薬剤師の脳みそ

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テリルジー100エリプタ〜日本初のICS/LAMA/LABA 3剤配合吸入薬

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2019年5月22日(令和元年5月22日)、薬価収載と同時にテリルジー100エリプタ14吸入用/30吸入用が発売されました。
テリルジー100エリプタは2019年3月26日に製造承認を取得していた3成分配合吸入薬で、COPD*1(慢性閉塞性肺疾患)治療薬です。
これまで、ICS*2/LABA*3、LABA/LAMA*4の吸入配合薬は存在していましたが、ICS/LAMA/LABAの3剤配合吸入薬はテリルジーが国内初となります。
  
  

テリルジーエリプタ14吸入用/30吸入用 箱
  
  

COPDってどんな病気?

テリルジーエリプタは慢性閉塞性肺疾患に対する適応で承認されました。
なので、まずは慢性閉塞性肺疾患について簡単に説明したいと思います。
  
慢性閉塞性肺疾患(COPD*5)とはタバコや大気中の有害物質などで肺が長期間持続して炎症を起こすことで、呼吸機能の低下を起こしてしまう疾患です。
日本のCOPD患者の原因の90%は喫煙と言われています。
  
呼吸により有害物質を肺に取り込むと気管支が刺激され炎症を起こしてしまいます。
それが何年も続くと、気管支表面の炎症は慢性的にひどくなっていき、気管支はどんどん細くなります。
症状が進行すると炎症は気管支の奥にある肺胞まで到達します。
肺胞は酸素と二酸化炭素を交換する役割を持っている肺の重要な組織ですが、本来は弾力性を持っています。
私たちは肺胞の弾力性により吸った息を吐くことができるのですが、COPDが進行すると肺胞の弾力性が失われてしまうために、吸った息を吐くことができなくなってしまうわけです。
  
このように気管支や肺胞の慢性的な炎症により呼吸機能の低下を引き起こすのが慢性閉塞性肺疾患(COPD)です。
COPDの治療は薬物療法が中心となりますが、COPD症状は基本的には一度進行すると元に戻りません。
早い段階で治療を開始し、進行を遅らせることが大事になります。
  

COPDの薬物治療

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版 ポイント解説(Boehringer Ingelheim)には以下のように記載されています。

  • 治療は、薬物療法と非薬物療法を行う。薬物療法では、単剤で不十分な場合は、LAMA、LABA 併用(LAMA/LABA配合薬の使用も可)とする。
  • 喘息病態の合併が考えられる場合はICSを併用するが、LABA/ICS配合薬も可。

引用元:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版 ポイント解説(Boehringer Ingelheim)

  
  

テリルジーエリプタってどんな薬?

テリルジーは国内初のICS/LAMA/LABA 3剤配合吸入薬でCOPDに対する適応で製造承認を取得しています。
吸入デバイスはDPI*6のエリプタになります。
  

基本情報

  • 医薬品名(収載時薬価):
    • テリルジー100エリプタ14吸入用:4,107.40円/キット
    • テリルジー100エリプタ30吸入用:8,692.80円/キット
    • 添付文書IFRMP
  • 命名
    • テリルジー:該当資料なし
    • エリプタ:楕円形(ellipse)
  • 成分名:フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩
  • 製造販売元:グラクソ・スミスクライン
  • 承認日:2019年3月26日
  • 薬価収載日:2019年5月22日
  • 発売日:2019年5月22日
  • 新医薬品の処方日数制限:なし(新医薬品の投薬期間制限の例外)

  

テリルジーエリプタ14吸入用/30吸入用
グラクソ・スミスクライン ホームページより
  

エリプタを吸入デバイスに採用する5つ目の製剤

テリルジーはグラクソ・スミスクラインの吸入デバイスであるエリプタを用いた5つ目の製剤になります。
ICSとしてフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF*7)、LAMAとしてウメクリジニウム(UMEC*8)、LABAとしてビランテロール(VI*9)を含む、ICS/LAMA/LABA配合剤です。
エリプタをデバイスに採用している薬剤を発売順に並べると以下の通りです。
エリプタ製剤一覧(発売順)

