薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

認知症治療の少量投与と一般名処方の銘柄名併記について(疑義解釈その11)~H28年(2016)調剤報酬改定⑯

平成29年5月26日に疑義解釈その11が公開されています。
疑義解釈その10は薬局に関連する内容がなかったので取り上げませんでした。
今回も調剤報酬についての内容はありませんでした。
ですが、認知症治療薬の少量投与や一般名処方への銘柄併記についてなど、薬局に深く関わる内容があったのでまとめてみようと思います。
  
  
H28調剤報酬改定についての過去記事はこちらです。
なお、疑義解釈等が公開されて初めて考え方がわかるものもあるので、あくまで現時点での一人の薬剤師の解釈として捉えてもらえれば幸いです。
解釈に変更等があれば随時更新する予定です。

  
厚生労働省のホームページで公開されている「疑義解釈資料の送付について(その11)」はこちら。
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=448302&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000165993.pdf
  
  

  
  

認知症治療薬の少量投与について

認知症の中核症状に対して使用される薬剤として、

  • ドネペジル塩酸塩(アリセプト)
  • メマンチン塩酸塩(メマリー)
  • ガランタミン臭化水素酸塩(レミニール)
  • リバスチグミン(リバスタッチパッチ/イクセロンパッチ)

の4種類があります。
これらの薬剤はいずれも低用量から開始し、増量を行い、通常用量まで達したあとは、その用量で継続していく薬剤とされています。
ですが、副作用の観点から常用量よりも少ない量で継続するケースがあったり、コウノメソッドのように患者さんによっては初めから低用量を検討するようなケースも存在しています。
少量投与については保険上の適応と異なる適応外の使用として、県によっては一律査定の対象となっていたようですが、それに対して、少しブレーキをかけるような内容が今回の疑義照会で改めて確認されています。
  
  

認知症治療薬の用量については個々の症例に応じた判断を行う

疑義解釈の内容を見てみましょう。

〈別添1〉
医科診療報酬点数表
【認知症薬】
(問2)認知症治療薬について、患者の症状等により添付文書の増量規定(※)によらず当該規定の用量未満で投与した場合、当該用量未満の認知症治療薬の取扱いはどのようになるか。
※例えば、ドネペジル塩酸塩錠については、添付文書の「用法・用量」欄において、「通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する」と記載されている。
(答)添付文書の増量規定によらず当該規定の用量未満で投与された認知症治療薬については、平成28年6月1日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡により審査支払機関に対して、一律に査定を行うのではなく、診療報酬明細書の摘要欄に記載されている投与の理由等も参考に、個々の症例に応じて医学的に判断するよう連絡している。

  
ということで、すでに事務連絡が出された内容の再確認がなされている形になっています。
事務連絡の内容とは、「認知症治療薬の用量(少量投与)については、一律の査定を行うのではなく、摘要欄に記載された内容を参考にして、個々の症例に応じて医学的に判断を行う」ということです。
これまで、一律に査定が行われていた県もあったようですが、現在はそうではないということですね。
  
ただし、少量投与が全て認められるというわけではありません。
初めから少量投与ありきということではなく、あくまでも、何らかの理由で少量投与を行わざるを得ない場合は、摘要欄にその理由を記載していれば、それを加味してもらえる・・・程度の話ですね。
そこのところはしっかり把握しておかなければいけないと思います。
  
ただ、認知症治療薬に限らず、用量の制限がある薬というのは多く存在します。
その中で、認知症治療薬がこのような議論の対象となり、事務連絡まで出される結果になったのは、少々不思議な気もしますが、「一般社団法人 抗認知症薬の適量処方を実現する会」などの団体も存在するので、そういった活動の結果なのかもしれませんね。
  
  

一般名処方への銘柄名併記

一般名処方がで始めた時、いくつかの病院で、処方箋の一般名の隣に先発医薬品名が印刷されていたり、鉛筆で記載されていたのを見かけた記憶があります。
当時は、これはどういうことなんだろう・・・と思った記憶があります。
ですが、一部の医薬品の一般名はそれが何の薬を指すのかが非常にわかりにくいケースが存在します。
そのような場合は、医師がどの薬を処方しようとしているのかが記載してあった方がわかりやすく、何よりも調剤ミスの回避のために大切だと思います。
今回の疑義解釈では、一般名処方の内容をわかりやすくするために先発医薬品や後発医薬品の銘柄名を記載した場合でも、一般名処方加算(医科)の算定は可能という内容です。
つまり、一般名処方の銘柄名併記を認めるという内容になります。
  
