薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

ミネブロ錠〜選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬 セララとの違いは?

勉強法で悩んでいる薬剤師の方へ

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1つはすぐに活用できる知識。現在の業務の中で必要とされる知識です。身に付けたらすぐに活用することができるので仕事に活かすことができますし、忘れることもありません。

もう1つはすぐには活用できない知識です。身に付けてもすぐに使う知識ではないのないので、だんだんと記憶から薄れてしまいます。ただし、この知識こそが薬剤師としての基礎的な力になります。

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(ここからが記事本文になります)

2019年1月8日付で13製品22品目の新薬が承認されています。
今回の記事ではそのうちの一つ、ミネブロ錠(成分名:エサキセレノン)についてまとめたいと思います。
ミネブロ錠は 2019年2月26日に薬価収載され、2019年5月13日に発売されました。
  
  

  
  

ミネブロ錠

ミネブロ錠は選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA*1)です。
ミネラルコルチコイド受容体(MR*2)と言われると「?」と思う方もいるかもしれませんが、要はアルドステロン受容体のことです。
置き換えて考えると選択的アルドステロンブロッカー・・・、つまりセララ(成分名:エプレレノン)と同じですね。
  

選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

ミネブロ錠の成分であるエサキセレノンは選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬です。
要はレニン-アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS*3)の最終産物であるアルドステロンの働きを阻害することで降圧作用を発揮する薬剤です。
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レニン-アンジオテンシン・アルドステロン系
MRに対する選択性の違いはありますが、アルドステロンブロッカーであるセララ(成分名:エプレレノン)や広く言えばカリウム保持性利尿薬であるアルダクトンA(成分名:スピロノラクトン)と同じ作用機序になります。
  
アルドステロンは腎臓の尿細管(集合管)のMRに結合することで、尿中のNa+の再吸収とK+の排泄を促進し血圧を上昇させます。
MRAであるエサキセレノンはMRへのアルドステロンの結合に拮抗し、尿中Na+の再吸収を抑制、降圧作用を発揮します。
  
MRは血管平滑筋のにも存在し、そこでアルドステロンが作用することで酸化ストレスの亢進を引き起こし、血管抵抗性を増大させることで血圧が上昇するという報告もありますが、エサキセレノンはあくまでも集合管のMRに作用することで効果を発揮するようです。
  

ポイントは選択性の違いとステロイド骨格の有無

エサキセレノンはエプレレノンやスピロノラクトンと何が違うのか?と言われると2つあります。
  
まず1つめはミネラルコルチコイド受容体への選択性です。
スピロノラクトンと比較して、エサキセレノンやエプレレノンはミネラルコルチコイド受容体への選択性が高くなっています。
それに対してスピロノラクトンは選択性が低いがために、性ホルモン受容体まで遮断してしまいます。
その結果、起きるのが女性化乳房、乳房腫脹、性欲減退、陰萎などの副作用です。
  
2つめは構造です。
エプレレノンやスピロノラクトンはステロイド骨格に類似した構造を持っており、そのことが性ホルモン受容体への作用に繋がっています。
今回承認されたエサキセレノンはステロイド骨格を有しておらず、その結果、エプレレノンよりさらにMRへの選択性が高くなっていることが期待されます。
その選択性の高さがあるため、セララと同じアルドステロン受容体拮抗薬ではなく、選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬と呼ばれる薬剤ということです。
  

ミネラルコルチコイド受容体への選択性

ミネブロ錠のインタビューフォームには以下のように記載されています。
VI.薬効薬理に関する項目
2.薬理作用
(2)薬効を裏付ける試験成績
1)受容体結合の選択性
エサキセレノンは、ラット及びヒトのMRに結合しアルドステロンの結合及び受容体活性化を阻害した。一方でグルココルチコイド受容体等、他のステロイドホルモン受容体に対する親和性を示さず、それぞれの特異的リガンドによる受容体活性化を阻害しなかった。また MRを含むすべてのステロイドホルモン受容体に対する活性化能は認められなかった。
引用元:ミネブロ錠 インタビューフォーム
  

ラットMRに対する結合性

また、アルドステロン・スピロノラクトン(アルダクトン)・エプレレノン(セララ)とのMRの50%阻害濃度(IC50)についても比較(ラット)されており、エサキセレノン(ミネブロ)が最も親和性が高いことが示されています。

  • エサキセレノン:9.43×10−9M
  • スピロノラクトン:3.57×10−8M
  • エプレレノン:7.13×10−7M
  • アルドステロン:4.08×10−9M

