薬剤師の脳みそ

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このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。何卒、ご理解ください。   

一部変更に関する承認〜ソリリス・ルセンティス・トルツ・テセントリク・エムプリシティ・カイプロリス 20191122

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(ここからが記事本文になります)

2019年11月22日付で適応追加などの一部変更が承認されています。
今回承認されたのは、2019年10月25日の薬食審・医薬品第一部会、10月31日の薬食審・医薬品第二部会で承認了承されたものの一部と報告品目として挙げられたものです。
今回承認された内容についてまとめます。
ゾレア皮下注の「季節性アレルギー性鼻炎」についてはノバルティスからの依頼で今回の承認は留保したとのことです。→その後、2019年12月11日付で承認されました。
  
  

一変承認
  
  

令和元年11月22日付承認一覧(一変承認)

今回承認された内容は以下の通りです。

  • ソリリス点滴静注:適応追加「視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防」
  • ルセンティス硝子体内注射液:適応追加「未熟児網膜症」
  • トルツ皮下注:適応追加「強直性脊椎炎」
  • テセントリク点滴静注1200mg:一部用法変更
  • エムプリシティ点滴静注用:ポマリドミド・デキサメタゾンとの3剤併用療法追加
  • カイプロリス点滴静注用:デキサメタゾンとの2剤併用療法に週1回投与法追加

    

ソリリス点滴静注の適応追加:視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防

表が画面に入りきらない場合は横にスクロールできます。

医薬品名 ソリリス点滴静注300mg
有効成分 エクリズマブ(遺伝子組換え)
申請者 アレクシオンファーマ
効能・効果
(追加)
視神経脊髄炎スペクトラム障害
(視神経脊髄炎を含む)の再発予防
用法・用量 全身型重症筋無力症 と同じ
指定等 希少疾病用医薬品
審議 2019年10月25日 薬食審第一部会


これまでの効能・効果は以下の通り。

  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制
  • 非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制
  • 全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)

これに「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」が追加されました。
用法・用量は「全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)」と同じ「通常、成人には、エクリズマブ(遺伝子組換え)として、1回900mg から投与を開始する。初回投与後、週1回の間隔で初回投与を含め合計4回点滴静注し、その1週間後(初回投与から4週間後)から1回1200mgを2週に1回の間隔で点滴静注する。」です。
  

ソリリス点滴静注(エクリズマブ)の作用機序

エクリズマブは遺伝子組み換えヒト化IgG2/4抗体で、補体活性化カスケードの末端であるC5に結合し、C5がC5転換酵素によりC5aとC5bに開裂するのを阻害します。
補体カスケード

補体とは血中に存在し、生体が持つ自然免疫システムの一つ(補体系)を構成するタンパク質群です。
補体タンパク質はC*11〜C9のタンパク質複合体で構成されています。
この補体群は活性化されることで免疫反応(生体防御)を起こしますが、一つの複合体が活性化されることを引き金にタンパク質群が次々と連鎖的に活性化を引き起こしていくため、補体カスケードと呼ばれています。
補体カスケードには古典的経路、副経路、レクチン経路の3種類が存在するが、いずれの経路でもC3の分解・活性化を介してカスケードが進み、終末ではC5の分解・活性化を引き起こします。
最終的には活性化された補体構成成分が結合し、細胞膜障害性複合体 C5b6789(MAC*2)を形成します。
MACは細菌の表面に結合し、穴を開けることで細胞膜を破壊(免疫溶菌反応または免疫溶菌現象)します。

補体カスケードを止めることで、自己免疫を抑制し、神経筋接合部におけるアセチルコリン受容体の消失と、それに伴う神経筋伝達障害を改善します。
  
NMOSDとNMO
視神経脊髄炎(NMO*3)は重度の視神経炎と横断性脊髄炎を特徴する疾患です。
発見者の名前に因んでデビック病(Devic病)とも呼ばれていました。
長らく原因不明の疾患とされていましたが、特異な自己抗体として抗アクアポリン4抗体(NMO-IgG)が発見され、研究が進められました。
アクアポリン(AQP*4)は細胞膜に存在するタンパク質で、イオンや他の物質は通さず水分子のみを選択的に透過させる水チャネルです。
抗AQP4抗体の研究が進む中、抗AQP4抗体陽性の症例の中には視神経炎と急性脊髄炎ではなく、脳症候群で発症するケースも存在することがわかりました。
そこで、広義な名称として視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD*5)という名前が使用されるようになっています。
NMOSDでは抗AQP4抗体陽性か陰性かで診断基準が異なります。
NMSODの診断については多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017に詳しく記載されています。
  
