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薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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医師の指示による分割調剤の先に日本版リフィル処方箋が見える?~H28年(2016)調剤報酬改定⑩

診療報酬改定 診療報酬改定-平成28年度(2016年度)調剤報酬改定

調剤報酬改定が実施され、皆さん忙しい業務に追われているのではないでしょうか?
お薬手帳については、クレームとまではいきませんが、不満を訴える方もいますね。
「お薬手帳があったほうが安くなるだなんて、持たないっていう選択を否定されたようなもんじゃないか」
と訴えられた方もいました。
その方は併用薬もなく、常に薬情を持ち歩いている方なので必要性を感じない気持ちはわかるのですが・・・。
医療従事者の共通ツールというお薬手帳の位置づけを認識してもらえるよう説明を行い、今回から持つことを納得してくれたのですが、業務が忙しかったり、患者さんのほうがゆっくり話を聞く状況になかったら、お薬手帳を理解してもらうのはなかなか難しいということを改めて実感しました。
  
さて、今回は分割調剤についてまとめてみます。
あまり扱う機会は多くないとは思いますが、今回の分割調剤が医師に認識されていけば、日本版リフィル処方箋につながっていくものと思います。
もし、数少ないチャンスに遭遇したときに、スムーズに対応できることで普及につながるのではないかと思うので、しっかり理解しておきたいですね。
  
  
H28調剤報酬改定についての過去記事はこちらです。
なお、疑義解釈等が公開されて初めて考え方がわかるものもあるので、あくまで現時点での一人の薬剤師の解釈として捉えてもらえれば幸いです。
解釈に変更等があれば随時更新する予定です。
pharmacist.hatenablog.com
  
  

  
  

これまでの分割調剤のおさらい

まず、これまでの分割調剤について復習しておきます。
これまでの分割調剤は、

  • 長期処方された薬の保存が困難(長期投薬分割調剤:14日分以上の処方に限る)
  • 後発医薬品のお試し調剤(後発医薬品分割調剤:初めてその後発医薬品を選択する場合に限る)

の2つのパターンがありました。
  
  

分割調剤(長期・GE)の流れ

これまでの分割調剤は、上に挙げたような理由に限ってのものでした。
薬剤師が分割調剤が必要と判断した場合、患者さんの了解を得て、医療機関にその旨を照会・もしくは連絡してから行います。
  
分割調剤を行った場合は、最終調剤が完了するまで処方箋に「調剤済み」の記載は行いません。
その代わり、処方箋に以下の内容を記載し、調剤録を作成した上で、処方箋は患者さんに返却する必要があります。

  • 分割調剤を行った理由
  • 実際に調剤した量
  • 調剤を行った年月日
  • 調剤した薬剤師による記名押印または署名
  • 調剤した薬局の名称および所在地
  • 処方変更の内容(必要に応じて)
  • 疑義照会およびその回答の内容(必要に応じて)

  
処方箋を返却する前に処方箋のコピーをとっておけば、調剤録と合わせての保管に便利です。
あまりないかもしれませんが、残りの調剤を他の薬局で受ける可能性もあるので。
  
  

長期投薬に関する分割調剤

処方日数が14日を超える処方で長期保存が困難な薬剤が存在するため等の理由で分割調剤を行った場合が該当します。
この理由で分割調剤を行う場合、薬局は処方箋発行元の医療機関に照会を行う必要があります。
  
  

長期投薬に関する分割調剤の算定

一回目は通常通り調剤基本料が算定できますが、二回目以降は分割調剤基本料(5点)を算定することになります。
また、二回目以降は薬剤服用歴管理指導料を含む薬学管理料を算定することができません
薬剤料については、その都度、実際に調剤した分を算定します。
最後に調剤料ですが、一回目は実際に調剤した分を算定できますが、二回目以降は「今回までに調剤した日数分の調剤料」から「前回までに調剤した日数分の調剤料」のを引いた差額分を請求するようになります。
つまり、分割調剤が調剤済み(完了)したときの調剤料の合計は、通常通り調剤した場合の調剤料と同じということですね。
ちなみに、外用剤の調剤料(1調剤につき10点)はその都度算定可能ですが、注射剤(1回の処方箋受付につき26点)は初回のみの算定となります。
  
