薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

フローラン・抗PD-1抗体・イブランス・アレルゲンエキス製剤に新たな副作用〜2019年7月9日 添付文書改訂指示①

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(ここからが記事本文になります)

令和1年7月9日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は大きく分けて3つの改訂指示が出されています。
今回そのうちの一つ、新たな副作用が確認された医薬品についての改訂指示についてまとめます。
  
  
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使用上の注意の改訂指示(令和元年7月9日)

PMDAへのリンクを貼っておきます。

  
今回、添付文書の改訂が実施されたのは以下の3種類の内容についてです。

この記事では「新たな副作用が確認された医薬品について」まとめます。

  
ちなみに、今年度からpmdaが発出する改定案の一部は旧記載要領と新記載要領の両方が掲載されるようになっています。

これまでの記事では旧記載要領の内容でまとめていましたが、今回から現時点で各医薬品が採用している記載方式に従ってまとめていきたいと思います。
  
  

新たな副作用が確認された医薬品についての添付文書改訂指示

添付文書改訂指示が出された新たな副作用は以下の4つです。

  • エポプロステノール静注用(静注用フローラン):血小板減少
  • 抗PD-1抗体医薬品:小腸炎・腸穿孔・イレウス
  • パルボシクリブ(イブランスカプセル):間質性肺疾患
  • アレルゲンエキス製剤:服用後2時間を超えて運動又は入浴した後に発現したアナフィラキシー

  

エポプロステノール静注用(静注用フローラン)による血小板減少

静注用フローラン 使用上の注意改訂のお知らせ(2019年7月)
エポプロステノールナトリウム

  • 静注用フローラン0.5mg(添付文書IF
  • 静注用フローラン1.5mg(添付文書IF
  • エポプロステノール静注用0.5mg「各社」
  • エポプロステノール静注用1.5mg「各社」

  

改訂指示の内容

【新記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 8. 重要な基本的注意 に以下の内容が新設されます。
8. 重要な基本的注意
8.4 血小板減少があらわれることがあるので、定期的に臨床検査 を行うなど観察を十分に行うこと。
引用元:静注用フローラン 添付文書
  
添付文書 > 11. 副作用 > 11.1 重大な副作用 には以下の内容が追記されます。
11.1 重大な副作用
11.1.4 血小板減少(8.6%)
引用元:静注用フローラン 添付文書
なお、これに伴い、11.2 その他の副作用 から血小板減少(血液:10%未満)の記載が削除されています。
  

報告内容

直近3年度の国内での「血小板減少」関連症例は18例(因果関係が否定できない症例:3例)で、死亡例はありません。
国内症例の集積と、類薬において「血小板減少」が「重大な副作用」に記載されることを考慮し、改訂することが適切と判断。


ニボルマブ(遺伝子組換え)(オプジーボ点滴静注)による小腸炎・腸穿孔・イレウス

抗PD-1抗体医薬品に対する改訂指示として、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)(キイトルーダ点滴静注)にも同様の改訂指示が出されています。
  
オプジーボ点滴静注 使用上の注意改訂のお知らせ(2019年7月)
ニボルマブ(遺伝子組換え)

  

改訂指示の内容

【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 副作用 > 重大な副作用 が下線部の通り修正されます。
重大な副作用
大腸炎、小腸炎、重度の下痢:
大腸炎、小腸炎、重度の下痢があらわれることがあり、腸炎から穿孔、イレウスに至る例が報告されている。観察を十分に行い、持続する下痢、腹痛、血便等の症状があらわれた場合には、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
引用元:オプジーボ点滴静注 添付文書
なお、これに伴い、11.2 その他の副作用 から腸炎(胃腸障害:1%未満)の記載が削除されています。
  

報告内容

国内症例が集積したことから改訂することが適切と判断されました。
直近3年度の国内での関連症例の報告数はそれぞれ以下の通りです。

  • 小腸炎:7例(因果関係が否定できない症例:5例)、死亡例は2例(因果関係が否定できない症例:1例)
  • 腸穿孔:18例(因果関係が否定できない症例:4例)、死亡例は3例(因果関係が否定できない症例:0例)
  • イレウス:21例(因果関係が否定できない症例:1例)、死亡例は0例

  
  

ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)(キイトルーダ点滴静注)による小腸炎・腸穿孔・イレウス

抗PD-1抗体医薬品に対する改訂指示として、ニボルマブ(遺伝子組換え)(オプジーボ点滴静注)にも同様の改訂指示が出されています。
  
キイトルーダ点滴静注 添付文書改訂のお知らせ(2019年7月)
ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)

  

改訂指示の内容

【旧記載要領】
添付文書 > 副作用 > 重大な副作用 が下線部の通り修正されます。
重大な副作用
大腸炎、小腸炎、重度の下痢:
大腸炎、小腸炎、重度の下痢があらわれることがあり、腸炎から穿孔、イレウスに至る例が報告されている。観察を十分に行い、持続する下痢、腹痛、血便等の症状があらわれた場合には、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
引用元:キイトルーダ点滴静注 添付文書
  

