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薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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ワーファリンとフロリードゲル経口用が併用禁忌に!スタチン系薬などに添付文書改訂指示

副作用

平成28年10月18日、厚労省医薬・生活衛生局は、新たな副作用について、医療従事者に注意を促すため添付文書を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回、一番大きい改訂は、ワーファリンとフロリードが併用禁忌になったことだと思います。
  
  

  
  

使用上の注意の改訂指示

PMDAのリンクを貼っておきます。

  
具体的な改訂指示の内容についてまとめていきます。

おくすり

  
  

ワルファリンカリウムとアゾール系抗真菌薬の併用に関する添付文書改訂

ワルファリンカリウムとミコナゾールの併用によりPT-INRが延長、重篤な出血症例が多数集積したため、併用禁忌に指定されています。
また、他のアゾール系抗真菌薬で同様の報告数は多くはないため併用禁忌の指定はありませんが、ミコナゾールが使用不可になることで使用量が増えることを踏まえて慎重投与に指定されます。
  

ワルファリンカリウムとミコナゾールが併用禁忌に

添付文書改訂の対象となる主な商品名は以下のとおりです。

  • ワルファリンカリウム
    • ワーファリン錠0.5mg
    • ワーファリン錠1mg
    • ワーファリン錠5mg
    • ワルファリン錠0.5mg
    • ワルファリン錠1mg
    • ワルファリン錠2mg
    • ワーファリン顆粒0.2%
    • ワルファリンK細粒0.2%
  • ミコナゾール
    • フロリードゲル経口用2%
    • フロリードF注200mg
    

ワルファリンカリウムの添付文書改訂内容

添付文書の「禁忌」の項に以下の内容が追記されます。

ミコナゾール(ゲル剤・注射剤)を投与中の患者

  
また、「相互作用」の「併用禁忌」の項には以下の内容が追記されます。

ミコナゾール(ゲル剤・注射剤)

  

ミコナゾールの添付文書改訂内容

添付文書の「禁忌」の項に以下の内容が追記されます。

ワルファリンカリウムを投与中の患者

  
また、「相互作用」の「併用禁忌」の項には以下の内容が追記されます。

ワルファリンカリウム

  

ワルファリンカリウムとミコナゾールによる出血関連症例の報告数

直近3年度の国内副作用症例の集積状況で、ワルファリンカリウムとミコナゾールの併用による出血関連症例は41例(うち、因果関係が否定できない症例31例、さらにそのうち2例は承認用法用量外の症例)報告されているようです。
死亡は1例ですが因果関係が否定できない症例ではなかったようです。
  
  

他のアゾール系抗真菌薬とワルファリンカリウムは慎重投与に

添付文書改訂の対象となる主な商品名は以下のとおりです。

  • ボリコナゾール
    • ブイフェンド錠50mg
    • ブイフェンド錠200mg
    • ブイフェンドドライシロップ2800mg
    • ブイフェンド200mg静注用
    • ボリコナゾール錠50mg
    • ボリコナゾール錠100mg
    • ボリコナゾール錠200mg
  • イトラコナゾール
    • イトリゾールカプセル50
    • イトラコナゾールカプセル50mg
    • イトラコナゾール錠50mg
    • イトラコナゾール錠100mg
    • イトラコナゾール錠50
    • イトラコナゾール錠100
    • イトラコナゾール錠200
    • イトリゾール内用液1%
    • イトリゾール注1%
  • フルコナゾール
    • ジフルカンカプセル50mg
    • ジフルカンカプセル100mg
    • ジフルカンドライシロップ350mg
    • ジフルカンドライシロップ1400mg
    • ジフルカン静注液50mg
    • ジフルカン静注液100mg
    • ジフルカン静注液200mg
    • フルコナゾールカプセル50mg
    • フルコナゾールカプセル100mg
    • フルコナゾール静注液50mg
    • フルコナゾール静注液100mg
    • フルコナゾール静注液200mg
    • フルコナゾール静注液0.1%「F」
    • フルコナゾール静注液0.2%「F」(50mL)
    • フルコナゾール静注液0.2%「F」(100mL)
  • ホスフルコナゾール
    • プロジフ静注液100
    • プロジフ静注液200
    • プロジフ静注液400
  