もし、2回目以降に他の薬局で調剤を受けた場合は、それを初回としての算定となります。
つまり、分割調剤2回目等であっても、その薬局での調剤が初回であれば、通常通りの調剤基本料、薬剤服用歴管理指導料、調剤料が算定可能と言うことです。
  
  

後発医薬品変更に関する分割調剤

患者が初めて当該後発医薬品を服用することとなるため等の理由で分割調剤を行った場合が該当します。
この理由で分割調剤を行う場合は、薬局は処方箋発行元の医療機関に連絡すればOKです。
ただし、後発品のお試し調剤の結果、二回目に先発に戻すことになった場合に医療機関への報告を行わないといけません。
また、先発医薬品に再変更した理由等を調剤録に記入する必要もあります。
  
  

後発医薬品変更に関する分割調剤の算定

一回目は通常通り調剤基本料が算定できますが、二回目は分割調剤基本料(5点)を算定することになります。
長期投薬の分割調剤と異なるのは、三回目以降は調剤基本料の算定を行うことができない点です。
ただし、後発医薬品の分割調剤に関しては、二回目は薬剤服用歴管理指導料を算定することができます(他の薬学管理料は算定不可)。
三回目以降は、長期投薬の分割調剤と同様に、薬学管理料はすべて算定不可です。
薬剤料、調剤料については、長期投薬の分割調剤と同様です。
(略)  
  
  

これまでの分割調剤についての資料

参考までに調剤報酬点数表の該当部分をまとめておきます。
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335773&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114829.pdf

別表第三 調剤報酬点数表
区分00 調剤基本料(処方せんの受付1回につき)

  • 注6 長期投薬(14日分を超える投薬をいう。以下同じ。)に係る処方せん受付において、薬剤の保存が困難であること等の理由により分割して調剤を行った場合、当該処方せんに基づく当該保険薬局における2回目以降の調剤については、1分割調剤につき5点を算定する。なお、当該調剤においては第2節薬学管理料は算定しない
  • 注7 後発医薬品に係る処方せん受付において、当該処方せんの発行を受けた患者が初めて当該後発医薬品を服用することとなること等の理由により分割し調剤を行った場合、当該処方せんに基づく当該保険薬局における2回目の調剤に限り、5点を算定する。なお、当該調剤においては、第2節薬学管理料(区分番号10に掲げる薬剤服用歴管理指導料を除く。)は算定しない

  
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335815&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114871.pdf

別添3 調剤報酬点数表に関する事項
<通則>

  • 2 保険薬剤師は、医師の分割指示に係る処方せん又は投与日数が長期間にわたる処方せんによって調剤を行う場合であって、処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要がある場合には、分割調剤を行うこと。また、分割調剤を行う場合(上記の場合のほか、後発医薬品(ジェネリック医薬品)への変更が不可の場合の署名欄に処方医の署名又は記名・押印がない、又は署名欄に処方医の署名又は記名・押印があるものの「変更不可」欄に「✓」又は「×」が記載されていない先発医薬品がある処方せん(以下「後発医薬品への変更が可能な処方せん」という。)を提出した患者の同意に基づき、処方せんに記載された先発医薬品を初めて後発医薬品に変更して調剤を行う場合であって、当該患者の希望により、分割調剤を行う場合を含む。)は、その総量は、当然処方せんに記載された用量を超えてはならず、また、第2回以後の調剤においては使用期間の日数(ただし、処方せん交付の日を含めて4日を超える場合は4日とする。)と用量(日分)に示された日数との和から第1回調剤日から起算して当該調剤日までの日数を差し引いた日分を超えては交付できない。例えば、4月3日交付、使用期間4日間、用量10日分の処方せんで4月4日に5日分の調剤を受け、次に10日に調剤を受けに来た場合は(10+4)-7=7であるから、残りの5日分を全部交付して差し支えないが、もし第2回の調剤を4月13日に受けに来た場合、(10+4)-10=4となるので4日分しか交付できない。
  • 3 保険薬局において分割調剤を行い、当該薬局において調剤済みとならない場合は、処方せんに薬剤師法第26条に規定する事項及び分割理由等の必要な事項を記入し、調剤録を作成した後、処方せんを患者に返却すること。

