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薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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かかりつけ薬剤師指導料をどう考える?~H28年(2016)調剤報酬改定⑧

診療報酬改定 診療報酬改定-平成28年度(2016年度)調剤報酬改定

いよいよ明日に始まる調剤報酬改定。
今回改定の目玉、かかりつけ薬剤師についてまとめます。
今回はまず、かかりつけ薬剤師指導料についてです。
  
  
H28調剤報酬改定についての過去記事はこちらです。
なお、疑義解釈等が公開されて初めて考え方がわかるものもあるので、あくまで現時点での一人の薬剤師の解釈として捉えてもらえれば幸いです。
解釈に変更等があれば随時更新する予定です。
pharmacist.hatenablog.com
  
  

  
  

かかりつけ薬剤師指導料の概略

調剤報酬点数表の記載について見てみます。
気になる部分は下線をつけています。

平成28年厚生労働省告示第52号
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(告示) 別表第3(調剤点数表)
13の2 かかりつけ薬剤師指導料:70点

  • 注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、当該施設基準に規定する要件を満たした保険薬剤師が患者の同意を得て、必要な指導等を行った場合に、処方せん受付1回につき所定点数を算定する。
  • 注2 麻薬を調剤した場合であって、麻薬の服用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行ったときは、22点を所定点数に加算する。
  • 注3 薬剤服用歴に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は、30点を所定点数に加算する。
  • 注4 特に安全管理が必要な医薬品として別に厚生労働大臣が定めるものを調剤した場合であって、当該医薬品の服用に関し、その服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行ったときには、10点を所定点数に加算する。
  • 注5 6歳未満の乳幼児に係る調剤に際して必要な情報等を直接患者又はその家族等に確認した上で、患者又はその家族等に対し、服用に関して必要な指導を行い、かつ、当該指導の内容等を手帳に記載した場合には、10点を所定点数に加算する。
  • 注6 区分番号10に掲げる薬剤服用歴管理指導料を算定している患者については、算定しない。また、区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合を除き、算定しない

  
  

かかりつけ薬剤師指導料の点数

かかりつけ薬剤師指導料は薬剤服用歴(薬歴)管理指導料に代わる点数です。
改定後の薬歴が38点・50点なのに対してかかりつけ薬剤師指導料は70点です。
さらに薬剤服用歴管理指導料と同様に、

  • 麻薬管理指導加算
  • 重複投薬・相互作用等防止加算
  • 特定薬剤(ハイリスク薬)管理指導料
  • 乳幼児服薬指導加算

在宅患者訪問薬剤管理指導料等と同時算定はできないようですが、在宅の疾病とうは別の緊急時(従来、在宅患者に対して薬歴管理指導料を算定していたケース)においては算定可能のようですね。
  
  

かかりつけ薬剤師の施設基準

かかりつけ薬剤師としての点数を算定するためには施設基準の届出が必要となります。
施設基準の詳しい内容についてはすでに平成28年3月4日付の保医発0304第2号で通知されています。

保医発0304第2号 平成28年3月4日
第95 かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料

かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料に関する施設基準
以下の要件を全て満たす保険薬剤師が配置されていること。

  1. 以下に掲げる勤務経験等を有していること。
    • ア 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験がある。
    • 当該保険薬局に週32時間以上勤務している。
    • ウ 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に6月以上在籍している。
  2. 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。
  3. 医療に係る地域活動の取組に参画していること。

  
さらに、施設基準の届出様式の脚注を見ると詳しい内容がわかります。

保医発0304第2号 平成28年3月4日
様式90 かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に係る届出書添付書類

  1. 「薬局勤務経験年数」については、当該薬剤師の薬局勤務年数を記載すること。
  2. 「週あたりの勤務時間」については、当該薬剤師の1週間当たりの平均勤務時間を記載すること。
  3. 「在籍期間」については、当該保険薬局において勤務を開始してから、届出時までの当該薬剤師の在籍期間を記載すること。
  4. 「研修」については、薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していることを確認できる文書を添付すること。ただし、平成29年3月31日までは要件を満たしているものとして取扱う。
  5. 「地域活動」に参加していることがわかる書類として、届出時までの過去1年間に医療に係る地域活動の取組に主体的に参加していることがわかる文書(事業の概要、参加人数、場所及び日時、当該活動への関わり方等)を添付すること。

まとめると、かかりつけ薬剤師としての指導料を算定するためには、

  • 保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験
  • その薬局において、平均週32時間以上勤務(週4日以上)
  • その薬局に6ヶ月以上在籍(半年以上)
  • 研修認定薬剤師を取得(平成29年3月31日までは経過措置)
  • 医療に係る地域活動の取組に参画(文書での提示が必要)

が必要ということになります。
疑義解釈での回答を待ちたいのが

  • 6ヶ月以上の在籍は連続したものでないといけないのかどうか
  • 医療に係る地域活動の取組というのは具体的にどういったものが該当するのか

といったところでしょうか?
かかりつけ薬剤師に関する点数を算定しようと思っている方で研修認定薬剤師を取得していない方はこれからの一年、来年の3月までに頑張って取得しないといけませんね。
  
