薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。何卒、ご理解ください。   

5種類の副作用追記 SGLT阻害薬によるフルニエ壊疽など〜令和元年5月9日 添付文書改訂指示

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(ここからが記事本文になります)

令和1年5月9日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は大きく分けて5つの副作用について、それぞれ添付文書の改訂指示が出されています。
  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。
  
  

添付文書改訂指示
  
  

使用上の注意の改訂指示(令和元年5月9日)

PMDAへのリンクを貼っておきます。

  
今回、添付文書の改訂が実施されたのは以下の5種類の内容についてです。

  • トルリシティ皮下注:重度の下痢、嘔吐(重大な副作用)
  • SGLT2阻害剤 各種:フルニエ壊疽(重要な基本的注意、重大な副作用)
  • オプジーボ点滴静注:下垂体機能障害(重要な基本的注意、重大な副作用)、副腎障害(重大な副作用)
  • レンビマカプセル:間質性肺炎(重大な副作用)
  • インフルエンザHAワクチン:急性汎発性発疹性膿疱症(重大な副反応)

  
ちなみに、今回(今年度)からpmdaが発出する改定案は旧記載要領と新記載要領の両方が掲載されるようになっています。

違いは項目番号の有無のみなので、現段階では旧記載要領の方を参考にしています。
  
  

デュラグルチド(遺伝子組換え)による重度の下痢、嘔吐

添付文書改訂の対象となる薬剤は以下の通りです。

  
トルリシティ皮下注は2型糖尿病に対する適応を持つ週1回投与のGLP-1 受容体作動薬です。
直近3年度に国内で胃腸障害関連症例が7例報告されており、そのうち因果関係が否定できない症例は3例です。
死亡例の報告はありません。

本剤との因果関係が否定できない重度の下痢、嘔吐の発現症例が複数報告され、これらの症例の中には脱水を続発し、急性腎障害に至った症例も認められていることから、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、「重大な副作用」の項に「重度の下痢、嘔吐」を追加するとともに、脱水を続発し急性腎障害に至る可能性がある旨を記載し注意喚起することが適切と判断した。
引用元:デュラグルチド(遺伝子組換え)の「使用上の注意」の改訂について
  

添付文書の改訂内容

具体的な添付文書の改訂内容は以下の通りです。
[副作用]の「重大な副作用」の項に以下の内容が追記されます。
重度の下痢、嘔吐:
重度の下痢、嘔吐から脱水を続発し、急性腎障害に至った例も報告されている。
引用元:トルリシティ皮下注0.75mgアテオス 添付文書
  
  

SGLT2阻害剤によるフルニエ壊疽

対象となる薬剤は以下の通りです。  
直近3年度に国内で外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)関連症例はエンパグリフロジンによる因果関係が否定できない1例のみの報告で死亡例の報告はありません。
以下の点を踏まえ、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)に関する注意喚起を追加することが適切と判断した。

  • 国内において、SGLT2阻害剤との因果関係が否定できない外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)を認めた症例が報告されていること
  • 海外において、SGLT2阻害剤服用後に当該事象を認めた症例が集積していること
  • WHO 個別症例安全性報告(ICSRs)グローバルデータベース(VigiBase)を用いた不均衡分析において、複数のSGLT2阻害剤(ダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン)でフルニエ壊疽又は壊死性筋膜炎の副作用報告数が、データベース全体から期待される値より高いことが統計学的に示されているが、他の糖尿病用薬ではこのような傾向は示されていないこと。
  • SGLT2阻害剤投与時の外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)の発生機序は明確にはなっていないものの、SGLT2阻害剤の薬理作用(尿中グルコース排泄促進作用)の影響も否定できないこと。

引用元:ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤含有製剤の「使用上の注意」の改訂について

  

フルニエ壊疽

フルニエ壊疽という言葉を耳にすることは多くないかもしれません。
尿路感染がきっかけとなり、陰部に急速に炎症が進行して、急激な経過をたどる壊死性筋膜炎です。
1883年にフランス人医師Fournierが報告したことから「フルニエ」壊疽と呼ばれています。
昨年8月にはSGLT2阻害剤によるフルニエ壊疽についてFDAが注意喚起を出しています。

  

添付文書の改訂内容

具体的な添付文書の改訂内容は以下の通りです。
[重要な基本的注意]の項の文章が以下のように変更されます。

  • 変更前:尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症等の重篤な感染症に至ることがある。また、膣カンジダ症等の性器感染を起こすことがある。
  • 変更後:尿路感染及び性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがある。

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年5月9日指示分)

また、[副作用]の「重大な副作用」の項の文章が以下のように変更されます。

  • 変更前 腎盂腎炎、敗血症:腎盂腎炎があらわれ、
  • 変更後 腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症:腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)があらわれ、

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年5月9日指示分)

  
  

ニボルマブ(遺伝子組換え)による下垂体機能障害、副腎障害

添付文書改訂の対象となる薬剤は以下の通りです。

  
オプジーボ点滴静注はヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体で、免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれている項悪性腫瘍剤(抗がん剤)です。
直近3年度に国内で下垂体機能障害関連症例が76例報告されており、そのうち因果関係が否定できない症例は11例でした。
死亡例が2例報告されており、そのうち1例は因果関係が否定できないのものです。
また、すでに「重大な副作用」で注意喚起されている「副腎障害」は下垂体機能障害と検査項目が同じため、下垂体機能障害と合わせて「重要な基本的注意」の項に追記されることになりました。
  

添付文書の改訂内容

具体的な添付文書の改訂内容は以下の通りです。
[重要な基本的注意]の項の文章が以下のように変更されます。

  • 変更前:甲状腺機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に甲状腺機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4等の測定)を実施すること。本剤投与中に甲状腺機能障害が認められた場合は、適切な処置を行うこと。
  • 変更後:甲状腺機能障害、下垂体機能障害及び副腎障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に内分泌機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4、ACTH、血中コルチゾール等の測定)を実施すること。また、必要に応じて画像検査等の実施も考慮すること。異常が認められた場合は、適切な処置を行うこと。

引用元:オプジーボ点滴静注 添付文書

また、「重大な副作用」に以下の内容が追記されます。

下垂体機能障害:下垂体炎、下垂体機能低下症、副腎皮質刺激ホルモン欠損症等の下垂体機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
引用元:オプジーボ点滴静注 添付文書
  
  

レンバチニブメシル酸塩による間質性肺炎

添付文書改訂の対象となる薬剤は以下の通りです。

  
レンビマカプセルは根治切除不能な甲状腺癌、切除不能な肝細胞癌に対する適応を持つマルチキナーゼ阻害薬です。
直近3年度に国内で間質性肺炎が11例報告されており、そのうち因果関係が否定できない症例は4例でした。
死亡例が4例報告されており、そのうち1例は因果関係が否定できないのものです。
  

添付文書の改訂内容

具体的な添付文書の改訂内容は以下の通りです。
「重大な副作用」に以下の内容が追記されます。
間質性肺疾患:間質性肺疾患があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
引用元:レンビマカプセル 添付文書
  
  

インフルエンザHAワクチンによる急性汎発性発疹性膿疱症

添付文書改訂の対象となる薬剤は以下の通りです。

  
直近3年度に国内で急性汎発性発疹性膿疱症が1例報告されており、因果関係が否定できないものでした。
死亡例の報告はありません。
  

添付文書の改訂内容

具体的な添付文書の改訂内容は以下の通りです。
「重大な副反応」に下線部の内容が追記されます。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症
皮膚粘膜眼症候群、急性汎発性発疹性膿疱症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年5月9日指示分)

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