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薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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どうなる?調剤報酬改定!~中医協での議論が本格化

平成27年11月6日、中央社会保険医療協議会(中医協)の総会(第311回)が開催されました。
平成28年4月の診療報酬改定に向けて、調剤報酬に関する部分の議論も具体的になってきています。
今回の総会では、

  • 長期処方
  • ポリファーマシー(多剤処方)
  • 残薬
  • 後発医薬品使用促進

について議論が行われました。
  
  
H28調剤報酬改定についての過去記事です。
なお、疑義解釈等が公開されて初めて考え方がわかるものもあるので、あくまで現時点での一人の薬剤師の解釈として捉えてもらえれば幸いです。
解釈に変更等があれば随時更新する予定です。
pharmacist.hatenablog.com
  

長期処方について

長期処方に関しては、さまざまな議論の中で、7月の中医協総会ではリフィル処方にまで議論が及んでいます。
現在の調剤報酬の中では分割調剤が認められていますが、薬局側から見ると分割調剤とリフィル調剤ではかなり意味合いが異なります。
薬剤師の職能を発揮できる、新たな業務形態が期待できるところですが、はたして・・・。
  

投与日数制限の推移

医薬品の投与日数についての制限は過去に少しずつ解除され、それに伴い、処方箋1枚あたりの投与日数も増加していきました。
  

~平成14年3月
特定の疾患、医薬品に限り長期投与を認めるものの、それ以外は原則として1回14日分を限度として制限。

平成14年3月31日までは、医薬品の投与期間は基本的に14日間とされており、特定の疾患に対する医薬品のみ、30日間の長期投与が認められていました。
  

平成14年4月~
慢性疾患の増加等に伴い、投薬治療も長期に及ぶものが増加し、長期投与対象医薬品の拡大の必要性が関係学会等から多数指摘されたこと等を踏まえ、一部の医薬品(薬価収載から1年未満の新医薬品、麻薬及び向精神薬等)は引き続き投薬日数制限の対象とするものの、原則として投薬日数制限を行わない。

それが平成14年度診療報酬改定で解除され、麻薬・向精神薬・新薬以外については日数の制限のない、長期投与が可能となりました。
  

平成22年10月27日 中医協了承
新医薬品については、薬価基準収載の翌月の初日から1年間は、原則、1回14日分を限度として投与することとされているが、当該処方日数制限を行うことが不合理と考えられる場合(既収載品を組み合わせた配合剤、疾患特性・製剤特性から1回の投薬期間が14日を超えることに合理性があるもの等)で、中医協で承認が得られたものは例外的な取扱いとする。

平成22年10月には配合剤の増加等に伴い、薬価基準収載直後の医薬品について、一部投与制限の除外が認められました。
  
 

長期処方による問題

多くの医師が下記のような内容を経験しているとのことです。

  • 患者が薬をなくしてしまい、次回予約よりも前に再診に来たことがある
  • 患者が服薬を忘れたり中断したため病状が改善しなかったことがある
  • 患者が次回再診予約を忘れるなどして、次の診察に来なかったことがある
  • 症状が悪化したが、患者が次回再診予約まで受信を我慢してしまったことがある
  • 受診間隔が長い間に状態が悪化した。(腎機能障害、心不全の急性増悪 等)
  • 長期投与の間に薬が過剰に作用した。(降圧剤による低血圧、利尿剤による脱水)
  • 服薬の中断している間に状態が悪化した。(てんかん、血栓等)
  • 状態が変わっても、次の診察予定までの間受診を控えた。
  • 家族や知人と薬を分け合っている。
  • 処方を変更した際に薬が無駄になった。

薬局でもほとんどを経験したことがあるのではないでしょうか?
 
 

新医薬品の投与制限解除に関する議論

これは平成27年4月16日、内閣府の規制改革会議 健康・医療ワーキング・グループで提示された内容ですね。
pharmacist.hatenablog.com
  
この内容は、平成27年6月30日に閣議決定されています。

「規制改革実施計画」
Ⅱ 分野別措置事項
1. 健康・医療分野
(2)個別措置事項
②医薬品に関する規制の見直し
新医薬品の処方日数制限について、副作用の早期発見など、安全性確保に留意の上、中央社会保険医療協議会において検討し、結論を得る。【平成27年度検討・結論】


  

