薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

四国厚生局が平成25年度個別指導での指摘事項を公開 その1

四国厚生局が平成25年度の個別指導の指摘事項をまとめたものを掲載してくれています。
薬局業務を確認するに当たって、こういった情報は非常にありがたいです。
また、近く個別指導や監査などが予定されている薬局にとっても貴重な情報となるのではないでしょうか?

個別指導において保険医療機関等に改善を求めた主な指摘事項について/四国厚生支局
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/chosa/documents/shiteki_yakkyoku.pdf

四国厚生局が掲載してくれている資料を見てもらうのが一番早いですが、気になるところを中心に、色々と考えてみようと思います。

量が多いので、今回と次回に分けてみます。
今回は、資料の中の調剤等に関する事項 の 1 処方せん についてです。

処方せんの取扱い

処方せんに不必要な記載や不必要なゴム印の押印をしている例が認められるので改めること。

これはいつも言われるものですね。
特に処方箋欄や備考欄、調剤録について指摘されることが多いです。
鉛筆での印に関してもあまり好ましくないようです。

処方せんの記載不備

処方せんの受付に当たっては、不備な点がないことを確認し、不備な点がある場合は、必要な疑義照会を行うこと。
また、このような不備が続く場合は、処方医・処方せん発行医療機関に改善を申し入れること。

  • 処方欄に用法・用量の記載がない。
  • 処方欄に外用薬の使用部位の記載がない。

用量・用法については当然ですが、外用薬の部位記載に関してはまだまだ多く見受けられますね。
湿布・軟膏など、疑義照会を行っていくとともに、近隣医療機関に対しての情報提供を行っていく必要があります。

処方内容の変更

薬剤の変更・追加、用法・用量の変更について、処方医に確認のうえ了解を得ていない不適切な例が認められるので適切に取り扱うこと。

これはどういうケースか不明ですが、初回に疑義照会を行ったものをそのまま変更し続けたようなケースでしょうか?
複数回確認を行っても処方箋が変更されない(電子カルテやオーダリングシステムの操作の問題でできない)場合、以後、その変更で問題ない旨を医師に確認し、そのことを明確に記載する必要があります。

処方内容に関する薬学的確認

疑義照会の記録

疑義照会を行った場合は、その要点を処方せんの備考欄及び薬剤服用歴に記載すること。

疑義照会の内容を処方箋備考欄と薬歴に記入するのは当然です。
記録されていない場合は、疑義照会を行っていないとみなされます。
変更なしの場合や些細な内容でも記録に残していくべきですね。

眠気についての指導

副作用の眠気に対して運転等危険な作業に注意を促していない事例が見られるので改めること。

眠気と言う特定の副作用についてわざわざ述べられていることから、該当するケースが多かったことが想像できます。
薬局において説明する機会の多い副作用として、眠気と胃障害が挙げられるのではないでしょうか?
胃については食後の服用など対策を説明することが多いと思いますが、眠気に関しては運転を避けるとまでは説明していないケースが多いように感じます。
眠気が出る薬剤では、運転や危険を伴う作業について説明するのは不可欠です。
眠気を感じるとき、飲み始めは運転や危険を伴う作業を避けることをしっかり説明しないといけませんね。
もちろん、そのことを薬歴に明記しないと説明していないのと同じです。

疑義照会が行われていない具体例

ここが一番興味がある部分だという方も多いのではないでしょうか?

