薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
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薬剤服用歴管理指導料に関する改定~平成26年度調剤報酬改定その3

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(ここからが記事本文になります)

診療報酬改定は2月12日の中央社会保険医療協議会(中医協)で最終的な決定となるようですね。
調剤基本料が消費税増税分の対応として1点増えるとは言われていますが、まだ具体的な点数は診療報酬全体としてほとんど決定されていません。
最終決定がどうなるか、企業として運営している薬局ではそろそろ対応準備で慌ただしいんじゃないでしょうか?
今日は薬剤服用歴管理指導料・・・いわゆる薬歴についての改訂をまとめます。
今日の内容はけっこう持論が多くなります。
平成26年調剤報酬改定についての最新版は
平成26年度診療報酬改定 官報告示 - 薬剤師の脳みそ
です。
平成26年調診療酬関連記事の一覧は
https://pharmacist.hatenablog.com/archive/category/H26%E8%A8%BA%E7%99%82%E5%A0%B1%E9%85%AC%E6%94%B9%E5%AE%9A
です。
よろしくお願いします。


例によって、
中央社会保険医療協議会 総会(第271回) 議事次第
総-2-1を参照してください。

今回の内容はネガティブ気味ですが、決まった(決まりつつある)ことは受け止めて、何が問題か考えて改善していくという視点で書いてみます。

お薬手帳を必要としない患者に対する薬剤服用歴管理指導料の評価の見直し

「お薬手帳を必ずしも必要としない患者に対する薬剤服用歴管理指導料の評価を見直す。」
「薬剤服用歴管理指導料について、お薬手帳を必ずしも必要としない患者に対し特例を新設する。」
とあります。
薬歴の受付1回につき41点は変わりありませんが・・・。
新「ただし、次に掲げるハを除くすべての指導等を行った場合は、所定点数にかかわらず、処方せんの受付1回につき○点を算定する。」が追加。
「ハ 調剤日、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量その他服用に際して注意すべき事項を手帳に記載すること。」
ということです。
ちなみに、「お薬手帳を必ずしも必要としない患者」とは、「軽い風邪で薬の種類や量が少なく薬剤師が要らないと判断したケースなどでの適用」とのことだそうです。
これはどうなるんでしょうね?
患者さん本人が「いらない」と言った場合はどうなるんでしょう?

みなさん、このことについてどう思われますか?
震災でのお薬手帳の活躍があったから、すべての人に持ってもらうために薬歴とお薬手帳を一体化したんじゃないか?
という意見をよく耳にします。
近年のお薬手帳に関する点数を振り返ってみると
 平成22年度改定 薬剤服用歴管理指導料30点+薬剤情報提供料(お薬手帳)15点
 平成24年度改定 薬剤服用歴管理指導料41点(お薬手帳含む)
 平成26年度改定 薬剤服用歴管理指導料41点(お薬手帳含む) 薬剤服用歴管理指導料○点(お薬手帳なし)
という流れです。
何故、一度統合されたものがまた別々になるか。
これはちょっと薬剤師自身が反省しなければいけないのではないでしょうか?

そもそも、お薬手帳が本当に患者さんに有益なものであるならば、この二年間、自分たちの努力で患者さんにそう実感してもらわないといけなかったはず。
でも、実際はどうでしょう?
平成22年度改定では15点を算定するために頑張っていたお薬手帳の普及も、平成24年度改定で統合されてからはおざなりになってしまっていたのではないでしょうか?
(そうでない薬剤師もいっぱいいると思ってます)

個人的には薬剤服用歴管理指導料が減点になってでもお薬手帳は必須にしてもらいたいとは思っていますが。
今回のこの改定の理由については真摯に受け止める必要があると思います。