  
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335815&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114871.pdf#page=2

別添3 調剤報酬点数表に関する事項
<調剤技術料>
区分00 調剤基本料

  • (6) 「注6」又は「注7」に係る分割調剤を行う場合は、調剤基本料は初回のみ算定し、2回目以降については「注6」又は「注7」のとおり算定するが、異なる保険薬局で分割調剤を行う場合は、各保険薬局においてそれぞれ調剤基本料を算定できる。
  • (7) 「注6」については、長期投薬(14日分を超える投薬をいう。以下同じ。)に係る処方せんによって調剤を行う場合であって、処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要があり、分割調剤を行った場合で、1処方せんの2回目以降の調剤を同一の保険薬局において2回目以降行った場合に算定する。
  • (8) 「注6」に係る分割調剤を行う場合は、処方せんの受付時に、当該処方せんを発行した医療機関等に対し照会を行うとともに、分割理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。
  • (9) 「注7」については、後発医薬品への変更が可能な処方せんを提出した患者の同意に基づき、処方せんに記載された先発医薬品を初めて後発医薬品に変更して調剤を行う場合であって、当該患者の希望により分割調剤を行った場合で、同一の保険薬局において1処方せんの2回目の調剤を行った場合に限り算定する。この場合において、2回目の調剤を行う際には、先発医薬品から後発医薬品への変更による患者の体調の変化、副作用が疑われる症状の有無等を確認するとともに、患者の意向を踏まえ、後発医薬品又は変更前の先発医薬品の調剤を行うこととする。なお、その際に、所定の要件を満たせば、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料を算定できる。
  • (10) 「注7」に係る分割調剤を行った場合は、処方せんを発行した医療機関等にその旨を連絡するとともに、分割理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。また、2回目の調剤の際に、患者の意向により変更前の先発医薬品の調剤を行った場合も、処方せんを発行した医療機関等にその旨を連絡するとともに、先発医薬品に再変更した理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。
  • (11) 1処方せんについて、「注6」に係る分割調剤の2回目以降の調剤と「注7」に係る分割調剤の2回目の調剤を同一の保険薬局において同一日に行う場合にあっては、いずれか一方の分割調剤に係る点数のみを算定する。

  
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335815&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114871.pdf#page=3

別添3 調剤報酬点数表に関する事項
<調剤技術料>
区分01 調剤料
(1) 内服薬

  • エ 同一薬局で同一処方せんを分割調剤(「区分番号00」の調剤基本料の「注6」又は注7」に係る分割調剤に限る。)した場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数により算定する。
  • ク 一包化加算の取扱いは、以下のとおりとすること。
    • ⑥ 同一薬局で同一処方せんに係る分割調剤(「区分番号00」の調剤基本料の「注6」又は「注7」に係る分割調剤に限る。)をした上で、2回目以降の調剤について一包化を行った場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数を所定点数に加算する。

  
  

新たに追加になった「医師の指示による分割調剤」

さあ、前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ本題に入ります。
では、今回追加になった分割調剤はこれまでの2種類と比べて何が違うのでしょうか?
骨子において、次のように記載されています。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000112306.pdf#page=283

