃を回避します。
  
オプジーボの有効成分であるニボルマブはヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体です。
ニボルマブはPD-1の細胞外領域(PD-1リガンド結合領域)に結合することで、PD-1とPD-L1の結合を阻害します。
その結果、免疫反応にかかっていたブレーキが解除され、がんを抗原とする抗原抗体反応を増強、悪性腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
  
  

ヤーボイ点滴静注

平成30年8月21日、正式に承認されました。
オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注の「悪性胸膜中皮腫」と「悪性黒色腫の術後補助療法」への適応拡大、「固定用量への用法・用量」の変更、および オプジーボとヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)点滴静注との併用療法における「腎細胞がん」への適応拡大に対する国内製造販売承認事項一部変更承認取得
  • 医薬品名
    • ヤーボイ点滴静注50mg
    • ヤーボイ点滴静注240mg(新規格)
  • 成分名:イピリムマブ(遺伝子組換え)
  • 申請者:ブリストル・マイヤーズスクイブ
  • 追加される効能・効果:根治切除不能又は転移性の腎細胞がん
ヤーボイの有効成分であるイピリムマブはヒト型抗ヒトCTLA-4抗体です。
  

新規格・新適応の追加

今回の審議で新規格であるヤーボイ点滴静注240mgの承認が了承されています。
また、それに合わせて、オプジーボの併用で、「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」に対する効能・効果の承認が了承されています。
(現在、ヤーボイ点滴静注50mgの適応は「根治切除不能な悪性黒色腫」のみで、この適応に対しては単剤・オプジーボ併用の適応を取得しています)
  

ヒト型抗ヒトCTLA-4抗体ヤーボイの作用機序

ヤーボイの作用機序を簡単に復習しておきます。
ヤーボイの有効成分であるイピリムマブはヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体です。
細胞傷害性T細胞(CTL:Cytotoxic T Lymphocyte)はがん細胞に対する免疫細胞です。
抗原提示細胞上のCD80/86分子を認識して活性化するのですが、活性化したCTLの表面に出現する細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4:Cytotoxic T Lymphocyte-Associated protein 4)が抗原提示細胞上のB7.1(CD80)及びB7.2(CD86)分子と結合することでネガティー部フィードバックが働き活性が低下してしまいます。
また、がん組織中に存在する制御性T細胞(Treg:Regulatory T cell)は抑制系サイトカインを放出し、T細胞の働きを弱めています。
  
イピリムマブはCTLA-4に結合し、抗原提示細胞上のCD80/86分子との結合を阻害します。
この働きにより、活性化T細胞のネガティブフィードバックは抑制され、腫瘍抗原特異的なT細胞の増殖・活性化が促進されます。
また、イピリムマブはTregの機能低下等の作用も持っており、この働きにより腫瘍免疫反応を亢進させます。
  
  

報告品目

報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたものです。
  

タグリッソ錠の適応拡大

平成30年8月21日付で承認されています。
アストラゼネカのタグリッソ®(オシメルチニブ)、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん1次治療の適応拡大承認を取得
タグリッソ錠 添付文書
タグリッソ錠 インタビューフォーム
  • 医薬品名
    • タグリッソ錠40m
    • タグリッソ錠80m
  • 成分名:オシメルチニブメシル酸塩
  • 申請者:アストラゼネカ
  • 変更後の効能・効果:EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん
適応拡大。
効能・効果:「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」→「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」
正式に承認されればEGFRチロシンキナーゼ阻害に対する抵抗性がない場合でも使用可能、つまり、一次治療に使用可能になります。
  

効能・効果の一部変更に伴う留意事項

今回の効能・効果の一部変更に伴い、厚生労働省から留意事項が出されています。
医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正等について(保医発0821第1号 平成30年8月21日)
過去に出されていた留意事項が以下の通り修正されています。
2 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
(2)「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について」(平成28年5月24日付け 保医発0524第1号)の記の3の(1)を次のように改める。
(1)タグリッソ錠40mg及び同80mg
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において、「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、おいて、承認された体外診断薬を用い、EGFR遺伝子変異が確認された患者に投与すること。」及び「他のEGFR チロシンキナーゼ阻害薬による治療歴を有し、病勢進行が確認されている患者では、EGFR T790M 変異が確認された患者に投与すること。」とされているので、EGFR T790M遺伝子変異陽性を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。
  

トルツ皮下注の投与間隔変更

平成30年8月21日付で承認されています。
トルツ皮下注 添付文書
トルツ皮下注 インタビューフォーム
  • 医薬品名と薬価
    • トルツ皮下注80mgシリンジ
    • トルツ皮下注80mgオートインジェクター
  • 成分名:イキセキズマブ(遺伝子組換え)
  • 申請者:日本イーライリリー
  • 効能・効果:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
  • 変更後の用法・用量:通常、成人にはイキセキズマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを皮下投与し、2週後から12週後までは1回80mgを2週間隔で皮下投与し、以降は1回80mgを4週間隔で皮下投与する。
    なお、12週時点で効果不十分な場合には、1回80mgを2週間隔で皮下投与できる。
用量変更。
効果不十分な場合、12週以降も2週間隔での皮下投与が可能に。(元々は12週以降は4週間隔投与)
  

