薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
2020年11月からURLが変更となりました。(新URL https://yakuzaishi.love)
  

【薬食審・医薬品第一部会】潰瘍性大腸炎治療薬エンタイビオ点滴静注用など【承認了承】

平成30年6月8日、厚生労働省の医薬品食品審議会(薬食審)医薬品第一部会が開催されました。
新薬2製品の製造承認の可否、1製品の適応追加の可否について審議され、全て承認が了承されました。
前回、平成30年5月23日の第二部会で審議されたものと同じく6月下旬ごろに正式に承認される予定です。
また、報告品目として2製品の新規格・適応・用法・用量の追加が報告されました。

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ナウゼリン(ドンペリドン)の飲み薬(内服薬:錠剤・細粒・ドライシロップ)と坐剤で用量が異なる理由は?

吐き気止めとして小児から大人まで幅広く使用されているナウゼリン(成分名:ドンペリドン)ですが、錠剤・細粒・ドライシロップなど飲み薬の用量と坐薬の用量を比較してみると坐薬の方が圧倒的に用量が多くなっています。
以前、兄弟で胃腸炎になってしまったお子さんの薬を説明しているときに、お母さんから「上の子の錠剤の方がmg数が小さいんですね」と鋭い指摘を受けたことがあります。
皆さん、どのように説明していますか?

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歯科でのアモキシリン単回投与〜感染性心内膜炎(菌血症)の予防

ある日届いた一枚のFAX処方箋に薬局がざわつきました。
歯科から4歳の男の子に対して出された処方です。

処方内容

サワシリン細粒10% 7.5g
1日1回 医師の指示通り 1日分

えー!何これ!?

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メトロニダゾール含有医薬品の添付文書に肝機能障害が追加〜コケイン症候群とは?

平成30年6月5日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
その中でも、メトロニダゾール含有医薬品に追加された肝機能障害に注目してみました。
コケイン症候群の方に投与する場合について特に注意喚起を呼びかける内容になっています。
  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないことがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

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アミオダロンによる無顆粒球症など〜平成30年6月5日 添付文書改訂指示

平成30年6月5日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は7つの成分に対して改訂指示が出されています。
  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

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平成30年8月末でセルテクトが販売中止に〜経過措置は平成31年3月31日まで

平成30年5月15日、協和発酵キリンはセルテクト錠ならびにセルテクトドライシロップ(成分名:オキサトミド)の販売を中止すると発表しました。
発売中止は平成30年8月末を予定ということなので、すでに生産終了して在庫のみの販売のようですね。
経過措置は平成31年3月31日までになります。

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オプジーボ・ヤーボイの悪性黒色腫に対する併用療法など〜平成30年5月25日の承認内容

平成30年5月25日、厚生労働省は医薬品5製品について一部変更承認(一変承認)しました。
それぞれ以下のように適応が追加されます。

  • オプジーボ・ヤーボイ:悪性黒色腫に対する併用療法
  • ゼルヤンツ:潰瘍性大腸炎
  • ボトックス注:痙攣性発声障害
  • ヌーカラ皮下注:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

特に、オプジーボ・ヤーボイについては日本で初めてのがん免疫療法薬の併用療法の承認となります。

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【薬食審・医薬品第二部会】ダフクリア錠、リムパーザの適応追加など【承認了承】

平成30年5月23日、厚生労働省の医薬品食品審議会(薬食審)医薬品第二部会が開催されました。
新薬4製品の製造承認の可否、2製品の適応追加の可否について審議され、全て承認が了承されました。
6月下旬ごろに正式に承認される予定です。
また、報告品目として3製品の適応・用法・用量の追加が報告されました。
今回は簡単にまとめ、後日、一つずつ詳しくまとめてリンクしていく予定です。

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JAK阻害薬 ゼルヤンツ錠5mg(H30.5.25更新)

JAK阻害剤のゼルヤンツ錠(成分名:トファシチニブ)についてまとめます。
平成25年3月25日付で承認(適応:関節リウマチのみ)されています。
また、平成30年5月25日付で潰瘍性大腸炎に関する適応が追加されました。