H28.3.31に疑義解釈その1が公開されました。

(問40)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準について、「保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があること」とされているが、病院薬剤師の勤務経験についても勤務実績の期間に含めることは可能か。
(答)制度が新設された経過的な取扱いとして、当面の間、病院薬剤師としての勤務経験が1年以上ある場合、1年を上限として薬局勤務経験の期間に含めることでよい。なお、この考え方については、基準調剤加算の施設基準である、管理薬剤師の勤務経験の取扱いも同様である。

(問41)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準について、別薬局と併任して勤務を行っていた期間であっても、当該期間については在籍期間とみなしてよいか。
(答)施設基準として当該保険薬局に週32時間以上の勤務を求めていることを踏まえると、在籍期間に関しても勤務要件と同等の当該保険薬局における十分な勤務を前提とするものであり、当該保険薬局において施設基準と同等の十分な勤務時間が必要である。なお、この考え方については、基準調剤加算の施設基準である、管理薬剤師の在籍期間の取扱いも同様である。

(問42)保険薬局の在籍・勤務期間に関しては、施設基準の届出時点における直近の連続した在籍・勤務期間になるのか。例えば、3年前に当該保険薬局に「半年間の在籍期間」又「3年間の勤務期間」があれば、それぞれ「当該保険薬局に6月以上の在籍」又は「3年以上の薬局勤務経験」を満たすのか。
(答)届出時点における直近の連続した在籍・勤務期間が必要となる。例示のような場合は、要件を満たさない。なお、この考え方については、基準調剤加算の施設基準である、管理薬剤師の在籍・勤務期間の取扱いも同様である。

(問43)当該保険薬局の在籍・勤務期間中に、育児休暇を取得した場合、育児休暇から復帰して6月又は3年経過しないと「当該保険薬局に6月以上の在籍」「3年以上の薬局勤務経験」を満たさないのか。
(答)育児休暇の場合は、当該期間を除いた期間が6月又は3年あれば要件を満たすものとする。したがって、育児休暇前に6月以上在籍又は3年以上勤務していれば、育児休暇復帰時点でも要件を満たすことになる。なお、この考え方については、基準調剤加算の施設基準である、管理薬剤師の在籍・勤務期間の取扱いも同様である。

(問44)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準について、M&Aで店舗を買収した場合、買収前の薬局における在籍期間を買収後の在籍期間に含めることは可能か。
(答)開設者の変更(親から子へ、個人形態から法人形態へ、有限会社から株式会社へ等)又は薬局の改築等の理由により医薬品医療機器法上の薬局の開設許可を取得し直し、保険薬局の指定について薬局の当該許可の日までの遡及指定が認められる場合は、当該期間を在籍期間に含めることは可能。

(問45)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準における研修要件について、平成29年3月31日までは要件を満たしているものとして取り扱うこととされているが、施設基準の届出時に研修要件に係る内容の添付は不要と理解してよいか。
(答)貴見のとおり。平成29年3月31日以前に当該施設基準の届出をした保険薬局のうち、研修要件に係る内容の添付をしていない保険薬局については、平成29年4月1日以降に継続して当該指導料等を算定する場合は、研修要件に係る内容を添付して改めて施設基準を届け出る必要がある。なお、平成29年3月31日までの期間であっても、研修要件に係る内容を添付して届出をした保険薬局については、平成29年4月1日以降も継続して当該要件を満たしている場合は新たに届け出る必要はない。

(問46)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料に関する施設基準の研修要件について、「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること」とされているが、「等」には日本学術会議協力学術研究団体である一般社団法人日本医療薬学会の認定制度は含まれるか。
(答)含まれる。

(問47)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準として、「医療に係る地域活動の取組に参画していること」とあるが、具体的にはどのような取組が該当するか。
(答)地域の行政機関や医療関係団体等が主催する住民への説明会、相談会、研修会等への参加や講演等の実績に加え、学校薬剤師として委嘱を受け、実際に児童・生徒に対する医薬品の適正使用等の講演等の業務を行っている場合が該当する。なお、企業が主催する講演会等は、通常、地域活動の取組には含まれないと考えられる。

地域活動の取り組みは、自身の会社が行う健康フェア等のイベントは不可ということですね。
公的なイベントの実績がない場合は、すぐに実績を作りたいという意思だけではどうにもならないです。
これは予想外に厳しい要件となりそうですね。
  
H28.4.13 広島県薬剤師会の解釈では、「自治体から委嘱を受けて業務を行っている場合、各薬局内で行う業務も含まれる。」、「行政機関や地域薬剤師会の協力のもとで実施している休日・夜間薬局への対応。各支部が行っている夜間救急診療所への出勤、輪番制で行っている休日当番薬局も該当。」、「行政機関の依頼に基づく医療に係わる地域活動(薬と健康の週間、薬物乱用防止活動等)で、薬局内に会場を設け定期的に行う無料お薬相談・説明会なども該当。」とのことです。

  
  

