薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

ボノサップパック・ボノピオンパック~タケキャブを含むピロリ除菌パック製剤

平成28年2月16日、武田薬品工業と大塚製薬は、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium-Competitive Acid Blocker:P-CAB)であるタケキャブ錠(成分名:ボノプラザン)を含むHelicobacter pylori除菌用パック製剤の製造販売承認を取得したと発表しました。
一次除菌用がボノサップ、二次除菌用がボノピオンです。
タケキャブは発売されたときから、ピロリ除菌における効果が注目されていました。
パック製剤が発売されることで、タケキャブが、よりピロリ除菌に使用しやすくなることが期待されます。
今回はこの新しいピロリ除菌パック製剤について、タケキャブの特徴とあわせてまとめてみたいと思います。
  
  
タケキャブについては過去記事でまとめています。


  
古い記事にはなりますが、ヘリコバクター・ピロリの除菌についてもまとめています。

  
  

  

ボノプラザンを含むパック製剤

今回承認されたパック製剤、ボノサップとボノピオンについて、簡単にまとめておきます。
ランソプラゾールが含まれるパック製剤がランサップとランピオンだから、ボノプラザンを含むのはボノサップとボノピオン・・・。
ボノサップ・・・、いや、やめときましょう(笑)
  
  

ボノサップパック

ヘリコバクター・ピロリ一次除菌用のパック製剤です。
基本的にランサップに準じた内容で、タケプロン(成分名:ランソプラゾール)がタケキャブに置き換わったものです。
  
効能・効果は、

〈適応菌種〉
アモキシシリン、クラリスロマイシンに感性のヘリコバクター・ピロリ
〈適応症〉
胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病・早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

  
用法・用量は、

通常、成人にはボノプラザンとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。

  
「ボノサップパック400」と「ボノサップパック800」の二種類がありますが、ランサップと同様にクラリス錠(成分名:クラリスロマイシン)の用量の違いです。
  
  

ボノサップパック400

パック1シート(1日分)に含まれる薬剤は以下の通りです。

  • タケキャブ錠20mg:2錠
  • アモリンカプセル250mg:6カプセル
  • クラリス錠200mg:2錠

  
  

ボノサップパック800

パック1シート(1日分)に含まれる薬剤は以下の通りです。

  • タケキャブ錠20mg:2錠
  • アモリンカプセル250mg:6カプセル
  • クラリス錠200mg:4錠

  
  

ボノサップパックの使い分け

ランサップの場合は、喫煙者においてはクラリスロマイシン800mgの方が除菌率が向上したというデータがあります。
ボノプラザンを用いた一次除菌でどうだったのかというデータは把握していませが、同じ考え方で問題ないと思います。
  
  

ボノピオンパック

ヘリコバクター・ピロリ二次除菌用のパック製剤です。
こちらはランピオンに準じた内容です。
  
効能・効果はボノサップと同じなので省略します。
用法・用量は、

プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合
通常、成人にはボノプラザンとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びメトロニダゾールとして1回250mgの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。

  
パック1シート(1日分)に含まれる薬剤は以下の通りです。
ボノサップパック400のクラリス錠がフラジール内服錠(成分名:メトロニダゾール)に置き換わったものです。

  • タケキャブ錠20mg:2錠
  • アモリンカプセル250mg:6カプセル
  • フラジール内服錠200mg:2錠

ボノピオンパック

  
  

ボノプラザンを用いたピロリ除菌

タケプロンを用いた除菌と比較して、タケキャブを用いる除菌では、ピロリ菌の除菌率が高いことが知られています。
  
  

タケキャブの特徴

P-CABであるタケキャブはタケプロン(従来型のPPI)と比較して、以下の特徴を持ちます。

  • 胃酸分泌抑制効果の発現が早い
  • 効果の持続時間が長い
  • 効果発現の個人差が少ない

  
  