アルドステロンに匹敵する親和性を持つのはエサキセレノン(ミネブロ)だけなんですね。
セララは意外と親和性低いんだなあ・・・。
  

ラット及びウサギの各種ステロイドホルモン受容体に対する結合性

ラットとウサギの各種ステロイドホルモン受容体に対する結合性についても検討されています。
VI.薬効薬理に関する項目
2.薬理作用
(2)薬効を裏付ける試験成績
1)受容体結合の選択性
③ラット及びウサギの各種ステロイドホルモン受容体に対する結合性(in vitro)
エサキセレノンは1×10−5Mまでアンドロゲン受容体(AR)、グルココルチコイド受容体(GR)及びプロゲステロン受容体(PR)に対する拮抗作用を示さなかった。
引用元:ミネブロ錠 インタビューフォーム
スピロノラクトンはAR・GR・PRに対する親和性を持ち、エプレレノンはAR・PRに対する親和性はありませんが、GRに対しては親和性を持っているようです。
  
ミネブロと他剤のMR受容体に対する選択性
MRおよび他のステロイドホルモン受容体に対する結合性(in vitro)のデータ*4は以下のようになっています。

  • MR画分:雄性ラット腎臓
  • GR画分:雄性ラット肝臓
  • AR画分:雄性ラット前立腺
  • PR画分:ウサギ子宮

試験化合物 IC50(nM)
MR GR AR PR
エサキセレノン 9.4 >10,000 >10,000 >10,000
スピロノラクトン 36 764 133 1,200
エプレレノン 713 3,060 >100,000 >100,000
ミネブロは他のステロイドホルモン受容体と比較してMR選択性が1000倍以上になっていることがわかると思います。
  
  

ミネブロ錠の医薬品的特徴

ここからはセララと比較する形でミネブロ錠の特徴についてまとめていきたいと思います
  • 医薬品名:
    • ミネブロ錠1.25mg
    • ミネブロ錠2.5mg
    • ミネブロ錠5mg
  • 有効成分:エサキセレノン
  • 申請者:第一三共
  • 効能・効果:高血圧症
  • 用法・用量:通常、成人にはエサキセレノンとして2.5mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合は、5mgまで増量することができる。
  

腎機能低下時でも比較的使いやすい

ミネブロ錠の禁忌は以下のように記載されています。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 高カリウム血症の患者もしくは本剤投与開始時に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えている患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある。]
  3. 重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m 2未満)のある患者[高カリウム血症を誘発させるおそれがある。臨床試験における投与経験はない。]
  4. カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、トリアムテレン、カンレノ酸カリウム)、アルドステロン拮抗剤(エプレレノン)又はカリウム製剤(塩化カリウム、グルコン酸カリウム、アスパラギン酸カリウム、ヨウ化カリウム、酢酸カリウム)を投与中の患者
引用元:ミネブロ錠 添付文書
  
セララの場合は適応によって禁忌が異なる(慢性心不全の場合は禁忌が減る)のですが、高血圧症のみ比較してみます。
ミネブロに記載されている内容はセララにも記載されており、そこに以下の項目が加わる形です。
(重度の腎機能障害の数値がeGFRかCcrかの違いはありますが)

  • 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスCの肝硬変に相当)のある患者[高カリウム血症等の電解質異常が発現するおそれがある。]
  • イトラコナゾール、リトナビル及びネルフィナビルを投与中の患者
  • 微量アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者[高カリウム血症を誘発させるおそれがある。]
  • 中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス50mL/分未満)のある患者[高カリウム血症を誘発させるおそれがある。]
引用元:セララ錠 添付文書
セララの場合、肝機能障害、併用禁忌が加わる上に、腎機能障害に対する制限が厳しいのがわかります。
  
では、アルダクトンの場合はどうでしょうか?
アルダクトンの場合、ミネブロ・セララと比較してMRに対する選択性が低く効果が劣るため、禁忌の内容が大きく異なります。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
  1. 無尿又は急性腎不全の患者[腎機能を更に悪化させるおそれがある。また、腎からのカリウム排泄が低下しているため高カリウム血症を誘発又は増悪させるおそれがある。]
  2. 高カリウム血症の患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある。]
  3. アジソン病の患者[アジソン病ではアルドステロン分泌低下により、カリウム排泄障害を来しているので、高カリウム血症となるおそれがある。]
  4. タクロリムス、エプレレノン又はミトタンを投与中の患者
  5. 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
引用元:アルダクトンA 添付文書
今後、併用禁忌にエサキセレノンが加わることになるでしょうね。
  