抗AQP4抗体とエクリズマブ
NMOSDのうち、抗AQP4抗体陽性のものに対してエクリズマブは効果を発揮します。
抗AQP4抗体陽性のNMOSDでは、抗AQP4抗体が中枢神経系の補体を活性化、中枢神経系に存在するグリア細胞を損傷することで神経障害を起こします。
エクリズマブは補体活性化カスケードの末端であるC5に結合、カスケードを阻害することで、抗AQP4抗体による神経障害を抑制し、NMOSDの再発を予防すると考えられています。
そのため、今回の承認にあたっては「効能又は効果に関連する注意」の中で「5.10 本剤は、抗アクアポリン4抗体陽性の患者に投与すること。」と記載されています。
    

適応追加に伴う添付文書改訂部分

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「5. 効能又は効果に関連する注意」に以下の2項目が追加されています。
5. 効能又は効果に関連する注意
〈視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防〉
5.10 本剤は、抗アクアポリン4抗体陽性の患者に投与すること。
5.11 視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の患者に使用すること。
引用元:効能・効果追加に伴う添付文書改訂のお知らせ
また、「7. 用法及び用量に関連する注意」にも以下の2項目が追加されています。
7. 用法及び用量に関連する注意
〈視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防〉
7.6 本剤の血中濃度低下により再発のおそれがあるため、投与間隔を遵守すること。
7.7 本剤を一定期間投与後、再発の頻度について検討し、再発の頻度の減少が認められない患者では、本剤の投与中止を検討すること。
引用元:効能・効果追加に伴う添付文書改訂のお知らせ
  
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現時点での関連リンクをまとめておきます。  

ルセンティス硝子体内注射液の適応追加:未熟児網膜症


医薬品名 ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL
有効成分 ラニビズマブ(遺伝子組換え)
申請者 ノバルティスファーマ
効能・効果 未熟児網膜症(追加)
用法・用量
(追加)
ラニビズマブ(遺伝子組換え)として
1回、0.2mg(0.02mL)を硝子体内投与する。
なお、必要な場合は再投与できるが、
1ヵ月以上の間隔をあけること。
指定等 なし
審議 2019年10月25日 薬食審第一部会


これまでの効能・効果は以下の通り。

  • 中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症
  • 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
  • 病的近視における脈絡膜新生血管
  • 糖尿病黄斑浮腫

これに「未熟児網膜症」が追加されました。
小児(新生児)に対する適応ということで、他の適応とは用法・用量も異なります。
なお、「未熟児網膜症」の適応が追加されたのは「ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL」だけで、「ルセンティス硝子体内注射用キット10mg/mL」は「未熟児網膜症」の適応は持たないので注意が必要です。
  

ルセンティス硝子体内注射液(ラニビズマブ)の作用機序

ラニビズマブは抗血管内皮増殖因子(抗VEGF*6)治療薬です。
抗VEGF治療薬

血管内皮増殖因子(VEGF)は血管内皮細胞に特異的に作用することで血管内皮細胞の増殖を促し、血管新生を促進すると同時に血管透過性の亢進作用を発揮します。
組織が低酸素状態になるとVGEFが増加し、血管新生を引き起こし、細胞に酸素が供給されます。
癌や加齢黄斑変性、関節リウマチなどの疾患ではVEGFの働きにより血管新生が促進されているため、そこを標的とする抗VEGF阻害剤が開発されました。
抗VEGF阻害剤はVGEFが血管内皮受容体(VEGFR*7)に結合することを阻害し、血管内皮細胞の増殖・血管新生を阻害します。
代表的なVEGF阻害剤を以下に列挙します。
(適応の詳細は省略しています)

  • アバスチン(ベバシズマブ):結腸・直腸癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、乳癌、悪性神経膠腫
  • ルセンティス(ラニビズマブ):加齢黄斑変性症、黄斑浮腫、脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫
  • アイリーア(アフリベルセプト):加齢黄斑変性症、黄斑浮腫、脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫

