薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
2020年11月からURLが変更となりました。(新URL https://yakuzaishi.love)
  

原則禁忌から禁忌に移行される項目について〜2019年7月17日改訂指示

令和1年7月17日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は令和元年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会で検討されていた原則禁忌の見直しについての改訂指示が出されています。

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フェブキソスタット 心血管リスクに関する注意喚起〜2019年7月9日改訂指示③

令和1年7月9日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は大きく分けて3つの改訂指示が出されています。
この記事では、フェブキソスタットの心血管リスクに関する改訂指示についてまとめます。
  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

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12歳未満の小児 コデイン関連製剤禁忌〜2019年7月9日改訂指示②

令和1年7月9日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は大きく分けて3つの改訂指示が出されています。
この記事では、そのうちの一つ、コデイン等を12歳未満の小児に対しては禁忌とする改訂指示についてまとめます。

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抗PD-1抗体・アレルゲンエキス製剤などの新たな副作用〜2019年7月9日改訂指示①

令和1年7月9日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は大きく分けて3つの改訂指示が出されています。
今回そのうちの一つ、新たな副作用が確認された医薬品についての改訂指示についてまとめます。
  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

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フェブキソスタット(フェブリク®︎)に対するFDAの警告について(2019年6月27日追記)

当ブログは医療従事者向けのブログですが、その中でもこの記事は特に専門家を対象とした内容となっています。
平成31年2月21日、米国FDA*1(食品医薬品局)から衝撃的な発表が行われました。
「FDA adds Boxed Warning for increased risk of death with gout medicine Uloric (febuxostat)」
簡単に訳すと「FDAは痛風治療薬 Uloric(フェブキソスタット)による死亡リスク増加についてのBoxed Warning(枠組み警告)を追加した」となります。
インパクトのあるコメントですよね。
フェブキソスタットは日本国内ではフェブリク®︎の商品名で使用されている医療用医薬品で、おそらく現在、痛風治療薬として最も多く使用されている薬剤です。
記事内に詳しくまとめますが、FDAはフェブキソスタットはアロプリノールと比較して死亡リスクを高めると結論づけています。
かなりインパクトのある情報になりますが、根拠となっている論文ではあくまでもアロプリノール服用群との比較です。
また、日本人に対して使用した場合どうなるか述べられているわけではありません。
ですので、現在服用しているフェブキソスタットの中止を推奨するものではなく、慌てて薬を変更するような話ではありません。
一般の方で気になっている方は自己判断で服用中止することがないようにしてください。
(2019.6.27追記)2019年6月26日の薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会で添付文書の改訂について議論されました。
結論としては、「重要な基本的注意」で、心血管疾患の発現を注意喚起する方針となり、特に服用する患者を限定する必要はないとの判断となっています。
近いうちに添付文書の改訂指示が出される予定です。

*1:U.S. Food & Drug Administration

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腎機能障害患者に対するメトホルミン製剤の禁忌の見直し〜2019年6月18日改訂指示

令和1年6月18日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回はメトホルミン含有製剤について添付文書の改訂指示が出されています。
これまで「中等度以上の腎機能障害」が禁忌となっていましたが、それが「重度の腎機能障害」に改められます。

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抗コリン作用を有する薬剤における禁忌「緑内障」等に係る添付文書の「使用上の注意」改訂について

2019年6月18日、厚生労働省の医薬・生活衛生局から抗コリン作用を有する薬剤に関する添付文書の改訂についての通知が出されました。
今回の通知により、医療用医薬品の添付文書から単純に「緑内障の患者」を禁忌とする記載が削除されます。
抗コリン作用による危険性が生じるのは全ての緑内障ではなく、「閉塞隅角緑内障」です。
今回の改訂により、「開放隅角緑内障」であれば抗コリン薬は禁忌から除外されることになります。

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イクセロンパッチとリバスタッチパッチの新基剤製剤(シリコン系基剤からかぶれにくい合成ゴム基剤へ変更)

(記事作成時点から時間が経過したので加筆修正を行なっています)
イクセロンパッチとリバスタッチの基剤が変更になりました。
以前から変更する変更するとMRさんから聞いていましたが、ようやく変更。
当薬局でも全ての規格が切り替わりました。
イクセロンパッチとリバスタッチパッチが一気に変更になったわけではなく、まずは6月末にイクセロンパッチの変更品が出荷開始、その後、7月にリバスタッチパッチの変更品が出荷になりました。
小野薬品のMRさんからはリバスタッチパッチが実際に納品されるのは9月ごろになるのではないか?と聞いていましたが実際そのくらいでしたね。
うちの薬局は(厄介なことに)イクセロンパッチもリバスタッチパッチも大量に処方されるので変更情報について整理しておきます。