用法・用量の一部変更に伴う留意事項

今回の用法・用量の一部変更に伴い、厚生労働省から留意事項が出されています。
医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正等について(保医発0821第1号 平成30年8月21日)
過去に出されていた留意事項が以下の通り修正されています。
2 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
(1)「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等 の一部改正等について」(平成29年11月30日付け保医発1130 第3号)の記の3を次のように改める。
3 掲示事項等告示及び特掲診療料の施設基準等の一部改正に伴う留意事項について
トルツ皮下注 80mg オートインジェクター、同皮下注 80mg シリンジ
  1. 本製剤はイキセキズマブ製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
  2. 本製剤は針付注入器一体型のキットであるので、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。
  3. 本製剤の用法・用量に「12週時点で効果不十分な場合には、1回80mgを2週間隔で皮下投与できる。」とされ、これに関連する使用上の注意に「投与開始から12週以降に2週間隔投与で治療反応が得られた場合は、4週間隔投与への変更を検討すること。」、「20週以内に治療反応が得られない場合は、本剤の治療計画の継続を慎重に再考すること。」及び「4週間隔投与への変更後に効果不十分となった患者に対する投与間隔短縮の有効性は確立していない。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。
  4. 12週以降において、2週間隔で投与する場合、2週間隔で投与することが適切と判断した理由を、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
12週以降に2週間間隔で使用する場合はレセプト摘要欄にコメントが必要となります。
  

ハーセプチンのバイオシミラー トラスツズマブBS点滴静注用「第一三共」

  • 医薬品名
    • トラスツズマブBS点滴静注用60mg「第一三共」
    • トラスツズマブBS点滴静注用150mg「第一三共」
  • 成分名:トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続2]
  • 申請者:第一三共
  • 効能・効果:
    • HER2過剰発現が確認された乳がん
    • HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん
  • 用法・用量:通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)として初回投与時には4mg/kg(体重)を、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注する。
ハーセプチンのバイオ後続品(バイオシミラー)。
トラスツズマブ後続1は日本化薬(NK)とセルトリオン・ヘルスケア・ジャパン(CTH)が販売していますが、それに続くもの(トラスツズマブ後続2)になります。
ただし、先行品とトラスツズマブ後続1、トラスツズマブ後続2ではそれぞれ適応や用法に違いがあります。
先行品と比較した場合、

  • トラスツズマブ後続1は胃がんに対しての適応のみ
  • トラスツズマブ後続2は胃がんと乳がんに適応があるが乳がんについてはA法のみ

製品名 効能・効果(用法・用量)
乳がん 胃がん
A法 B法 B法(他の抗悪性腫瘍剤との併用)
ハーセプチン
(先行品)
トラスツズマブBS点滴静注用「NK」
トラスツズマブBS点滴静注用「CTH」
(トラスツズマブ後続1)
- -
トラスツズマブBS点滴静注用「第一三共」
(トラスツズマブ後続2)
-
  

ポテリジオ点滴静注の適応拡大

平成30年8月21日に承認されました。
抗CCR4 ヒト化抗体ポテリジオ®の日本における承認事項一部変更承認取得のお知らせ
ポテリジオ点滴静注20mg 添付文書
ポテリジオ点滴静注20mg インタビューフォーム
  • 医薬品名と薬価
    • ポテリジオ点滴静注20mg
  • 成分名:モガムリズマブ(遺伝子組換え)
  • 申請者:協和発酵キリン
  • 変更後の効能・効果:再発又は難治性のCCR4陽性の皮膚T細胞性リンパ腫
  • 変更後の用法・用量:通常、成人には、モガムリズマブ(遺伝子組換え)として、1回量 1mg/kgを1週間間隔で8回5回点滴静注し、その後は2週間間隔で点滴静注する。
適応拡大。
CCR4陽性かどうかに関わらず、再発又は難治性の皮膚T細胞性リンパ腫であれば使用可能になります。
  

用法・用量の一部変更に伴う留意事項

今回の用法・用量の一部変更に伴い、厚生労働省から留意事項が出されています。
医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正等について(保医発0821第1号 平成30年8月21日)
過去に出されていた留意事項が以下の通り修正されています。
2 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
(3)「使用薬剤の薬価(薬価基準)等の一部改正について」(平成24年5月29日付け 保医発0529第1号)の記の2の(4)を次のように改める。
(4)ポテリジオ点滴静注20mg
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において、「CCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)、再発又は難治性のCCR4陽性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の場合、CCR4抗原は、フローサイトメトリー(FCM)又は免疫組織化学染色(IHC)法により検査を行い、陽性であることが確認されている患者のみに投与すること。」とされているので、CCR4陽性を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書に記入すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。
  

バリキサに小児適応とドライシロップ追加

  • 医薬品名と薬価
    • バリキサ錠450mg
    • バリキサドライシロップ5000mg
  • 成分名:バルガンシクロビル塩酸塩
  • 申請者:田辺三菱製薬
  • 効能・効果:臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制
  • 用法・用量:小児用量の追加
小児適応の取得とドライシロップの剤型追加。
ドライシロップは成人にも使用可能です。

→ 平成30年8月21日にバリキサ錠の小児適応については承認(ドライシロップは未承認)
  
  

その他

今回の部会ではその他の内容についても報告されています。
  

キュビシンの再審査期間延長

キュビシン静注用350mgについて。
小児の用法・用量を設定するための試験を行うため、再審査期間が延長されています。
キュビシン静注用350mg(成分名:ダプトマイシン)はリポペプチド系抗菌薬でMRSAに対する適応のみを取得しています。
  

テモダールに再発・難治性ユーイング肉腫の保険適応

テモダールカプセル、テモダール点滴静注ともに、「再発・難治性ユーイング肉腫」の適応追加について公知申請することが了承されました。
そのため、この時点で保険適応の対象となっています。
テモダールについては過去にまとめています。

*1:Cyclin Dependent Kinase 4/6

*2:Estrogen Receptor

*3:Bispecific T-cell Engagers

*4:RilPiVirine

*5:Non-Nucleic acid Reverse Transcriptase Inhibitor

*6:Nucleoside Analogue Reverse Transcriptase Inhibitor

*7:Tenofovir Alafenamide Fumarate

*8:Tenofovir Disoproxil Fumarate

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