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薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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デュアック配合ゲル~尋常性ざ瘡(にきび)配合剤の承認が了承

新薬承認情報

平成27年1月21日、厚生労働省の薬食審医薬品第二部会が開催され、グラクソ・スミスクラインが申請していたデュアック配合ゲル(一般名:クリンダマイシンリン酸エステル水和物/過酸化ベンゾイル)の承認が了承されました。
デュアック配合ゲルは「尋常性ざ瘡(にきび)」を効能・効果とする配合外用剤です。
すでに、同組成の配合外用薬が英国やドイツで承認されています。

にきび(尋常性ざ瘡)とは?

まずは、にきびについて復習してみます。
一般的にはにきびと言いますが、医学的には尋常性ざ瘡とか単にざ瘡と言います。
にきびの原因の一つは、皮膚の常在菌であるアクネ桿菌(P.acnes:プロピオニイバクテリウム・アクネス)です。
アクネ菌はグラム陽性の嫌気性桿菌で、毛穴の中で皮脂を栄養として増殖します。
アクネ菌が分泌するリパーゼ(脂肪分解酵素)により、皮脂を遊離脂肪酸に分解し、その刺激により、毛漏斗部の角質が厚くなって皮脂が詰まってしまいます。
その結果、炎症を起こして赤くなったり、膿がたまって黄色い部分ができます。
これがニキビと言われる状態です。

にきびの治療方法

今回は外用薬についてまとめます。
現在、医療用として尋常性ざ瘡(もしくは、ざ瘡)に使用されている外用剤の成分には、

  • サリチル酸
  • 硫黄・カンフル
  • イブプロフェンピコノール
  • 抗菌剤(クリンダマイシン、ナジフロキサシン)
  • アダパレン
  • 過酸化ベンゾイル

があります。

サリチル酸

皮膚の角質を軟化させる作用や、水虫の菌(白癬菌)をおさえる作用があります。

  • 亜鉛華・サリチル酸軟膏(ラッサパスタ)(一般名:酸化亜鉛/サリチル酸):尋常性ざ瘡
  • 10%サリチル酸ワセリン軟膏 東豊(一般名:サリチル酸/白色ワセリン):ざ瘡

硫黄・カンフル

イオウには、角質を軟化させる作用のほか、殺菌、殺虫作用があります。
カンフルにはおだやかな消炎・鎮痛作用があります。

  • イオウ・カンフルローション(一般名:イオウ/dl-カンフル):ざ瘡

イブプロフェンピコノール

モルモットにおいて皮膚リパーゼ活性を抑制があることが報告されていますし、また、アクネ菌由来のリパーゼ活性を強く抑制する作用があります。
これらの作用により、皮脂が詰まることを防ぎます。

  • スタデルムクリーム5%・ベシカムクリーム5%(一般名:イブプロフェンピコノール):尋常性ざ瘡

抗菌剤

クリンダマイシンはリンコマイシン系の抗生物質で、ナジフロキサシンはニューキノロン系の抗菌薬です。

クリンダマイシン

リボゾームの50Sサブユニットを阻害して細菌のタンパク質合成を阻害します。
この作用機序はマクロライド系抗生物質と同じですが、化学的構造は全く異なります。

  • ダラシンTゲル1%/ダラシンTローション1%(一般名:クリンダマイシンリン酸エステル):ざ瘡
ナジフロキサシン

世界初のニューキノロン系外皮用剤。
ニキビの原因菌となるアクネ桿菌やブドウ球菌属などの表在性感染症起炎菌に対し優れた抗菌力を発揮します。

  • アクアチムクリーム1%/アクアチムローション1%(一般名:ナジフロキサシン):ざ瘡

アダパレン

アダパレンは、ビタミンA誘導体であるトレチノインに類似した構造を有しています。
トレチノインよりも優れた効果を持つといわれていて、トレチノインが第1世代合成レチノイドに分類されているのに対し、アダパレンは第3世代合成レチノイドに分類されます。
レチノイン酸レセプター(RARγ)に選択的に結合し、遺伝子転写促進化を誘導することによりレチノイド様作用を示します。
表皮角化細胞の角化を制御することで、面皰の形成を抑制するため、非炎症性皮疹と炎症性皮疹の数を共に減少させます。

  • ディフェリンゲル0.1%(一般名:アダパレン):尋常性ざ瘡

過酸化ベンゾイル

過酸化ベンゾイル(BPO)が安息香酸に分解される過程で生成される活性酸素が細菌膜に作用し、細菌の必須構成成分を酸化することで抗菌活性を示します。
抗生物質とは異なり、にきびの原因菌の耐性化を進めにくいというメリットがあります。
また、角質剥離作用も有しているようです。

  • ベピオゲル2.5%(一般名:過酸化ベンゾイル):尋常性ざ瘡


デュアック配合ゲル

デュアック配合ゲルはクリンダマイシン(CLDM)と過酸化ベンゾイル(BPO)の2つの成分の配合剤です。
リボゾームの50Sサブユニットを阻害することにより、マクロライドと同様の抗菌作用を発揮するリンコマシン系抗生物質であるCLDM。
分解過程で活性酸素を放出し、嫌気性菌に対し、殺菌作用を発揮するBPO。
こえら二つの成分の殺菌作用により、効果的にアクネ菌等のにきびの原因菌の増殖を抑制することが可能です。

BPOに関しては、高濃度(10%)では肌への刺激性が問題になることがありますが、デュアック配合ゲルは、クリンダマイシン(CLDM)1%-過酸化ベンゾイル(BPO)3%となっており、刺激性も抑えられています。

用法は、「1日1回、洗顔後に患部に適量を塗布」となっています。

ちなみに、国内初のBPO製剤であるベピオゲル2.5%(一般名:過酸化ベンゾイル、マルホ)は承認されていますが、薬価収載・販売はまだです。
販売開始前に、同一成分を含み、同じ効能・効果を配合外用剤の承認が了承されてしまったという形になりますね。。。