ミネブロとセララの慎重投与を比較

続いて慎重投与の項を比較してみます。
(アルダクトンは省略します。)
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
  • 中等度の腎機能障害のある患者
  • アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者
  • 高齢者
  • 重度の肝機能障害のある患者[血中濃度が上昇するおそれがある。臨床試験における投与経験はない。]
引用元:ミネブロ錠 添付文書
  
これに対してセララは以下の通りです。
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
高血圧症及び慢性心不全共通
  1. 軽度の腎機能障害のある患者
  2. 軽度~中等度の肝機能障害のある患者
  3. 高齢者
引用元:セララ錠 添付文書
  
以上を元にミネブロとセララ使用時の注意点を比較すると以下のようになります。
MRA 腎機能障害 肝機能障害 高K血症 K↑薬剤※ 蛋白尿(+)
の糖尿病
高齢者
重度 中等 軽度 重度 軽〜中
ミネブロ
(エサキセレノン)
- -
セララ
(エプレレノン)
※高血圧症
※K↑薬剤:カリウム製剤、カリウム保持性利尿剤、アルドステロン拮抗剤
  

それでも腎機能・血清K値には注意を!

セララと比較して腎機能に対する忍容性が高いと言っても薬剤の性質上注意は欠かせません。
より選択性が高いMRAである以上、カリウムについての注意はより重要になります。
  • 用法及び用量に関連する使用上の注意
    1. 本剤の投与中に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えた場合には減量を考慮し、5.5mEq/L以上の場合は減量ないし中止し、6.0mEq/L以上の場合には直ちに中止すること。
    2. 中等度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m 2以上60mL/min/1.73m 2未満)のある患者及びアルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者では、1.25mgを1日1回投与から開始し、血清カリウム値など患者の状態に応じて、投与開始から4週間以降を目安に2.5mgを1日1回投与へ増量する。効果不十分な場合は、5mgまで増量することができる(臨床試験で実施された血清カリウム値及びeGFRに基づく調節については「臨床成績」の項参照)。
  • 重要な基本的注意
    1. 高カリウム血症があらわれることがあるので、血清カリウム値を原則として投与開始前、投与開始後(又は用量調節後)2週以内及び約1ヵ月時点に測定し、その後も定期的に測定すること。特に、中等度の腎機能障害のある患者、アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者、高齢者、高カリウム血症を誘発しやすい薬剤を併用している患者では、高カリウム血症の発現リスクが高まるおそれがあるため、より頻回に測定すること。
    2. 降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
引用元:ミネブロ錠 添付文書
投与開始後の血清カリウム値の測定に関する記載ですが、セララ「1週間以内及び1ヵ月後」に対して、ミネブロは「2週以内及び約1ヵ月時点」となっていますね。
これ結構見逃しがちかもしれませんね、チェックしておきましょう。
  

適応は高血圧症のみ

ミネブロ錠の効能又は効果には以下のように記載されています。
【効能・効果】
高血圧症
引用元:ミネブロ錠 添付文書
  
セララやアルダクトンと比較してみましょう。
まずはセララ。
効能又は効果
  • セララ錠 25mg・50mg・100mg:高血圧症
  • セララ錠 25mg・50mg:下記の状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬、利尿薬等の基礎治療を受けている患者
    • 慢性心不全
引用元:セララ錠 添付文書
  
次にアルダクトン。
効能又は効果
  • 高血圧症(本態性、腎性等)
  • 心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、特発性浮腫、悪性腫瘍に伴う浮腫及び腹水、栄養失調性浮腫
  • 原発性アルドステロン症の診断及び症状の改善
引用元:アルダクトンA 添付文書
  
ミネブロは「高血圧症」のみが適応であることに注意が必要ですね。
  

腎機能が低下している場合は低用量から開始

ミネブロ錠の用法・用量は以下の通り。
【用法・用量】
通常、成人にはエサキセレノンとして2.5mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合は、5mgまで増量することができる。
〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
  1. 本剤の投与中に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えた場合には減量を考慮し、5.5mEq/L以上の場合は減量ないし中止し、6.0mEq/L以上の場合には直ちに中止すること。
  2. 中等度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)のある患者及びアルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者では、1.25mgを1日1回投与から開始し、血清カリウム値など患者の状態に応じて、投与開始から4週間以降を目安に2.5mgを1日1回投与へ増量する。効果不十分な場合は、5mgまで増量することができる(臨床試験で実施された血清カリウム値及びeGFRに基づく調節については「臨床成績」の項参照)。
引用元:ミネブロ錠 添付文書
中等度の腎機能障害、アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者の場合、1.25mgから開始、4週間以降を目安に2.5mgに増量するようになっています。
  