  
未熟児網膜症に対する初の治療薬
未熟児網膜症(ROP*8)とは、網膜の微小血管が異常に成長する疾患です。
名前からもわかるように早産との関連が強く、ほとんどが在胎26週以下で出生した新生児で見られます。
自然治癒することが多いのですが、重症例では網膜の微小血管から出血し、網膜に傷が生じることで視力障害を起こしてしまいます。
現在の標準治療はレーザー治療ですが、レーザー治療ではVEGFの増加を完全に防ぐことはできません。
また、レーザーにより細胞に障害が起き、将来的な白内障など将来の合併症の可能性がありました。
未熟児網膜症に対する治療薬はこれまで存在しておらず、ルセンティスが初の治療薬になります。
ただ、どの程度の症状であればレーザー治療を選ぶのか、ルセンティスによる治療を行うべきなのかと言うのが明確ではありません。
そのため、添付文書の「用法及び用量に関連する注意」には「自然治癒が期待できる軽症例及び外科的手術の適応となる重症例における本剤の投与意義が明確ではないことから、本剤による治療を開始するに際し、患者の状態や病変の位置、病期、病型による重症度等を考慮し、本剤投与の要否を判断すること。」と記載されています。
  

適応追加に伴う添付文書改訂部分

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「用法及び用量に関連する使用上の注意」に以下の3項目が追加されています。
用法及び用量に関連する使用上の注意
(1)自然治癒が期待できる軽症例及び外科的手術の適応となる重症例における本剤の投与意義が明確ではないことから、本剤による治療を開始するに際し、患者の状態や病変の位置、病期、病型による重症度等を考慮し、本剤投与の要否を判断すること。
(2)本剤投与により治療反応が得られた後に、疾患活動性の増加を示唆する所見が認められた場合は、本剤の再投与を検討すること。
(3)本剤投与後早期に治療反応が得られない場合は、他の治療への切替えを考慮すること。
引用元:「ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL」「ルセンティス硝子体内注射用キット10mg/mL」の<使用上の注意改訂のお知らせ>を更新しました。
また、「使用上の注意」の「重要な基本的注意」の4)に下線部が追加されています。
「ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL」は1バイアルが0.23mL(ラニビズマブ(遺伝子組換え)は2.3mg)なので、しっかり測ってから投与するよう注意が必要です。
※ちなみに「ルセンティス硝子体内注射用キット10mg/mL」は1キットが0.165mL(ラニビズマブ(遺伝子組換え)は1.65mg)です。
使用上の注意
重要な基本的注意
過量投与を防ぐため、投与量が未熟児網膜症に対しては0.02mL、その他の効能に対しては0.05mLであることを投与前に確認すること。
引用元:「ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL」「ルセンティス硝子体内注射用キット10mg/mL」の<使用上の注意改訂のお知らせ>を更新しました。
「使用上の注意」の「小児等への投与」の4)に下線部が追加されています。
小児(新生児)に対する適応(未熟児網膜症)が追加されたからと言って、他の適応が小児に対して拡大されたわけではないので注意ですね。
使用上の注意
小児等への投与
未熟児網膜症以外の低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
引用元:「ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL」「ルセンティス硝子体内注射用キット10mg/mL」の<使用上の注意改訂のお知らせ>を更新しました。
「薬物動態」に1項目が追加されています。
薬物動態
3.本剤0.2mgを未熟児網膜症患者(日本人を含む)の硝子体内に両眼投与したとき、投与約1日後の血清中薬物濃度は24.7±52.4ng/mLであり、本剤0.5mgを加齢黄斑変性症患者の硝子体内に片眼投与したときと比較して高値を示した。
引用元:「ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL」「ルセンティス硝子体内注射用キット10mg/mL」の<使用上の注意改訂のお知らせ>を更新しました。
下記のとおり「承認条件」が追加されました。
医薬品リスク管理計画(RMP)は作成中なのかな?まだ公開されていませんね。
承認条件
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
引用元:「ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL」「ルセンティス硝子体内注射用キット10mg/mL」の<使用上の注意改訂のお知らせ>を更新しました。
  
