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薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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高額療養費~70歳未満の所得区分変更と制度の復習

レセプト・診療報酬

平成27年1月1日より70歳未満の高額療養費の区分が変更になりました。
高額療養費の区分に関しては、同時に施行された難病法に基づく特定医療費制度でもかかわってきます。
ここで、復習をかねて整理してみようと思います。

高額療養費制度とは?

病院に長期入院したり、高額な医療を受ける場合に、自己負担が高額になり、家計の負担が大きくなるのを軽減するための制度です。

1か月間に同一の医療機関でかかった自己負担額のうち、自己負担限度額を超えた分が保険者から支給されます。
原則、保険者に「高額療養費支給申請書」を提出することで、支給されますが、保険者によっては支給申請書なしで自動的に支給される場合もあります。

高額療養費の所得区分

高額療養費の所得区分についてまとめます。
所得に応じて高額療養費の支給額(自己負担限度額)が決まっており、その区分は70歳未満、70歳以上75歳未満、75歳以上で変わってきます。
このうち、70歳未満に関しては、平成27年1月から所得区分が変更になりました。

70歳未満の方(平成27年からの新区分)

70歳未満の場合、入院・外来の区別はありません。

高額療養費には多数回該当という区分があり、該当する場合は、自己負担上限額が減額されます。
過去12か月で3回以上高額療養費が支給されている場合、4回目以降が多数回該当の対象となります。
多数回該当は同一保険者での療養に適用され、保険者が変わったときは月数に通算されません。
また、多数回該当は同一被保険者で適用され、退職して被保険者から被扶養者に変わった場合などは、月数に通算されません。

高額療養費制度では、一ヶ月間に同一の医療機関でかかった自己負担額のうち、自己負担限度額を超えた分が保険者から支給されますが、70歳未満では、21,000円を越えたものについては、同一世帯で合算して考えることが可能です。

平成27年1月移行の新区分は以下の通りです。

区分旧区分自己負担限度額多数回該当
の限度額
(A)252,600円+(総医療費-842,000円)×1%140,100円
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%93,000円
(B)80,100円+(総医療費-267,000円)×1%44,400円
57,600円44,400円
(C)35,400円24,600円

各区分の該当者は以下の通りです。
区分該当者
健康保険国民健康保険
標準報酬月額83万円以上旧ただし書き所得901万円以上
53万~79万円600万~901万円
28万~50万円210万~600万円
26万円以下210万円以下
市区町村民税の非課税者
※ 旧ただし書き所得:総所得金額等から基礎控除額33万円を控除した額

70歳未満の方(旧区分)

参考までに旧区分も掲載しておきます。
平成26年12月診療分までが旧区分でした。

旧区分自己負担限度額多数回該当
の限度額
A150,000円+(総医療費-500,000円)×1%83,400円
B80,100円+(総医療費-267,000円)×1%44,400円
C35,400円24,600円

70歳未満の所得区分変更のまとめ

これまでの表を見ると、

  • 旧区分A→新区分ア・イ 自己負担限度額が上昇
  • 旧区分B→新区分ウ・エ 自己負担限度額が軽減される区分(エ)が新設
  • 旧区分C→新区分オ 変化なし

という具合に区分・自己負担限度額が変更されたことがわかると思います。
特に区分ア・イの部分に関しては自己負担限度額が大きく上昇しています。

70歳以上の方75歳未満

平成27年1月からも区分の変更はありませんが、平成26年4月1日に区分一般の自己負担限度額が引き上げられました。

入院を含む診療の場合、同一世帯の自己負担額を合算して考えることが可能です。

70歳未満と同様に、過去12か月で4回以上高額療養費が支給されている場合、4回目以降は多数該当の対象となりますが、外来のみの支給は回数に含むことができません。






区分外来外来・入院外来・入院
(多数該当)
一定以上所得者
(上位)
44,400円80,100円+(総医療費-267,000円)×1%44,400円
一般24,600円62,100円
低所得II8,000円24,600円-
低所得I15,000円

該当者は以下の通りです。

  1. 一定以上所得者(上位)→社保:標準報酬月額28万円以上、国保:課税所得145万円以上
  2. 一般→1・3・4以外
  3. 低所得Ⅱ→市町村民税非課税者等
  4. 低所得Ⅰ→判定基準所得がない者

