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薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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リゾチーム製剤の慢性副鼻腔炎適応削除~消炎酵素製剤の承認取り消しの流れ

平成27年12月2日、あすか製薬、エーザイ、サンノーバ、シオエ製薬、日本新薬の各社は、平成27年5月29日に行った承認申請が、平成27年12月11日ごろに、予定通り承認される見込みであることを公表しました。
これにより、アクディーム/ノイチーム/レフトーゼ(成分名:リゾチーム塩酸塩)の効能・効果から「慢性副鼻腔炎」に関する部分が削除となります。
このことについては日薬ニュースでも案内されていたので、皆さんご存知かと思います。
なので、今回は、消炎酵素剤に関するここ数年の流れについてまとめてみたいと思います。
  
  

はじまりはダーゼンから

ダーゼンの製造中止(2011年2月21日)

平成23年1月19日に開催された厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品再評価部会において、消炎酵素剤ダーゼン(成分名:セラペプターゼ/武田薬品工業)の臨床試験の結果が報告されました。
その内容は、プラセボと有効性を比較した結果、有意差はなし。
承認を取り消すかどうかの議論が行われました。
  
これを受けて、平成23年2月21日、武田薬品工業はダーゼンの「有効性を証明するための再試験の実施が困難」と判断し、製造中止ならびに自主回収を行うことを発表しました。
消炎酵素製剤「ダーゼン®」の自主回収について(2011年02月21日 武田薬品工業株式会社)
その後、平成24年3月31日を持って経過措置終了、承認取消となっています。
  

ダーゼン
  • 商品名:ダーゼン錠5mg、ダーゼン錠10mg、ダーゼン顆粒1%
  • 成分名:セラペプターゼ
  • 効能・効果:次の疾患、症状の腫脹の緩解「手術後及び外傷後、慢性副鼻腔炎、乳汁うっ滞(乳房マッサージ及び搾乳を行っている場合)」、痰の切れが悪く、喀出回数の多い下記疾患の喀痰出困難「気管支炎、肺結核、気管支喘息」、麻酔後の喀痰喀出困難

10mg錠はピンク色の錠剤でしたね。
  
  

ダーゼンにつづきそのジェネリックも製造中止に

平成23年2月22日、前日に発表されたダーゼンの件を受け、セラペプターゼのGE品を製造している各社も製造中止を発表しました。

  • イルザイム錠5mg、イルザイム錠10(日医工)
  • オムゼン錠(大洋薬品工業)
  • シマターゼ錠5mg(ニプロファーマ)
  • セラペプターゼ錠5mg「タイヨー」、セラペプターゼ錠10mg「タイヨー」(大洋薬品工業)
  • セラペプターゼ錠10mg「タナベ」(田辺製薬販売)
  • ニコラーゼ錠5mg、ニコラーゼ10mg錠(沢井製薬)
  • バザロイン錠5mg、バザロイン10mg(東和薬品)
  • ヒシターゼ錠10mg(ニプロファーマ)

  
  

ダーゼンに有効性なしの結果は多剤にも波及

キモタブ製造中止(2011年7月)

平成23年7月、持田製薬はキモタブ(成分名:ブロメライン)の主原料の入手が困難になったことを理由に製造中止を発表しました。
経過措置期間は平成24年3月まで。
キモタブ製造・販売中止のご案内(2011年7月 持田製薬株式会社)
  

キモタブS錠
  • 商品名:キモタブS錠4万単位
  • 成分名:ブロメライン
  • 効能・効果:手術後及び外傷後の腫脹の緩解、痰の切れが悪く,喀出回数の多い下記疾患の喀痰喀出困難「慢性気管支炎、気管支喘息」

  

キモタブ配合錠
  • 商品名:キモタブ配合錠
  • 成分名:ブロメライン、結晶トリプシン
  • 効能・効果:次の疾患・症候における腫脹の緩解「手術後及び外傷後、乳汁うっ滞(乳房マッサージ及び搾乳を行っている場合)」

    
  

ゼオエース製造中止(2011年9月)