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令和元年6月14日 新規薬価収載の医薬品一覧(後発医薬品)

2019年6月13日付の官報で後発医薬品の薬価収載が告示、2019年6月14日付で正式に薬価基準収載されました。
今回薬価収載されるのは2019年2月15日に承認されていた後発医薬品がメインですが、薬価収載を見送ったものもあるようです。
注目されるのは、今回初めてジェネリック医薬品が登場するブロナンセリン(先発医薬品名:ロナセン)、トラチモ配合点眼液(トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩、先発医薬品名:デュオトラバ) 、モメタゾン点鼻液(先発医薬品名:ナゾネックス)じゃないかと思います。
エベロリムスAF(先発医薬品名:アフィニトール)、エベロリムスCE(先発医薬品名:サーティカン)、オロパタジン点眼液(先発医薬品名:パタノール)、ブデホル吸入粉末剤(ブデゾニド・ホルメテロール、先発医薬品名:シムビコート)、テリパラチド皮下注用56.5μg「旭化成」(先発医薬品名:テリボン注)、ボルテゾミブ注射用3mg「DSEP」(先発医薬品名:ベルケイド)の薬価収載は見送られたようです。

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ゾフルーザによるショック・アナフィラキシーなど〜2019年6月4日改訂指示

令和1年6月4日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は大きく分けて4つの副作用について、それぞれ添付文書の改訂指示が出されています。
  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

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イノラス配合経腸用液の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【他の半消化態栄養剤との違いを比較】

2019年6月6日(令和元年6月6日)、イノラス配合経腸用液が発売されました。
イノラス配合経腸用液は2019年3月26日に製造承認を取得、2019年5月22日に薬価収載されていました。
エンシュア・リキッドやエンシュア・H、ラコールNF配合経腸用液、エネーボ配合経腸用液と同じ半消化態栄養剤に分類されるものです。
大塚としてはラコールに続く商品となり、微量元素等を含む点ではアボットで言えばエネーボに近いポジションになるのかもしれませんが、より一層、改良が加えられたものになっています。

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令和元年5月29日に薬価収載された医薬品一覧(報告品目)

2019年5月28日、報告品目として承認されていた新医薬品の薬価が官報で告示され、5月29日に薬価収載されました。
半消化態経腸栄養剤のイノラスやエンブレル2つ目のバイオ後続品 エタネルセプトBS皮下注「TY」、昨年9月に承認されていたハーセプチン3つ目のバイオ後続品 トラスツズマブBS点滴静注用「ファイザー」に加えて、レクサプロなどの新規格・新剤型の薬価が収載されました。

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ロスーゼット配合錠(エゼチミブ/ロスバスタチン)の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【スタチン+小腸コレステロールトランスポーター阻害剤】

2019年5月28日(令和元年5月28日)、ロスーゼット配合錠が発売されました。
ロスーゼット配合錠は2019年3月26日に製造承認を取得、2019年5月22日に薬価収載されました。
その名の通り、HMG-CoA還元酵素*1阻害薬のロスバスタチン(先発医薬品名:クレストール®︎)と小腸コレステロールトランスポーター阻害剤エゼチミブ(先発医薬品名:ゼチーア®︎)の配合剤です。
異なる作用機序のコレステロール低下薬を組み合わせることで1剤で効果的にLDL-C*2を下げることができる薬剤です。

*1:HydroxyMethylGlutaryl-CoA reductase

*2:Low-Density Lipoprotein-Cholesterol

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【ブルーレター】ベージニオ錠による重篤な間質性肺炎【安全性速報】

2019年5月17日、厚生労働省はベージニオ錠(一般名:アベマシクリブ)を発売する日本イーライリリーに対して「安全性速報(ブルーレター)」により注意喚起を行うよう指示しました。
ベージニオ錠の投与後に重篤な間質性肺疾患を発現、死亡に至った症例が報告されたことを踏まえたもので、同時に、添付文書の警告欄の追記するように改訂指示も出されています。
安全性速報(ブルーレター)が出されるのは2015年2月4日のラミクタール錠(一般名:ラモトリギン)による重篤な皮膚障害に関する注意喚起以来、4年ぶりになります。
  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

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令和元年5月22日に薬価収載された医薬品一覧

令和元年5月15日、厚労省の中医協・総会で新規医薬品の薬価が決定しました。
5月21日付で官報が告示され、5月22日に薬価収載される予定です。
また、再生医療等製品として承認されたキムリア点滴静注の薬価も収載されます。
キムリア点滴静注の薬価は約3,300万円・・・!!
ちなみに、キムリアと同時に承認されたコラテジェンの薬価収載は今回は見送られたようです。
鉄乏性貧血治療薬のフェインジェクト(カルボキシマルトース第二鉄)も収載見送りですね。

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