薬剤師の脳みそ〜くすりと医療制度

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ビラノア錠〜眠気は少なく効果はしっかり!の第二世代抗ヒスタミン薬(H31.3.15更新)

新人薬剤師さんへ
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この記事では第二世代抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)のビラノア錠についてまとめます。
平成28年9月9日の厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会で承認了承、9月28日には正式に承認されました。
平成28年11月18日に薬価収載、同日から販売開始されています。
(元々は2016年10月12日に作成した記事ですが修正を行っています。)
  
  

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ビラノア錠

成分名 ビラスチン
販売名 ビラノア錠20mg
申請者 大鵬薬品
効能・効果 アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、
皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
用法・用量 通常、成人にはビラスチンとして1回20mgを1日1回空腹時に経口投与する。
ビラノア錠20mg 添付文書
ビラノア錠20mg インタビューフォーム
  
新規抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)です。
ここに来て、デザレックス、ビラノアと第二世代抗ヒスタミン薬が続けて登場となりました。
デザレックス(成分名:デスロラタジン)については少し前にまとめましたね。

個人的にはなんで今更抗アレルギー剤が追加に・・・なんて思っちゃいますが。
  

抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)

アレルギー反応は様々な原因物質によって引き起こされますが、アレルギーによる様々な症状を引き起こす代表的な物質の1つにヒスタミンがあります。
IgEなどの刺激によって肥満細胞(マスト細胞)から放出されるヒスタミンは血管拡張作用や血管透過性亢進作用を引き起こし、鼻水やくしゃみなどのアレルギー反応を引き起こします。
抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)はヒスタミン受容体(H1受容体)に結合し、ヒスタミンとH1受容体の結合に拮抗することでアレルギー反応を抑える効果があります。
抗ヒスタミン薬の副作用として代表的かつ問題になりやすいのが眠気やインペアードパフォーマンス(認知機能の低下)です。
古くから使われている抗ヒスタミン薬は第一世代抗ヒスタミン薬と呼ばれており、眠気やインペアードパフォーマンスの副作用が出現しやすくなっています。
これに対して脂溶性を高めることで脳内に移行しにくくし、眠気やインペアードパフォーマンスの副作用が少なくなるように開発されたものは第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれ、現在の主流となっています。
ビラノアはもちろん第二世代抗ヒスタミン薬に分類されます。  
  

ビラスチンと他の第二世代抗ヒスタミン薬との比較

ビラノアが他の第二世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬と比較してどのような特徴を持つのかまとめてみます。
  

強い効果と眠気の少なさ

ビラスチンのヒスタミンH1受容体拮抗薬としての効果は強いと言われています。
スギ花粉患者に対する試験では、フェキソフェナジン(アレグラ®︎)と比較してビラスチンより有効だったという結果が出ています。
また、皮膚症状に関する試験ではセチリジン(ジルテック®︎)と比較して早く効果を発揮しています。
ということはレボセチリジン(ザイザル®︎)に匹敵するような効果を持っているのかもしれません。
  
また、脳への移行性を検討した結果、大脳皮質のヒスタミンH1受容体の占拠は認められず、フェキソフェナジン(アレグラ®︎)やロラタジン(クラリチ®︎)、デスロラタジン(デザレックス®︎)と同様に、「重要な基本的注意」における「自動車等の運転制限」はつきません。
インペアード・パフォーマンス(Impaired Performance)を起こしにくい薬剤ということができます。
  
自動車等の運転制限の記載がない抗ヒスタミン薬
自動車等の運転制限の記載がない抗ヒスタミン薬は限られています。
具体的には以下の4種類の薬剤のみです。

  • アレグラ®︎(フェキソフェナジン)
  • クラリチン®︎(ロラタジン)
  • デザレックス®︎(デスロラタジン)
  • ビラノア®︎(ビラスチン)

また、添付文書には以下の記載があります。

【臨床成績】
2.精神運動能に及ぼす影響(外国人データ)
健康成人(18例)を対象に、本剤20mg、本剤40mg、ヒドロキシジン及びプラセボを二重盲検、クロスオーバーでそれぞれ1日1回8日間反復投与し、ドライビング試験により自動車運転能に及ぼす影響を評価したとき、本剤の自動車運転能に及ぼす影響はプラセボと有意な差を認めなかった。
引用元:ビラノア錠 添付文書
試験までしているのはかなり心強いですね。
  
運転等の制限がつかない抗ヒスタミン薬の新たな選択肢としてビラノアは期待できますね。
  
臨床試験における眠気の発現頻度の比較
ビラノアの国内臨床試験での眠気の報告は0.6%(国内臨床試験675例中)となっています。
異なる薬剤で添付文書の副作用の頻度を比較してもあまり意味がないことはわかっていますが、参考までにあえて比較してみます。
個人的にライバルとなりそうだなと思う薬剤の眠気の頻度をまとめてみると、

  • デザレックス:1.0%(国内臨床試験505例中)
  • ザイザル:3.3%(国内臨床試験・市販後調査等の合計7,155例中)
  • クラリチン:1.8%(国内臨床試験・市販後調査等の合計8,806例中)
  • アレグラ:1.7%(国内外臨床試験・市販後調査等の合計10,685例中)
  • アレロック:7.0%(国内臨床試験・市販後調査等の合計9,620例中)