報告内容

国内症例が集積したことから改訂することが適切と判断されました。
直近3年度の国内での関連症例の報告数はそれぞれ以下の通りです。

  • 小腸炎:3例(因果関係が否定できない症例:2例)、死亡例は0例
  • 腸穿孔:17例(因果関係が否定できない症例:4例)、死亡例は4例(因果関係が否定できない症例:0例)
  • イレウス:14例(因果関係が否定できない症例:1例)、死亡例は0例

  
  

パルボシクリブ(イブランスカプセル)による間質性肺疾患

イブランス 使用上の注意改訂のお知らせ(2019年7月)
パルボシクリブ

  

改訂指示の内容

【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 警告 に以下の内容が追記されます。
警告
2.間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。
引用元:イブランスカプセル 添付文書
  
添付文書 > 使用上の注意 > 1.慎重投与 に以下の内容が追記されます。
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(2)間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者[間質性肺 疾患が増悪するおそれがある。]
引用元:イブランスカプセル 添付文書
  
添付文書 > 使用上の注意 > 2.重要な基本的注意 が下線部の通り修正されます。
2.重要な基本的注意
(2)間質性肺疾患があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。また、患者に副作用について説明するとともに、間質性肺疾患の初期症状が発現した場合には、速やかに医療機関を受診するよう説明すること。
引用元:イブランスカプセル 添付文書
  
添付文書 > 副作用 > 重大な副作用 が下線部の通り修正されます。
重大な副作用
2)間質性肺疾患
間質性肺疾患があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。
引用元:イブランスカプセル 添付文書
  

報告内容

直近3年度の国内での「間質性肺疾患」関連症例は30例(因果関係が否定できない症例:14例)で、死亡例は3例(因果関係が否定できない症例:1例)。
パルボシクリブと同様にCDK4/6阻害作用を有するアベマシクリブ(ベージニオ錠)に対してブルーレターが発出、改訂指示が出されたことを受け、添付文書の改訂が検討された。
その結果、アベマシクリブ同様の注意喚起を行う必要があると判断。
  

参考資料

  

監査で活かすべきこと

重篤副作用疾患別対応マニュアル(患者・一般の方向け):間質性肺炎
この改訂を受けて監査時に反映すべき思考をまとめておきます。
ベージニオのブルーレターは記憶に新しいところです。

ブルーレターの症例にもみられるように劇症例ではかなり急激な進行を見せるので患者さん自身が初期症状に気づき、受診してもらうことが大切です。
「稀ではありますが、このお薬の影響で肺に対する副作用が起きてしまうことがあります。場合によっては急激に進行することもあるので、初期症状が見られた時点で医師や薬剤師に相談するようにしてください。具体的な症状としては、「階段を登ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる 」、「空咳が出る」、「発熱する」などです。これらの症状が急に出現したり、持続する場合はすぐに連絡してください。」
  
  

スギ花粉エキス原末(シダキュアスギ花粉舌下錠)・コナヒョウヒダニ抽出エキス及びヤケヒョウヒダニ抽出エキス(ミティキュアダニ舌下錠)による「服用後2時間を超えて運動又は入浴した後に発現したアナフィラキシー」

アレルゲンエキス製剤に対する改訂指示として、標準化スギ花粉エキス(液)(シダトレンスギ花粉舌下液)・ヤケヒョウヒダニエキス原末・コナヒョウヒダニエキス原末(アシテアダニ舌下錠)にも同様の改訂指示が出されています。
  
スギ花粉エキス原末
シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAU(添付文書IF
シダキュアスギ花粉舌下錠5,000JAU(添付文書IF
  
アレルゲンエキス(2)錠

  

改訂指示の内容

【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 使用上の注意 > 2.重要な基本的注意 が下線部の通り修正されます。
2.重要な基本的注意
(2)本剤の投与にあたっては、事前に患者等に対して次の点を十分に説明、指導すること。
2)本剤服用前、及び本剤服用後2時間は、激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避け、また、服用後2時間以降にこれらを行う場合にもアナフィラキシー等の副作用の発現に注意する。
引用元:シダキュアスギ花粉舌下錠 添付文書
  

報告内容

直近3年度の国内での「服用後2時間を超えて運動又は入浴した後に発現したアナフィラキシ ー」関連症例の報告数はそれぞれ以下の通りです。(因果関係の評価は行われていない)

  • シダキュアスギ花粉舌下錠:0例
  • ミティキュアダニ舌下錠:2例(死亡例:0例)

舌下免疫療法剤服用後 2時間以上経過してから運動をした場合にアナフィラキシーを発症した症例が報告されたため、服用後の時間経過にかかわらず激しい運動を行う際にはアナフィラキシー等に注意は必要とする旨が記載されるべきと判断。
  

