薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

オプジーボ・トレアキシンの適応拡大〜2016年8月5日医薬品第二部会審議品目③

平成28年8月5日、厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会が行われました。
今回は、審議が行われた品目の中から、オプジーボ点滴静注とトレアキシン点滴静注についてまとめます。
免疫チェックポイント阻害薬、ヒト型抗ヒト PD-1モノクローナル抗体であるオプジーボ(成分名:ニボルマブ)は腎細胞がんへの適応が追加。
トレアキシン(成分名:ベンダムスチン塩酸塩)には慢性リンパ性白血病の適応が追加されます。
どちらも平成28年8月26日に正式に承認されました。
  
  

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平成28年8月4日薬食審・医薬品第一部会での審議品目

今回審議され、承認が了承されたのは以下の通りです。

少しずつまとめていきたいと思います。
  
  

オプジーボに腎細胞癌への適応追加

成分名:ニボルマブ(遺伝子組換え)

  • オプジーボ点滴静注20mg
  • オプジーボ点滴静注100mg

申請者:小野薬品
追加される効能・効果:根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
  
平成28年8月26日、正式に承認されました。
  
  

オプジーボが根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に使用可能に

オプジーボのこれまでの適応は、

  • 根治切除不能な悪性黒色腫
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

でしたが、新たに3つ目の適応「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」が加わります。
  
腎悪性腫瘍の中で最も多いのが腎細胞癌です。
今回の適応追加で、腎臓癌に初めて免疫チェックポイント阻害剤が使用可能となります。
血管新生阻害剤の治療歴を有する根治切除不能又は転移性の腎細胞がん患者に対して、世界で初めて全生存期間(OS:Overall Survival)の延長を示すことに成功したとのことです。
日本を含む地域で実施された第三相臨床試験において、対象薬であるエベロリムス(アフィニトール)と比較して、オプジーボ使用群は優位なOSの延長を示しています。
  
  

ヒト型抗ヒト PD-1モノクローナル抗体ニボルマブ

ニボルマブは免疫チェックポイント分子と言われているPD-1(programmed cell death-1)の細胞外領域(PD-1リガンド結合領域)に結合することで、PD-1とPD-L1の結合を阻害します。
活性化した免疫細胞表面に発現するPD-1にそのリガンドであるPD-L1が結合すると、免疫細胞の働きが抑制されてしまいます。
本来、がん細胞は免疫細胞の働きにより倒すことができるのですが、がん細胞の表面にPD-L1が発現していると、がん細胞を抗原として認識した免疫細胞もその働きを抑制されてしまい、がん細胞の増殖を抑えることができなくなってしまいます。
ニボルマブによりPD-1とPD-L1の結合が阻害されることで、免疫反応にかかっていたブレーキを解除し、がんを抗原とする抗原抗体反応を増強、悪性腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
  
  

高額薬剤に対する最適使用推進ガイドライン

オプジーボ、レパーサ、ソバルディ、ハーボニー等の高額薬剤について中医協で議論されている最適使用推進ガイドライン(GL)ですが、将来的な作成を想定しているため、今回の審議には入らないようです。
今後はGLが作成後に承認が審議されていくような流れになるのかもしれませんね。
  
  

トレアキシンに慢性リンパ性白血病の適応追加と剤形追加

成分名:ベンダムスチン塩酸塩

  • トレアキシン点滴静注用100mg
  • トレアキシン点滴静注用25mg(新剤形)

申請者:シンバイオ製薬
追加された効能・効果:慢性リンパ性白血病
  
販売はエーザイが行っています。
  
適応拡大は平成28年8月26日に正式に承認されました。
  
  

トレアキシンが慢性リンパ性白血病に使用可能に

これまでトレアキシンの適応は、

  • 再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫
  • 再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫

でしたが、新たに2つ目の適応「慢性リンパ性白血病」が加わります。
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の開発要請品目でした。
  
25mgも同適応での製造承認が了承されています。
  
  

ベンダムスチン塩酸塩

日本での製造承認は2010年10月ですが、抗悪性腫瘍剤としてはかなり古い歴史を持つ薬です。
1960年代に当時の東ドイツで合成され、1971年から東ドイツで、固形腫瘍に対して使用されていました。
元々は、アルキル化薬であるナイトロジェンマスタードと代謝拮抗剤であるプリンアナログ様化学構造を併せ持つ薬品を目指して合成されたものです。
  
ベンダムスチンの抗腫瘍作用は複数の作用機序によるものです。
その主な機序として、

  • p53依存性及び非依存性にアポトーシスを誘導
  • 有糸分裂期チェックポイントの抑制を行うことで分裂期破壊を誘導して腫瘍細胞を傷害

があります。
また、アルキル化剤との交叉耐性がない点も特徴となります。
  
  

まとめ

どちらの薬剤も薬局で触れることはない薬です。
ですが、オプジーボについては薬剤師であれば当然知っておかなければいけない!という薬ですよね。
今、話題の薬ですから。
抗がん剤の発展はめざましいものがあります。
かなりのレベルまで達しましたね。