薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

エネーボ配合経腸用液

平成26年2月24日の厚生労働省薬食審第一部会の承認了承品目に目を見張るものが!
アボットから新規経腸栄養剤の登場です。
少し前にラコールの半固形剤が承認されていましたが、
ラコールNF配合経腸用半固形剤 - 薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~
まったく新しいものが登場するとは思っていませんでしたね。
  
  

  

エネーボの特徴

登場するのが意外と思うくらいですから、これまで通りの経腸栄養剤だと承認されるわけがないんです。
じゃあ、何が今までの径腸栄養剤と異なるのでしょうか?
  
  

微量元素を含む経腸栄養剤

経腸栄養剤が販売開始されて以降、栄養学はどんどん発展していきました。
特に経腸栄養剤投与の対象になりやすい、高齢者や寝たきりの患者さんにおいて微量元素の接種が重要であることなどがわかってきています。
エネーボは現在の推奨栄養所要量に沿った組成になっており、これまでの経腸栄養剤で十分補給できなかった微量元素のクロム、モリブデン、セレンに加えて、腸内環境を整えるフラクトオリゴ糖、脂質代謝を助けるタウリン、L-カルニチンなども含んでいることが特徴です。(平成26年4月18日修正)
  
  

経腸栄養剤の問題点

従来の食事と異なり、経腸栄養剤では、毎日同じ比率の栄養素がほぼ同じ量だけ入ってくることになります。
そのため、使用している栄養剤により、栄養素が不足してきます。
特に微量元素やビタミンの不足が問題になります。
それにより、白血球減少、貧血、不整脈、褥瘡の悪化・難治など様々な問題が引き起こされる場合があります。
  
  

エネーボへの期待

栄養バランスを改善しているということで、微量元素やビタミン等の不足が起こりにくくなっているはずです。
経腸栄養剤だけでは足りないものを補充する必要性が減るので、介護現場などでの負担の源にもつながりそうですね。
  
  

経腸栄養剤の分類

半消化態

窒素源がタンパク質のままで保たれているものを半消化態と言い、吸収に際しては消化が必要となります。
炭水化物、タンパク質、脂肪、食物繊維、ビタミンが接種可能です。
エンシュア・リキッド、エンシュア・H、ラコールNF配合経腸用液がこれに当てはまります。
消化管機能が保たれている人でないと吸収できませんが、浸透圧がそれほど高くないので下痢を起こしにくいですし、味も悪くはないです。(他の経腸栄養剤と比較して)
  
  

消化態

窒素源が分解され低分子ペプチドとアミノ酸の混合状態になっているものです。
低分子ペプチドはそのまま小腸から吸収される経路がありますし、少しの消化でアミノ酸単位まで分解され、吸収されます。
消化しにくいため、消化管に負担をかける食物繊維は含まれません。
ツインラインNF経腸用液やアミノレバンEN(肝不全用)が当てはまります。
浸透圧が高く、味はよくないですが、タンパク質を含まないため、凝固にってチューブが詰まるなどの問題が起こりにくというメリットがあります。
  
  

成分栄養剤

窒素源がアミノ酸なので消化機能が低下していても吸収しやすいです。
食物繊維や脂肪は含まれません。
エレンタールが代表例です。
消化態と同じく、浸透圧が高く、味はよくないですが、タンパク質を含まないため、凝固にってチューブが詰まるなどの問題が起こりにくというメリットがあります。
  
じゃあ、エネーボはどれに当てはまるんでしょう・・・?
あれ?
承認内容を見ても記載がないですね。
  
エネーボは半消化態です。(平成26年4月18日追記)
  

治療薬マニュアル 2014

治療薬マニュアル 2014

  
  

エネーボの承認内容

効能・効果

「一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経目的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。」

これは他の経腸栄養剤と同じですね。
  
  

用法・用量

「標準量として成人には1日1,000~1,667 mL(1,200~ 2,000kcal)を経管又は経口投与する。1mL当たり1.2kcalである。
なお、年齢、症状により適宜増減する。経管投与では本剤を1時間に75~125mLの速度で持続的又は1日数回に分けて投与する。経口摂取可能な場合は1日1回又は数回に分けて経口投与することもできる。ただし、初期量は標準量の 1/5~1/3量とし、低速度 (約41.7mL/時間以下)で 投与する。以後は患者の状態により徐々に増量し標準量とする。なお、年齢、体重、症状により投与量、投与濃度、投与速度を適宜増減する。」

経管投与の初期量・速度の記載があることからもエネーボが半消化態とわかりますね。
ちなみに味はバニラ味のみのようです。
カロリーについては、エンシュアリキッドが250kcal/250mL、エンシュアHが375kcal/250mLに対し、エネーボが300kcal/250mLなのでちょうど中間ですね。
(平成26年4月18日追記•修正)
  
  

まとめ

にしても、ラコールNF配合経腸用半固形剤といい、ここに来て、経腸栄養剤が続けて承認されるとは思ってませんでした。
  
経腸栄養剤の選択に関しては薬剤師から医師に提案できることも多いと思いますので、これを機会にしっかりとそれぞれの特徴を復習しておきたいですね!