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現時点での関連リンクをまとめておきます。  

トルツ皮下注の適応追加:強直性脊椎炎


医薬品名 トルツ皮下注80mgシリンジ
トルツ皮下注80mgオートインジェクター
有効成分 イキセキズマブ(遺伝子組換え)
申請者 日本イーライリリー
効能・効果
(追加)
強直性脊椎炎
用法・用量
(追加)
通常、成人にはイキセキズマブ(遺伝子組換え)として
1回80mgを4週間隔で皮下投与する。
指定等 なし
審議 2019年10月31日 薬食審第二部会


これまでの効能・効果は以下の通り。

  • 尋常性乾癬
  • 関節症性乾癬
  • 膿疱性乾癬
  • 乾癬性紅皮症

これに「強直性脊椎炎」が追加されました。
他の適応とは用法・用量も異なります。
  

トルツ皮下注(イキセキズマブ)の作用機序

トルツ皮下注(イキセキズマブ)はヒト化抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤です。
サイトカインの一種であるインターロイキン17A(IL-17A*9)が過剰に産生されてしまうことが乾癬などの自己免疫疾患に関わっていることが知られています。
イキセキズマブはIL-17Aに特異的に結合することで、IL-17AとIL-17RA*10の結合を阻止、炎症性サイトカインやケモカインの放出を抑制し、自己免疫疾患に対して効果を発揮します。
ちなみに、イキセキズマブはマウス抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体をヒト化して作られています。
  
強直性脊椎炎とは?
リウマチ性疾患とは、筋肉骨格系に痛みとこわばりを生じる疾患の総称ですが、強直性脊椎炎(AS*11)もその一つです。
背骨や骨盤などの体幹を構成する骨や腱に炎症が生じ、脊椎や関節の動きが悪くなる病気です。
はっきりとした原因は不明ですが、ヒト白血球抗原(HLA*12)-B27との強い関連性があることが知られています。
また、強直性脊椎炎の発症にもIL-17Aが深く関与していることが知られています。
そこでIL-17の働きを阻害するイキセキズマブを用いて試験が実施され、トルツ皮下注でのAS治療が可能となりました。
  

適応追加に伴う添付文書改訂部分

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「1. 警告」の欄が適応ごとに分類され、以下の強直性脊椎炎に関する内容が追記されています。
1.警告
〈強直性脊椎炎〉
1.4 本剤の治療を開始する前に、既存治療薬(非ステロイド性抗炎症剤等)の適用を十分に勘案すること。
引用元:添付文書改訂のお知らせ
「5. 効能又は効果に関連する注意」の欄も同様に適応ごとに分類され、以下の強直性脊椎炎に関する内容が追記されています。
5.効能又は効果に関連する注意
〈強直性脊椎炎〉
5.2 過去の治療において、既存治療薬(非ステロイド性抗炎症剤等)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること。 
引用元:添付文書改訂のお知らせ
トルツ皮下注は「強直性脊椎炎」治療の第一選択薬ではないということですね。
  
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テセントリク点滴静注1200mg:用法用量 一部変更


医薬品名 テセントリク点滴静注1200mg
有効成分 アテゾリズマブ(遺伝子組換え)
申請者 中外製薬
効能・効果 切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
用法・用量
(変更)
化学療法未治療の扁平上皮癌を除く
切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の場合
カルボプラチン、
パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)

他の抗悪性腫瘍剤との併用において、
指定等 なし
審議 2019年10月31日 薬食審第二部会


  

化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する用法拡大

今回、用法・用量の一部が変更(拡大)となったのはテセントリク点滴静注1200mgです。
テセントリク点滴静注840mgについては変更ありません。
テセントリク点滴静注1200mgの適応のうち、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」(もう一つは「進展型小細胞肺癌」)の用法・用量の一部が変更となっています。
「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の用法・用量は「化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の場合」と「化学療法既治療の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の場合」に分かれています。
これまで、「化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の場合」の用法・用量は「カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)」と併用するように記載されていましたが、今回の「他の抗悪性腫瘍剤」と併用可能になりました。
  
化学療法未治療の扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんでカルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ以外の抗癌剤との併用療法が可能に
テセントリク点滴静注(アテゾリズマブ)は抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体によるがん免疫療法薬です。
「化学療法未治療の扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の用法・用量については「カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用」と記載されていましたが、「他の抗悪性腫瘍剤との併用において」に変更になります。
今までは「カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)」以外の抗悪性腫瘍剤との併用に関するデータが存在しませんでしたが、今回、国際共同フェーズ3試験結果でシスプラチンの併用に関するデータが加わったことで変更となりました。
  