他のアゾール系抗真菌薬の添付文書改訂内容

添付文書の「慎重投与」の項に以下の内容が追記されます。

ワルファリンを投与中の患者

  
また、「重要な基本的注意」の項には以下の内容が追記されます。

本剤とワルファリンとの併用において、ワルファリンの作用が増強し、著しいINR上昇を来した症例が報告されている。本剤投与開始にあたっては、あらかじめワルファリン服用の有無を確認し、ワルファリンと併用する場合は、プロトロンビン時間測定及びトロンボテストの回数を増やすなど慎重に投与すること。

    

ワルファリンカリウムと他のアゾール系抗真菌薬の併用による出血関連症例の報告数

直近3年度の国内副作用症例の集積状況で、出血関連症例は、

  • ワルファリンカリウムとイトラコナゾール:1例(因果関係が否定できない症例はなし)、死亡1例(因果関係が否定できない症例はなし)
  • ワルファリンカリウムとフルコナゾール:3例(うち、因果関係が否定できない症例1例)、死亡0例
  • ワルファリンカリウムとホスフルコナゾール:0例
  • ワルファリンカリウムとボリコナゾール:1例(うち、因果関係が否定できない症例1例)、死亡0例

以上のように報告されているようです。
  
  

ワーファリンとアゾール系抗真菌薬の相互作用

ワーファリンは主としてCYP2C9(光学異性体のS体)で代謝され、CYP1A2、CYP3A4(光学異性体のR体)も関与していると言われています。
これに対して、アゾール系抗真菌薬はCYP3AとCYP2C9と親和性をもち、阻害すると言われています。
ですので、ワーファリンの血中濃度が上昇し、PT-INRが延長するのは当然と言えば当然です。
ワルファリンカリウムからDOAC(Direct Oral AntiCoagulant:直接経口抗凝固薬)に切り替えは進んでいますが、DOACにおいも以下の通りアゾール系抗真菌薬との併用禁忌は多いです。

  • ダビガトランエテキシラート(プラザキサ):イトラコナゾール(併用禁忌、p-糖蛋白の阻害)
  • リバーロキサバン(イグザレルト):アゾール系抗真菌薬(併用禁忌、CYP3A4とP-糖蛋白の阻害)
  • アピキサバン(エリキュース):フルコナゾール以外のアゾール系抗真菌剤(併用注意、CYP3A4とP-糖蛋白の阻害)
  • エドキサバントシル酸塩水和物(リクシアナ):イトラコナゾール等(併用注意、P-糖蛋白の阻害)

ですので、ワーファリンをDOACに切り替えれば済むという話でもなく、ワーファリンにしてもDOACにしても、服用中にアゾール系抗真菌薬を服用する場合は、薬剤を選択の上、最新の注意が必要・・・ということになりますね。
  

ワーファリン服用時のフロリードゲル経口用の代替薬は?

ワルファリンカリウムを服用中のフロリードゲル経口用(口腔カンジダ症、食道カンジダ症)の代替薬としては、アムホテリシンBシロップ(ファンギゾンシロップ等)が候補に挙げられます。
適応は「消化管におけるカンジダ異常増殖」となっているので問題ないですし、何よりアムホテリシンBは消化管から吸収されないので、相互作用の心配がありません。
  
  

