薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

イリボーの女性適応拡大とサインバルタに線維筋痛症適応~薬食審第一部会で承認了承

平成27年4月28日、厚労省の薬食審医薬品第一部会が開催され、二つの医薬品の効能・効果追加の承認が了承されました。

これまで男性のみにしか適応がなかったイリボーは女性に対しても使用可能に。

サインバルタは線維筋痛症の適応を取得します。

  

 

イリボーの女性に対する適応拡大

  • イリボー錠2.5μg
  • イリボー錠5μg
  • イリボーOD錠2.5μg
  • イリボーOD錠5μg

イリボー(一般名:ラモセトロン塩酸塩)に女性に対する適応が拡大されます。

これまで、イリボーの効能・効果は「男性における下痢型過敏性腸症候群」となっていましたが、今回の変更が正式に承認されれば、「男性における」が削除され、効能・効果は「下痢型過敏性腸症候群」となります。

 

イリボーの作用

イリボーの主成分であるラモセトロンはセロトニン5-HT3受容体拮抗剤です。

ストレスなどによりセロトニンが遊離すると、腸管神経に存在する5-HT3受容体を活性化させます。

その結果、消化管運動が亢進され、便通異常が引き起こされます。

また、腸が受けた刺激自身もセロトニンの遊離を促進します。

そのセロトニンが求心性神経終末の5-HT3受容体に結合し、脳に痛みを認識させ、腹痛を感じるというわけです。

イリボーは、5-HT3受容体を選択的に阻害することで、消化管運動亢進に伴う便通異常(下痢・排便亢進)を改善するとともに、大腸痛覚伝達を抑制し、腹痛及び内臓知覚過敏を改善することができます。
 

 イリボーは女性には使えない?

イリボーは販売開始当初から男性のみの適応となっています。

イリボー発売前の臨床試験において、女性の下痢型過敏性腸症候群に対する効果に有意差が出なかったのがその理由です。

また、女性では男性と比較して、副作用が表れやすいことも確認、男性のみの適応となったようです。

添付文書の「効能又は効果に関連する使用上の注意」にも以下のように記載されています。

現時点で得られている臨床成績では、女性における本剤の有効性は認められず副作用発現率が高いことから、本剤を女性に対して投与しないこと。

 

女性に対しての用量は少な目

上に書いた副作用発現率の関係だと思いますが、女性に対しての用量は男性に比べて少なくなっています。 

ちなみに、男性に対する(元々の)用法・用量は、

通常、成人男性にはラモセトロン塩酸塩として5μgを1日1回経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は10μgまでとする。

女性に対する用法・用量は、男性の半分となっており、

ラモセトロン塩酸塩として2.5μgを1日1回、1日最高投与量は5μgまでです。

    

 

サインバルタに線維筋痛症の適応追加

  • サインバルタカプセル20mg
  • サインバルタカプセル30mg

サインバルタ(一般名:デュロキセチン塩酸塩)はSNRI(Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors:セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の一種で元々は抗うつ薬として開発されましたが、下行性疼痛抑制系を賦活させることにより鎮痛作用を発揮します。

そのため、現在はうつ病に加え、糖尿病性神経障害に伴う疼痛の適応を取得しています。

  1. うつ病・うつ状態
  2. 糖尿病性神経障害に伴う疼痛

 

線維筋痛症

 

線維筋痛症について簡単にまとめておきます。

関節・筋肉・腱などの痛みやこわばりを主症状とし、痛みを感じる部分には圧痛も感じます。

ですが、それ以外の診察所見や一般的な臨床検査成績に異常がなく、治療抵抗性であるというのが一番の特徴となります。

また、強い疲労・倦怠感、眼や口の乾燥感、不眠や抑うつ気分など多彩な身体的訴えがみられ、中年以降の女性に好発するという特徴も持っています。

 

線維筋痛症の治療

 

現在、日本国内で線維筋痛症に対する適応を持っているのはリリカ(一般名:プレガバリン)のみです。

トラムセットも非がん性慢性疼痛の適応で使用可能です。

ですが、海外では、そのほかにも、トレドミン(一般名:ミルナシプラン塩酸塩)、トリプタノール(一般名:アミトリプチリン塩酸塩)、サインバルタがエビデンスを持ち、強く推奨されています。

そのため、今回の適応追加は強く希望されていました。

 

現在、サインバルタの用法・用量は、

通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして40mgを経口投与する。投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。なお,効果不十分な場合には,1日60mgまで増量することができる。

となっていますが、線維筋痛症に対する用法・用量は、

1日1回、デュロキセチンとして60mg。開始用量は20mgで、1週間以上の間隔を空けて20mgずつ増量。

ということです。