薬学的に見て、処方内容に問題が疑われるにもかかわらず、処方医への疑義照会が行われていない(処方医への照会の場合は、その内容等を処方せん又は調剤録に記載していないものを含む。)事例が見られるので、積極的に疑義照会を行うこと。

繰り返しになりますが、処方箋や調剤録に記録がない場合は疑義照会をしていないとみなされてもしょうがありません。

薬剤の処方内容より禁忌例への使用が疑われるものの例

消化性潰瘍が疑われる患者に対するセレコックス錠の投与

セレコックスは消化性潰瘍は禁忌となっています。
他のNSAIDsも同様ですね。
余談ですが、痛み止めと呼べるもので消化性潰瘍が禁忌となっていないのは、オピオイド鎮痛薬、片頭痛治療薬、SG配合顆粒、キョーリンAP2配合顆粒くらいでしょうか…。

高齢者へのジベトス錠の投与

ブホルミンは高齢者には禁忌となっています。
メトホルミンも同様ですが、メトグルコに限っては禁忌となっていません。
メトホルミンと乳酸アシドーシス〜メトグルコとメルビンの違い - 薬剤師の脳みそ
メトグルコ以外のメトホルミン製剤となると、グリコラン、メデット、ネルビス、メトリオンがありますね。
ピオグリタゾンとの配合剤メタクトも高齢者禁忌です。
ちなみに診療報酬上の高齢者とは65歳以上です。

薬事法による承認内容と異なる効能効果(適応症)での処方が疑われるものの例
  • 抗菌薬を投与していない患者に対するビオフェルミンRの投与
  • ビオフェルミンR散とオゼックス細粒との併用投与

これはビオフェルミンRの適応を見ればすぐわかりますね。

下記抗生物質、化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善
 ペニシリン系、セファロスポリン系、
 アミノグリコシド系、マクロライド系、
 テトラサイクリン系、ナリジクス酸

エンテロノンRも同様です。
ちなみに、ラックビーRではさらにテトラサイクリン系がはずれます。

オゼックスはニューキノロンなんで耐性乳酸菌製剤との併用の適応外となってしまいます。
なので、使うのならば通常の整腸剤と言うことになります。
ちなみに、その中でも酪酸菌製剤のミヤBM、ビオスリーは、比較的、ニューキノロンに対する耐性を持つとされているので、その切り替えであればDr.にも提案しやすいかもしれませんね。

統合失調症が疑われる患者に対するマイスリー錠の投与

マイスリーの効能・公開は「不眠症(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)」となっています。

薬事法による承認内容と異なる用法・用量で処方されているものの例

アダラートCR錠、ノルバスク錠、ブロプレス錠、アムロジピン錠、ディオバン錠、オルメテック錠の1日2回投与

これはよく言われますよね。
アダラートCRについては分2の適応があるにはあるのですが、「1日40mgで効果不十分な場合には、1回40mg1日2回まで増量できる」という条件付です。

ナウゼリン錠、漢方エキス製剤の食後投与

ナウゼリンは食前、漢方は食前または食間です。
どちらも十分な効果を発揮するためには空腹時が最適とはわかっていますが、コンプライアンスを考えると食後としたいこともあると思います。
用法は毎食前としてもらい、服薬指導で、忘れるようなら毎食後でもと説明するのが現実的でしょうか?

シングレア錠の夕食後投与

シングレアならびにキプレスの用法は「就寝前」です。
これは喘息発作が出現しやすい夜間から早朝の血中濃度を上げるためなのですが、これもコンプライアンスを考えて夕食後とすることがあるんだと思います。

併用禁忌が疑われるものの例

外用ステロイド塗布剤と外用抗真菌薬塗布剤の併用

外用ステロイド剤は、「細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)」が禁忌または原則禁忌となっています。
抗真菌薬により真菌の増殖を抑制しているので、ステロイドによる悪化は防ぎつつ抗炎症作用を期待している…と言うことをきちんと確認しなければならないと言うことでしょうね。

重複投与が疑われるものの例
  • 異なる医療機関による同一銘柄の処方
  • 同一成分薬の併用
  • 処方せんの投与日数の重複

これは当然ですね。

薬学的に問題があると思われる多剤併用が認められるものの例

ニフェジピン錠とアムロジピン錠の併用

CCB同士の併用。
同種同効薬の併用となるので疑義照会が必須となります。

投与期間の上限が設けられている医薬品について、その上限を超えて投与されているものの例

マイスリー錠の30日を超える投与

向精神薬の投与日数制限ですね。
マイスリーに関しては一日の上限10mgも定められているので、マイスリー10mg 2錠という処方もダメです。

テクニス錠の12週を超える投与

テクニスはセロクラールのジェネリックです。
なので、同成分の薬剤すべてに当てはまるのですが、添付文書の用法用量に関連する使用上の注意に、「本剤の投与期間は、臨床効果及び副作用の程度を考慮しながら慎重に決定するが、投与12週で効果が認められない場合には投与を中止すること。」と記載されています。