スタチン系薬剤による免疫性壊死性ミオパチー

添付文書改訂の対象となる主な商品名は以下のとおりです。

  • アトルバスタチンカルシウム水和物
    • リピトール錠5mg
    • リピトール錠10mg
    • アトルバスタチン錠5mg
    • アトルバスタチン錠10mg
    • アトルバスタチン錠20mg
    • アトルバスタチンOD錠5mg
    • アトルバスタチンOD錠10mg
  • シンバスタチン
    • リポバス錠5mg
    • リポバス錠10mg
    • リポバス錠20mg
    • ラミアン錠5mg
    • ラミアン錠10mg
    • ラミアン錠20mg
    • リポザート錠5mg
    • リポザート錠10mg
    • リポザート錠20mg
    • リポバトール錠5mg
    • リポバトール錠10mg
    • リポバトール錠20mg
    • シンバスタチン錠5mg
    • シンバスタチン錠10mg
    • シンバスタチン錠20mg
  • ピタバスタチンカルシウム水和物
    • リバロ錠1mg
    • リバロ錠2mg
    • リバロ錠4mg
    • リバロOD錠1mg
    • リバロOD錠2mg
    • リバロOD錠4mg
    • ピタバスタチンCa錠1mg
    • ピタバスタチンCa錠2mg
    • ピタバスタチンCa錠4mg
    • ピタバスタチンCa・OD錠1mg
    • ピタバスタチンCa・OD錠2mg
    • ピタバスタチンCa・OD錠4mg
    • ピタバスタチンカルシウム錠1mg
    • ピタバスタチンカルシウム錠2mg
    • ピタバスタチンカルシウム錠4mg
    • ピタバスタチンカルシウムOD錠1mg
    • ピタバスタチンカルシウムOD錠2mg
  • プラバスタチンナトリウム
    • メバロチン錠5mg
    • メバロチン錠10mg
    • メバロチン細粒0.5%
    • メバロチン細粒1%
    • アルセチン錠5mg
    • アルセチン錠10mg
    • メバトルテ錠5mg
    • メバトルテ錠10mg
    • メバトルテ細粒0.5%
    • メバトルテ細粒1%
    • メバレクト錠5mg
    • メバレクト錠10mg
    • プラバスタチンNa錠5mg
    • プラバスタチンNa錠10mg
    • プラバスタチンNa塩錠5mg
    • プラバスタチンNa塩錠10mg
    • プラバスタチンナトリウム錠5mg
    • プラバスタチンナトリウム錠10mg
  • フルバスタチンナトリウム
    • ローコール錠10mg
    • ローコール錠20mg
    • ローコール錠30mg
    • フルバスタチン錠10mg
    • フルバスタチン錠20mg
    • フルバスタチン錠30mg
  • ロスバスタチンカルシウム
    • クレストール錠2.5mg
    • クレストール錠5mg
    • クレストールOD錠2.5mg
    • クレストールOD錠5mg
  • アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物
    • カデュエット配合錠1番
    • カデュエット配合錠2番
    • カデュエット配合錠3番
    • カデュエット配合錠4番
    • アマルエット配合錠1番
    • アマルエット配合錠2番
    • アマルエット配合錠3番
    • アマルエット配合錠4番
  

各スタチン系薬剤の添付文書改訂内容と症例数

添付文書の「重要な基本的注意」の項に以下の内容が追記されます。

近位筋脱力、CK(CPK)高値、炎症を伴わない筋線維の壊死、抗HMG-CoA還元酵素(HMGCR)抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある。

  
また、「副作用」の「重大な副作用」の項には以下の内容が追記されます。

免疫性壊死性ミオパチー:免疫性壊死性ミオパチーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  
直近3年度の国内副作用症例の集積状況で、免疫性壊死性ミオパチー関連症例が3例(うち、因果関係が否定できない症例2例)報告されているようです。
内訳は、アトルバスタチンカルシウム水和物で1例(因果関係否定できず)、ロスバスタチンカルシウムで2例(1例は因果関係否定できず)となっています。
  

スタチン関連自己免疫性ミオパチー

数年前からスタチンによる自己免疫性の筋炎が話題になってはいました。
通常、スタチンで生じるミオパチーやCPK(CK)の上昇は一過性のもので、スタチンを中止することで改善します。
スタチンによる重篤な副作用として横紋筋融解症がありますが、それも同様にスタチンを中止することで改善していくケースがほとんどです。
スタチンによる自己免疫性壊死性ミオパチーは、スタチンの服用により、HMG-CoAリダクターゼ(HMG-CoA還元酵素)に対する自己抗体ができてしまうことによるものとされています。
この自己抗体により筋肉の破壊が進み、筋炎の症状を起こします。
ですので、スタチンを中止しても改善することがなく、ステロイドの大量投与や免疫グロブリン等で対処するしかないようです。
横紋筋融解症よりもさらに稀なケースではありますが、スタチン中止後に数ヶ月の期間をあけて発症したケースもあるようなので、症状が当てはまる場合は、過去のスタチンの服用歴も確認する必要がありますね。
  
  

ウステキヌマブによる間質性肺炎

添付文書改訂の対象となる主な商品名は以下のとおりです。

  • ステラーラ皮下注45mgシリンジ

  