かかりつけ薬剤師指導料の算定要件

さらに、調剤報酬点数表の別添について見ていきます。
先ほどと同様に気になるところには下線をつけています。

平成28年3月4日 保医発0304第3号
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 別添3(調剤点数表)
区分13の2 かかりつけ薬剤師指導料

  1. かかりつけ薬剤師指導料は、患者が選択した保険薬剤師(以下「かかりつけ薬剤師」という。)が、保険医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行った場合に算定できる
  2. 算定に当たっては、当該指導料を算定しようとする薬剤師が患者に対してかかりつけ薬剤師の業務内容、かかりつけ薬剤師を持つことの意義、役割等について、かかりつけ薬剤師指導料の費用も含めて説明した上で、患者の同意を得ることとし、患者の同意を得た後の次回の処方せん受付時以降に算定できる。
  3. 患者の同意については、当該患者の署名付きの同意書を作成した上で保管し、当該患者の薬剤服用歴の記録にその旨を記載する。なお、1人の患者に対して、1か所の保険薬局における1人の保険薬剤師のみについてかかりつけ薬剤師指導料を算定できるものであり、同一月内は同一の保険薬剤師について算定すること。
  4. 他の保険薬局及び保険医療機関おいても、かかりつけ薬剤師の情報を確認できるよう、患者が保有する手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称及び連絡先を記載する。
  5. 患者に対する服薬指導等の業務はかかりつけ薬剤師が行うことを原則とする。ただし、やむを得ない事由により、かかりつけ薬剤師が業務を行えない場合は、当該保険薬局に勤務する他の保険薬剤師が服薬指導等を行っても差し支えないが、かかりつけ薬剤師指導料は算定できない(要件を満たす場合は、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料を算定できる。)。この場合、他の保険薬剤師が服薬指導等で得た情報については、薬剤服用歴の記録に記載するとともに、かかりつけ薬剤師と情報を共有すること。
  6. かかりつけ薬剤師は、担当患者に対して、以下の服薬指導等を行う。
    • ア 「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料に係る業務を実施した上で患者の理解に応じた適切な服薬指導等を行うこと。
    • イ 患者が服用中の薬剤等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう、患者の意向を確認した上で、服薬指導等の内容を手帳等に記載すること。
    • ウ 患者が受診している全ての保険医療機関の情報を把握し、服用している処方薬をはじめ、要指導医薬品及び一般用医薬品(以下「要指導医薬品等」という。)並びに健康食品等について全て把握するとともに、その内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。また、当該患者に対して、保険医療機関を受診する場合や他の保険薬局で調剤を受ける場合には、かかりつけ薬剤師を有している旨を明示するよう説明すること。
    • エ 患者から24時間相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝えるとともに、勤務表を作成して患者に渡すこと。ただし、やむを得ない事由により、かかりつけ薬剤師が開局時間外の相談等に応じることができない場合には、あらかじめ患者に対して当該薬局の別の保険薬剤師が開局時間外の相談等に対応する場合があることを説明するとともに、当該薬剤師の連絡先を患者に伝えることにより、別の保険薬剤師が対応しても差し支えない
    • オ 患者が他の保険薬局等で調剤を受けた場合は、その服用薬等の情報を入手し、薬剤服用歴の記録に記載すること。
    • 調剤後も患者の服薬状況の把握、指導等を行い、その内容を薬剤を処方した保険医に情報提供し、必要に応じて処方提案すること。服薬状況の把握は、患者の容態や希望に応じて、定期的にすること(電話による連絡、患家への訪問、患者の来局時など)。また、服用中の薬剤に係る重要な情報を知ったときは、患者に対し当該情報を提供し、患者への指導等の内容及び情報提供した内容については薬剤服用歴の記録に記載すること。
    • キ 継続的な薬学的管理のため、患者に対して、服用中の薬剤等を保険薬局に持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋等を必要に応じて提供し、その取組(いわゆるブラウンバッグ運動)の意義等を説明すること。また、患者が薬剤等を持参した場合は服用薬の整理等の薬学的管理を行うこととするが、必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を行うこと。なお、訪問に要した交通費(実費)は、患家の負担とする。
  7. かかりつけ薬剤師指導料を算定する患者以外の患者への服薬指導等又は地域住民からの要指導医薬品等の使用に関する相談及び健康の維持増進に関する相談に対しても、丁寧に対応した上で、必要に応じて保険医療機関へ受診勧奨を行うよう努める
  8. 麻薬管理指導加算、重複投薬・相互作用等防止加算、特定薬剤管理指導加算及び乳幼児服薬指導加算の取扱いについては、「区分番号10」の「注3」に掲げる麻薬管理指導加算、「注4」に掲げる重複投薬・相互作用等防止加算、「注5」に掲げる特定薬剤管理指導加算及び「注6」に掲げる乳幼児服薬指導加算に準じるものとする。
  9. かかりつけ薬剤師指導料は、薬剤服用歴管理指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料と同時に算定することはできない

気になる下線部があまりに多くなってしまいました。
上から一つずつ確認していきます。
  
  