さらに平成23年9月、三和化学研究所は、有効性の検証等が難しいことを理由に、ゼオエース(成分名:セミアルカリプロティナーゼ)の販売中止を発表しました。
ゼオエース錠15㎎ 販売中止のお知らせ(2011年9月 三和科学研究所)
経過措置期間は平成24年3月まで。
  

ゼオエース
  • 商品名:ゼオエース錠15mg
  • 成分名:セミアルカリプロティナーゼ
  • 効能・効果:手術後及び外傷後の腫脹の緩解、痰の切れが悪く,喀出回数の多い下記疾患の喀痰喀出困難「気管支炎、気管支拡張症、気管支喘息、肺結核」

  
  

リゾチーム塩酸塩製剤の適応削除

歯科適応・術後適応の取消(2012年1月20日)

自体は塩化リゾチーム製剤にまで波及します。
平成23年12月21日、リゾチーム塩酸塩製剤を発売している各社は、有効性の証明は困難と判断し、適応症削除の申請を行いました。
その結果、平成24年1月20日に適応から削除されたのは、

  • 歯槽膿漏症(炎症型)
  • 小手術時の術中術後出血(歯科、泌尿器科領域)

の二つです。
アクディーム リゾチーム塩酸塩製剤「アクディーム」に関する承認事項の一部変更承認申請に関するお知らせ(2011年12月 あすか製薬株式会社)
卵白リゾチーム製剤「ノイチーム®」に関する承認事項の一部変更申請について(2011年12月21日 エーザイ株式会社)
リゾチーム塩酸塩製剤「レフトーゼ®」に関する承認事項の一部変更申請について(2011年12月21日 シオエ製薬株式会社)
「レフトーゼシロップ0.5%」効能・効果および用法・用量改訂のお知らせ(2012年1月23日 シオエ製薬株式会社)
  
  

リゾチーム塩酸塩製剤とプロナーゼ製剤についての再評価指定(2012年12月22日)

平成23年12月22日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品再評価部会は22日開かれ、武田薬品工業の「ダーゼン」の類薬の消炎酵素製剤2成分について再評価指定の可否を審議し、指定することを了承し、対象企業に対して同剤の効能・効果に関する有用性を検証するための臨床試験を実施し、2015年5月末までに再評価申請を行うよう求めました。
指定を受けたのは、

  • リゾチーム塩酸塩(商品名:アクディーム/レフトーゼ/ノイチーム等)
  • プロナーゼ(商品名:エンピナース)

です。
  
これを受け、平成23年1月20日、リゾチーム塩酸塩を取り扱っているエーザイなど5社はリゾチーム塩酸塩製剤の有効性ついて、科研製薬はプロナーゼ(エンピナース)の有効性について、再評価を受けるための臨床試験を行うと発表しました。
  
アクディーム 再評価指定に関わる対応及び「効能・効果」、「用法・用量」改訂のお知らせ(2012年1月 あすか製薬株式会社)
卵白リゾチーム製剤「ノイチーム®」に関する承認事項の一部変更申請の承認、および再評価指定について(2012年1月20日 エーザイ株式会社)
リゾチーム塩酸塩製剤「レフトーゼ®」に関する承認事項の一部変更申請の承認、および再評価指定について(2012年1月20日 シオエ製薬株式会社)
レフトーゼ錠・顆粒の「効能・効果」、「用法・用量」改訂について(2012年1月 日本新薬株式会社)
  
「エンピナース®・Pカプセル9000」及び「エンピナース®・P錠18000」の再評価指定に関するお知らせ(2012年1月20日 科研製薬株式会社)
  
  

リゾチーム塩酸塩製剤とエンピナースの再評価申請(2015年5月29日)

リゾチーム塩酸塩製剤の再評価申請

平成27年5月29日、卵白リゾチーム製剤 ノイチーム・アクディーム・レフトーゼ(一般名:リゾチーム塩酸塩)について、臨床試験の結果を受け、「気管支炎」、「気管支喘息」、「気管支拡張症」に係る適応を対象とした再評価申請、ならびに「慢性副鼻腔炎」に係る効能・効果削除の一部変更承認申請(一変申請)が行われました。
副鼻腔炎については、現在の標準治療のクラリスロマイシン療法への上乗せ効果を検討した結果、有効性を確認することができなかったため、効能・効果削除の申請となったとのことです。
  