  1. レルベア100エリプタ14吸入用/30吸入用・レルベア200エリプタ14吸入用/30吸入用(ICS+LABA:FF 100μg/200μg+VI 25μg)
  2. アノーロエリプタ7吸入用/30吸入用(LAMA+LABA:UMEC 62.5μg+VI 25μg)
  3. エンクラッセ62.5μgエリプタ7吸入用/30吸入用(LAMA:UMEC 62.5μg)
  4. アニュイティ100/200エリプタ30吸入用(ICS:FF 100μg/200μg)
  5. テリルジー100エリプタ14吸入用/30吸入用ICS+LAMA+LABA:FF 100μg/200μg+UMEC 62.5μg+VI 25μg)

  
テリルジー100エリプタ30吸入用は、

  • レルベア100エリプタ30吸入用+エンクラッセ62.5μgエリプタ30吸入用
  • アノーロエリプタ30吸入用+アニュイティ100エリプタ30吸入用(ただし、アニュイティはCOPDに対する適応を取得しておらず、気管支喘息に対する適応のみ

と同じ成分・含有量いうことになります。
  
COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版」によると、COPDに対してICSを使用するのは「喘息病態の合併が考えられる場合(エイコ:ACO*10)」とされています。
「COPD患者の15~20%にACOが見込まれる」ため、テリルジーが必要となるケースもその程度ということになります。
  

薬価はアノーロエリプタより少し高い程度

アノーロエリプタ30吸入用の1日薬価(264.20円)を元に類似薬効比較方式(I)で算定が行われています。
7,816.10円/キットに有用性加算(II) (A=10%)が適用、7,816.10×1.1で8,597.70円となり、そこにキットの原材料費を加えることでテリルジーの薬価は算出されています。
  

エリプタ製剤の薬価を比較してみる

テリルジーの薬価は以下の通りです。

  • テリルジー100エリプタ14吸入用:4,107.40円/キット
  • テリルジー100エリプタ30吸入用:8,692.80円/キット

  
それに対して、他のエリプタ製剤の薬価は以下の通り。

  • アニュイティ100μgエリプタ30吸入用:1,899.10円/キット
  • アニュイティ200μgエリプタ30吸入用:2,455.90円/キット
  • アノーロエリプタ7吸入用:1,899.60円/キット
  • アノーロエリプタ30吸入用:7,924.70円/キット
  • エンクラッセ62.5μgエリプタ7吸入用:1,409.20円/キット
  • エンクラッセ62.5μgエリプタ30吸入用:5,877.70円/キット
  • レルベア100エリプタ14吸入用:2,703.60円/キット
  • レルベア100エリプタ30吸入用:5,689.40円/キット
  • レルベア200エリプタ14吸入用:2,987.10円/キット
  • レルベア200エリプタ30吸入用:6,353.20円/キット

  
テリルジー100エリプタ30吸入用(8,692.80円/キット)と同じ配合になるようにして薬価を計算すると、

  • アノーロエリプタ30吸入用+アニュイティ100エリプタ30吸入用=7,924.70+1,899.10=9,823,8円
  • レルベア100エリプタ30吸入用+エンクラッセ62.5μgエリプタ30吸入用=5,689.40+5,877.70=11,567.1円

となり、薬価の面からもテリルジーにメリットがあることがわかります。
  

新薬14日分の投与制限の対象外

既存の成分・適応を持つテリルジーは新医薬品の投薬期間制限の例外です。
2 掲示事項等告示の一部改正について
新医薬品(医薬品医療機器等法第14条の4第1項第1号に規定する新医薬品をいう。)については、掲示事項等告示第10第2号(1)に規定する新医薬品に係る投薬期間制限(14日分を限度とする。)が適用されるが、掲示事項等告示の改正によって、新たにロスーゼット配合錠LD、同配合錠HD、テリルジー100エリプタ14吸入用、同30吸入用が当該制限の例外とされた
引用元:使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について(保医発0521第4号 令和元年5月21日)
まあ、1日1回1吸入の薬剤なのに30吸入用が薬価収載されているわけですから当然ですよね。
ということで最初から長期処方が可能です。
  