効果発現が速やか

従来型のPPIは胃酸により活性化されないと効果を発現することができないため、十分な効果を発現するのに数日を要します。
ですが、ボノプラザンは胃酸による活性化が不要で、かつ作用部位の壁細胞に集まりやすい性質を持っているため、初日から効果を発現することが可能です。
  
  

効果持続が長い

従来型のPPIは酸に不安定なため、長時間壁細胞にとどまることができません。
それに対して、ボノプラザンは酸に安定なため、壁細胞に高濃度蓄積することが可能です。
  
  

個人差が少ない

従来型PPIは、日本人において遺伝子多型が存在するCYP2C19で代謝されます。
そのため、CYP2C19の発現が多い人(Rapid Metabolizer:RM)では血中濃度が上昇しにくく、 逆に発現が少ない人(Poor Metabolizer:PM)では上昇しやすくなります。
  
ちなみに、日本人におけるCYP2C19の遺伝子多型の頻度は、
RMが35%、IMが49%、PMが16%とされています。
※IM:Intermediate Metabolizer(中間型)
  
CYP2C19に対する寄与率は、
オメプラゾール>ランソプラゾール>>エソメプラゾール>ラベプラゾール
となっており、オメプラール・オメプラゾン(成分名:オメプラゾール)、タケプロン(成分名:ランソプラゾール)では個人差が生じやすいと言われています。
  
ボノプラザンの代謝経路は、CYP3A4によるものなので、個人差は生じにくいです。
ただし、多くの薬物との相互作用を生じやすいので注意が必要ではあります。
とは言っても、今回の除菌製剤でもCYP3A4阻害剤であるクラリスロマイシンを併用していますから、短期間であればまず問題ないというところでしょうか?
  
また、ボノプラザンは酸に不安定でないので、腸溶錠とする必要がなく、これも個人差を減らす要因となっているのだと思います。
  
  

タケキャブを用いた除菌とタケプロンを用いた除菌の比較

タケプロンと比較して、タケキャブには上記の利点があります。
それが、ピロリの除菌にどの程度影響するのか・・・。
  
  

ピロリ菌の一次除菌

タケキャブ承認時に、ピロリ菌一次除菌にランソプラゾールとボノプラザンを用いた場合の非劣勢試験が実施されています。
その結果を見てみると・・・

  • ランソプラゾール3剤併用療法(320例):除菌成功240例→除菌率75.9%
  • ボノプラザン3剤併用療法(324例):除菌成功300例→除菌率92.6%

こんなに変わるのか!っていう結果ですね。
  
  

クラリスロマイシン耐性ピロリ菌の一次除菌

また、近年問題になっているクラリスロマイシン耐性株に対する一次除菌の比較試験も行われています。

  • ボノプラザン3剤併用療法:82.0%
  • ランソプラゾール3剤併用療法:40.0%

クラリスロマイシン耐性のピロリ菌はかなり増えていると言われているので、この効果の差はすごいですね。
  
  

ピロリ菌の二次除菌

これについては比較試験が行われたかどうかは把握していませんが、
タケキャブ3剤併用療法:98.0%
という結果が明らかにされています。
  
  

まとめ

今回、パック製剤として発売されることで、よりピロリ除菌にボノプラザンが使用されやすくなり、結果として、ピロリ除菌の成功率も上昇すると期待されます。
パック製剤を用いずに除菌を行う場合は一包化を行うことで患者さんの服薬アドヒアランス向上をはかりますが、パック製剤であればよりその効果が期待できます。
ランサップ、ランピオンはもう必要なくなってしまいそうですね。。。
  
それにしてもボノサップ。
・・・・・・・・・。
あ~やっぱり我慢できない!
頭からボブサップの顔が離れない!
是非、プロモーションにボブサップ氏を起用してほしいのですが、武田さんと大塚さんどうでしょう?
たしか薬剤師免許持ってましたよね?
格闘技好きからすると、ボノサップといえば「曙(アケボノ)VSボブサップ」の略なんですよ(笑)!