III-7(重点的な対応が求められる分野/かかりつけ薬剤師の評価)-②】
薬局における対人業務の評価の充実
骨子【III-7(2)(3)】
第1基本的な考え方
4.調剤後における継続的な薬学的管理を推進するため、以下のような見直しを行う。
(1)略
(2)現行の対象に加え、やむを得ない事情がある場合等に、分割調剤を活用することを可能とする。これに伴い、分割調剤を行う場合の調剤基本料等の評価を見直す

第2具体的な内容
(1)略
(2)医師の指示に伴う分割調剤の実施
長期保存が困難な場合や後発医薬品を初めて使用する場合以外であっても、患者の服薬管理が困難である等の理由により、医師が処方時に指示した場合には、薬局で分割調剤を実施する。その際、処方医は、処方せんの備考欄に分割日数及び分割回数を記載する。また、分割調剤を行った薬局は、2回目以降の調剤時は患者の服薬状況等を確認し、処方医に対して情報提供を行う。

  • 長期投薬において薬剤の保管が困難
  • 初めて後発医薬品を使用する際

上記2つの理由以外であっても、医師が必要と判断(主に服薬管理が困難)した場合に、医師の指示による分割調剤が可能となりました。
  
また、診療報酬(医科)でも点数表に次のような記載が行われています。
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335811&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114867.pdf#page=284

別添1 医科診療報酬点数表に関する事項
第2章 特掲診療料
第5部 投薬
第2節 処方料
F100 処方料

  • (1) 医師が処方する投薬量については、予見することができる必要期間に従ったものでなければならず、30日を超える長期の投薬を行うに当たっては、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認するとともに、病状が変化した際の対応方法及び当該保険医療機関の連絡先を患者に周知する。なお、上記の要件を満たさない場合は、原則として次に掲げるいずれかの対応を行うこと。
    • 30日以内に再診を行う。
    • イ 200床以上の保険医療機関にあっては、患者に対して他の保険医療機(200床未満の病院又は診療所に限る。)に文書による紹介を行う旨の申出を行う。
    • ウ 患者の病状は安定しているものの服薬管理が難しい場合には、分割指示に係る処方せんを交付する。

  
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335811&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114867.pdf#=289

第5節 処方せん料
F400 処方せん料

  • (1) 医師が処方する投薬量については、予見することができる必要期間に従ったものでなければならず、30日を超える長期の投薬を行うに当たっては、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認するとともに、病状が変化した際の対応方法及び当該保険医療機関の連絡先を患者に周知する。なお、上記の要件を満たさない場合は、原則として次に掲げるいずれかの対応を行うこと。
    • 30日以内に再診を行う。
    • イ 200床以上の保険医療機関にあっては、患者に対して他の保険医療機関(200床未満の病院又は診療所に限る。)に文書による紹介を行う旨の申出を行う。
    • ウ 患者の病状は安定しているものの服薬管理が難しい場合には、分割指示に係る処方せんを交付する。

これまでは、医療費抑制の観点から長期処方が推進されてきましたが、30日を基準として、それを見直すような考えになっていますね。
そこで提案されているひとつの方法として、分割調剤が挙げられています。
患者さんの利便性・医療費の抑制を考えれば、症状が安定している場合の長期処方は今後も推進されていくものと思います。
となると、今回の30日超の長期投薬の考え方が見直された結果、単純に、長期処方が減っていくだけ・・・という流れになるのではなく、長期処方=分割調剤という流れになっていく可能性が高いのではないかと思います。
もちろん、今回の改定だけではすぐには変わらないと思いますが・・・。
つまり、薬局は分割指示が記載された処方箋を受け取った際、すぐに対応できるように普段から準備をしていく必要があるということですね。
  
  

分割調剤についての調剤報酬点数表の記載

それでは、調剤報酬点数表の中身を見ていきます。
とは言っても、異なるのは
  
  

医師の指示による分割調剤の調剤基本料・薬学管理料・調剤料

まずは、調剤基本料について。
今回追加された部分を見てみます。
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335773&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114829.pdf#page=2