かかりつけ機能による服薬情報の一元的・継続的管理

患者が選択した保険薬剤師(以下「かかりつけ薬剤師」という。)が、保険医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行った場合に算定できる

これまでの薬歴管理でも言われてきたことですが、かかりつけ薬剤師指導料では、これまで以上に、

  • 保険医との連携
  • 患者の服薬状況の一元的・継続的管理

が重視されています。
これまでも、そういった内容を行っていた薬局とそうでない薬局が存在すると思いますが、薬局が把握し、医師と情報共有をしないといけないのは、診察室を出た後の患者さんの(薬局での)状況だけでなく、薬局を出た後も含めての情報です。
医師の診察では見えてこない、自宅で薬を服用している期間の状況等について把握し、それを医師と情報共有していくことが重視されています。
  
  

かかりつけ薬剤師指導料の算定には同意書が必要

  • 当該指導料を算定しようとする薬剤師が患者に対してかかりつけ薬剤師の業務内容、かかりつけ薬剤師を持つことの意義、役割等について、かかりつけ薬剤師指導料の費用も含めて説明した上で、患者の同意を得る
  • 患者の同意を得た後の次回の処方せん受付時以降に算定
  • 患者の同意については、当該患者の署名付きの同意書を作成した上で保管し、当該患者の薬剤服用歴の記録にその旨を記載

かかりつけ薬剤師指導料を算定するには、

  • かかりつけ薬剤師の業務内容
  • かかりつけ薬剤師を持つことの意義
  • かかりつけ薬剤師の役割
  • かかりつけ薬剤師指導料の費用

について患者さんに説明したうえで、患者さんの署名付きの同意書を作成する必要があります。
また、実際にかかりつけ薬剤師としての点数を算定できるのは、同意書を作成した次の調剤からになります。
  
H28.3.31に疑義解釈その1で公開された該当部分です。

(問33)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の患者の同意取得について、例えば、患者が最初に来局した際にアレルギー歴や後発医薬品を使用することの意向等を確認するアンケートの中でかかりつけ薬剤師についても意向を確認した場合、そのアンケートの署名をもって同意を取得したことになるのか。
(答)アンケートを行う際に、アンケートとは別に、かかりつけ薬剤師を選択することの意向確認を行うことは差し支えないが、同意の取得に当たっては、かかりつけ薬剤師の業務内容、かかりつけ薬剤師を持つことの意義、役割等について、当該指導料を算定しようとする薬剤師が改めて説明した上で、かかりつけ薬剤師に対する患者の同意を取得する必要がある。また、アンケートへの署名ではかかりつけ薬剤師の同意を取得したことにならないので、別途、かかりつけ薬剤師への同意に係る署名であることが明確にわかるようにすること。

(問38)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料を算定する際の患者の同意については、患者本人の同意取得が困難な場合は、介護を行っている家族等の同意でもよいか。
(答)貴見のとおり。なお、施設の入所者等に対する患者本人の同意取得については、患者ごとの状況に応じて個別に判断すべきものであり、施設単位でまとめて同意取得すべきではない。

  
また、日本薬剤師会が同意書の例を公開しています。
http://www.nichiyaku.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/h280314_11.pdf
http://www.nichiyaku.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/h280314_12.pdf
  
  

かかりつけ薬剤師として指名できるのは一人の薬剤師だけ

  • 1人の患者に対して、1か所の保険薬局における1人の保険薬剤師のみについてかかりつけ薬剤師指導料を算定できるものであり、同一月内は同一の保険薬剤師について算定
  • 患者が保有する手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称及び連絡先を記載

一人の患者さんについて、かかりつけ薬剤師としての点数を算定できるのは一人の薬剤師だけとなっています。
途中で別のかかりつけ薬剤師に変更することも可能ですが、その変更は翌月からになります。
  
これは当然のことなのですが、一部のチェーン薬局等では、
「一人の薬剤師しか算定できない」→「他よりも先に自分たちが同意をとらないと!」
という考えになり、患者さんの争奪戦のような状態になっているようですね・・・。
患者さんの心理を考えると、一度決めたかかりつけ薬剤師を変更するのは言いにくいというところもあると思います。
なので、急いで指名してもらう背景には、「患者さんが決める前にこちらから提案」という考えが見えるんですよね・・・。
もちろん、結果として患者さん自身にも納得できるものであれば問題ないのですが、同意を得た後に行う内容が伴わないようなケースが現れないように祈っています。
本来の順序としては、薬局からの説明を受けた上で、患者さんが信頼できる薬剤師を見つけて決めるものだと思います。
  
急ぐように同意を取ることすべてが悪いことではなく、可能な限り早い段階で調剤報酬改定について正しい情報提供を行うべきですし、かかりつけ薬剤師についての理解を広めることも行わなければならないことです。
ただ、その中で不適切なケースが出てしまうのではないかと心配してしまいますよね。
  
H28.3.31の疑義解釈その1での該当部分の内容です。

  