消炎酵素製剤の有効性際評価の臨床試験結果に基づく再評価申請および承認事項の一部変更申請について

  

エンピナースの再評価申請(2015年5月29日)

同日平成27年5月29日、エンピナースについての再評価申請も行われていますが、こちらは効能・効果の削除申請は行われていないようですね。
「エンピナース®・Pカプセル9000」及び「エンピナース®・P錠18000」の再評価申請に関するお知らせ(2015年2015年05月29日 科研製薬株式会社)
  
  

リゾチーム塩酸塩製剤の慢性副鼻腔炎に係る効能・効果削除が承認される見込みに(2015年12月2日)

平成27年12月2日、塩化リゾチーム製剤を発売している各社は、慢性副鼻腔炎に係る効能・効果削除が平成27年12月11日ごろに承認される見込みであることを発表しました。
  
リゾチーム塩酸塩製剤「アクディーム®」「ノイチーム®」「レフトーゼ®」の慢性副鼻腔炎に係る効能・効果削除の承認の見込みについて

  
というのが、今回の塩化リゾチーム製剤の慢性副鼻腔炎適応削除にいたるまでの流れです。
  
  

まとめ

消炎酵素剤ですが、本当に効果があるのかどうかと言われると明確ではない薬剤ですよね。
昔はペプチドは分解されないと吸収されないと考えられていましたが、近年では、分子量にもよりますが、一部はそのままの形で吸収されることが知られています。
塩化リゾチームについても、1%程度だとは思いますがそのまま吸収されることが知られています。
ただ、消化管を通る過程でどの程度がそのままの形で残っているのか?
そこからさらにわずかが吸収されて、本当に必要な部位で効果を発揮できるものなのか?
いろいろと疑問はありますが、再評価申請に提出された臨床データでどのような結果が出たのか気になるところですね。
  

消炎酵素製剤とその適応・承認状況のまとめ

さいごに、現在までの状況を表にまとめてみたいと思います。

製造中止となったもの
  • ダーゼン(成分名:セラペプターゼ):手術後及び外傷後、乳汁うっ滞(乳房マッサージ及び搾乳を行っている場合)、慢性副鼻腔炎、気管支炎、肺結核、気管支喘息、麻酔後の喀痰喀出困難
  • キモタブS(成分名:ブロメライン):手術後及び外傷後、気管支炎、気管支喘息
  • キモタブ(成分名:ブロメライン/結晶トリプシン):手術後及び外傷後、乳汁うっ滞(乳房マッサージ及び搾乳を行っている場合)
  • ゼオエース(成分名:セミアルカリプロティナーゼ):手術後及び外傷後、気管支炎、肺結核、気管支喘息、気管支拡張症

  

現在も製造中のもの
  • アクディーム・ノイチーム・レフトーゼ(成分名:リゾチーム塩酸塩)

 適応:気管支炎、気管支喘息、気管支拡張症
 適応削除の見込み:慢性副鼻腔炎
 適応削除:歯槽膿漏症(炎症型)、小手術時の術中術後出血(歯科、泌尿器科領域)

  • エンピナース(成分名:プロナーゼ)

 適応:手術後及び外傷後、気管支炎、肺結核、気管支喘息、気管支拡張症

消炎酵素についての年表

  • 2011.1.19:再評価部会でダーゼンに有効性なしと報告
  • 2011.2.21:ダーゼン製造中止
  • 2011.2.22:セラセプターゼ製剤製造中止
  • 2011.7:キモタブ製造中止
  • 2011.9:ゼオエース製造中止
  • 2012.1.20:リゾチーム製剤から歯槽膿漏・小手術時後出血
  • 2015.5.29:リゾチーム製剤とエンピナースの再評価申請(リゾチーム製剤は副鼻腔炎の取下げ)
  • 2015.12.11:リゾチーム製剤から慢性副鼻腔炎に関する適応削除