別表第三 調剤報酬点数表
区分00 調剤基本料(処方せんの受付1回につき)

  • 注8 医師の分割指示に係る処方せん受付(注6及び注7に該当する場合を除く。)において、1回目の調剤については、当該指示に基づき分割して調剤を行った場合に、2回目以降の調剤については投薬中の患者の服薬状況等を確認し、処方せんを交付した保険医(以下この表において「処方医」という。)に対して情報提供を行った場合に算定する。この場合において、区分番号00に掲げる調剤基本料及びその加算、区分番号01に掲げる調剤料及びその加算並びに第2節に掲げる薬学管理料は、分割回数が2回の場合は、それぞれの所定点数の2分の1に相当する点数を、分割回数が3回以上の場合は、それぞれの所定点数の3分の1に相当する点数を1分割調剤につき算定する。

  
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335815&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114871.pdf#page=2

別添3 調剤報酬点数表に関する事項
<調剤技術料>
区分00 調剤基本料

  • (12) 「注8」については、医師の分割指示に係る処方せん(「注6」又は「注7」に該当する場合を除く。)に基づき、患者の同意の下、分割調剤を行った場合に算定する。
  • (13) 「注8」に係る分割調剤を行う場合において、調剤基本料及びその加算、調剤料及びその加算並びに薬学管理料については、当該分割調剤を行う保険薬局が当該処方せんにおいて分割調剤を実施しない場合に算定する点数をそれぞれ合算し、分割指示が2回の場合は合算した点数の2分の1、分割指示が3回以上の場合は合算した点数の3分の1に相当する点数を当該調剤時に算定する。なお、算定に当たり、合算した点数を2分の1又は3分の1にした際に生じる、小数点以下の数値については切り捨てる。
  • (14) 1処方せんについて、「注6」、「注7」又は「注8」に係る分割調剤のうち、複数の分割調剤を同一の保険薬局において同一日に行う場合にあっては、「注8」の分割調剤に係る点数により算定する。

これまでの2種類の分割調剤と大きく異なるのは、分割調剤基本料(5点)が存在しないということです。
ということは、通常の調剤と比較して、医師の指示による分割調剤をした場合に、調剤基本料としては特にプラスになることはないと言うことになります。
2回に分割した場合は調剤基本料・薬学管理料・調剤料が1/2、3回以上に分割した場合は調剤基本料・薬学管理料・調剤料が1/3・・・。
ただし、4回以上に分割した場合も1/3の点数が算定できると読めるので、分割回数が4回以上であれば大きくプラスになりそうですね。
  
   

疑義解釈その1の分割調剤に関する部分

疑義解釈その1で分割調剤に関するものについていくつか挙げられていました。

  
  

「医師の指示による分割調剤」の受付について

(問14)同一医療機関で複数の診療科から発行された処方せんを同時に受け付けた際に、ある診療科からの処方せんは分割指示があり、他の診療科の処方せんでは分割指示がない場合、調剤報酬の算定はどのように取り扱うべきか。
(答)通常、同一患者から同一日に複数の処方せんを受け付けた場合は受付回数を1回とするが、分割指示の処方せんが含まれる場合に限っては、同時に受け付けた場合であっても、分割指示の処方せんとして1回、分割指示のない処方せんとして1回のように、処方せんごとに別で取り扱い、それぞれの受付ごとに調剤報酬を算定して差し支えない。なお、このような事例については、特定の診療科の処方せんのみ分割調剤することが妥当かどうか確認の上、医師に疑義照会するなど必要な対応を行うこと。

同一医療機関で複数の診療科から発行された処方せんであっても、片方が医師の指示による分割調剤で、もうひとつが通常の調剤であれば、別の受付として請求できるというわけですね。
現実的になかなかお目にかかるケースではなさそうですが、これまでの分割調剤でも同じ考えでした。
  