(問34)患者がかかりつけ薬剤師を別薬局の薬剤師に変更する場合はどのような対応が必要になるか。
(答)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料については、同一月内は同じ薬剤師により算定することが必要である。このため、患者の希望によりかかりつけ薬剤師を変更する場合、変更後のかかりつけ薬剤師は、変更前の算定状況を患者に確認して、算定可能となる時期(変更前のかかりつけ薬剤師が算定していた翌月以降)に留意して対応すること。この場合、変更前後の薬局においては、薬剤服用歴の記録に、かかりつけ薬剤師が変更された旨記載しておくこと。なお、かかりつけ薬剤師は頻繁に変更されるものではないが、患者の引っ越し等の理由により、患者が別薬局で新たなかかりつけ薬剤師を選択する場合も想定されるため、かかりつけ薬剤師は患者に対して、かかりつけ薬剤師を変更する場合は、その旨を事前に伝えるよう説明しておくこと。

(問35)かかりつけ薬剤師が退職する等の理由で、当該薬局の別の薬剤師に引き継ぎを行う場合、新たなかかりつけ薬剤師として当該薬剤師が継続してかかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料を算定することは可能か。
(答)同一薬局内であっても、かかりつけ薬剤師を変更する場合には、新たなかかりつけ薬剤師を選択することの患者の同意が必要である。また、同一月内は同じ薬剤師により算定することとしているため、患者の同意を取得する時期も含め、薬局内で円滑に引き継ぎを行うこと。なお、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料は、患者の同意を取得した後の次回処方せん受付時以降に算定可能となるので、患者の同意を得る時期によっては、継続して算定することができない場合があることにも留意すること。

  
H28.4.25の疑義解釈その2での該当部分の内容です。

(問1)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の同意取得のために患者へ説明する際に、かかりつけ薬剤師を変更する際の対応についても説明が必要か。
(答)貴見のとおり。
なお、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料は、患者が薬剤師を選択するものであり、患者の意向によって変更することも可能であることから、患者が本制度の取扱いを理解できるよう、同意取得時にはその旨を併せて 説明すること。

  
  

同意後にかかりつけ薬剤師が指導を行えない場合

  • やむを得ない事由により、かかりつけ薬剤師が業務を行えない場合は、当該保険薬局に勤務する他の保険薬剤師が服薬指導等を行っても差し支えないが、かかりつけ薬剤師指導料は算定できない
  • 他の保険薬剤師が服薬指導等で得た情報については、薬剤服用歴の記録に記載するとともに、かかりつけ薬剤師と情報を共有する

かかりつけ薬剤師として同意書を交わしたからといって、その薬剤師が必ずその患者さんの服薬指導を行わないといけないわけではなく、例外的に他の薬剤師が服薬指導を行うことは可能です。
ただし、その場合は、かかりつけ薬剤師指導料は算定できず、通常の薬剤服用歴管理指導料の算定となり、その際に得た情報は担当のかかりつけ薬剤師と共有する必要があると明記されています。
  
薬剤師だって急に体調を崩したり、休養で休まざるを得ないケースがあると思うので当然のことだと思います。
ただ、あくまでも例外的な場合のみですよね。
  
  

かかりつけ薬剤師とお薬手帳

  • 患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう、患者の意向を確認した上で、服薬指導等の内容を手帳等に記載
  • 受診している全ての保険医療機関の情報を把握し、服用している処方薬をはじめ、要指導医薬品及び一般用医薬品(以下「要指導医薬品等」という。)並びに健康食品等について全て把握するとともに、その内容を薬剤服用歴の記録に記載
  • 当該患者に対して、保険医療機関を受診する場合や他の保険薬局で調剤を受ける場合には、かかりつけ薬剤師を有している旨を明示するよう説明
  • 他の保険薬局等で調剤を受けた場合は、その服用薬等の情報を入手し、薬剤服用歴の記録に記載

一元的・継続的な服薬管理について、まずは一元管理の部分について詳しく記載されています。
かかりつけ薬剤師による指導においては、お薬手帳が必須ツールになっています。
その中でも特に、お薬手帳を用いた服薬指導の内容の管理・記録が明示されています。
これまでも、お薬手帳を単純な服薬記録や注意点の記載のみではなく、様々な情報を書き込むことで活用してきた例があったとは思いますが、具体的に「服薬指導等の内容を手帳に記載」というものが盛り込まれました。
これにより、Drや他薬局の薬剤師と、服薬指導の内容を共有することが可能になります。
  
また、かかりつけ薬剤師を有していることを患者さんから積極的に医師や他の薬剤師に伝えてもらうことが明示されています。
これにより、医師・薬剤師との情報共有や連携を進めることが期待されます。
最後に、他の薬局で調剤を受けたないようについて薬歴に記載することが書かれていますが、上記の連携を進めることにより、これまで以上に、確実に行うことが可能・必要となると思います。
  
H28.3.31に疑義解釈その1より、もし、患者さんがお薬手帳を忘れた場合でも、かかりつけ薬剤師指導料が算定できないわけではないようです。

(問50)患者の同意を得ていても、来局時に患者が手帳を持参し忘れた場合、かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料を算定できないのか。
(答)手帳を持参し忘れたことのみをもって、当該指導料及び管理料が算定できないものではないが、患者や処方医等から確認すること等により、必要な情報を収集した上で指導等を行う必要がある。

  
  

勤務表を患者さんに渡す?

