薬剤師の脳みそ

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薬食審第一部会 初の経口腎性貧血治療薬エベレンゾ、フォルテオBSなど 20190829

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2019年8月29日に厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会で審議され、承認が了承された新医薬品についてまとめます。
この記事を作成している時点では承認が了承された段階で、正式には承認されていません。
令和元年9月20日付で正式に承認され、薬価収載・発売待ちです。
  
  

薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会
  
  

2019年8月29日の薬食審・医薬品第一部会

今回は8製品について審議され7製品の承認が了承、がん悪液質に対する初の薬剤 エドルミズの承認は見送りとなりました。
審議品目


  • 承認了承:
    • エベレンゾ錠(初の経口腎性貧血治療薬)
    • クリースビータ皮下注(くる病・骨軟化症に対する初の抗体製剤)
    • ブリニューラ脳室内注射液(セロイドリポフスチン症2型)
    • トリンテリックス錠(複数のセロトニン受容体阻害作用を併せ持つ大うつ病治療薬)
    • アイベータ配合点眼液(アイファガンとチモプトールの配合剤)
    • エクフィナ錠(可逆性選択的MAO-B阻害薬)
    • コララン錠(HCNチャネル遮断薬)
  • 否認:
    • エドルミズ錠(世界初のがん悪液質用薬)
また、2成分、4製品のバイオ後続品が報告品目としてあげられています。
報告品目

  • テリパラチドBS皮下注キット「モチダ」(フォルテオBS1)
  • ダルベポエチンアルファBS注シリンジ「JCR」(ネスプBS1)
  • ダルベポエチンアルファBS注シリンジ「三和」(ネスプBS2)
  • ダルベポエチンアルファBS注シリンジ「MYL」(ネスプBS3)

  

審議品目

まずは審議が行われた8製品について。
  

エベレンゾ錠

エベレンゾ錠

  • 医薬品名:
    • エベレンゾ錠20mg
    • エベレンゾ錠50mg
    • エベレンゾ錠100mg
      添付文書IFRMP
  • 有効成分:ロキサデュスタット
  • 申請者:アステラス製薬
  • 効能・効果:透析施行中の腎性貧血
  • 承認:2019年9月20日

日本初の経口腎性貧血治療薬です。
低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH*1)阻害薬と呼ばれる薬剤です。
プロリン水酸化酵素(PHD*2)と呼ばれる酵素を阻害することで、低酸素誘導因子(HIF*3)が活性化され、エリスロポエチン(EPO*4)遺伝子の転写が促進されます。
従来の赤血球造血刺激因子(ESA*5)製剤(ネスプ、ミルセラなど)がエリスロポエチンを直接補充する治療法であるのに対して、HIF-PH阻害薬は体内のエリスロポエチンの生産を高めるものになります。
  
低酸素誘導因子という名前ですが、アスリートの方達が行う高山トレーニングのように、低酸素状態でEPOが増加する仕組みから来ているようです。
HIF-PH阻害薬はこの他に田辺三菱製薬のバダデュスタットを始めとする4成分が開発中とされています。
従来のEPA製剤には注射しか存在しなかったので、経口治療が行えるようになるのはかなり大きなメリットになると思います。
エベレンゾは透析中の患者さんのみを対象としているので注意ですが、将来的にCKDに対する適応を取得予定のようです。
  

クリースビータ皮下注

クリースビータ皮下注

  • 医薬品名:
    • クリースビータ皮下注10mg
    • クリースビータ皮下注20mg
    • クリースビータ皮下注30mg
      添付文書IF・RMP)
  • 有効成分:ブロスマブ(遺伝子組換え)
  • 申請者:協和キリン
  • 効能・効果:FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
  • 承認:2019年9月20日

線維芽細胞増殖因子23(FGF*623)に対するヒト型IgG1モノクローナル抗体。
くる病・骨軟化症に対する初の抗体製剤です。
  

ブリニューラ脳室内注射液

ブリニューラ脳室内注射液

  • 医薬品名:ブリニューラ脳室内注射液150mg
  • 有効成分:セルリポナーゼアルファ(遺伝子組換え)
  • 申請者:BioMarin Pharmaceutical Japan
  • 効能・効果:セロイドリポフスチン症2型
  • 承認:2019年9月20日