(問15)上記の際に、分割指示の処方せんが複数あり、分割指示の方法(分割回数や期間)が異なる場合、どのように取り扱うべきか。
(答)分割指示が異なる場合は、分割調剤の方法が異なることにより、患者が適切に服薬できるか等の妥当性を確認の上、医師に疑義照会するなど必要な対応を行うべきである。

分割調剤の意味を考えれば、当然、疑義照会行わないといけないケースでしょう。
  
  

「医師の指示による分割調剤」の具体的な計算例

(問16)調剤基本料の「注8」の医師の指示に伴う分割調剤について、例えば2回目の調剤時に、残薬や副作用が確認され、医師に疑義照会して2回目以降の処方内容が変更された場合、重複投薬・相互作用等防止加算又は在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定は可能と理解してよいか。
(答)貴見のとおり。なお、当該分割調剤時に算定できる点数は、重複投薬・相互作用等防止加算又は在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料を含んだ技術料の合計の2分の1又は3分の1の点数を算定する。

分割途中で加算が加わった場合ですね。
分割調剤は分割分すべてあわせてひとつの調剤なので、当然ですが、その都度の技術料を1/2、1/3として考えることになります。
  

(問17)調剤基本料の「注8」の医師の指示に伴う分割調剤について、例えば、分割指示が3回で、1回目は時間外加算の対象、2回目は時間外加算の対象外、3回目は時間外加算の対象の場合、どのように算定することになるか。
(答)それぞれの分割調剤を実施する日に、当該処方せんについて分割調剤を実施しない場合に算定する点数(調剤基本料及びその加算、調剤料及びその加算並びに薬学管理料)を合算した点数の3分の1に相当する点数を算定する。したがって、調剤時に時間外加算の要件を満たす場合には、当該加算も合算した点数に基づき算定することになる。
【具体例】
(90日分処方→ 30日×3回の分割指示、調剤時には一包化を行う)
  ※薬剤料は調剤した分を算定

  • 〈1回目〉※時間外加算を含めて合算する:(590点×1/3=196.66・・≑)196点+薬剤料(30日分)
    • 調剤基本料:41点
    • 基準調剤加算:32点
    • 調剤料(1剤の場合): 87点(90日分)
    • 一包化加算:220点(90日分)
    • 時間外加算:160点
    • 薬剤服用歴管理指導料:50点
  • 〈2回目〉:(438点×1/3=)146点+薬剤料(30日分)
    • 調剤基本料:41点
    • 基準調剤加算:32点
    • 調剤料(1剤の場合): 87点(90日分)
    • 一包化加算:220点(90日分)
    • 薬剤服用歴管理指導料:38点
    • 服薬情報等提供料:20点
  • 〈3回目〉※時間外加算を含めて合算する:(598点×1/3=199.33・・≑)199点+薬剤料(30日分)
    • 調剤基本料:41点
    • 基準調剤加算:32点
    • 調剤料(1剤の場合): 87点(90日分)
    • 一包化加算:220点(90日分)
    • 時間外加算:160点
    • 薬剤服用歴管理指導料:38点
    • 服薬情報等提供料:20点

わかりやすい例ですね。
  
  

分割調剤のまとめ

今回追加になった「医師の指示による分割調剤」と「これまでの分割調剤(長期投薬・後発医薬品)」について、点数の考え方をまとめてみると・・・。
f:id:pkoudai:20160413214425p:plain
といった感じでしょうか?
  
  

「医師の指示による分割調剤」=「日本版リフィル処方箋」?