  

医療安全のために一般名処方へ銘柄名を併記することは問題ない

疑義解釈資料の内容を確認してみましょう。

〈別添1〉
医科診療報酬点数表
【一般名処方加算】
(問3)区分番号「F400」処方せん料の注7に規定する一般名処方加算について、一般的名称で処方薬が記載された処方せんに、医療安全の観点から類似性等による薬の取り違えを防ぐ目的の参考情報として、一般的名称に先発品又は後発品の銘柄名を併記する場合は、当該加算は算定可能か。
(答)算定可能である。一般名処方加算は、一般的名称による処方せんを交付した場合に限り算定できるものであり、医師が個別の銘柄にこだわらずに処方を行っていることを評価した点数である。したがって、この場合に併記される銘柄名は、処方薬に係る参考情報であることから、個別銘柄の指定と誤解されることのないよう、備考欄などに記載することが望ましい。
(参考)この疑義解釈については、薬剤名の一般的名称を基本とした販売名の類似性に起因する薬剤取り違え防止のための対応が課題とされた「平成27年度厚生労働科学研究内服薬処方せんの記載方法標準化の普及状況に関する研究」を踏まえ、その対応策の一つとして、 類似性等による取り違えリスクが特に懸念される名称のものについては、先発品の使用が誘引されることがない範囲で、先発品や代表的な後発品の製品名等を参考的に付記する等の工夫が有効と考えられることを示した平成29年5月26日付け厚生労働省事務連絡「平成27年度厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)「内服薬処方せんの記載方法標準化の普及状況に関する研究」結果の概要について(情報提供)」において医療機関等へ周知されることになったことに合わせて、個別の銘柄へのこだわりではなく医療安全の観点での銘柄名の併記による、一般名処方加算についての取り扱いを明確にしたものである。

  
以上のように、
「先発医薬品の使用を誘引する目的ではなく、薬剤の取り違えを防ぐ目的であれば、一般名処方に特定の銘柄名を記載した処方箋を発行した場合においても一般名処方加算は算定可能」
ということが明確に記載されています。
一般名処方が普及して何年か経ちましたが、やはりたまに「え!?この薬なんだ?」って思うような一般名を見かけることがあります。
中には類似した名前が複数存在することもあり、医薬品の取り違いなどの調剤ミスのリスクに繋がるケースがあるので、わかりやすく処方箋に記載されていればありがたいと思います。
(今回の疑義解釈を受けて、銘柄併記が増えるということはあまり期待はできませんが・・・)
  
  

間違いに注意が必要な一般名処方

ということで、個人的に紛らわしいなとか気をつけないといけないなと思う一般名について簡単にまとめてみようと思います。
  

成分量で規格等を区別

エビプロスタットはオオウメガサソウエキスの量で規格が異なります。

  • オオウメガサソウエキス0.5mg・ハコヤナギエキス等配合錠 → エビプロスタット配合錠SG(エルサメット配合錠、エピカルス配合錠)
  • オオウメガサソウエキス1.0mg・ハコヤナギエキス等配合錠 → エビプロスタット配合錠DB(エルサメットS配合錠、エピカルスS配合錠)

PL、ピーエイはプロメタジンの量の違いで分けられています。(顆粒や錠剤とは記載されていません・・・)

  • プロメタジン1.35%等配合非ピリン系感冒剤 → PL配合顆粒
  • プロメタジン6.75mg等配合非ピリン系感冒剤 → ピーエイ配合錠

  

同成分だが持続時間で区別

カルテオロール点眼液は持続性か非持続性かで分けられています。

  • カルテオロール塩酸塩点眼液(持続性) → ミケランLA点眼液
  • カルテオロール塩酸塩点眼液(持続性) → ミケラン点眼液

  
チモロール点眼液も同様です。

  • チモロール点眼液(持続性) → チモプトールXE点眼液
  • チモロール点眼液(持続性) → チモプトール点眼液

  
テオフィリンは持続時間により異なります。(ジェネリックは徐放錠と徐放U錠で分けられています)