適応追加に伴う添付文書改訂部分

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「用法及び用量に関連する使用上の注意」に以下の項目が追加されています。
用法・用量に関連する使用上の注意
1.化学療法未治療の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌において、併用する他の抗悪性腫瘍剤は【臨床成績】の項の内容を熟知し選択すること。
引用元:テセントリク点滴静注1200mg 使用上の注意等改訂のお知らせ
  
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エムプリシティ点滴静注用:ポマリドミド・デキサメタゾンとの3剤併用療法追加


医薬品名 エムプリシティ点滴静注用300mg
エムプリシティ点滴静注用400mg
有効成分 エロツズマブ(遺伝子組換え)
申請者 ブリストル・マイヤーズ スクイブ
効能・効果 再発又は難治性の多発性骨髄腫
用法・用量
(追加)
〈ポマリドミド及びデキサメタゾン併用〉
指定等 なし
審議 2019年10月31日 薬食審第二部会


従来の用法・用量は「レナリドミド及びデキサメタゾン併用」の場合とされ、新たに「ポマリドミド及びデキサメタゾン併用」の場合が追加されました。
「ポマリドミド及びデキサメタゾン併用」の場合の用法・用量は「通常、成人にはエロツズマブ(遺伝子組換え)として、28日間を1サイクルとし、最初の2サイクルは1回10mg/kgを1週間間隔で4回(1,8,15,22日目)、3サイクル以降は1 回20mg/kgを4週間間隔(1日目)で点滴静注する。」です。
  

エムプリシティ(エロツズマブ)の作用機序

エムプリシティ(エロツズマブ)はヒト化抗ヒトSLAMF7モノクローナル抗体で、SLAMF7*13を標的とする免疫賦活性モノクローナル抗体(免疫刺激モノクローナル抗体)です。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞*14)に発現するSLAMF7と結合することで、抗体依存性細胞傷害(ADCC*15)活性を高め、腫瘍増殖抑制作用を示します。
  
E-Pd療法が可能に
今回の承認でレナリドミド・デキサメタゾンとの3剤併用(Elotuzumab- Lenalidomide,dexamethasone、E-Ld)療法に加えて、ポマリドミド・デキサメタゾンとの3剤併用(Elotuzumab-Pomalidomide,dexamethasone、E-Pd)療法も可能になりました。
再発または難治性の多発性骨髄腫治療では、レナリドミド及びプロテアソーム阻害薬両剤に効果を示さなくなった場合、ポマリドミドとデキサメタゾンとの2剤併用(Pomalidomide,dexamethasone、Pd)療法が行われていましたが、再発率が高いことが問題でした。
今回、E-Pd療法が可能となったことで、無増悪生存期間の延長が期待されます。
  

適応追加に伴う添付文書改訂部分

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「5. 効能又は効果に関連する注意」の5.2に下線部の内容が追加されています。
5.効能又は効果に関連する注意
5.2 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について,「17.臨床成績」の項の内容を熟知し,本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で,適応患者の選択を行うこと。特に,少なくとも2つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者へのポマリドミド及びデキサメタゾン併用による投与については,他の治療の実施についても慎重に検討すること。
引用元:エムプリシティ点滴静注用300mg・400mg添付文書を更新しました。
「7. 用法及び用量に関連する注意」の7.4投与速度に関する内容が「10mg/kg投与時の投与速度」(従来)と「20mg/kg投与時の投与速度」(新設)に分類され、以下の内容が追加されています。
7.用法及び用量に関連する注意
20mg/kg投与時の投与速度(ポマリドミド及びデキサメタゾン併用時,第3サイクル以降)
投与時期 投与速度(mL/分)
投与開始
0~30分
投与開始
30分以降
1回目投与 3 4
2回目投与以降 5
引用元:エムプリシティ点滴静注用300mg・400mg添付文書を更新しました。
  
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現時点での関連リンクをまとめておきます。  

カイプロリス点滴静注用:デキサメタゾンとの2剤併用療法に週1回投与法追加


医薬品名 カイプロリス点滴静注用10mg
カイプロリス点滴静注用40mg
有効成分 カルフィルゾミブ
申請者 小野薬品
効能・効果 再発又は難治性の多発性骨髄腫
用法・用量
(追加)
〈デキサメタゾン併用〉
週1回投与の場合
指定等 なし
審議 2019年10月31日 薬食審第二部会


