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薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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SGLT2阻害剤の重大な副作用にケトアシドーシス・敗血症追記~添付文書改定指示

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平成27年9月15日、厚生労働省医薬食品局は新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の改訂を指示しました。
平成27年度指示分 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
その中で、SGLT2阻害剤(6成分、7品目)の重大な副作用に、ケトアシドーシス・敗血症が追記されています。
  
  

SGLT2阻害薬のケトアシドーシス・敗血症

現在、国内で承認・販売されているSGLT2阻害薬は、

  • スーグラ錠(一般名:イプラグリフロジン)
  • フォシーガ錠(一般名:ダパグリフロジン)
  • アプルウェイ錠(一般名:トホグリフロジン)
  • デベルザ錠(一般名:トホグリフロジン)
  • ルセフィ錠(一般名:ルセオグリフロジン)
  • カナグル錠(一般名:カナグリフロジン)
  • ジャディアンス錠(一般名:エンパグリフロジン)

の6成分、7製品となります。
  

SGLT2阻害剤によるケトアシドーシス

もともと、糖の再吸収を阻害し、尿中へのグルコース排出を促すSGLT2(Sodium-Glucose Transporter 2)阻害剤は、体内の糖分を低下させ、ケトーシスを引き起こしやすいことが想定されていました。
ケトーシスがコントロール不能になり、体液が酸性に傾くとケトアシドーシスを引き起こし、悪化すると糖尿病性昏睡や死につながります。
ですが、臨床試験ではケトアシドーシスの報告はなく、そのため、添付文書にも記載はされていませんでした。
このことは、今年の5月にFDA(米食品医薬品局)の方でも安全性情報が出されていました。
今回、国内での症例が集積したことから、添付文書の改訂指示が出されましたが、

  • スーグラ錠(一般名:イプラグリフロジン):15例(うち因果関係が否定できないもの9例)
  • フォシーガ錠(一般名:ダパグリフロジン):7例(うち因果関係が否定できないもの5例、さらにうち1例は適応外使用)
  • アプルウェイ錠/デベルザ錠(一般名:トホグリフロジン):5例(うち因果関係が否定できないもの2例)
  • ルセフィ錠(一般名:ルセオグリフロジン):1例(うち因果関係が否定できないもの1例)
  • カナグル錠(一般名:カナグリフロジン):4例(うち因果関係が否定できないもの2例、さらにうち1例は適応外使用)
  • ジャディアンス錠(一般名:エンパグリフロジン):1例(うち因果関係が否定できないもの0例)

幸いなことに、死亡例は出ていないようです。
  
本来、インスリンが欠乏している1型糖尿病で起こるものですが、SGLT2阻害剤を服用している場合は2型糖尿病であっても、注意が必要ということですね。
ケトアシドーシスの初期症状としては、呼吸困難や吐き気、嘔吐、腹痛、意識混濁、異常な疲労感や眠気が挙げられます。
この様な症状に注意を払う必要がありますね。
  
インスリン感受性が低下していたり、インスリン分泌能が著しく低下している症例では、ケトアシドーシスを引き起こしやすいのではないかと思います。
またSGLT2阻害剤は利尿剤としての側面を持つため脱水を引き起こす可能性がありますが、脱水自体がケトーシス・ケトアシドーシスを進めてしまうということもあります。
SGLT2阻害剤の使用については、適した病態をしっかり見極めれるようなガイドラインの作成が臨まれますね。
また、服用している患者さんがいち早く症状に気づけるような指導も重要です。
  

SGLT2阻害剤による敗血症

細菌感染症が全身に波及した重篤なものが敗血症ですが、SGLT2阻害剤の副作用として報告されています。

  • スーグラ錠(一般名:イプラグリフロジン):8例(うち因果関係が否定できないもの6例)
  • フォシーガ錠(一般名:ダパグリフロジン):5例(うち因果関係が否定できないもの3例)
  • アプルウェイ錠/デベルザ錠(一般名:トホグリフロジン):3例(うち因果関係が否定できないもの3例)

これについても、幸いなことに、死亡例は出ていないようです。
  
今回報告された敗血症については腎盂腎炎に由来するもののようです。
SGLT2阻害剤は尿中への糖の排出を促進するため、尿路感染症を発症しやすくなることが知られています。
また、糖尿病自体が免疫低下を招くため、敗血症が起こりやすくなっていることも想定されます。
そのため、特に尿路感染等が疑われる患者さんについては、積極的な治療を進めていく必要がありますね。
  
  

その他の重大な副作用追記

その他の薬剤について、重大な副作用の改訂指示が出されたのは以下のとおりです。

  • シンメトレル(一般名:アマンタジン):横紋筋融解症
  • ジレニアカプセル/イムセラカプセル(一般名:フィンゴモリド):進行性多巣性白質脳症
  • ジスロマック(一般名:アジスロマイシン):薬剤性過敏症症候群
  • オプジーボ点滴静注(一般名:):重症筋無力症、筋炎
  • ダクルインザ錠(一般名:ダクラタスビル)・スンベプラカプセル(一般名:アスナプレビル):血小板減少症