  • テオフィリン徐放錠(12~24時間持続) → テオドール錠、テオロング錠(テオフォリン徐放錠)
  • テオフィリン徐放錠(24時間持続) → ユニフィルLA錠、ユニコン錠(テオフィリン徐放U錠)

  
ニフェジピンは12時間持続(1日2回服用)と24時間持続(1日3回服用)で異なります。

  • ニフェジピン徐放錠(12時間持続) → アダラートL錠
  • ニフェジピン徐放錠(24時間持続) → アダラートCR錠

  
フェンタニルには1日ごとに貼り替える製剤と3日毎に貼り替える製剤がありますね。

  • フェンタニルテープ(日用) → フェントステープ
  • フェンタニルテープ(日用) → デュロテップMTパッチ

  

普通錠か腸溶錠かで区別

サラゾピリンとアザルフィジン。

  • サラゾスルファピリジン錠 → サラゾピリン錠
  • サラゾスルファピリジン腸溶錠 → アザルフィジンEN錠

  
ペンタサとアサコール。
リアルダもメサラジン腸溶錠になりそうですね。(規格で区別?)

  • メサラジン錠 → ペンタサ錠
  • メサラジン腸溶錠 → アサコール錠

  

先発品の略称で区別

サンディミュンとネオーラル(NE)。

  • シクロスポリンカプセル → サンディミュンカプセル
  • シクロスポリンカプセル:NE → ネオーラルカプセル

  
グリコラン(GL)とメトグルコ(MT)。
これはみなさんご存知ですね。

  • メトホルミン塩酸塩錠:GL → グリコラン(メルビン、メデット)
  • メトホルミン塩酸塩錠:MT → メトグルコ

  

温湿布と冷湿布

これはわかりやすいかな?

  • サリチル酸メチル等配合パップ10g(温感) → MS温シップ
  • サリチル酸メチル等配合パップ10g(温感) → MS冷シップ

  

  • フェルビナクテープ(温感) → フェルナビオンテープ(製造中止、経過措置)
  • フェルビナクテープ(温感) → スミルテープ、セルタッチテープ

  

  • フェルビナクパップ(温感) → フェルナビオンパップ
  • フェルビナクパップ(温感) → セルタッチパップ

  
ロキソプロフェンテープのジェネリックには温湿布が存在するので注意です。

  • ロキソプロフェンNaテープ(温感) → ロキソプロフェンナトリウムテープ「タイホウ」、同「三友」
  • ロキソプロフェンNaテープ(非温感) → ロキソニンテープ

  

耐性乳酸菌は量によって区別

これは有名かもしれません。
それにしてもややこしい・・・。

  • 耐性乳酸菌カプセル27.9mg → レベニンカプセル
  • 耐性乳酸菌散0.6% → ビオフェルミンR散
  • 耐性乳酸菌散1.8% → レベニン散
  • 耐性乳酸菌散1.8% → ラクスパン
  • 耐性乳酸菌散1% → ラックビーR散
  • 耐性乳酸菌散10% → エンテロノン-R散
  • 耐性乳酸菌錠18mg → レベニン錠
  • 耐性乳酸菌錠6mg → ビオフェルミンR錠

  

適応で区別

炭酸カルシウム製剤には高リン血症に用いるものと制酸剤に用いるものがあります。

  • 沈降炭酸カルシウム口腔内崩壊錠(高リン血症用) → カルタンOD錠
  • 沈降炭酸カルシウム錠(高リン血症用) → カルタン錠
  • 沈降炭酸カルシウム錠(制酸剤) → 炭カル錠

  

その他

ヒルドイドソフト軟膏の場合、後発医薬品の剤型を知っていると混乱するかもしれません。
一般名が「軟膏」なのに、ジェネリック医薬品は「油性クリーム」。

  • ヘパリン類似物質軟膏0.3% → ヒルドイドソフト軟膏(ヘパリン類似物質油性クリーム

  
他にも色々あると思います。
日本薬剤師会も注意が必要なもののリストを作成しているので参考にしてください。
「一般名処方マスタ掲載品のうち、特に注意を要するもの」(日本薬剤師会作成)