有効成分と作用機序

テリルジーはICSとしてフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF*11)、LAMAとしてウメクリジニウム臭化物(UMEC*12)、LABAとしてビランテロールトリフェニル酢酸塩(VI*13)を配合した薬剤です。
  

ICS:フルチカゾンフランカルボン酸エステル

フルチカゾンフランカルボン酸エステルは糖質コルチコイド、いわゆるステロイド薬です。
気道粘膜に作用し、炎症を抑制します。
他の吸入薬ではアニュイティやレルベアに使用されています。
吸入薬以外ではアラミスト点鼻液がありますね。
フルタイドやアドエア、フルナーゼに使用されているフルチカゾンプロピオン酸エステル(FP*14)のエステル部分を変更し、効果の持続時間を延長し、1日1回の使用で効果を発揮できるようにしたものです。
  

LAMA:ウメクリジニウム臭化物

ウメクリジニウムは長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)、いわゆる長時間作用型の抗コリン薬です。
アセチルコリンM3受容体を遮断することで気管支平滑筋の収縮を抑制して気管支を拡張させます。
一般的にヒト肺組織におけるM3受容体密度は中枢気道に近いほど高いとされています1)
吸入LAMA一覧

  • スピリーバ吸入用カプセル18μg(チオトロピウム臭化物水和物)
  • スピリーバ1.25μgレスピマット60吸入※1(チオトロピウム臭化物水和物)
  • スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入※2(チオトロピウム臭化物水和物)
  • シーブリ吸入用カプセル50μg(グリコピロニウム臭化物)
  • エクリラ400μgジェヌエア(アクリジニウム臭化物)
  • エンクラッセ62.5μgエリプタ(ウメクリジニウム臭化物)

※1:COPDに対する適応なし(喘息適応のみ)
※2:COPDと喘息の適応
上記以外は全てCOPDに対する適応のみ

  
1)Mak JC & Barnes PJ. Am Rev Respir Dis. 1990; 141: 1559-1568. PMID: 2350099
  

LABA:ビランテロールトリフェニル酢酸塩

ビランテロールは長時間作用性β2刺激薬(LABA)です。
アドレナリンβ2受容体を刺激することで気管支平滑筋を弛緩させ、気管支を拡張させます。
一般的にヒト肺組織におけるβ2受容体密度は末梢気道に近いほど高いとされています2)
吸入LABA一覧

  • セレベント25ロタディスク(サルメテロールキシナホ酸塩)
  • セレベント50ロタディスク(サルメテロールキシナホ酸塩)
  • セレベント50ディスカス(サルメテロールキシナホ酸塩)
  • オーキシス9μgタービュヘイラー(ホルモテロールフマル酸塩水和物)

※:セレベントはCOPDと喘息の適応、オーキシスはCOPDのみの適応

吸入LABA単剤って少ないですよね。
貼付剤としてホクナリンテープ(ツロブテロール)もありますね。
  
2)Ikeda T et al. Br J Pharmacol. 2012; 166: 1804-1814. PMID: 22300233
  

配合吸入薬を用いるメリットは?

配合剤にすることで1回でまとめて使用できるため、使用が容易になり使用忘れも防ぐことができます。
内服に比べて手技が煩雑な吸入薬ではこのメリットがより大きくなります。
  

LAMA/LABA配合吸入薬のメリット

それぞれの作用機序で述べたように、LAMAは肺中枢、LABAは抹消気道で強く効果を発揮します。
そのため、LAMA吸入薬とLABA吸入薬を同時に用いることで肺全体に対する効果が期待されます。
さらに、LAMA/LABA配合吸入薬では2剤を同時吸入するため肺の同じ部分で作用し、単独使用の組み合わせ以上の効果を期待できると考えられています。
そのポイントとなるのがLABAのアセチルコリンに対する作用です。
LABAにより副交感神経終末のβ2受容体が刺激されると、アセチルコリンの放出が減少します。
その結果、LAMAの抗コリン作用による気管支平滑筋の弛緩(気管支拡張)がより強くなるとされています3)
  