  • 24時間相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝えるとともに、勤務表を作成して患者に渡す
  • やむを得ない事由により、かかりつけ薬剤師が開局時間外の相談等に応じることができない場合には、あらかじめ患者に対して当該薬局の別の保険薬剤師が開局時間外の相談等に対応する場合があることを説明するとともに、当該薬剤師の連絡先を患者に伝えることにより、別の保険薬剤師が対応しても差し支えない

24時間対応についてです。
ここに記載された「勤務表を患者に渡す」がいろいろ物議をかもし出したようですが、ここで言われる勤務表というのは、薬局内部に存在するシフト表のような細かいものではなく、おおよそ基本的な勤務体制がわかるもので大丈夫なようです。
病院等のホームページや受付に掲示されている医師の担当日割表のようなイメージだと思います。(疑義解釈で具体例が出てきそうです)
H28.4.1 3/31に疑義解釈その1の公開に伴い、日本薬剤師会がかかりつけ薬剤師勤務表(例)を公開しました。
f:id:pkoudai:20160401071117p:plain
http://www.nichiyaku.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/h280314_13.pdf

  
また、24時間対応についても、必ず担当のかかりつけ薬剤師が行わないといけないわけではなく、やむを得ない場合は他の薬剤師が担当することも可能なようです。
ただ、これについては「やむを得ない事由」がどの程度認められるかですね。
現在、ほとんどの薬局が休日・夜間対応用に携帯電話を持っていると思いますが、薬局の薬剤師全員がかかりつけ薬剤師となる場合、一人ずつ携帯電話を持つようになるのか?それともこれまでどおりの一台でやっていくのか?
このあたりについても疑義解釈で述べられるのではないかなと思っています。
H28.3.31の疑義解釈その1で回答が出ています。

(問37)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の算定要件に「患者から24時間相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝える」とあるが、担当患者に伝える連絡先は、かかりつけ薬剤師が専有する携帯電話等でなければならないか。
(答)相談に応じる体制は、かかりつけ薬剤師が対応することを原則としているが、やむを得ない場合は当該薬局の別の薬剤師による対応でも可能である。したがって、かかりつけ薬剤師又はあらかじめ患者に伝えた当該薬局の別の薬剤師が対応できる連絡先であればよい。

  
  

かかりつけ薬剤師による調剤後の服薬管理

  • 調剤後も患者の服薬状況の把握、指導等を行い、その内容を薬剤を処方した保険医に情報提供し、必要に応じて処方提案
  • 服薬状況の把握は、患者の容態や希望に応じて、定期的にする
  • 服用中の薬剤に係る重要な情報を知ったときは、患者に対し当該情報を提供し、患者への指導等の内容及び情報提供した内容については薬剤服用歴の記録に記載

上にも少し書きましたが、ここに記載されている調剤後の管理というのが今回の改定で重要な部分のひとつだと思います。
今回の改定で(旧)服薬情報等提供料と長期投薬情報提供料1・2は統合されて、服薬情報等提供料に一本化されています。
その新しい服薬情報等提供料の内容はかかりつけ薬剤師指導料に含まれており、そのため、かかりつけ薬剤師指導料を算定している場合について、服薬情報等提供料のような取り組みを行うことは必須で、別に算定することは不可となっています。
服薬情報等提供料を算定する場合は、医師への情報提供は文書で行う必要がありますが、かかりつけ薬剤師指導料の場合は特に記載がないので、医師・薬剤師間で同意した方法で問題ないようですね。
  
前回の服薬情報等提供料に関する記事にも書きましたが、「調剤後(服用期間中)の服薬管理」というのが、今後の地域医療における薬剤師の重要な役割のひとつになっていくと考えています。
入院中と異なり、通院した瞬間しか診察できない外来医療において、病院を出た後の患者さんの状況を把握していくことは重大な課題だと思います。
その問題を解決する中で、かかりつけ薬剤師が担う役割は非常に大きいと思います。
個人的には、将来リフィル処方が解禁されるとすれば、かかりつけ薬剤師指導料算定者に限定されるのではないかとも思っています。
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ブラウンバッグの推進

  • 服用中の薬剤等を保険薬局に持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋等を必要に応じて提供し、その取組(いわゆるブラウンバッグ運動)の意義等を説明する
  • 患者が薬剤等を持参した場合は服用薬の整理等の薬学的管理を行うこととするが、必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を行う

ブラウンバッグ等の方法で残薬や併用薬の把握を行うように示されています。
また、患者宅への訪問による服薬整理の実施も記載されています。
これについては、今までも行っていた薬局も多いとは思いますが、そこから外来服薬支援料の算定につながったり、在宅患者訪問薬剤管理指導料(居宅療養管理指導費)の算定につながるきっかけになるのではないかと思います。
  