セロイドリポフスチン症(CL*7)は、細胞内での代謝障害により、神経細胞内にセロイドリポフスチンという色素が蓄積する遺伝性疾患です。
セロイドリポフスチン症の病型である2型(CLN2)で欠損しているトリペプチジルペプチダーゼという酵素を脳室内に直接補充することでリポフルスチンの蓄積を減少させます。
  

トリンテリックス錠

トリンテリックス錠

  • 医薬品名:
    • トリンテリックス錠10mg
    • トリンテリックス錠20mg
      添付文書IF・RMP)
  • 有効成分:ボルチオキセチン臭化水素酸塩
  • 申請者:武田薬品
  • 効能・効果:うつ病、うつ状
  • 承認:2019年9月20日

各種セロトニン受容体とセロトニントランスポーターに対する作用を持つ新規の抗うつ薬です。
作用機序には不明な部分もありますが、

  • セロトニン5-HT1A受容体アンタゴニスト作用
  • セロトニン5-HT1B受容体パーシャルアンタゴニスト作用
  • セロトニン5-HT1D受容体アンタゴニスト作用
  • セロトニン5-HT3受容体アンタゴニスト作用
  • セロトニン5-HT7受容体アンタゴニスト作用
  • セロトニントランスポーター阻害作用

と複数のセロトニン受容体阻害作用を合わせることにより、抗うつ、抗不安、うつ病に伴う認知機能障害に対する効果を発揮します。
  

アイベータ配合点眼液

アイベータ配合点眼液

  • 医薬品名:アイベータ配合点眼液
    添付文書・IF・RMP)
  • 有効成分:ブリモニジン酒石酸塩・チモロールマレイン酸塩
  • 申請者:千寿製薬
  • 効能・効果:緑内障、高眼圧症(他の緑内障治療薬が効果不十分な場合)
  • 承認:2019年9月20日

α2作動薬であるブリモニジン(アイファガン)とβ遮断薬であるチモロール(チモプトール)の配合剤です。
α2作動薬とβ遮断薬を組み合わせた初の配合点眼薬になります。
  
アイファガンの配合剤が早くも登場か。。。
アイファガンの薬価収載は2012年4月。
もう7年以上経ったのか。。。
  

エクフィナ錠

エクフィナ錠

  • 医薬品名:エクフィナ錠50mg
  • 有効成分:サフィナミドメシル酸塩
  • 申請者:Meiji Seika ファルマ
  • 効能・効果:レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善
  • 承認:2019年9月20日

可逆的かつ選択的なモノアミン酸化酵素B型(MAO-B*8)阻害薬。
レボドパ含有製剤と併用することで中枢シナプス間隙のMAO-Bによるドパミン分解を抑制、ドパミン濃度を高めることで作用を補強し、パーキンソン病の症状を改善に繋げる。
現在、日本国内で使用可能なMAO-B阻害剤には、

  • セレギリン(エフピーOD錠)
  • ラサギリン(アジレクト錠)

があるが、どちらも不可逆性MAO-B阻害薬に分類されています。
  
MAO-B阻害作用が可逆的になることで相互作用による影響が軽減できそうですね。
従来のMAO-B阻害剤は併用禁忌に注意が必要なのでそのリスクが軽減されるのは嬉しいです。
  

コララン錠

コララン錠

  • 医薬品名:
    • コララン錠2.5mg
    • コララン錠5mg
    • コララン錠7.5mg
      添付文書IF・RMP)
  • 有効成分:イバブラジン塩酸塩
  • 申請者:小野薬品
  • 効能・効果:洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が75回/分以上の慢性心不全。ただし、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る
  • 承認:2019年9月20日

HCN*9チャネル遮断薬。
心臓の伝導性、収縮性、再分極および血圧に影響することなく、心拍数のみを減少させる作用があるそうです。
フランスのServier社が創薬したイバブラジンの国内ライセンスを小野薬品が取得し、国内での臨床試験を行い開発。
  

否認:エドルミズ錠

エドルミズ錠

  • 医薬品名:エドルミズ錠
  • 有効成分:アナモレリン
  • 申請者:小野薬品
  • 効能・効果:がん悪液質

今回、唯一承認が了承されなかった品目です。
アナモレリンは胃で産生されるホルモンであるグレリンに類似した構造を持つ低分子グレリン様作用薬です。
グレリンは食欲中枢を刺激する作用を持ち、空腹ホルモンと呼ばれています。
がん悪液質に対する薬剤は初めてということでその評価方法(除脂肪体重)や安全性に対する疑問が多く出され、継続審議となったようです。
  