3)Cazzola M & Molimard M. Pulm Pharmacol Ther. 2010; 23: 257-267. PMID: 20381630
  

ICS/LABA配合吸入薬のメリット

ICSとLABAの配合剤でもLAMA/LABA配合剤の場合と同様に、肺の同じ場所に作用することにより単独使用以上の効果が発揮されます。
まず、ステロイド薬はβ2受容体のmRNAの発現を誘導させる効果を持っているため、β2受容体を増加させます。
これによりLABAの作用増強が期待されます。
また、長期使用におけるβ2受容体のダウンレギュレーションも防ぐことができると考えられます。
  
LABAはPKA*15、MAPK*16を活性化させることで、ステロイド-GR*17複合体の核内移行を促進させます。
これにより、ステロイドによるmRNAの転写活性が促進され、作用が増強されると言われています。
  
  

テリルジーエリプタの注意点

添付文書とIF、RMPを参考に注意点についてまとめていきます。

  

コントローラーとして使用される薬剤

テリルジーはあくまでも長期管理を目的として使用される薬剤です。
これはテリルジーに限らず、ICSやLABA、LAMA全般に言えることです。
なので以下の内容はテリルジー特有のものではなく、コントローラーとして使用される吸入薬全てに当てはまるものです。
  
効能・効果に関連する使用上の注意
(1)本剤は慢性閉塞性肺疾患の症状の長期管理に用いること。
(2)本剤は慢性閉塞性肺疾患の増悪時の急性期治療を目的として使用する薬剤ではない
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
テリルジーはあくまでコントローラー*18として使用される薬剤でリリーバー*19ではないということですね。
  
2.重要な基本的注意
(2)本剤の投与期間中に発現する慢性閉塞性肺疾患の急性増悪に対しては、短時間作用性吸入β2刺激剤等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。また、その薬剤の使用量が増加したり、あるいは効果が十分でなくなってきた場合には、疾患の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し医師の治療を求めるよう患者に注意を与えること。
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
急性憎悪に対してはSABA*20などの使用が考慮されるべきです。
  
2.重要な基本的注意
(4)本剤の投与終了後に症状の悪化があらわれることがあるので、患者自身の判断で本剤の使用を中止することがないよう指導すること。また、投与を中止する場合には観察を十分に行うこと。
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
調子がいいからといって自己判断で中止してしまわないような指導を行う必要があります。
  

吸入後の気管支痙攣

これについても吸入薬全般に言えることですが、製剤によって記載は様々です。
各エリプタ製剤には重要な基本的注意の項に記載があります。
2.重要な基本的注意
(5)本剤の吸入後に喘鳴の増加を伴う気管支痙攣があらわれることがある。そのような状態では、患者の生命が脅かされる可能性があるので、気管支痙攣が認められた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、短時間作用性気管支拡張剤による治療を行うこと。また、患者を評価し、必要に応じて他の治療法を考慮すること。
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
  

注意すべき安全性検討事項

テリルジー100エリプタ 医薬品リスク管理計画書(RMP)を元に注意すべき有害事象をまとめておきます。
  • 重要な特定されたリスク
    • 肺炎
    • アナフィラキシー反応
    • 心血管系事象
  • 重要な潜在的リスク
    • 副腎皮質ステロイド剤の全身作用(副腎皮質機能抑制、骨障害、眼障害等)
    • 喘息に関連した死亡、入院及び挿管
  • 重要な不足情報:該当なし
当然と言えば当然ですが、いずれもレルベアもしくはエンクラッセで報告されているものばかりです。
また、3剤併用によるリスクの増大はなさそうです。
  