監査で活かすべきこと

重篤副作用疾患別対応マニュアル(患者・一般の方向け):アナフィラキシー
この改訂を受けて監査時に反映すべき思考をまとめておきます。
これまで服用前後2時間程度のみ注意すればよかった激しい運動や入浴が服用期間全てに拡大された形です。
服用前後2時間であれば、生活リズムにもよりますが、朝服用することで多くは回避できたのですが、服用期間全てで入浴や激しい運動を避けるというのは無理があります。
そのため、入浴後や激しい運動を行なった後にアレルギー反応が強く現れる可能性について初回投与時から定期的に注意喚起しておくしかありません。
具体的な説明例を書いておきます。
「この薬に限らず舌下免疫療法を行なっている場合は薬自体によりアレルギー反応が引き起こされてしまう可能性があることに注意しておく必要があります。継続して行う治療のため、投与直後に限らず、服用期間は継続して注意が必要ですが、特に入浴直後や激しい運動を行なった際には激しいアレルギー反応(アナフィラキシー)が起きてしまう可能性があるので注意してください。初期症状としては、「皮ふのかゆみ」、「じんま疹」、「声のかすれ」、「くしゃみ」、「のどのかゆみ」、「息苦しさ」、「どうき」、「意識の混濁」などがあります。万が一に備えるため、このような症状がある場合は直ちに医師や薬剤師に相談するようにしてください。特に「息苦しい」場合は、救急車を利用して速やかに受診するようにしてください。」
  
  

標準化スギ花粉エキス(液)(シダトレンスギ花粉舌下液)・ヤケヒョウヒダニエキス原末・コナヒョウヒダニエキス原末(アシテアダニ舌下錠)による「服用後2時間を超えて運動又は入浴した後に発現したアナフィラキシー」

アレルゲンエキス製剤に対する改訂指示として、スギ花粉エキス原末(シダキュアスギ花粉舌下錠)・コナヒョウヒダニ抽出エキス及びヤケヒョウヒダニ抽出エキス(ミティキュアダニ舌下錠)にも同様の改訂指示が出されています。
  
標準化スギ花粉エキス(液)

  • シダトレンスギ花粉舌下液200JAU/mLボトル(添付文書IF
  • シダトレンスギ花粉舌下液2,000JAU/mLボトル(添付文書IF
  • シダトレンスギ花粉舌下液2,000JAU/mLパック(添付文書IF

  
アシテアダニ舌下錠 添付文書改訂のお知らせ(2019年7月)
アレルゲンエキス(1)錠

  

改訂指示の内容

【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 使用上の注意 > 2.重要な基本的注意 が下線部の通り修正されます。
2.重要な基本的注意
(2)本剤服用前、及び本剤服用後2時間は、激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避け、また、服用後2時間以降にこれらを行う場合にもアナフィラキシー等の副作用の発現に注意する。
引用元:シダトレンスギ花粉舌下液 添付文書
  

報告内容

直近3年度の国内での「服用後2時間を超えて運動又は入浴した後に発現したアナフィラキシ ー」関連症例の報告数はそれぞれ以下の通りです。(因果関係の評価は行われていない)

  • シダトレンスギ花粉舌下液:2例(死亡例:0例)
  • アシテアダニ舌下錠:0例

舌下免疫療法剤服用後 2時間以上経過してから運動をした場合にアナフィラキシーを発症した症例が報告されたため、服用後の時間経過にかかわらず激しい運動を行う際にはアナフィラキシー等に注意は必要とする旨が記載されるべきと判断。
  

監査で活かすべきこと

重篤副作用疾患別対応マニュアル(患者・一般の方向け):アナフィラキシー
この改訂を受けて監査時に反映すべき思考をまとめておきます。
これまで服用前後2時間程度のみ注意すればよかった激しい運動や入浴が服用期間全てに拡大された形です。
服用前後2時間であれば、生活リズムにもよりますが、朝服用することで多くは回避できたのですが、服用期間全てで入浴や激しい運動を避けるというのは無理があります。
そのため、入浴後や激しい運動を行なった後にアレルギー反応が強く現れる可能性について初回投与時から定期的に注意喚起しておくしかありません。
具体的な説明例を書いておきます。
「この薬に限らず舌下免疫療法を行なっている場合は薬自体によりアレルギー反応が引き起こされてしまう可能性があることに注意しておく必要があります。継続して行う治療のため、投与直後に限らず、服用期間は継続して注意が必要ですが、特に入浴直後や激しい運動を行なった際には激しいアレルギー反応(アナフィラキシー)が起きてしまう可能性があるので注意してください。初期症状としては、「皮ふのかゆみ」、「じんま疹」、「声のかすれ」、「くしゃみ」、「のどのかゆみ」、「息苦しさ」、「どうき」、「意識の混濁」などがあります。万が一に備えるため、このような症状がある場合は直ちに医師や薬剤師に相談するようにしてください。特に「息苦しい」場合は、救急車を利用して速やかに受診するようにしてください。」

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