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薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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アボルブカプセルの出荷調整とザガーロカプセルの発売延期

医薬品流通 医薬品流通-出荷調整・出荷停止

グラクソ・スミスクライン(GSK)が販売している前立腺肥大症治療薬であるアボルブカプセルの出荷調整、同成分を含む男性型脱毛症治療薬として発売が決定していたザガーロカプセルの発売延期が決定しました。
どちらも主成分はデュタステリド。
フランスの工場で製造が行われていたようですが、フランス当局の指摘により、工場での生産がストップしていることが原因のようです。

平成28年2月12日、MRさん情報で供給再開とのことです。
※供給再開等の情報はコメント欄に追記していきます。
  
  

アボルブ・ザガーロの製造がストップ

フランスにある委託工場の問題

アボルブ・ザガーロの両方とも、キャタレント社のベインハイム工場で製造が行われていたようですが、フランス当局の指摘が解消されるまでは新たな製造が行われない状態です。
その結果、

  • アボルブカプセル:12月初旬より出荷調整
  • ザガーロカプセル:11月24日に予定されていた発売が延期

となっています。
f:id:pkoudai:20160624192331j:plain
  

続報・フランスの工場で軟カプセルに異物混入?

茨城の親父さんの情報です。
フランス当局のホームページを見てみると、キャタレント社のベンハイム工場で製造されていた軟カプセルに異物混入と書かれています。
http://ansm.sante.fr/S-informer/Actualite/L-ANSM-a-suspendu-l-activite-du-laboratoire-CATALENT-France-Beinheim-par-mesure-de-precaution-Point-d-information
現在、流通しているものは問題に該当する可能性があるものを除いているとのことですが、少し心配ですね・・・。

  

アボルブはすでに出荷調整に?

でも、実際のところ、アボルブはすでに各卸で出荷調整されていますね。
なので、購入実績のない薬局の新規購入はすでに難しい状態です。
  
GSKの担当MRに聞いてみたところ、12月中旬~12月末でアボルブの国内の在庫はなくなってしまうのではないか、とのことでした。
各薬局・医療機関が多めに購入しようとするので、12月中旬には在庫が尽きてしまい、出荷停止となるのかもしれませんね。
  

アボルブの出荷停止解除はいつになる?

メーカーに聞いてみても、そう遠くない時期に出荷停止になるだろうとのことでした。
その後、いつ出荷が再開になるかの見通しはついていないようです。
国外での指摘によるものなので、かなり時間がかかる可能性があります。
なので、すぐに解除される・・・ということは期待できそうにありません。
過去の似たようなケースを思い出すと半年以上の出荷停止は覚悟しておかなければならないと思います。
  

新規AGA治療薬ザガーロカプセルは発売延期に

プロペシア(成分名:フィナステリド)に続く、国内2剤目の男性型脱毛症治療薬(保険適応外)、いわゆる毛生え薬として、発売間近だったザガーロカプセルは発売自体がされない、発売延期となりました。
発売を待ち望んでいた方にとってはショックな話だと思います。
  



ちみに

GSKといえば、先日の天津大爆発の影響でテノゼットも出荷調整に入っていますね。
pharmacist.hatenablog.com
  
  

薬局が行うことのできる対策は?

アボルブ・ザガーロの作用機序

デュタステリドは前立腺肥大症(BPH:Benign Prostatic Hyperplasia)の適応を有する唯一のの5α還元酵素阻害薬です。
つまり、同様の作用機序を持つ前立腺肥大症治療薬は存在しません。
  

男性ホルモンと前立腺肥大症

前立腺肥大症の発症には男性ホルモンが影響しています。
前立腺細胞の中でテストステロンやその活性体であるジヒドロテストステロンが作用することが原因のひとつということが明らかになっています。
  
なので、前立腺肥大症の治療には男性ホルモンを阻害する抗アンドロゲン薬が使用されてきました。
ですが、抗アンドロゲン薬は血中のテストステロンも低下させてしまうので、男性ホルモンが低下することによる副作用が問題になる場合がありました。
  

5α還元酵素阻害薬とは?

テストステロンは前立腺細胞の中で5α還元酵素により、活性体であるDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されます。
5α還元酵素阻害薬であるデュタステリドは、テストステロンがDHTに変換されるのを阻害することで、前立腺の肥大に大きく関与するDHTの働きを阻害し、血中のテストステロンには影響を与えないため、抗アンドロゲン薬で問題となる副作用を回避できるのが特徴です。
  

アボルブの代替薬

アボルブカプセルと同じ5α還元酵素阻害薬が存在しない(男性型脱毛症治療薬のプロペシア:フィナステリド)ため、アボルブの直接の代替薬はありません。
なので、他の前立腺肥大治療薬を用いるか、似たような作用機序が必要であれば、抗アンドロゲン薬に切り替えるという方法しかありません。
  

抗アンドロゲン薬

抗アンドロゲン薬をまとめておきます。

  • 酢酸クロルマジノン(商品名:プロスタール、プロスタット、プレストロン、サキオジール、エフミン、ロンステロン、ルトラール等)
  • アリルエストレノール(商品名:パーセリン、アランダール、コバレノール、ペリアス、メイエストン等)
  • カプロン酸ゲストノロン(商品名:デポスタット筋注)

プロスタール、プロスタットが有力候補でしょうね。
  

アボルブは休薬しても問題ない?

GSKによると、泌尿器専門医の考えとして、
「アボルブによる治療で、症状が落ち着いている患者については、2~3ヶ月休薬しても、大きな症状悪化はない」
とのことです。
アボルブをやめたからと言ってすぐに肥大が元に戻ることはないのは作用機序的に納得ですが、その期間についてははっきりとはわかりませんね。

  

まとめ

アボルブを服用している患者さんにとっては非常に残念なことですが、アボルブカプセルがまもなく手に入らなくなることは避けられないようです。
なので、処方元の先生と相談して、新規のアボルブの処方を控えてもらったり、必要性の低い患者さんから徐々に他の薬剤に切り替えていく必要があります。
できる限り、患者さんの負担にならないようにスムーズに切り替えを進めていきたいところですね。

ザガーロカプセルについては、不幸中の幸いと言ってもいいのか、発売前だったので、使用している患者さんがいません。
これまで通り、プロペシアを使い続けてもらうか、今回の問題が解決し、ザガーロカプセルが発売されるのをまってもらうということになりますね。