薬剤師の脳みそ

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フェブキソスタット 心血管リスクに関する注意喚起〜2019年7月9日改訂指示③

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(ここからが記事本文になります)

令和1年7月9日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は大きく分けて3つの改訂指示が出されています。
この記事では、フェブキソスタットの心血管リスクに関する改訂指示についてまとめます。
  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。
  
  

添付文書改訂指示
  
  

使用上の注意の改訂指示(令和元年7月9日)

PMDAへのリンクを貼っておきます。

  
今回、添付文書の改訂が実施されたのは以下の3種類の内容についてです。

この記事では「フェブリクの心血管疾患リスク 注意喚起」についてまとめます。
  
ちなみに、今年度からpmdaが発出する改定案の一部は旧記載要領と新記載要領の両方が掲載されるようになっています。

現時点で各医薬品が採用している記載方式に従ってまとめます。
  
  

フェブキソスタットの心血管リスクに対する注意喚起

フェブキソスタットによる心血管リスクについてはFDAが声明を出した際、それに対して厚生労働省が見解を出した際に記事にまとめています。
今回の改訂の経緯となる内容なので過去記事を参考にしてください。

  

今回の改訂に至る経緯

フェブキソスタットは2009年2月にアメリカで承認され、武田薬品がUloricの商品名で販売しています。
その承認審査の段階でプラセボまたはアロプリノール服用群と比較して、フェブキソスタット服用群では心血管イベントの発現が高い傾向が見られたため、FDAは試験を行うよう指示しました。
その指示によって実施されたのがCARES試験です。
2019年2月、FDAはCARES試験の結果、アロプリノール服用群と比較してフェブキソスタット群の方が心血管死のリスクが高かったことを踏まえ、Uloricに警告(Boxed Warning)を追加するよう指示しました。

この件を受けて、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会は2019年6月26日に検討を行いました。
フェブキソスタットの安全対策について(令和元年6月26日 令和元年度第4回安全対策調査会 資料1-1)
その結果、以下のような結論をまとめています。

  1. 本薬の位置付けを変更する必要性について
    以下の理由より、現時点で本薬の適用患者を限定する等本薬の位置付けを変更する措置は必要ないと判断する。
    • CARES試験の結果は本薬群とアロプリノール群との相対的なリスク比を示したものであり、アロプリノールは心血管系イベントを抑制するとの報告及び全死亡を低減するとの報告もあることを考慮すると、本薬自体が心血管死のリスクを高めると必ずしも解釈できないこと。
    • 一般に心血管系リスクは欧米人と比較して日本人で低いとの報告があり、また、東アジア民族において本薬群とアロプリノール群で心血管イベント及び心血管死において差が認められていないとの研究報告があることを踏まえると、アジア民族の組入れが3%であったCARES試験でのアロプリノールと本薬の心血管死のリスク差が日本人に外挿可能か否かは不明であること。
    • 本薬とアロプリノールの心血管リスク又は死亡リスクに差異はなかったとする人口ベースコホート研究が複数報告されていること。
    • CARES試験において本薬の尿酸降下作用は認められており、本薬の尿酸生成抑制薬としての有用性は否定されていないこと。
  2. 添付文書における注意喚起の必要性について
    • CARES試験の結果は一定の精度下での結果であり、また認められた事象が心血管死という重篤な事象であることを踏まえ、添付文書の「その他の注意」にて当該試験結果について情報提供するとともに、「重要な基本的注意」において予防的観点から心血管疾患の発現について注意喚起をする必要性があると判断する。
  3. 今後の対応について
    • 日本人における本薬の心血管系イベントに関する情報収集及び評価を行うために、データベース調査等を検討する。
  4. 類薬における注意喚起の必要性について
    • 本薬と同様にキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有するトピロキソスタット(効能・効果:痛風、高尿酸血症)については、審査時点で心血管死リスクの懸念が示されておらず、キサンチンオキシダーゼ阻害作用と心血管リスク発現の関係は不明であるもののCARES試験において類薬で差が認められた事象が心血管死という重篤な事象であることを踏まえ、添付文書の「その他の注意」にて当該試験結果について情報提供をする必要性があると判断する。
引用元:フェブキソスタットの安全対策について(令和元年6月26日 令和元年度第4回安全対策調査会 資料1-1)
フェブキソスタットを使用する患者を限定したり、位置付けを変更する必要はないという結論になっています。
ただし、注意喚起は行うということで、今回、添付文書の改訂が実施されたということです。
  

フェブキソスタット(フェブリク)の添付文書改訂

実際にフェブキソスタットに対して出された改訂指示についてまとめます。
  

改訂指示の内容

【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 【使用上の注意】 > 2.重要な基本的注意 に以下の内容が新設されます。
2.重要な基本的注意
(3)心血管疾患を有する痛風患者を対象とした海外臨床試験において、アロプリノール群に比較してフェブキソスタット群で心血管死の発現割合が高かったとの報告がある。本剤を投与する場合には心血管疾患の増悪や新たな発現に注意すること。
引用元:フェブリク錠 添付文書
  