ステラーラ皮下注の添付文書改訂内容と症例数

添付文書の「副作用」の「重大な副作用」の項に以下の内容が追記されます。

間質性肺炎:間質性肺炎があらわれることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

  
直近3年度の国内副作用症例の集積状況で、間質性肺炎関連症例が16例(うち、因果関係が否定できない症例6例)報告されているようです。
死亡は1例で、因果関係が否定できない症例はなかったようです。
  
  

ニボルマブによる投与終了後の副作用、免疫性血小板減少性紫斑病、心筋炎、横紋筋融解症

添付文書改訂の対象となる主な商品名は以下のとおりです。

  • オプジーボ点滴静注20mg
  • オプジーボ点滴静注100mg

  

オプジーボ点滴静注の添付文書改訂内容と症例数

添付文書の「重要な基本的注意」の項の「過度の免疫反応に関する記載」に下線部が追記されます。

本剤のT細胞活性化作用により、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、過度の免疫反応による副作用の発現を考慮し、適切な鑑別診断を行うこと。過度の免疫反応による副作用が疑われる場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等を考慮すること。また、本剤投与終了後に重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤投与終了後も観察を十分に行うこと。

  
また、「副作用」の「重大な副作用」の項に以下の内容が追記されます。

免疫性血小板減少性紫斑病:免疫性血小板減少性紫斑病があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  
さらに、「副作用」の「重大な副作用」の項の「重症筋無力症、筋炎」に関する記載に下線部が追記されます。

重症筋無力症、心筋炎、筋炎、横紋筋融解症:重症筋無力症、心筋炎、筋炎、横紋筋融解症があらわれることがあり、これらを合併したと考えられる症例も報告されている。筋力低下、眼瞼下垂、呼吸困難、嚥下障害、CK(CPK)上昇、心電図異常、血中及び尿中ミオグロビン上昇等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、重症筋無力症によるクリーゼのため急速に呼吸不全が進行することがあるので、呼吸状態の悪化に十分注意すること。

  
直近3年度の国内副作用症例の集積状況で、

  • 投与終了後の副作用症例50例(うち、因果関係が否定できない症例14例)、死亡例5例(因果関係を否定できない症例はなし)
  • 免疫性血小板減少性紫斑病関連症例5例(うち、因果関係が否定できない症例3例)、死亡1例(因果関係を否定できない症例はなし)
  • 心筋炎6例(うち、因果関係が否定できない症例3例)、死亡例1例(うち、因果関係が否定できない症例1例)
  • 横紋筋融解症4例(うち、因果関係が否定できない症例4例)、死亡0例

報告されているようです。
  

オプジーボと副作用

オプジーボは、免疫チェックポイント阻害剤というこれまでにない作用機序で働く薬剤(抗ヒトPD-1 モノクローナル抗体)です。
適応が拡大されていますし、今後も適応が広がっていくと思いますが、使用量が増えるとともに新たな副作用が出てくると思ってもいいかもしれませんね。
  
  

ダプトマイシンによる急性汎発性発疹性膿疱症

添付文書改訂の対象となる主な商品名は以下のとおりです。

  • キュビシン静注用350mg

  

キュビシン静注用の添付文書改訂内容と症例数

添付文書の「副作用」の「重大な副作用」の項に以下の内容が追記されます。

急性汎発性発疹性膿疱症:急性汎発性発疹性膿疱症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    
直近3年度の国内副作用症例の集積状況で、急性汎発性発疹性膿疱症が2例(うち、因果関係が否定できない症例1例)報告されているようです。
死亡は0例です。
  
  

ペラミビル水和物による急性腎不全

添付文書改訂の対象となる主な商品名は以下のとおりです。

  • ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg
  • ラピアクタ点滴静注液バイアル300mg

  

ラピアクタ点滴静注の添付文書改訂内容と症例数

添付文書の「副作用」の「重大な副作用」の項に以下の内容が追記されます。

急性腎不全:急性腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  
直近3年度の国内副作用症例の集積状況で、急性腎不全関連症例が7例(うち、因果関係が否定できない症例2例)報告されているようです。
死亡は0例です。
  

ラピアクタと急性腎不全

ラピアクタはそもそも腎排泄型の薬物なので、ある程度の腎毒性は予想される範囲だったかもしれません。
薬局ではお目にかかることがなく、関連医療機関でも採用の経験がほぼないので使用量がどの程度かはわかりませんが、因果関係が否定できない症例が2例であればそこまで心配しなくてもいいレベルなのかなとは思います。