現在、電子版のお薬手帳が広まっていますが、やっぱり電子化・無料化がお薬手帳のあるべき姿ではないかな?と思います。
お薬手帳を発行するのが薬剤師の仕事ではなく、お薬手帳の情報を活用するのが薬剤師の仕事だと思います。
自分たちがお薬手帳の情報を使った仕事をきちんとできていれば、患者さんにもお薬手帳が大切なものだと伝わると思うのですが・・・。

気持ちはこれからの2年間。
お薬手帳を患者さんにとって有意義なものとして使いこなせるかどうかが薬剤師の評価に繋がります。

服薬状況等の確認のタイミングの明確化

「薬剤服用歴管理指導料について、服薬状況並びに残薬状況の確認及び後発医薬品の使用に関する患者の意向の確認のタイミングを、調剤を行う前の処方せん受付時とするよう見直す。」
これ。
みなさんの薬局ではいつ確認していましたか?
服薬指導の中で・・・という薬局が多かったと思います。
実際の調査でもそうだったようです。
その結果を受けての改定。
これ、今まで薬剤師会の中でもはっきりとは言われていなかった話。
それを中医協で決めてもらったわけですから、これもまた辛い話です。

保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則を見てみます。

(調剤の一般的方針)
第八条  保険薬局において健康保険の調剤に従事する保険薬剤師(以下「保険薬剤師」という。)は、保険医等の交付した処方せんに基いて、患者の療養上妥当適切に調剤並びに薬学的管理及び指導を行わなければならない。
2  保険薬剤師は、調剤を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。
3  保険薬剤師は、処方せんに記載された医薬品に係る後発医薬品が次条に規定する厚生労働大臣の定める医薬品である場合であつて、当該処方せんを発行した保険医等が後発医薬品への変更を認めているときは、患者に対して、後発医薬品に関する説明を適切に行わなければならない。この場合において、保険薬剤師は、後発医薬品を調剤するよう努めなければならない。

2、3を見ると調剤を行う前に薬剤師が服薬状況の確認、後発医薬品の説明を行うこととなっていますね。

こう考えると、これについても今までのツケが帰ってきたとも言えるのかなあ・・・。
受付も含めた薬局調剤業務の流れを見直す時期がきているのかもしれませんね。

頑張ってる薬剤師はどんどん増えている!
これは間違いないと思います。
ただ、それが世間に届くのはまだまだ遠い。
見える見えないという話ではなく、足りてないのだと思います。

リフィル処方への布石か?

中央社会保険医療協議会 総会(第267回) 議事次第
総-4の資料を見てみてください。
この時点まではあったⅠ-7の(1)があったんです。

Ⅰ-7 的確な投薬管理・指導の推進について
(1)長期投与された患者の残薬の状況等を把握し、保険薬局における適切な薬学的管理・指導が必要であると考えられていることから、特定機能病院及び500床以上の地域医療支援病院において長期処方された場合のあらかじめ定められた日数の分割調剤の試行的導入を行う。これに伴い、分割調剤を行う場合の調剤基本料等の評価を見直す。

気がつけばこれがなくなっている!
(ちなみに、(2)がお薬手帳、(3)が受付時の確認でした。)

正直、これにはすごい期待していました。
今の分割調剤ではかなわない、日本版リフィル処方の布石かと思っていたんですが・・・。

調剤基本料が下がってもいいです。
その分、分割長期処方を発行した病院の加算にすればいいと思います。
これがあれば薬局は患者さんと新しい関係を築けるはず。
それは点数以上の価値があると思います。
薬がなくなる時期に薬局から患者さんに次の来局日を知らせて、ゆっくり話したい人には予め暇な時間を指定したり、忙しい人には余裕のある時間に電話も含めた指導を行ったり・・・。
患者さんにとってのかかりつけ薬局を作ってもらう可能性がぐっと広がるはず!
なんて妄想して期待していただけにがっかり・・・。

とまあ、今日はがっかりな話ばかりでした。
とにかく12日を待ちましょう!
決定した内容を受け入れ、今回の改訂を飛躍に繋がる改定とできるように頑張りたいですね!

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