カイプロリスの用法・用量は「レナリドミド及びデキサメタゾン併用」と「デキサメタゾン併用」の場合に分かれていますが、今回の追加承認により「デキサメタゾン併用」の場合はさらに「週2回投与の場合」(従来)と「週1回投与の場合」(追加)に分けられました。
追加された用法・用量は、「週1回投与の場合:通常、成人には1日1回、本剤を1、8及び15日目に点滴静注し、13日間休薬する。この28日間を1サイクルとし、投与を繰り返す。本剤の投与量はカルフィルゾミブとして、1サイクル目の1日目のみ20mg/㎡(体表面積)、それ以降は70mg/㎡(体表面積)とし、30分かけて点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。」です。

カイプロリス(カルフィルゾミブ)の作用機序

カイプロリス(カルフィルゾミブ)はプロテアソーム阻害薬です。
20Sプロテアソームのキモトリプシン様活性を有するβ5サブユニットに不可逆的に結合することで、ユビキチン化タンパク質の分解を担うプロテアソームの活性を阻害します。
ユビキチン化タンパク質が蓄積することで、細胞のアポトーシスが誘導され、骨髄腫細胞の増加が抑制されます。
  
週1回投与の新レジメンが追加
デキサメタゾンとの2剤併用療法において、これまでは「1、2、8、9、15及び16日目に点滴静注を行なった後、12日間休薬」する週2回投与しか選択肢がありませんでしたが、週1回投与では「1、8及び15日目に点滴静注を行なった後、13日間休薬」するようになります。
また、1回投与量が増えており、週2回投与では「1サイクル目の1及び2日目のみ20mg/㎡、それ以降は56mg/㎡」だったところが、週1回投与では「1サイクル目の1日目のみ20mg/㎡、それ以降は70mg/㎡」となっています。
週1回投与で実施された臨床試験では有意に無増悪生存期間を延長したため、今回の承認につながりました。
  

適応追加に伴う添付文書改訂部分

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「7. 用法及び用量に関連する注意」の7. 6に「・デキサメタゾン併用(週1回投与の場合)」が追加となり、下記の通り投与量の表が追加になります。
7.用法及び用量に関連する注意
デキサメタゾン併用(週1回投与の場合)
副作用発現時の投与量 投与再開時の投与量目安
70mg/㎡ 56mg/㎡
56mg/㎡ 45mg/㎡
45mg/㎡ 36mg/㎡
36mg/㎡ 投与中止
引用元:カイプロリス点滴静注用10mg、カイプロリス点滴静注用40mg 添付文書改訂のお知らせを更新しました。
  
メーカーからの案内
現時点での関連リンクをまとめておきます。  

承認留保:ゾレア皮下注用の適応追加

今回一緒に承認されると思っていたゾレア皮下注用(オマリズマブ (遺伝子組換え))の「季節性アレルギー性鼻炎」については留保となっています。
(その後、2019年12月11日に承認されました)
ゾレア皮下注は高額な薬価による医療費の問題もあり、先日の薬価収載を検討した中医協の中で最適使用推進ガイドラインが検討され、その内容に留意する必要があるとされていました。最適使用推進ガイドラインの中身を見てもらえればわかると思いますが、使用に際しての留意事項がかなり細かく決められています。
ノバルティスとしてはこの内容を十分周知できるまでは適応追加を留保したいという考えのようです。
  
ゾレアと最適使用推進ガイドラインについては別記事で詳しくまとめたいと思います。

*1:Complement

*2:Membrane-Attack Complex:膜侵襲複合体

*3:NeuroMyelitis Optic

*4:AQuaPorin

*5:NeuroMyelitis Optica Spectrum Disorder

*6:Vascular Endothelial Growth Factor

*7:Vascular Endothelial Growth Factor Receptor

*8:Retinopathy Of Prematurity

*9:InterLeukin-17A

*10:InterLeukin-17 Receptor A

*11:Ankylosing Spondylitis

*12:Human Leukocyte Antigen

*13:Signaling Lymphocyte Activation Molecule Family Member 7

*14:Natural Killer cell

*15:Antibody Dependent Cellular Cytotoxicity

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