報告品目

PMDA*10(医薬品医療機器総合機構)の審査段階で部会での審議を行わず報告のみでよいと判断されたものです。
  

初のフォルテオBS

テリパラチドBS皮下注「モチダ」

  • 医薬品名:テリパラチドBS皮下注キット600μg「モチダ」
  • 有効成分:テリパラチド(遺伝子組換え)〔テリパラチド後続1〕
  • 申請者:持田製薬
  • 効能・効果:骨折の危険性の高い骨粗鬆症
  • 承認:2019年9月20日

日本イーライリリーのフォルテオ皮下注の最初のバイオシミラー。
  

ネスプBSが続々登場

ダルベポエチンアルファBS注

  • 有効成分:ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)〔ダルベポエチンアルファ後続1〕
    • 申請者:JCRファーマ
    • 医薬品名:
      • ダルベポエチンアルファBS注5μgシリンジ「JCR」
      • ダルベポエチンアルファBS注10μgシリンジ「JCR」
      • ダルベポエチンアルファBS注15μgシリンジ「JCR」
      • ダルベポエチンアルファBS注20μgシリンジ「JCR」
      • ダルベポエチンアルファBS注30μgシリンジ「JCR」
      • ダルベポエチンアルファBS注40μgシリンジ「JCR」
      • ダルベポエチンアルファBS注60μgシリンジ「JCR」
      • ダルベポエチンアルファBS注120μgシリンジ「JCR」
      • ダルベポエチンアルファBS注180μgシリンジ「JCR」
  • 有効成分:ルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)〔ダルベポエチンアルファ後続2〕
    • 申請者:三和化学研究所
    • 医薬品名:
      • ダルベポエチンアルファBS注5μgシリンジ「三和」
      • ダルベポエチンアルファBS注10μgシリンジ「三和」
      • ダルベポエチンアルファBS注15μgシリンジ「三和」
      • ダルベポエチンアルファBS注20μgシリンジ「三和」
      • ダルベポエチンアルファBS注30μgシリンジ「三和」
      • ダルベポエチンアルファBS注40μgシリンジ「三和」
      • ダルベポエチンアルファBS注60μgシリンジ「三和」
      • ダルベポエチンアルファBS注120μgシリンジ「三和」
      • ダルベポエチンアルファBS注180μgシリンジ「三和」
  • 有効成分:ルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)〔ダルベポエチンアルファ後続3〕
    • 申請者:マイランEPD
    • 医薬品名:
      • ダルベポエチンアルファBS注5μgシリンジ「MYL」
      • ダルベポエチンアルファBS注10μgシリンジ「MYL」
      • ダルベポエチンアルファBS注15μgシリンジ「MYL」
      • ダルベポエチンアルファBS注20μgシリンジ「MYL」
      • ダルベポエチンアルファBS注30μgシリンジ「MYL」
      • ダルベポエチンアルファBS注40μgシリンジ「MYL」
      • ダルベポエチンアルファBS注60μgシリンジ「MYL」
      • ダルベポエチンアルファBS注120μgシリンジ「MYL」
      • ダルベポエチンアルファBS注180μgシリンジ「MYL」
  • 効能・効果:腎性貧血

  • 承認:2019年9月20日

バイオ後続品。
協和キリンのネスプのバイオシミラー。
すでに協和キリングループからバイオセイムが登場しているので微妙な気もします。
しかも、今回の部会でネスプ等のEPA製剤に変わることが期待されているHIF-PH阻害薬エベレンゾの製造承認が了承されている。。。
かなり厳しい状況かと思います。

*1:Hypoxia-Inducible Factor-Prolyl Hydroxylase domain

*2:Prolyl Hydroxylase Domain

*3:Hypoxia-Inducible Factor

*4:ErythroPOietin

*5:Erythropoiesis Stimulating Agent

*6:Fibroblast Growth Factor

*7:Ceroid Lipofuscinoses

*8:MonoAmine Oxidase

*9:Hyperpolarization-activated Cyclic Nucleotide-gated

*10:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency

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