薬剤師の脳みそ

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12歳未満の小児 コデイン関連製剤禁忌〜2019年7月9日改訂指示②

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(ここからが記事本文になります)

令和1年7月9日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は大きく分けて3つの改訂指示が出されています。
この記事では、そのうちの一つ、コデイン等を12歳未満の小児に対しては禁忌とする改訂指示についてまとめます。
  
  

添付文書改訂指示
  
  

使用上の注意の改訂指示(令和元年7月9日)

PMDAへのリンクを貼っておきます。

  
今回、添付文書の改訂が実施されたのは以下の3種類の内容についてです。

この記事では「コデイン等の12歳未満の小児に対しての使用は禁忌」についてまとめます。
コデイン・ジヒドロコデイン・トラマドールの小児使用制限については段階的に進められてきました。
経緯については過去記事でもまとめています。

  
ちなみに、今年度からpmdaが発出する改定案の一部は旧記載要領と新記載要領の両方が掲載されるようになっています。

現時点で各医薬品が採用している記載方式に従ってまとめます。
  
  

コデインリン酸塩等の12歳未満の小児における使用の禁忌移行について

コデインリン酸塩等の12歳未満の小児における使用の禁忌移行について(令和元年6月26日 令和元年度第4回安全対策調査会 資料3-1)
資料に今回の移行の経緯が書かれています。
平成29年度第3回医薬品安全対策部会安全対策調査会において、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩(以下「コデイン類」という。)及びトラマドール塩酸塩(以下「トラマドール」という。)を含む医薬品について、一定の経過措置期間を設けたうえで、12歳未満の小児を禁忌にする等の、使用上の注意の改訂を行うとされた。今般、経過措置期間が終了したことから、全てのコデイン類含有製剤及びトラマドール含有製剤について、所要の改訂(別紙1参照)を行う。
引用元:コデインリン酸塩等の12歳未満の小児における使用の禁忌移行について(令和元年6月26日 令和元年度第4回安全対策調査会 資料3-1)
平成29年度第3回医薬品安全対策部会安全対策調査会の資料はこちら。
平成29年度第3回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 資料3-1 コデインリン酸塩等の小児等への使用制限について
みなさん、ご存知の通り、コデイン・ジヒドロコデイン・トラマドールについては段階的に12歳未満の小児を禁忌にしていくということでした。
経過措置期間が満了し、ついに禁忌に移行されます。
  

海外での状況を踏まえての禁忌移行

今回の話は日本独自のものではなく、海外での状況を踏まえての対応となっています。
各国の状況を整理してみると以下の通りです。
これらに追従する形で日本も禁忌に移行するということです。
  

米国のコデインに対する規制

2013年2月

  • 扁桃摘除術又はアデノイド切除術を受けた18歳未満の患者:疼痛緩和目的での使用禁忌

2017年4月

  • 12歳未満の小児:鎮痛・鎮咳薬としてのコデインの使用禁忌

OTC(2008年1月)

  • 全てのかぜ薬・鎮咳薬について2歳未満禁忌(ただし、米国OTC協会は自主的申合せとして4歳未満禁忌)

  

EUのコデインに対する規制

2013年6月

  • 12歳未満の小児:疼痛緩和目的での使用禁忌
  • 扁桃摘除術又はアデノイド切除術を受けた18歳未満の患者:疼痛緩和目的での使用禁忌

2015 年4月実施

  • 12歳未満の小児:鎮咳目的での使用禁忌
  • 呼吸障害のある12歳〜18歳の患者:鎮咳目的での使用を推奨しない

OTC

  • 12歳未満の小児:鎮痛・鎮咳目的の使用不可

  

カナダのコデインに対する規制

  • 12歳未満の小児:鎮痛・鎮咳薬としてのコデインの使用不可
  • 18歳未満の患者:扁桃腺除去術に係る疼痛管理使用不可
  • OTC:12歳未満の小児は鎮痛・鎮咳目的での使用不可

  

コデインの小児に対する使用が危険とされる理由

コデイン(ジヒドロコデイン)は薬物代謝酵素CYP2D6により、モルヒネ(ジヒドロモルヒネ)に代謝されることで、鎮咳作用を発揮します。
ですが、CYP2D6は遺伝的に活性が高い人と低い人がいることが知られています。
CYP2D6の活性が高い場合、モルヒネ(ジヒドロモルヒネ)の血中濃度が上昇してしまい、呼吸抑制などの副作用が出現しやすくなってしまいます。
特に小児においてはそのリスクが高いため、今回の改訂につながっています。
ちなみに、日本人においては、CYP2D6が過剰に発現するUM(Ultrarapid Metabolizer)の割合は高くない(1%程度)とされています。
※欧米人のCYP2D6UMの割合:3.6%〜6.5%
※日本人のCYP2D6の遺伝子変異の割合