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平成30年5月22日に薬価収載された医薬品一覧

2018年5月16日、厚労省の中医協・総会で新規医薬品の薬価が決定し、5月22日に薬価収載されました。
中医協 総-1-1 30.5.16新医薬品一覧表(平成30年5月22日収載予定)
今回の収載品目で気になるのは、

  • 覚せい剤原料ではないMAO-B阻害薬アジレクト錠
  • やっと薬価収載されるSPPARMα パルモディア錠
  • オキサゾリジノン系合成抗菌剤 シベクトロ錠
  • 肝機能障害・相互作用の少ない爪白癬治療薬ネイリンカプセル
  • スーグラ・ジャヌビアの合剤スージャヌ配合錠

といったところでしょうか?
薬価収載される医薬品についてできるだけ詳しくまとめてみました。

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パルモディア®の承認〜従来型フィブラートとSPPARMαの違いとは?

2017年7月3日、興和株式会社が申請を行っていた高脂血症治療剤「パルモディア錠0.1mg(成分名:ペマフィブラート)」が承認されました。
その後、なかなか薬価収載されませんでしたが、2018年5月22日に収載、6月1日に発売されました。
(平成30年4月現在、パルモディアは薬価収載されていません。3回連続薬価収載見送り、承認から半年経っても発売されないのは極めて異例です。)
2019年6月からは新医薬品に関する投与日数制限も解除されたので処方量が増えることが予想されます。
(ちなみにそのタイミングで錠剤の刻印とPTPシートのデザインが変更されました。返品できない・・・。)
このタイミングで新規のフィブラート系薬剤が登場!?
と思うかもしれませんが、ペマフィブラートは従来のフィブラート系薬剤とは異なるSPPARMα(スパームアルファ)と呼ばれる薬剤とされています。
(SPPARMα=Selective Peroxisome Proliferator-Activated Receptor Modulator α:高活性かつ高選択なPPARαモジュレーター)
今回はパルモディアが従来のフィブラート系薬剤とどう異なるかを中心にまとめてみようと思います。

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【薬食審・医薬品第二部会】ボトックス注とゼルヤンツ錠の適応追加について【承認了承】

平成30年4月27日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会が開催されました。
今回は2つの医薬品についての適応追加が審議され、承認が了承されています。

  • ボトックス注:痙攣性発声障害
  • ゼルヤンツ錠:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

簡単にまとめます。
(2剤ともに平成30年5月25日付で正式に一変承認されています)

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【後期高齢者】高齢者の医療保険について整理してみる【高齢受給者証】(修正)

(元々は平成27年1月17日に公開した記事でしたが、加筆修正を行いました)
高齢者の保険に関して後輩から質問を受けることが多いです。
たしかに慣れないうちはわかりにくいかもしれません。
特定医療費の詳しい話をまとめる前に高齢者の医療保険を中心に医療保険全般についてまとめてみようと思います。

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居宅療養管理指導費に関するQ&Aについて〜平成30年度介護報酬改定

4月を過ぎ、平成30年度の調剤報酬改定への対応もすっかり終わったところと思います。
今回の改定では介護報酬の改定も同時に行われました。
在宅を行なっている薬局は、こちらへの対応にも追われたことと思います。
今回は介護報酬版の疑義解釈とも言えるQ&Aのうち、居宅療養管理指導費に関する部分についてまとめました。
結論から言うと、「中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算」を算定する予定のない薬局にとっては、理解している内容の確認だけで、特に新しい内容ではないかもしれません。

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オゼックスによる腎性尿崩症、マリゼブ・オングリザ・ザファテックによる類天疱瘡など〜平成30年4月19日使用上の注意改訂指示

平成30年4月19日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は6つの成分に対して以下のような改訂指示が出されています。

  • トスフロキサシン(オゼックス)による腎性尿崩症
  • オマリグリプチン(マリゼブ)・サキサグリプチン(オングリザ)・トレラグリプチン(ザファテック)による類天疱瘡
  • ペムブロリズマブ(キイトルーダ)による硬化性胆管炎
  • クラドリビン(ロイスタチン)による進行性多巣性白質脳症

  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

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