今回の改定の議論の中で、リフィル処方の話は何度か取り上げられています。
その元となったのが以下の内容です。  
  
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2014/2014_basicpolicies_01.pdf#page=31

分割調剤等に対する関係会議からの指摘
○「経済財政運営と改革の基本方針2014」(平成26年6月24日閣議決定)
第3章経済再生と財政健全化の好循環
2.主な歳出分野における重点化·効率化の考え方
(1)社会保障改革
(薬価·医薬品に係る改革)

医薬分業の下での調剤技術料·薬学管理料の妥当性·適正性について検証するとともに、診療報酬上の評価において、調剤重視から服薬管理·指導重視への転換を検討する。その際、薬剤師が処方変更の必要がないかを直接確認した上で一定期間内の処方箋を繰返し利用する制度(リフィル制度)等について医師法との関係に留意しつつ、検討する

  
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/publication/150630/item1.pdf#page=7

○「規制改革実施計画」(平成27年6月30日閣議決定)
Ⅱ分野別措置事項
1.健康・医療分野
(2)個別措置事項
①医薬分業推進の下での規制の見直し

薬局における診療報酬とサービスの在り方の見直し
リフィル処方せんの導入や分割調剤の見直しに関する検討を加速し、結論を得る
平成27年度検討・結論(厚生労働省)

  
もちろん、これらのリフィル処方箋を進める考えについては中医協の議論の中で、日医側の猛反発があったことは言うまでもありません。
「議論する状態にない」とばっさり切られています。
現状では、医師から薬剤師に対する信頼が十分ではないということがその要因ではないかと思います。
  
そう考えると、今回新たに加わった「医師の指示による分割調剤」。
医師側にも特にメリットのない状態で、どの程度普及するかと言われると疑問です。
  
  

かかりつけ薬剤師が「医師の指示による分割調剤」を進める?

今回、新たに定義されたかかりつけ薬剤師。
その要件に疑問を唱える声も少なくはありませんが、自分はかかりつけ薬剤師こそが日本版リフィル処方誕生への糸口になるのではないかと考えています。
中医協の議論等で日医側が薬剤師の管理能力に疑問の声を挙げる理由に、薬剤師の力不足がありますが、果たして本当にそうでしょうか?
現場でがんばって医師から厚い信頼を得ている薬剤師は少なくはないはずです。
ですが、すべての薬剤師がそうかというと、そこはまだまだです。
おそらく、こういった議論の中で言われているのは、薬剤師全体のレベルに加えて、医師の処方箋を「どんな薬剤師が対応するかわからない」ということなのではないかと思います。
薬剤師側から医師個人の顔は見えても、医師からは薬剤師個人の顔がなかなか見えない。
そこを解消するのが「かかりつけ薬剤師」なのではないかと思います。
「かかりつけ薬剤師」に関する薬学管理料の中には医師との連携が含まれます。
そうすることで、特定の患者さんの処方を対応する薬剤師の顔が医師に見えることになります。
  
もし、医師側に分割調剤が周知されても、誰が対応するかわからないのであれば、管理を任せられないと思ってしまうかもしれません。
でも、顔が見えるかかりつけ薬剤師がいればどうでしょうか?
かかりつけ薬剤師が医師と信頼関係を構築することができれば、「医師の指示による分割調剤」を任せたいと思うきっかけになっていくのではないでしょうか?
薬剤師側から提案して進めていくことだって可能なはずです。
  
医師から顔の見える薬剤師を作り上げることがかかりつけ薬剤師制度の肝であり、その延長上に医師の指示による分割調剤、リフィル処方箋が見えてくるのではないかと思います。
アメリカの薬局では、薬剤師と医師の契約に基づくCDTM(Collaborative Drug Therapy Management:薬物共同管理)が実践されてます。
(契約を行ったうえで、一定の研修を受講した薬剤師がプロトコルの範囲内で、主体的に治療を行えるようにしたもの)
日本版リフィル処方箋はCDTMの一環として、処方医とかかりつけ薬剤師が契約を交わした上で、プロトコルに従い行われていくという形が理想なのではないかと思います。
今回のかかりつけ薬剤師と分割調剤の考え方はそこを見据えたものなのではないかと思います。
この改正の中で、チャンスをものにすることが、薬剤師の存在意義につながりますし、新たなステージへのステップになっていくはずです。