ブラウンバッグ運動とは、ブラウンバッグと呼ばれるかばんを患者さんに渡し、家にあるすべての薬や健康食品等を入れて持ってきてもらうことで、薬剤師が服薬管理を行うものです。
ブラウンバッグ運動についてあまり聞いたことがない方はこちらのホームページを見てみてください。
ブラウンバッグ運動|トップページ|高齢者薬物治療適正化研究グループ
  
  

かかりつけ薬剤師指導料を算定していない患者さんに対する指導

  • かかりつけ薬剤師指導料を算定する患者以外の患者への服薬指導等又は地域住民からの要指導医薬品等の使用に関する相談及び健康の維持増進に関する相談に対しても、丁寧に対応した上で、必要に応じて保険医療機関へ受診勧奨を行うよう努める

当然のことですが、かかりつけ薬剤師指導料を算定していないからといって、服薬指導がおろそかにならないようにということがわざわざ記載されています。
単に当然のことを念押しとして記載しただけなのか、この文書に何か他の深い意味があるかどうかはわかりません。
  
  

かかりつけ薬剤師指導料は薬剤服用歴管理指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料とは同時算定不可

  • かかりつけ薬剤師指導料は、薬剤服用歴管理指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料と同時に算定することはできない

当然ですが、かかりつけ薬剤師指導料は薬剤服用歴管理指導料に代わるものですし、かかりつけ薬剤師包括管理料はかかりつけ薬剤師指導料の内容を含む包括的な管理料なので同時算定は不可となっています。
  
H28.3.31の疑義解釈その1によると、薬剤服用歴管理指導料3(特養入所者)の対象患者についてはかかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料は算定不可とのことです。

(問39)特別養護老人ホーム入所者に対して、患者の同意を得た場合、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料を算定することは可能か。
(答)特別養護老人ホームに入所している患者に対して、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料は算定できない。施設での適切な服薬管理等を支援するための評価として新設された、薬剤服用歴管理指導料「3」を算定すること。

  
  

まとめ

また、改めて記事でまとめたいとは思っているのですが、今回新設されるかかりつけ薬剤師指導料についてはいろいろな考えがあると思います。
薬剤師の意見として否定的な意見が多いですね。
見かけた情報として、

  • 経験年数が長いからといって優秀な薬剤師とは限らない
  • 認定薬剤師を持ってるからといって知識があるとは限らない
  • 今までも当たり前に行っていたことなのにそれにお金がかかるのは患者さんに失礼
  • 勤務表を渡すなんてプライバシーがなくなる
  • 大手チェーンによる患者の囲い込みが進み競争が激しくなるだけ

などなど。
言ってることはわからないこともないのですが・・・。
  
かかりつけ薬剤師は、そもそも中医協の議論の中で医師側からの意見もあり、作られたものと理解しています。
医師側が「評価するべきはかかりつけ薬局ではなくかかりつけ薬剤師」と意見したはずです。
こんな書き方をすると、医師が言ったからそうなるのはおかしい!という話になりそうな気もしますが・・・。
ただ、今後の薬剤師のあり方を考えた場合、その役割・メリットを患者さんだけでなく医師からももっと十分に理解してもらわなければならないと思います。
中医協の議論を見ていても、医師側、支払側からあまり信頼されていないことが見えてきます。
厚生労働省としては薬剤師の役割を理解しているし、そのメリットも確信してくれていますが、近年問題になった薬歴未記載問題等、薬剤師が信頼を失うようなことが目立っているのが現状です。
  
おそらく医師側が「かかりつけ薬剤師」にこだわっているのは、一人の薬剤師に責任を持ってほしいという願いからではないかなと思います。
どうしても、今の薬局の現状は、人がコロコロ変わったり、誰が対応しているかもよくわからない。
まさに、見えない状況なのだと思います。(もちろんそうでない薬局もいっぱいあると思いますが)
勤務表を渡すことにしても、病院勤務の医師の診察時間が掲示されているのと同じ感覚を持って欲しいということなのではないでしょうか?
  
この現状を打破するためには、かかりつけ薬剤師としての活動を広め、一人ひとりの薬剤師の働きが医師に見えるようになる必要があるのだと思います。
その人がいなくても回るシステムの大切さはわかりますが、個人病院や医院・診療所は医師がいないと回りません。
医師にはそれだけの責任があるということです。
やはり医師と対等に話すことができるためには、薬剤師も同じような責任を持つべきだという考えがあるように思えます。
まずは、一人ひとりの薬剤師が「かかりつけ薬剤師」として、医師・患者から認められる存在となり、その集合体として、「かかりつけ薬剤師が何らかの理由で欠けても問題なく対応できるかかりつけ薬局」を目指していくのが今回求められている筋道なのではないかと思います。
  
今回、かかりつけ薬剤師が設定されたことで、医師との情報共有の機会が増えますし、お薬手帳に記載された名前等を見て、医師にも薬剤師の名前が知られていくことになります。
一人の薬剤師として、医師と向き合うきかっけになりますし、かかりつけ薬剤師の名称は医師との情報共有を進めてくれる大きなきっかけになるはずです。
  