以下は復習ですね。
セララ錠の場合は適応が複数あること、ミネブロよりもCYPの影響が大きいのかけっこう複雑でした。
【用法・用量】
  • 高血圧症:通常、成人にはエプレレノンとして1日1回50mgから投与を開始し、効果不十分な場合は100mgまで増量することができる。
  • 慢性心不全:通常、成人にはエプレレノンとして1日1回25mgから投与を開始し、血清カリウム値、患者の状態に応じて、投与開始から4週間以降を目安に1日1回50mgへ増量する。ただし、中等度の腎機能障害のある患者では、1日1回隔日25mgから投与を開始し、最大用量は1日1回25mgとする。 なお、血清カリウム値、患者の状態に応じて適宜減量又は中断する。
〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
  • 高血圧症及び慢性心不全共通:CYP3A4阻害薬と併用する場合には、本剤の投与量は1日1回25mgを超えないこと。
  • 高血圧症の場合:本剤の投与中に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えた場合には減量を考慮し、5.5mEq/Lを超えた場合は減量ないし中止し、6.0mEq/L以上の場合には直ちに中止すること。
  • 慢性心不全の場合:
    1. 中等度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/分以上50mL/分未満)のある患者においては、1日1回隔日25mgから投与を開始し、血清カリウム値、患者の状態に応じて、投与開始から4週間以降を目安に1日1回25mgへ増量する。なお、最大用量は1日1回25mgとすること。
    2. 定期的に血清カリウム測定を行い、表1に従って用法・用量を調節すること。
表1 血清カリウム値による用法・用量調節
血清カリウム値 mEq/L 用法・用量調節
5.0未満 50mg1日1回の場合:維持
25mg1日1回の場合:50mg1日1回に増量
25mg隔日の場合:25mg1日1回に増量
5.0~5.4 維持
5.5~5.9 50mg1日1回の場合:25mg1日1回に減量
25mg1日1回の場合:25mg隔日に減量
25mg隔日の場合:中断
6.0以上 中断
引用元:セララ錠 添付文書
  
アルダクトンは省略します。
  

相互作用

ミネブロの有効成分であるエサキセレノンはCYP3Aによる代謝を受けます。
  

ミネブロの併用禁忌

そのため、CYP3Aを阻害したり誘導する薬剤との相互作用に注意が必要となりますが、現在のところ併用禁忌は以下の通りです。

  • カリウム保持性利尿薬
  • アルドステロン拮抗剤
  • カリウム製剤

そのほかのRAS阻害剤やすべてのCYP3Aを阻害・誘導する薬剤は併用注意となっています。
  

セララとアルダクトン(スピロノラクトン)の併用禁忌

セララの場合は適応によって併用禁忌は異なります。
  • 高血圧症の場合
    • カリウム保持性利尿薬
    • 強いCYP3A4阻害薬:イトラコナゾール(イトリゾール)、リトナビル(ノービア)、ネルフィナビル(ビラセプト)
    • カリウム製剤
  • 慢性心不全の場合
    • カリウム保持性利尿薬
    • 強いCYP3A4阻害薬:イトラコナゾール(イトリゾール)、リトナビル(ノービア)、ネルフィナビル(ビラセプト)
慢性心不全の場合はカリウム製剤は併用注意になります。
強力なCYP3A4阻害剤の一部が併用禁忌になっているあたり、エサキセレノンと比較してエプレレノンの方がCYPの影響を受けやすいんだと思います。
そのほかのRAS阻害剤や併用禁忌ではないCYP3Aを阻害・誘導する薬剤は併用注意になっています。
  
アルダクトンの併用禁忌は意外と知られていないかも?