肺炎

肺炎は、慢性閉塞性肺疾患(以下COPDとする)患者における吸入ステロイド(以下ICSとする)含有製剤使用時のリスクとして知られている。
(略)
なおCTT116855試験において、UMEC/VI群における日本人コホートの肺炎の発現頻度は、日本人以外のコホート及び全集団と同様(いずれも5%)であったが、日本人コホートのICS含有製剤群における肺炎の発現頻度(FF/UMEC/VI群:18%、FF/VI群:21%)は、日本人以外のコホート(FF/UMEC/VI群:7%、FF/VI群:7%)及び全集団(FF/UMEC/VI群:8%、FF/VI群:7%)と比較して顕著に高かった。FF/VIの海外臨床試験において、高齢、低肺機能、低BMI、喫煙者及び肺炎の既往歴を有する患者等においては肺炎を発現するリスクがより高いことが示唆されている。CTT116855試験における日本人コホートでは、肺炎のリスク因子となる高齢、低BMI及び肺炎の既往歴を有する患者の割合が日本人以外のコホート及び全集団と比較して高かった。COPD患者におけるICS(FF)の使用により、肺炎の発現リスクが増加することが示唆されているため、重要な特定されたリスクとした。
引用元:テリルジー100エリプタ 医薬品リスク管理計画書(RMP)
ICS含有製剤を使用することで肺炎リスクが高まるのを想像するのは難しくないかと思います。
日本人において肺炎の発現頻度が高くなっていることが気にはなりますが、高齢・低BMI・肺炎既往歴という肺炎発現リスクが高かったという患者背景に由来するものと考えて問題ないのではないかと思います。
  
添付文書では以下の部分が該当します。  
2.重要な基本的注意
(7)本剤の臨床試験において肺炎が報告された。一般に肺炎の発現リスクが高いと考えられる患者へ本剤を投与する場合には注意すること。
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
4.副作用
(1)重大な副作用

2)肺炎(1.1%):肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
  

アナフィラキシー反応

アナフィラキシーの可能性が否定できないのは当然ですね。
本剤のCOPD患者を対象とした国際共同第III相試験(CTT116855試験)において、重篤な過敏症に関連する有害事象と本剤との関連性について十分な根拠は得られていないが、本剤の有効成分を含む他の配合剤(FF/VI)に係る国内外の市販後の自発報告において、FF/VIとの関連が否定できない過敏症反応及びアナフィラキシー反応関連の事象が認められているため、アナフィラキシー反応を重要な特定されたリスクとした。
引用元:テリルジー100エリプタ 医薬品リスク管理計画書(RMP)
  
添付文書では以下の部分が該当します。
4.副作用
(1)重大な副作用

1)アナフィラキシー反応:アナフィラキシー反応(咽頭浮腫、気管支痙攣等)があらわれることがある(頻度不明)ので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
  

心血管系事象

本剤のCOPD患者を対象とした国際共同第III相試験(CTT116855試験)において、心血管系事象と本剤との関連性について十分な根拠は得られていないが、本剤の有効成分であるUMECを含む他の配合剤(UMEC/VI)及びUMEC単剤に係る以下の安全性情報に基づき、心血管系事象を重要な特定されたリスクとした。

  • COPD患者を対象としたUMEC並びにUMEC/VIの国内外の第III相臨床試験において、プラセボ群と比べて、UMEC群で不整脈に関連する事象(心房細動、期外収縮、洞性頻脈、上室性期外収縮、上室性頻脈、心室性期外収縮等)の発現頻度が高かった。
  • 外国人健康成人にUMEC/VI 500/100μgを1日1回10日間吸入投与したときQT間隔の延長が認められた。

引用元:テリルジー100エリプタ 医薬品リスク管理計画書(RMP)

UMECとVIの作用機序からして心血管系イベントが上昇する可能性は否定できないと思います。
  
添付文書では以下の部分が該当します。
用法・用量に関連する使用上の注意
患者に対し、本剤の過度の使用により不整脈、心停止等の重篤な副作用が発現する危険性があることを理解させ、本剤を1日1回なるべく同じ時間帯に吸入するよう(1日1回を超えて投与しないよう)注意を与えること。
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
1日1回、同じ時間帯に使用するのはCOPDのコントロールのためだけでなく、心血管系への負担をかけないためにも大切になります。
  