臨床試験のみの調査で例数が少ないということもありますが、何気にビラノアが一番眠気の頻度が少ないということになりますね。
  
眠気が少なく、ザイザルと同程度の効果となるとなかなかいい薬かもしれませんね。
  

欠点は空腹時投与

ただし、少しだけ問題になりそうなのが「空腹時投与」の部分。
空腹投与と食後投与を比較した時、食後のCmaxは約60%低下、AUC0-tは約40%と大きく低下するようです。
食事の1時間以上前、もしくは2時間以上後に服用とのことなので、「就寝前」投与が現実的なところでしょうか?
これについては、ザイザルも食事の影響を受けるということで就寝前投与なので同じですね。
効果を出すためにも夜食は厳禁です。
  

ザイザルと比較して腎機能による制限が少ない

「慎重投与」には「中等度又は重度の腎機能障害患者(本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある)」のみ記載されています。
これに対してザイザルは腎機能による制限が多く、クレアチニンクリアランス(Creatinine clearance:Ccr)ごとに投与量が細かく分けられています。

  • Ccr≧80:ビラノア20mg、ザイザル5mg
  • Ccr=50~79:ビラノア20mg、ザイザル2.5mg
  • Ccr=30~49:ビラノア慎重投与、ザイザル2.5mgを2日に1回
  • Ccr=10~29:ビラノア慎重投与、ザイザル2.5mgを週に2回

こうして考えると、軽度の腎障害で通常量使用できるビラノアは使い勝手がいいと思います。
  

相互作用について

併用禁忌は存在しないのですが、併用注意はいくつかあります。
ビラスチンはP糖蛋白(P-glycoprotein:P-gp)及び有機アニオン輸送ポリペプチドOATP1A2の基質です。
特にP-gpを阻害する薬や食事の影響について、添付文書には以下のように記載があります。

  • エリスロマイシン(P-gp阻害):エリスロマイシン500mg 1日3回 7日間 併用反復経口投与→ビラスチンのCmaxは約2.9倍、AUC0-24は約1.9倍に上昇
  • 経口ケトコナゾール(P-gp阻害):ケトコナゾール400mg 1日1回 6日間 併用反復経口投与→ビラスチンのCmaxは約2.6倍、AUC0-24は約2倍に上昇
  • ジルチアゼム(P-gp阻害):ジルチアゼム 60mg 併用単回経口投与→ビラスチンのCmaxは約1.5倍、AUC0-infは約1.3倍に上昇
  • グレープフルーツジュース(OATP1A2阻害):グレープフルーツジュース240mL→ビラスチンのCmaxは約0.6倍、AUC0-infは約0.7倍に低下

  
P-gp阻害となると、クラリスロマイシンやシクロスポリンの影響も受けそうですね。
GFJに関しては、アレグラも大きく影響を受けると言われています。
OATP1A2の基質と言うことはりんごジュースとオレンジジュースなどのフルーツジュースによる吸収阻害の可能性も頭の片隅に置いておきたいですね。
  
  

まとめ

このタイミングで新しいヒスタミンH1受容体拮抗薬が発売される意味って何なんだ。
と思っていましたが、実際にザイザル等に匹敵するような同じ効果で、デザレックス・アレグラなみに眠気が少ないのであれば、投与制限がなくなる1年先にはかなり使いやすい薬になるかもしれませんね。
「運転制限なし」のヒスタミンH1受容体拮抗薬に作用が強いものが加わることになります。
  

平成28年11月18日、薬価収載・販売開始

平成28年11月18日に薬価収載され、同日から販売開始されています。
平成30年4月以降、ビラノア錠20mg 1錠の薬価は75.60円(薬価収載時は79.70円)となっています。
ちなみに、同時収載のデザレックス(成分名:デスロラタジン)は1錠 65.50円(薬価収載時は69.40円)となっています。
ザイザルが1錠 87.80円(ビラノアの薬価収載時は96.40円)ということを考えるとかなり手頃な値段ですね。
  
  

平成28年9月9日薬食審医薬品第二部会での審議品目

ちなみに、同日の部会で審議され、承認が了承されたのは以下の医薬品です。

  • ヒュミラ皮下注シリンジ:「非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎」の適応追加
  • ヴィキラックス配合錠とレベトールカプセル:「セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」の適応追加
  • ビラノア錠:新規ヒスタミンH1受容体拮抗薬
  • グラジナ錠:HCVに対する新規DAA NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤
  • エレルサ錠:HCVに対する新規DAA NS5A阻害剤
  • イデルビオン静注用:遺伝子組換えアルブミンと、遺伝子組換え血液凝固第IX因子の融合タンパク質
  • キイトルーダ点滴静注:新規免疫チェックポイント阻害薬、2剤目の抗PD-1抗体
  • エムプリシティ点滴静注用:ヒトCD319に対するIgG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体
  • アイクルシグ錠:BCR-ABLを阻害する白血病治療薬
  • コルヒチン錠0.5mg「タカタ」:「家族性地中海熱」の適応追加(報告品目)
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