ルネスタ錠(薬価基準収載1年以内の医薬品は14日までの投与)

新薬の投与日数制限ですね。

  • オメプラール錠(逆流性食道炎は8週までの投与)
  • タケプロンOD錠(逆流性食道炎は8週までの投与)

PPIの投与日数制限です。
これはパリエット、ネキシウムも同じです。
胃潰瘍、吻合部潰瘍:8週間まで
十二指腸潰瘍:6週間まで
非びらん性胃食道逆流症:4週間まで
再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎のような日数制限のない適応となっているかどうかの確認が必要です。

漫然と長期にわたり処方されているものの例(症状の改善がみられない場合)
  • ガスモチン錠、ロゼレム錠(14日で有効性評価)
  • メチコバール錠、ビタメジン配合カプセル(1月で有効性評価)
  • サアミオン錠、セロクラール錠(脳梗塞後遺症の改善に投与時は12週で有効性評価)

これらの薬剤については使用上の注意で見直しを行う日数が定められています。

過量投与されているものの例

高齢者に対するハルシオン錠の0.375㎎投与

用法・用量に、「高齢者には1回0.125mg~0.25mgまでとする。」と記載しれています。

レザルタス配合錠HDとカルブロック錠の併用

レザルタス配合錠HDはアゼルニジピン16mgとオルメサルタン20mgの配合剤です。
アゼルニジピンは1日最大16mgとなっているので、レザルタスHDだけでアゼルニジピンは上限量と言うわけです。

小児の上気道炎に対するカロナール錠の1,800㎎投与

「急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)」、「小児科領域における解熱・鎮痛」のいずれも、「1日あたりの最大用量はアセトアミノフェンとして1500mg」です。

エピレナートシロップ60ml

バルプロ酸なんで一日の最大用量は1200mgのはずですが、エピレナートシロップは5%なんで3000mg。
過量投与なのは間違いないのですが、これはどういうケースなんでしょう?

調剤等

調剤済み処方せんの取扱い(調剤済処方せんの記載事項の不備)

調剤済になった処方せんについて、次の事項を記載していない又は記載が不適切な例が認められるので改めること。

  • 調剤済年月日
  • 調剤した保険薬局の所在地
  • 調剤した保険薬局の名称
  • 保険薬剤師の署名又は氏名の記載及び押印

これは当然ですね。

調剤録の取扱い

調剤録の記入について、次の不適切な例が認められるので改めること。

  • 調剤録の訂正に当たって、二本線で抹消したのではなく、貼紙により訂正している(修正前の記載内容が判読不能である。)。
  • 調剤録に複数名の押印がある。

別の患者さんの調剤録を印刷したり、印刷中のプリンタの不具合などで、修正不可能な状態でなければ二重線での訂正が望ましいようです。
仮に新しい調剤録を貼るとしても上側だけを貼って、容易にめくり、元の(修正前の)調剤録を見れるようにしましょう。

調剤録の複数の押印は、薬の準備をした人や、レセコン入力を行った人の印を押すルールにしている薬局もあるかと思いますが、避けた方が望ましいようです。

処方せん、調剤録の保存

処方せん・調剤録の整理について、処方せんが複数枚にまたがる場合は、すべての処方せんと調剤録をのり付け等により一体のものとして整理し、保管すること。

複数ページに渡る処方箋を保存するときはのりやテープで処方箋を貼り付けて一つにまとめましょう。
処方箋と調剤録を一体にしてまとめなければいけないわけですから、処方箋全体をまとめるのは当然だと思います。


つづく