【使用上の注意】
(2)心疾患を有する患者[抗コリン作用により心不全、心房細動、期外収縮が発現又は悪化するおそれがある。 β2刺激作用により上室性頻脈、期外収縮等の不整脈 が発現又は悪化するおそれがある。また、QT延長が発現するおそれがある。]
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
2.重要な基本的注意
(8)過度に本剤の使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあるので、用法・用量を超えて投与しないよう注意すること。
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
3.相互作用
QT間隔延長を起 こすことが知られている薬剤(抗不整脈剤、三環系抗うつ剤等)

  • 臨床症状・措置方法:QT間隔が延長され心室性不整脈等のリスクが増大するおそれがある。
  • 機序・危険因子:いずれもQT間隔を延長させる可能性がある 。

引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書

7.過量投与

  • 徴候・症状:本剤の過量投与により、抗コリン剤の薬理学的作用による症状(口内乾燥、視調節障害及び頻脈等)、β2刺激剤の薬理学的作用による症状(頻脈、不整脈、振戦、頭痛及び筋痙攣等)や副腎皮質機能抑制等の全身性の作用が発現するおそれがある。また、外国人健康成人にフルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール 800/100μgを1日1回7日間吸入投与したとき、又はウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩 500/100μgを1日1回10日間吸入投与したときQT間隔延長が認められた。
  • 処置:本剤の過量投与時の特異的な解毒剤はない。対症療法を行うとともに、必要に応じて患者をモニターすること。

引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書

4.副作用
(1)重大な副作用
3)心房細動(0.1%):心房細動が発現することがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
  

副腎皮質ステロイド剤の全身作用(副腎皮質機能抑制、骨障害、眼障害等)

本剤の臨床試験において特段の懸念は示されていないが、経口副腎皮質ステロイド剤は、コルチゾール産生の減少をもたらす視床下部-下垂体-副腎系に影響を及ぼすことが知られている。副腎皮質ステロイド薬の吸入剤は経口剤に比べて全身への吸収は低いが、副腎皮質機能、骨、眼等へ影響を与える可能性があるため、潜在的リスクとする。
引用元:テリルジー100エリプタ 医薬品リスク管理計画書(RMP)
内服ステロイドに関する内容にはなりますが、吸入でもそのリスクはゼロではない・・・ということでしょうね。
  
添付文書では以下の部分が該当します。
2.重要な基本的注意
(6)全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により全身性の作用(クッシング 症候群、クッシング様症状、副腎皮質機能抑制、小児の成長遅延、骨密度の低下、白内障、緑内障、中心性漿液性網脈絡膜症を含む)が発現する可能性がある。特に長期間、大量投与の場合には定期的に検査を行い、全身性の作用が認められた場合には患者の症状を観察しながら適切な処置を行うこと。
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
3.相互作用
CYP3A4阻害作用 を有する薬剤(リトナビル、ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)、エリスロマイシン等)

  • 臨床症状・措置方法:副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性がある。なお、フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロールトリフェニル酢酸塩とケトコナゾール(経口剤)を併用した臨床薬理試験において、血中のフルチカゾンフランカルボン酸エステル及びビランテロールの曝露量の増加が認められたとの報告がある。
  • 機序・危険因子:CYP3A4による代謝が阻害されることにより、フルチカゾンフランカルボン酸エステル及びビランテロールの血中濃度が上昇する可能性がある。

引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書

7.過量投与

  • 徴候・症状:本剤の過量投与により、抗コリン剤の薬理学的作用による症状(口内乾燥、視調節障害及び頻脈等)、β2刺激剤の薬理学的作用による症状(頻脈、不整脈、振戦、頭痛及び筋痙攣等)や副腎皮質機能抑制等の全身性の作用が発現するおそれがある。また、外国人健康成人にフルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール 800/100μgを1日1回7日間吸入投与したとき、又はウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩 500/100μgを1日1回10日間吸入投与したときQT間隔延長が認められた。
  • 処置:本剤の過量投与時の特異的な解毒剤はない。対症療法を行うとともに、必要に応じて患者をモニターすること。