  • UM(Ultrarapid Metabolizer、酵素活性高い):約1%
  • EM(Extensive Metabolizer、酵素活性普通):55%
  • IM(Inter mediate Metabolizer、酵素活性半分):40%
  • PM(Poor Metabolizer、酵素活性ほぼなし):1〜2%

  

トラマドールについても同様の対応

トラマドールはそもそもコデインの類似体です。
その活性代謝物の一つにO-デスメチルトラマドールがありますが、μ-オピオイド受容体に対する親和性を持ち、作用の中心でもありますが、血中濃度が高くなると呼吸抑制を引き起こす可能性があります。
コデイン(ジヒドロコデイン)→モルヒネ(ジヒドロモルヒネ)と同様にCYP2D6によって代謝されるので、コデインやジヒドロコデインと同様の危険性があるということになります。
トラマドールの代謝については過去記事に詳しくまとめています。
pharmacist.hatenablog.com
  
  

トラマドール製剤に対する改訂指示

まずはトラマドール製剤について。
経口剤・配合剤・注射剤で分けています。
  

トラマドール塩酸塩 経口剤(トラマールOD錠・ワントラム錠)

トラマールOD錠・ワントラム錠 使用上の注意改訂のお知らせ(2019年7月)
トラマドール塩酸塩(経口剤)

  

改訂指示の内容

【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 禁忌 に以下の内容が新設されます。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
5.12歳未満の小児
引用元:
これに伴い、添付文書 > 使用上の注意 > 2.重要な基本的注意 から
「(5)重篤な呼吸抑制があらわれるおそれがあるので、12歳未満の小児には投与しないこと(「小児等への投与」の項参照)。」
の記載が削除されます。
  

トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤(トラムセット配合錠・トアラセット配合錠)

トラムセット配合錠 使用上の注意改訂のお知らせ(2019年7月)
トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤

  • トラムセット配合錠(添付文書IF
  • トアラセット配合錠「各社」

  

改訂指示の内容

【新記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 2. 禁忌 に以下の内容が新設されます。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.1 12歳未満の小児
引用元:トラムセット配合錠 添付文書
  

トラマドール塩酸塩 注射剤(トラマール注)

トラマール注100「使用上の注意」改訂のお知らせ(2019年7月)
トラマドール塩酸塩(注射剤)

  

改訂指示の内容

【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 禁忌 に以下の内容が新設されます。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
7.12歳未満の小児
8.扁桃摘除術後又はアデノイド切除術後の鎮痛目的で使用する18歳未満の患者
引用元:トラマール注 添付文書
  
  

コデイン類に対する改訂指示

コデインリン酸塩(単剤)・ジヒドロコデインリン酸塩(単剤)・ジヒドロコデインリン酸塩(配合剤)、各OTCに分けてまとめます。
  

コデインリン酸塩(単剤)・ジヒドロコデインリン酸塩(単剤)

コデインリン酸塩水和物(単剤)

  • コデインリン酸塩「タナベ」原末
  • コデインリン酸塩散10%(各社)
  • コデインリン酸塩散1%(各社)
  • コデインリン酸塩水和物「タケダ」原末
  • コデインリン酸塩水和物「第一三共」原末
  • コデインリン酸塩錠20mg「タケダ」
  • コデインリン酸塩錠20mg「第一三共」
  • 日本薬局方コデインリン酸塩錠
  • 日本薬局方コデインリン酸塩散10%
  • コデインリン酸塩錠5mg「シオエ」
  • リン酸コデイン錠5mg「ファイザー」

  
ジヒドロコデインリン酸塩(単剤)

  • ジヒドロコデインリン酸塩「タケダ」原末
  • ジヒドロコデインリン酸塩「第一三共」原末
  • ジヒドロコデインリン酸塩散10%「タケダ」
  • ジヒドロコデインリン酸塩散10%「第一三共」
  • ジヒドロコデインリン酸塩散1%(各社)