  • タクロリムス(プログラフ)
  • エプレレノン(セララ)
  • ミトタン(オペプリム)

タクロリムス(免疫抑制剤)とミトタン(副腎皮質ホルモン合成阻害薬)が特徴的ですよね。
まだ記載されていませんが、エサキセレノン(ミネブロ)も加わるはずです。
エサキセレノンやエプレレノンでは併用禁忌になっている(他の)カリウム保持性利尿薬とカリウム製剤は併用注意になります。
  

全てのRAAS阻害剤は血清カリウム値を上昇させる

ここで当たり前のことを強調しておきたいと思います。
RA系阻害薬はミネブロやセララのようなMRAやアルダクトンのようなカリウム保持性利尿薬だけではありません。
ARBだってACE阻害剤、DRIだってRAASを阻害することで血圧を降下させる薬剤です。
RAASを阻害するということは最終的にカリウムを上昇させるということです。
当たり前のことなんですが、ここを見逃して高カリウム血症になかなか気づけなかったケースを何例もみてきました。
ARBだってAEC阻害剤だってカリウムを上昇させることは再度意識を持つ必要があります。
ミネブロとは併用注意ですが、定期的な血清カリウム値のチェックを意識するようにしましょう。
  

その他 注意すべき安全性検討事項

ミネブロ錠に係る医薬品リスク管理計画書(RMP)を元に注意すべき有害事象をまとめておきます。
  • 重要な特定されたリスク:
    • 高カリウム血症
    • 低血圧関連事象
  • 重要な潜在的リスク:腎機能障害
  • 重要な不足情報:
    • 腎機能障害患者での安全性
    • アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者での安全性
  

高カリウム血症

高カリウム血症
重要な特定されたリスクとした理由:本剤はミネラルコルチコイド受容体ブロッカーであり、副腎皮質から分泌されるホルモンで、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系でも生成されるアルドステロンのミネラルコルチコイド受容体への結合を阻害する。それにより血圧が降下するとともに尿中へのカリウム排泄促進も抑制されるため、血中のカリウム濃度が上昇し、高カリウム血症が発現する可能性が考えられる。
国内で実施された本態性高血圧症患者を対象とした第III相試験(CS3150-A-J301)及び第II相試験(CS3150-A-J203)で、血清カリウム値が高値を示した割合は以下のとおりである。
  • 血清カリウム値(5.5mEq/L以上)
    • プラセボ 投与群 N=87:1(1.1%)
    • エサキセレノン1.25mg投与群 N=83:0(0%)
    • エサキセレノン2.5mg投与群 N=415:18(4.3%)
    • エサキセレノン5mg投与群 N=426:12(2.8%)
    • 全体 N=924:30(3.2%)
  • 血清カリウム値(6.0mEq/L以上 又は 2回連続で5.5mEq/L以上)
    • プラセボ 投与群 N=87:0(0%)
    • エサキセレノン1.25mg投与群 N=83:0(0%)
    • エサキセレノン2.5mg投与群 N=415:3(0.7%)
    • エサキセレノン5mg投与群 N=426:3(0.7%)
    • 全体 N=924:6(0.6%)
高カリウム血症は類薬の添付文書において重大な副作用として注意喚起されており、また、重大な転帰に至るおそれもある。
(実際のRPMでは試験結果は表となっています)
引用元:ミネブロ錠に係る医薬品リスク管理計画書(RMP)
高カリウム血症については様々な部分で注意喚起されていますし、重大な副作用にも挙げられています。
作用機序的に起こるものなので、ミネブロと言えば・・・という話ですね。
作用機序と言えば、高カリウム血症のリスクと同時に低ナトリウム血症のリスクもあるはずなんですが、副作用には記載されていません。
臨床試験では見られなかったということなんでしょうね。
  

低血圧関連事象

低血圧関連事象
重要な特定されたリスクとした理由:本剤は降圧作用を有する薬剤であり、過度の降圧及びそれに伴う副次的事象(転倒、意識消失等)が発現する可能性が考えられる。
国内で実施された本態性高血圧症患者を対象とした第III相試験(CS3150-A-J301)及び第II相試験(CS3150-A-J203)で、低血圧関連の有害事象が0.9%(8/924例)に認められた。副次的事象(転倒、意識消失等)は認められていないものの、場合によっては重大な転帰に至るおそれがある。
引用元:ミネブロ錠に係る医薬品リスク管理計画書(RMP)
低血圧も起こって当然ですね。
副作用では1%未満のものとして記載されています。
  

腎機能障害

腎機能障害
重要な潜在的リスクとした理由:国内で実施された高血圧症患者を対象とした臨床試験で腎機能障害関連の有害事象が報告されたが、いずれも非重篤であり、処置なく回復又は軽快に至った。また、本剤の作用機序(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の阻害作用)による血行動態への影響は、推定糸球体濾過量(eGFR)の変化に関与する可能性があり、国内で実施された高血圧症を対象とした臨床試験でeGFRcreatはベースライン値よりも低値で推移したものの、概ね一定の値で推移し、投与期間を通じた持続的な低下は認められなかった。
以上より、臨床試験において、重篤な腎機能低下の懸念は示されていないものの、発現時は重大な転帰に至るおそれがあることから、重要な潜在的リスクとする。
引用元:ミネブロ錠に係る医薬品リスク管理計画書(RMP)
他のRAS阻害薬も同様ですが、服用により若干のeGFRの低下が見られます。
腎血流量の改善による腎保護作用が上回ることがほとんどだとは思いますが、リスクとしては頭に入れておかなければいけませんね。
要は他のRAS阻害剤と同じということです。
  