引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書

  

喘息に関連した死亡、入院及び挿管

LABAであるサルメテロールについて米国で実施された喘息患者を対象とした臨床試験において、プラセボと比べサルメテロール投与患者で喘息に関連する入院や合併症の増加が認められた
本剤では本リスクは認められていないものの、COPD患者では喘息を併発している患者も多く、本剤が喘息を併発するCOPD患者に使用される可能性もあることから重要な潜在的リスクとし、気管支喘息を合併しているCOPD患者において気管支喘息の管理が十分行われるように注意喚起する。
引用元:テリルジー100エリプタ 医薬品リスク管理計画書(RMP)
あくまでも喘息患者に対するサルメテロールの影響ですが、日本国内のCOPDガイドラインではICSを使用を推奨するのは喘息合併症例(ACO)なので、結果としてテリルジーが使用される症例は喘息を合併しているケースが多くなるのではないかと思います。
  
添付文書では以下の部分が該当します。
2.重要な基本的注意
(1)本剤は気管支喘息治療を目的とした薬剤ではないため、気管支喘息治療の目的には使用しないこと。なお、気管支喘息を合併した慢性閉塞性肺疾患患者に本剤を適用する場合には、気管支喘息の管理が十分行われるよう注意すること。
引用元:テリルジー100エリプタ 添付文書
  
  

まとめ

日本初となる3成分配合吸入薬 テリルジーエリプタについてまとめました。
一番のメリットは1日1回吸入するだけで3成分による治療が可能になることです。
エリプタはかなり簡単に吸入を行うことができるデバイスですが、それでも3回(3種類)しようと考えるとかなり煩雑です。
それが1回で済むというのはコンプライアンスの向上に大きく寄与できると思います。
また、コスト的なメリットも期待できます。
  
惜しいのは適応でCOPDの適応でどれくらい使用されるケースがあるのか?ということです。
上でも紹介しましたが国内COPDガイドラインでは喘息合併例(ACO:エイコ)に対してのみICSの使用が推奨されています。
単純にCOPDの重症かどうかだけでなく気管支喘息を合併しているかどうかが推奨の判断になっているので、少し使いにくい感があります。
また、合併例である程度進行している場合が対象になると思うので、その場合FFが100μgしかなく、200μgがないのは痛いです。
  
おそらく、来年あたりに気管支喘息の適応を取得、テリルジー200が新規格として登場するのではないかと予想しているので、そこからがテリルジーの本領発揮(処方が増える)じゃないかな?と思います。
  

ライバルはビレーズトリ!?

2019年5月末(R1.5.30)の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会ではアストラゼネカのビレーズトリエアロスフィア(成分名:ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)の承認が了承、まもなく正式に承認される予定です。
ビレーズトリがテリルジーのライバルとなるのは間違いなですね!
3成分配合吸入薬の登場でCOPD治療がどのように変化していくかが楽しみです。
  
ビレーズトリが発売されたのでその記事も掲載しておきます。

*1:Chronic Obstructive Pulmonary Disease

*2:Inhaled CorticoSteroids:吸入スロイド

*3:Long-Acting Beta2-Agonists:長時間作用性β2刺激薬

*4:Long-Acting Muscarinic Antagonist:長時間作用性抗コリン薬

*5:Chronic Obstructive Pulmonary Disease

*6:Dry Powder Inhaler:ドライパウダー吸入器

*7:Fluticasone Furoate

*8:UMEClidinium bromide

*9:VIlanterol

*10:Asthma and COPD Overlap:喘息とCOPDのオーバーラップ

*11:Fluticasone Furoate

*12:UMEClidinium bromide

*13:VIlanterol trifenatate

*14:Fluticasone Propionate

*15:Protein kinase A:プロテインキナーゼA

*16:Mitogen-Activated Protein Kinase

*17:Glucocorticoid Receptor:グルココルチコイド受容体

*18:controller:長期管理薬

*19:reliever:発作治療薬

*20:Short Acting Beta2-Agonist:短時間作用性β2刺激薬

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