また、添付文書 > 【使用上の注意】 > 9.その他の注意 に以下の内容が新設されます。
9.その他の注意
(3)海外で実施された心血管疾患を有する痛風患者を対象とした二重盲検非劣性試験において、主要評価項目(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、不安定狭心症に対する緊急血行再建術の複合エンドポイント)についてはアロプリノール群に対しフェブキソスタット群で非劣性が示されたものの、副次評価項目のうち心血管死の発現割合はフェブキソスタット群及びアロプリノール群でそれぞれ4.3%(134/3,098例)、3.2%(100/3,092例)でありフェブキソスタット群で高かった(ハザード比[95%信頼区間]: 1.34[1.03, 1.73])。心血管死の中では両群ともに心突然死が最も多かった(フェブキソスタット群2.7%(83/3,098例)、アロプリノール群1.8%(56/3,092例))。また、全死亡の発現割合についても、フェブキソスタット群及びアロプリノール群でそれぞれ7.8%(243/3,098例)、6.4%(199/3,092例)でありフェブキソスタット群で高かった(ハザード比[95%信頼区間]: 1.22[1.01, 1.47])。
引用元:フェブリク錠 添付文書
  
あくまでもアロプリノール群に比較して高かったという話で、コントロールに対して高いというわけじゃないっていうのがポイントですね。
アロプリノールからフェブキソスタットに積極的に変更しようとは思いませんが、現在服用しているのを変更する理由にはなりませんね。
  

トピロキソスタット(ウリアデック/トピロリック)の添付文書改訂

FDAの警告が出た際にトピロキソスタットはどうなの?って話が出ました。
今のところ、心血管リスクを高めるような報告はないのですが、トピロキソスタットは海外での使用実績が少ないため、あまりデータがないんですよね・・・。
それを踏まえてということなのか、トピロキソスタットに対しても改訂指示が出されています。
とは言っても内容はフェブキソスタットでこんなこと(CARES試験の結果)があったよってだけですが。
  
ウリアデック(三和化学研究所)
ウリアデック錠20mg・40mg・60mg 使用上の注意改訂のお知らせ(2019年7月9日)
ウリアデック錠 添付文書
ウリアデック錠 インタビューフォーム
  
トピロリック(富士薬品)
トピロリック錠 使用上の注意改訂のお知らせ
トピロリック錠 添付文書
トピロリック錠 インタビューフォーム
  

改訂指示の内容

【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 【使用上の注意】 > 9.その他の注意 に以下の内容が新設されます。
9.その他の注意
(3)海外で実施された心血管疾患を有する痛風患者を対象としたフェブキソスタットとアロプリノールの二重盲検非劣性試験において、主要評価項目(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、不安定狭心症に対する緊急血行再建術の複合エンドポイント)についてはアロプリノール群に対しフェブキソスタット群で非劣性が示されたものの、副次評価項目のうち心血管死の発現割合はフェブキソスタット群及びアロプリノール群でそれぞれ4.3%(134/3,098例)、3.2%(100/3,092例)でありフェブキソスタット群で高かった(ハザード比[95%信頼区間]:1.34[1.03,1.73])。心血管死の中では両群ともに心突然死が最も多かった(フェブキソスタット群2.7%(83/3,098例)、アロプリノール群1.8%(56/3,092例))。また、全死亡の発現割合についても、フェブキソスタット群及びアロプリノール群でそれぞれ7.8%(243/3,098例)、6.4%(199/3,092例)でありフェブキソスタット群で高かった(ハザード比[95%信頼区間]:1.22[1.01,1.47])。
引用元:ウリアデック錠 添付文書
  
  

まとめ

フェブキソスタットの心血管リスクに対する注意喚起についてまとめました。
2月にFDAが添付文書改訂を行ってから4ヶ月経て日本でも添付文書の改訂が行われました。
FDAが警告を行ったのに対して、日本の場合はあくまでも注意喚起です。
この温度差は何かと考えましたが、やはり医療コストに関する考えが絡んでいるのかなと思います。
米国では医療コストに対する考え方が非常にシビアです。
というか先進国の中でも日本は医療コストに対する考えが非常に緩い国だと思います。
今回の結論では、フェブキソスタット服用群の心血管リスクの上昇はあくまでもアロプリノール服用群と比較した結果で、プラセボとの有意差があったわけではないので、フェブキソスタットに制限をかける必要はないということで、日本の感覚であれば全く問題ないかと思います。
ですが、医療コストにシビアな米国の視点であれば、医療費をかけて治療を行うのであればフェブキソスタットより心血管リスクが低いとわかっている上に安価なアロプリノールを差し置いてまで、高価なフェブキソスタットを使う必要性はなんなのか?という話になるんだと思います。
  

個人的には・・・

フェブキソスタットのリスクはそこまで心配するものではないと思っています。
もちろん、リスクのことは頭に置いて、高リスクの方については慎重に様子を見る必要があるとは思いますが。
ただ、今回の件をきっかけに、もう少しアロプリノールが見直されてもいいんじゃないかなとは思います。
コスト面を含めて考えて、本当にフェブキソスタットじゃないといけないのか?
という考えは必要だと思うんですよね。
日本の医療でもそういう視点がどんどん広がっていくべきじゃないかなとは個人的に思っています。

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