腎機能障害患者での安全性

腎機能障害患者での安全性
重要な不足情報とした理由:国内で実施された中等度腎機能障害を合併する高血圧症患者を対象とした第III相試験(CS3150-A-J305)及び第II相試験(CS3150-A-J206)で当該患者に対する使用経験はあるものの、症例数が限られており、情報が不足している。また、当該患者では高カリウム血症の発現リスクが高まるおそれがあり、実地医療における情報をさらに集積し評価する必要がある。
引用元:ミネブロ錠に係る医薬品リスク管理計画書(RMP)
重度の腎機能障害(eGFR30mL/min/1.73m2未満)は禁忌となっています。
中等度以下の腎機能障害でについては臨床試験で安全性が確認されてはいますが、症例数が十分とは言えません。
そのため、重度でなくても腎機能障害を有している場合は一定の注意が必要ということです。
  

アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者での安全性


重要な不足情報とした理由:国内で実施されたアルブミン尿を有する2型糖尿病を合併した高血圧症患者を対象とした第III相試験(CS3150-A-J306)で当該患者に対する使用経験はあるものの、症例数が限られており、情報が不足している。また、当該患者では高カリウム血症の発現リスクが高まるおそれがあり、実地医療における情報をさらに集積し評価する必要がある。
引用元:ミネブロ錠に係る医薬品リスク管理計画書(RMP)
これも上と同様です。
アルブミン尿を有する2型糖尿病を合併した高血圧症患者を対象とした第III相試験が実施されており、安全性が確認されていますが、症例数が十分とは言えないため、リスクとして注意が必要になります。
  
  

ミネブロの登場で高血圧治療はどうなる?

高血圧の中にはアルドステロンの産生が上昇し、ミネラルコルチコイド受容体(MR)が活性化された結果起こっているものが存在します。
具体的には、原発性アルドステロン症やアルドステロンブレイクスルーなどが想定されますが、そのようなケースに対してミネブロの効果が期待されるのではないかと思います。
これまではセララしか選択肢がありませんでしたが、セララと比較してより選択性が高く、副作用も少ないため、高血圧症に対しては積極的に使用しやすいのではないかなというのがミネブロに対する印象です。
CCBやARBに続く3番手といった位置づけでしょうか?
ARB+CTZに加えてもいい気がします。
ただ、怖いのはARBとの併用を行なった結果生じる高カリウム血症の見落としです。
おそらく、ARBとの併用例は多くなると思われるので薬剤師としてはしっかりチェックしていきたいところですね。
  

ミネブロの監査で何を考える?

実際にミネブロが処方された時に考えるべきことを整理しておきましょう。

  • アルダクトンやセララと同様の作用機序を持つが高血圧に対する適応のみ
  • 性ホルモンに対する影響は少ないので女性化乳房などの副作用は起こさない
  • 高カリウム血症と重度の腎機能障害(eGFR<30)は禁忌
  • カリウム保持性利尿薬(アルダクトン等)、アルドステロンブロッカー(セララ)、カリウム製剤は併用禁忌
  • 2.5mg 1日1回(最大5mg)
  • 中等度の腎機能障害(30≦eGFR<60)の場合は1.25mgから開始、4週以降に2.5mgに増加可能(最大5mg)
  • 投与開始前、投与後2週間以内、投与後1ヶ月でカリウム値の測定が必要
  • CYP3A4阻害剤やRAS阻害剤との併用には注意する

  
こんなところでしょうか?
ちなみにうちの薬局では2.5mgのみを採用しました。
分包した状態での保管も特に問題なさそうなので高齢者等で想定される1.25mgもひとまずは半錠で対応させてもらおうかと思います。
処方の動向を見て、増えてくるようなら他の規格も採用とする予定です。

*1:Mineralocorticoid Receptor Antagonist

*2:Mineralocorticoid Receptor

*3:Renin-Angiotensin-Aldosterone System

*4:Arai K,et al:Eur J Pharmacol 2015;761:226-234.

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