中医協での議論の内容

リフィル処方箋について

リフィル処方に近いものとして、厚労省は分割処方を長期処方に拡大し、患者の同意の下で医師が指示した場合に薬局での分割調剤を認める案を示しました。
おそらく、投与総数は90日分だが30日分×3回で投薬を行うようにと処方箋に指示されているような形だと思います。
これに対して、診療側は反対、支払い側は賛成と意見が分かれたようです。
  
診療側:反対
 日本医師会副会長 中川俊男氏「分割調剤の拡大、リフィル処方箋の導入には明確に反対する」
 日医常任理事 松本純一氏「薬剤師はその都度医師に確認すべき」
支払側:賛成
 幸野氏「医師の指示であれば問題もなく、残薬の減少にもつながる。方向性として間違っていない」
  
今のところ、リフィル処方箋の導入は難しいですが、長期処方の分割調剤については可能性あり?といったところでしょうか?
個人的には、長期処方の分割調剤という形でもいいので、是非、認めて欲しいところです。
  

新薬の投与制限緩和について

これについては、
診療側・支払側「安全性の観点から考えて、安易に緩和すべきではない。今後とも14日間の上限を守るべき」
現行制度維持の方向で意見が一致したようです。
  
  

高齢者へのポリファーマシー(多剤投与)について

高齢者に対する多剤投与の問題は、薬剤師であればみなさん感じていることでしょうし、改善のために努力した経験を持っている方も多いと思います。
  

ポリファーマシーによる問題

これについてはほとんどの薬剤師がよく知ってる問題なので、興味引かれたデータのみまとめます。
  

  • 2疾病以上の慢性疾患を有する高齢者では、平均約6剤の処方が行われている。
  • 認知症の高齢者においても、約6剤以上の多剤の処方が行われている。
  • 高齢者では、6剤以上の投薬が特に有害事象の発生増加に関連している。

ということなので、複数の疾患を有する、もしくは、認知症の高齢者は有害事象が発生しやすい状況にあるということになりますね。
  

  • 服薬回数が多いほど、薬剤が正しく服用されにくくなる(服薬アドヒアランスが低下する)。
  • 服薬する薬剤数が多いほど、薬剤が正しく服用されにくくなる(服薬アドヒアランスが低下する)。

これは当然想像できることですね。
  
  

中医協での議論の内容

厚労省は病院・薬局における薬剤師が関与することで薬剤数を減らした実例や、医師の負担を軽減した例を示し、医療機関と薬局が連携し、多剤処方の患者の薬を減らせた場合に評価する案を提示しました。
ですが、支払側から反対の意見が上がったようです。
  
支払側:反対
 委員「処方の適正化は本来業務の範囲内ではないか」
 委員「評価するといっても、医療機関と薬局のどちらを評価するのか。双方を評価するのはおかしい」
診療側:多剤処方の是正の必要性肯定
 日本医師会副会長 中川俊男氏「薬局ではなく、かかりつけ薬剤師との連携を評価する形にしてほしい」

薬剤数を減らすなどの処方の適正化は本来業務の範囲・・・たしかにそうかもしれませんが、より具体的な形で評価してもらえれば、他の医療従事者にも周知され、より積極的に行えるようになるとは思うのですが・・・。
ここは何としても評価してもらいたいところですが、何らかの形で反映されるのではないかなと期待しています。

  

残薬について

これも今年、一般の報道などでも話題になり、薬剤師の職能として注目されたものですね。
すでに薬剤服用歴管理指導料の算定要件として認められており、よく知っているところだと思いますので、気になったところだけまとめます。
  

残薬が生じる理由

  • 外出時に持参するのを忘れたため
  • 病気が治ったと自分で判断し飲むのをやめた
  • 処方された日数と医療機関への受診の間隔が合わなかったため
  • 種類や量が多く、飲む時間が複雑で飲み忘れた

  
  

残薬による問題

  • 患者が自己判断で服用するケースが見受けられる
  • 誤った用法で使用している
  • 服用すべき薬と混同して、正しく区別することが困難になる患者が見受けられる

 
   

残薬調整を行う際の問題

  • 患者が急いでいたり、医師への連絡を嫌がるなど、患者の同意が得られないこと
  • 医師が多忙でなかなか連絡がつかないこと

  
  