  
コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩のいずれも以下の適応を持つものになります。

  • 各種呼吸器疾患における鎮咳・鎮静
  • 疼痛時における鎮痛

  

改訂指示の内容

【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 禁忌 に以下の内容が新設されます。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
12歳未満の小児
扁桃摘除術後又はアデノイド切除術後の鎮痛目的で使用する18歳未満の患者
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年7月9日指示分)その1
これに伴い、添付文書 > 使用上の注意 > 2.重要な基本的注意 から

  • 「重篤な呼吸抑制があらわれるおそれがあるので、12歳未満の小児には投与しないこと。」
  • 「重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがあるので、18歳未満の扁桃摘除術後又はアデノイド切除術後の鎮痛には使用しないこと。」

の記載が削除されます。
  
【新記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 2. 禁忌 に以下の内容が新設されます。

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  • 12歳未満の小児
  • 扁桃摘除術後又はアデノイド切除術後の鎮痛目的で使用する18歳未満の患者

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年7月9日指示分)その1

これに伴い、添付文書 > 9. 特定の背景を有する患者に関する注意 > 9.1 合併症・既往歴等のある患者 から

  • 「18歳未満の扁桃摘除術後又はアデノイド切除術後の患者」
  • 「鎮痛には使用しないこと。重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがある。」

の記載が削除されます。
また、添付文書 > 9. 特定の背景を有する患者に関する注意 > 9.7 小児等 から「扁桃摘除術後又はアデノイド切除術後の小児鎮痛には使用しないこと。重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがある。」の記載が削除されます。
  

ジヒドロコデインリン酸塩(配合剤)

ジヒドロコデインリン酸塩・キキョウ流エキス・カンゾウエキス・シャゼンソウエキス・シャクヤクエキス

  • オピセゾールコデイン液

ジヒドロコデインリン酸塩・dl-メチルエフェドリン塩酸塩・クロルフェニラミンマレイン酸塩

  • クロフェドリンS配合錠
  • クロフェドリンS配合シロップ
  • フスコデ配合錠
  • フスコデ配合シロップ
  • フスコブロン配合シロップ
  • プラコデ配合シロップ
  • ミゼロン配合シロップ
  • ムコブロチン配合シロップ
  • ライトゲン配合シロップ
  • ニチコデ配合散
  • プラコデ配合散

ジヒドロコデインリン酸塩・ジプロフィリン・dl-メチルエフェドリン塩酸塩・ジフェンヒドラミンサリチル酸塩・アセトアミノフェン・ブロモバレリル尿素

  • カフコデN配合錠

ジヒドロコデインリン酸塩・エフェドリン塩酸塩・塩化アンモニウム

  • セキコデ配合シロップ

  

改訂指示の内容

【旧記載要領】に従ってまとめます。
添付文書 > 禁忌 に以下の内容が新設されます。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
12歳未満の小児
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年7月9日指示分)その1
これに伴い、、添付文書 > 使用上の注意 > 2.重要な基本的注意 から「重篤な呼吸抑制があらわれるおそれがあるので、12歳未満の小児には投与しないこと。」の記載が削除されます。
  

一般用医薬品

  • コデインリン酸塩水和物含有製剤(一般用医薬品)
  • ジヒドロコデインリン酸塩含有製剤(一般用医薬品)

商品名は省略します。
  

改訂指示の内容

添付文書 >してはいけないこと に以下の内容が新設されます。
してはいけないこと
次の人は服用しないこと

  • 12歳未満の小児

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年7月9日指示分)その1

※用法及び用量で認められている最小の年齢が13歳以上の場合、「してはいけないこと」の項、外部の容器又は外部の被包の記載も「12歳未満」を最小の年齢に置き換えて追記すること。
これに伴い、、添付文書 > 用法及び用量に関連する注意 から「12歳未満の小児には、医師の診療を受けさせることを優先すること。」の記載が削除されます。
  
  

まとめ

2年の歳月をかけて、ようやくコデイン・ジヒドロコデイン・トラマドールが12歳未満の小児に対して禁忌となりました。
前の記事にも書きましたが、小児に対しては使う先生は使う・・・という印象が多かった気がします。
慣れの部分も大きいのかもしれませんが・・・。
個人的には鎮咳薬としてのコデイン類はここぞという時に絞って使いたいと思っているのもあり、小児に使用されなくなるのは安心材料です。
ただ、これまで普通に使っていた先生からすると、武器を奪われた・・・という感覚もあるのかもしれませんね。

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