かかりつけ薬剤師についてはもう決まったことですし、プラスの評価として設定されています。
訴えるべきところは訴えていなかいといけないとは思いますが、前向きに動いていかなければなりません。
算定要件は守らないといけませんが、増える報酬に見合う働きについては一人ひとりの薬剤師が考えて、患者さんにメリットを感じてもらえるものに育てていけばいいのではないかと思います。
個人的には、この先にリフィル処方等様々な薬局の未来の役割が待っているのではないかと思っています。
今後10年、薬局、薬剤師の働きは大きく変わっていくはずです。
この点数はそのきっかけになるはずです。
患者さん、そして医師、そのほかの医療関係者・介護関係者・行政からの信頼を勝ち取っていきたいですね。

懸念していること

ただ、一方で懸念されるのは、やはり大手等による、組織的なかかりつけ薬剤師指導料の算定ですね。
かかりつけ薬剤師指導料の算定実績が特例除外の要件ですが、3月の時点で、特例除外の目処が付いているという薬局も耳にしています。
基準調剤加算の算定要件でもありますし、経営面で考えれば各社が必死になるのはよくわかります。
その中で出てくる役割もあるとは思うのですが・・・。
大きな組織の中で末端まで考えが浸透するかは難しいところがありますし、かかりつけ薬剤師の役割というのはトップダウン式でやらされるものには適さないと思います。
かかりつけ薬剤師を無理やりやらされているという状況が作られてしまうと、患者さんや医師からの評価とは逆の方向に向かっていきかねません。
そんなことにならないように、むしろ、大手の教育体制等を生かして、かかりつけ薬剤師としての手本となるようなものを進めていってくれればと願っています。
疑義解釈の問33にあるような初回アンケートで同意を取ったことにしようとする薬局が存在することが信じられません。
  
かかりつけ薬剤師の施設基準自体についてなんですが、もちろん、勤務時間等は会社の都合もありますが、その他の要件については、薬剤師として一人一人が目指していくべきものです。
ただ、個人的な事情のためそうできない人がいたり、目指そうとは思わないという人がいて、人それぞれというのが現実かと思います。
それについて、組織的に、「絶対にやれ」という風潮になってしまうとおかしな方向に進んでいくのではないかな・・・と思います。
今回のかかりつけ薬剤師に関する改定は、あくまでも、一人一人の薬剤師の評価であって、それを組織的に行い、施設基準・算定要件だけを合わせていくと、点数は取れるかもしれませんが、その内容は求められているものと矛盾していく可能性があると思います。
  
会社からかかりつけ薬剤師を強制されることに疑問を感じたり、業務が厳しくなることで転職を考えているという声もすでに耳に入ってきています。
こういう改定だから、すぐに動くというのも大切なことだとは思うのですが、今回の内容で、会社の方向性が今までと変わってしまうようなところだと、働くものとしては大きな疑問を感じてしまいますよね。
「研修認定は薬剤師個人の勝手だから取りたいやつだけ自分の責任で取れ」と言って、研修への参加をシフトの考慮に入れてくれなかった会社が急に「研修認定を取れるように積極的に取り組みます」なんて言っても何の信頼もできないです。
地域活動において、そんな手のひら返しやってしまったら・・・。
これまで、そういったことに興味を示していなかった会社が、急にe-ラーニングを駆使して研修認定を取れるようにしたり、組織的に行政等に働きかけて地域活動を行っても、組織の中にいる一人一人の気持ちや中身が伴わないと意味がないんじゃないかと思ってしまいます。
施設基準や算定要件のために行ってるだけで、それに関すること以外は行わないっていうケースも出てきそうです。
  
たしかに、かかりつけ薬剤師は目指すべきもので、今後の改定でかかりつけ薬剤師となれる薬剤師とそうでない薬剤師の評価はどんどん差がついていくのではないかと思います。
なので、会社としてかかりつけ薬剤師を目指していくこと自体は正しいとは思います。
ただ、それには順序がありますし、薬剤師の評価はかかりつけ薬剤師になるかどうかだけではありません。
かかりつけ薬剤師という部分で差がついてしまってもしょうがないと判断する人もいると思います。
そこは個人の自由です。
たしかに、将来、薬剤師としての自身の価値が下がってしまうようなことになるかもしれませんが、そこは自己責任ではないでしょうか?
組織として、かかりつけ薬剤師を取っていこうと思うのであれば、点数・経営的な理由だけでなく、薬剤師として、医療の担い手としての考え方をしっかり示して、一人ひとりが納得できる形になるまで、根気強く組織に浸透させて欲しいと思います。
そうしないと、薬局バッシング、薬剤師バッシングが再び起きてしまうでしょう。
  
今回の改定は、薬局業界の良心を試している気がします。
がんじがらめに見える今回の改定内容に対し、薬局業界(特に大手チェーン)がどのように向き合うか、その答えが次回以降の改定だけでなく、国・国民の評価に響いてくると思うんです。