中医協での議論の内容

厚労省から「医師の了解の下で、より円滑に薬局で残薬確認と残薬に伴う日数調整を行うとともに、残薬の状況等について薬局から処方医に情報提供することで患者の指導に役立てることができるよう、処方箋様式に残薬調整の可否に係る医師の指示欄を設けることとしてはどうか」という案が提示されました。
これに対して、各委員の意見が分かれました。
診療側
 日医副会長 松原謙二氏「医薬品の使用期限は外箱にしか書かれていないことが多いため、残薬があると使用期限の切れたものを誤って服用し有害事象が生じる恐れがある。複数の薬局で調剤された薬を、1つの薬局で管理するのは難しい。残薬があれば医師が処方日数を調整するべき」
 日本薬剤師会常務理事 安部好弘氏「患者から残薬について相談を受けた際、いつ調剤されたか分からないものについては廃棄するように伝えている」「処方医と薬局が連携しながら対応していく必要がある」
支払側
 健康保険組合連合会理事 幸野庄司氏「事前に処方医が了解した上で、薬局が残薬を確認し日数調整を行うのは間違った方向ではない」

処方箋に残薬調整の可否を記載するという方法、かなりいい方法と思うのですがいかがでしょうか?
  
  

後発医薬品使用促進について

後発医薬品についての議論も行われました。
  

数量シェア目標引き上げに合わせて後発医薬品調剤体制加算の見直しを

後発品数量シェアについて、2017年半ばに70%以上、2018年度から2020年度までの早期に80%以上引き上げる方針が示されています。
厚労省は、この数量シェア目標の引き上げに伴い、薬局の後発医薬品調剤体制加算と医療機関の後発医薬品使用体制加算の算定要件の見直しを提案。
  
支払側 健康保険組合連合会理事 幸野庄司氏「後発品の調剤割合が低い薬局については、国家的な目標を掲げている以上、これを放任していて良いのか。何らかの措置が必要では」
これは後発医薬品の数量シェアを達成できない場合の減算を指しているのだと思います。
先日、紹介した財務省の案にも同様のものがありましたから、現実味を帯びてきますね。

日本薬剤師会常務理事 安部好弘氏「算定要件の見直しはやむを得ないが、実現可能な目標を設定すべき」「後発品使用に積極的に取り組んでいても伸びない場合もある。なぜ低いのかを分析した上で検討すべき」

後発医薬品調剤体制加算の算定要件に集中率が追加?

処方箋の集中率が90%以上の薬局では、後発品を含めた医薬品の備蓄品目数が少ないとのデータがあるようです。
それを受けて、集中率90%以上の薬局の後発医薬品調剤体制加算を見直すとの案も提示されました。
支払側「検討すべき」
日薬 安部氏「一律90%で線を引くのは乱暴ではないか」「医療資源が限られる地域の小規模薬局などは取り扱う品目数が限られている」
まさか、後発医薬品についての議論に集中率が登場するとは思ってもみませんでした。
集中率については調剤基本料や基準調剤加算で評価されているので、後発医薬品については関係ないと思うのですが・・・。

処方箋の記載方法について

医療機関の対応についても議論されています。
厚労省が挙げた見直し案は二つ。

  1. 一般名処方加算の見直し:処方箋の後発医薬品が存在する全医薬品について一般名処方を行うことを算定要件とする(現在は1剤のみ一般名処方で算定可能)
  2. 後発医薬品を銘柄指定する場合には、処方箋に理由を記載する

です。
これについては医師会の委員が反発しています。
日医常任理事 松本純一氏「後発品使用促進に異議を唱えるつもりはないが、変更不可とするには理由があり、後発品を一律には推奨できない。医師の処方権に関わる」
日医副会長 中川俊男氏「銘柄処方の理由の記載は医師の負担を増すことから全く逆の方向性」
処方権・・・。
最早、後発医薬品に関しては処方権どうこうの話ではなく、使用することを基本として考えないといけないところまで来ていると思うのですが・・・。
たしかに変更不可にも意義はあるかと思いますが、日本の医療制度を維持するために必要だと思うんですよね。
  
  

まとめ

いかがでしょうか?

  • リフィル調剤(長期処方に対する分割調剤)
  • 処方の適正化に対する評価
  • 処方箋にチェックあれば疑義紹介なしで残薬調剤が可能に

これらは是非、実現してほしいところですね。
  
それに対して、後発医薬品調剤体制加算の算定要件が厳しくなるのは間違いないと思います。
まさか、集中率の議論までされるとは思いませんでしたが、減点というのも現実味を帯びてきました。
ただ、一般名処方や変更可の処方箋にも関わらず、病院・医院側から変更しないように言われているケースがまだ存在すると聞いたことがあります。
そのような事情が存在することを理解したうえで、議論を進めてほしいです。
特に一般名処方の原則後発医薬品という部分の厳格化を希望したいところです。