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薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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国内初の高コレステロール血症に対する抗体医薬レパーサ皮下注の承認が了承~ボンビバ錠・エリキュースとスイニー適応拡大など

新薬承認情報

平成27年11月27日、厚生労働省の薬食審医薬品第一部会が開催され、新薬など3製品の承認が了承されました。
今回の目玉は、国内初となる、高コレステロール血症に対する抗体医薬、PCSK9阻害薬レパーサ皮下注です。
アメリカのアムジェンとアステラス製薬が共同出資したアステラス・アムジェン・バイオファーマ(AABP)が申請を行っていました。

国内初のPCSK9抗体レパーサ登場

  • 商品名:レパーサ皮下注140mgシリンジ、レパーサ皮下注140mgペン
  • 成分名:エボロクマブ(遺伝子組換え)
  • 申請者:アステラス・アムジェン・バイオファーマ
  • 効能・効果:家族性コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害薬で効果不十分な場合に限る
  • 用法・用量:FHヘテロ接合体及び高コレステロール血症では通常、成人にエボロクマブとして140mgを2週間に1回または420mgを4週間に1回皮下投与する。FHホモ接合体では、通常、成人にはエボロクマブとして420mgを4週間に1回皮下投与するが、効果不十分な場合は420mgを2週間に1回皮下投与できる。


レパーサは国内初の抗PCSK9抗体です。

家族性高コレステロール血症とは?

家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia:FH)は、LDL受容体の異常により、高LDLコレステロール血症を引き起こす常染色体優性遺伝性疾患です。
一方の親から病因遺伝子を受け継いだFHヘテロ接合体は500人に1人以上(国内25万人)、両方の親から病因遺伝子を受け継いだFHホモ接合体は100万人に1人以上(国内120人)で認められています。
ホモ型の家族性高コレステロール血症は高コレステロール血症の中でも特に重篤です。
透析のように血液中からLDLコレステロールを除去するLDLアフェレーシスを受けることで動脈硬化の進展を阻止する治療を行います。

PCSK9とレパーサの作用機序

PCSK9(Prpprotein Convetase Subtilisin/Kexin type9:前駆タンパク質転換酵素サブチリシン・ケキシン9型)は、血中の過剰なLDLコレステロール(LDL-C)を取り込むLDL受容体の分解を促進する働きがあります。
レパーサはPCSK9の働きを抑制することで、LDL-Cの取り込みを促進し、血中の過剰なLDL-Cを低下させます。

臨床試験が併用療法で行われたことから、厚労省審査管理課の担当官は部会の中で、「スタチンを含む既存治療に併用して投与される」と補足を行ったようです。
また、「用法・用量を読む限り、(単剤使用が)絶対ダメということではないが、データがないということ」とも付け加えています。

エリキュース錠に静脈血栓塞栓症の適応追加

  • 商品名:エリキュース錠2.5mg、エリキュース錠5mg
  • 成分名:アピキサバン
  • 申請者:ブリストル・マイヤーズ
  • 追加される効能・効果:「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」


これまでは、

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制

のみの適応でしたが、いわゆるエコノミークラス症候群に対する効能・効果が追加となります。
NOAC(Novel Oral AotiCoagulants:新規経口坑凝固薬、Non-vitamin K antagonist oral anticoagulants:非ビタミンK阻害経口坑凝固薬)DOAC(Direct Oral AntiCoagulant:直接経口抗凝固薬)で同じ適応を持つ薬剤として、

  • リクシアナ錠(成分名:エドキサバントシル酸塩水和物)
  • イグザレルト錠(成分名:リバーロキサバン)

がありますのでエリキュースは同様の適応をもつ3番目のNOACDOACになります。

月1回投与の新規経口BP剤ボンビバ錠

  • 商品名:ボンビバ錠100mg
  • 成分名:イバンドロン酸ナトリウム水和物
  • 申請者:中外製薬
  • 効能・効果:骨粗鬆症


すでに発売されている静脈内投与のビスホスホネート剤(BP剤)のボンビバ静注1mgシリンジ(月1回製剤)の内服版ですね。
他のBP剤との一番の違いは、服用後の「横になったり、水以外の飲食を避ける必要のある時間」が少なくとも60分とされていることです。(他の薬剤は少なくとも30分ですね)
現在、国内で発売されている同タイプのBP剤として、

  • 月1回投与の経口薬:アクトネル錠/ベネット錠75mg(成分名:リセドロン酸ナトリウム水和物)
  • 4週に1回投与の経口薬:リカルボン錠/ボノテオ錠50mg(成分名:ミノドロン酸水和物)

があります。
イバンドロン酸は破骨細胞との親和性が高いため、経口投与でもその効果の高さが期待されますね。

報告品目

スイニー錠の適応拡大

  • 商品名:スイニー錠100mg
  • 成分名:アナグリプチン
  • 申請者:三和化学研究所
  • 変更後の効能・効果:2型糖尿病


これまでの適応は、

2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る

  1. 食事療法、運動療法のみ
  2. 食事療法、運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用
  3. 食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用
  4. 食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
  5. 食事療法、運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用

でしたから、インスリン・グリニド系薬剤(・SGLT2阻害剤)とは併用できませんでしたが、今回承認されれば全ての糖尿病薬との併用を可能になります。
これでようやくDPP-4阻害薬の効能・効果はすべて「2型糖尿病」になりますね。

エフピーの単剤投与が可能に

  • 商品名:エフピーOD錠
  • 成分名:セレギリン塩酸塩
  • 申請者:エフピー

これまでは、

次の疾患に対するレボドパ含有製剤との併用療法
パーキンソン病(過去のレボドパ含有製剤治療において、十分な効果が得られていないもの:Yahr重症度ステージI~IV)

だったが、
「Yahr重症度ステージI~III」において単剤投与が可能になります。

キシロカイン注ポリアンプならびにリドカイン塩酸塩注射液の適応拡大

  • 商品名:キシロカイン注ポリアンプ0.5%
  • 商品名:リドカイン塩酸塩注射液0.5%「ファイザー」
  • 成分名:リドカイン塩酸塩
  • 申請者:アストラゼネカ、マイラン製薬

追加される効能・効果:上肢手術における静脈内区域麻酔

まとめ

ついに日本国内でもPCSK9標的薬が登場します。
スタチンの時代は終わり、PCSK9標的薬がブロックバスターとなるのでしょうか?
スタチンではコントロールできないLHの患者さんにとっては大きな朗報ですね。

NOACは昨日の記事に書いたようにイグザレルトに新剤型が登場したりと、常に承認が更新されています。
一度、どこかでまとめたいとは思っています。

スイニーやエフピーのように使い慣れた薬剤の適応変更もあるので、よく整理しておきたいところですね。