旧 70歳以上の方75歳未満 区分一般
  • 外来:12,000円
  • 外来・入院:44,400円
  • 外来・入院(多数該当):適用なし


75歳以上の方

平成27年1月からも区分の変更はありません。
75歳以上の方は健康保険ではなく後期高齢者医療制度に加入しています。
そのため、高額療養費も後期高齢者医療制度の一部として支給されます。

75歳未満と同様に、入院を含む診療の場合、同一世帯の自己負担額を合算して考えることが可能です。
また、多数該当の考えも同様ですが、対象となるのは、現役並み所得者の入院・外来のみです。

区分外来外来・入院外来・入院(多数該当)
現役並み所得者
(上位)
44,400円80,100円+(総医療費-267,000円)×1%44,400円
一般所得者12,000円44,400円-
低所得者Ⅱ8,000円24,600円
低所得者Ⅰ15,000円

該当者は以下の通りです。

  1. 現役並み所得者(上位):標準報酬月額28万円以上
  2. 一般所得者:1・3・4以外の方
  3. 低所得者Ⅱ:被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合
  4. 低所得者Ⅰ:被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合


高額療養費の現物給付化

2007年4月からは入院療養に対して、2012年4月からは外来診療に対して、高額療養費の現物給付が開始されました。
薬局での現物給付も行われています。
保険入力の際にレセコンに設定していると思いますが、薬局で働く自分たちにとっても一番理解が必要なのがこの部分かもしれませんね。

従来の制度では、自己負担額を支払った後、保険者に対して高額療養費の申請を行い、後日、高額療養費が支給されるという形でしたが、現物給付化されたことにより、医療機関個別での支払いに関しては、後から支給されていた高額療養費を見越した自己負担限度額を上限とした支払いで済むようになりました。
(現在の現物給付の制度では、他の医療機関の合算、処方元医療機関とその処方に関する薬局での支払いに関しては合わせて管理することができないので、対応していない部分に関しては申請が必要です)

自己負担限度額と限度額適用認定証

高額療養費の現物給付を受けるためには、各医療機関で自己負担限度額を知らせる必要があります。
ですが、70歳以上の方に関しては負担割合からある程度自己負担限度額を判断することが可能です。
70~75歳未満の方は高齢受給者証を取得しているはずですし、75歳以上(一部65歳以上)の方は後期高齢者医療制度に加入しているはずです。
それぞれ自己負担割合から、

  • 後期高齢者:3割負担→現役並み所得者(上位)、1割負担→一般所得者
  • 高齢受給者証:3割負担→一定以上所得者(上位)、2割(1割)→一般

のように判断します。
ですが、この方法で一般と判断された方は低所得に当てはまる可能性があります。
そこで必要となるのが「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」です。

限度額適用・標準負担額減額認定証

収入区分が低所得に該当することを示すために限度額適用・標準負担額減額認定証が発行されています。
低所得に該当する方が、高額療養費の厳密な現物給付を希望する場合、申請することで発行され、

  • 70歳未満:区分オ
  • 70~75歳:低所得Ⅱ・低所得Ⅰ
  • 75歳以上:低所得者Ⅱ・低所得者1

であることを判断することが可能になっています。

高額療養費限度額適用認定証

70歳未満で現物給付を希望する場合、申請することで高額療養費限度額適用認定証が発行されます。
これにより、高額療養費の所得区分がわかり、ア~エのどれに該当するかがわかります。

高額療養費現物給付の該当区分の判断方法まとめ

70歳未満
  • 認定証不所持→高額療養費の現物給付を受けることはできない
  • 高額療養費限度額適用認定証→区分ア~エ
  • 健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証→区分オ

70~75歳
  • 高齢受給者証自己負担3割→一定以上所得者(上位)
  • 高齢受給者証自己負担2割(1割)→一般
  • 高齢受給者証自己負担2割(1割)で限度額適用・標準負担額減額認定証を所持→低所得Ⅱ・低所得Ⅰ

75歳以上(一部65歳以上も該当)
  • 後期高齢者自己負担3割→現役並み所得者(上位)
  • 後期高齢者自己負担2割(1割)→一般所得者(一般)
  • 後期高齢者自己負担2割(1割)で限度額適用・標準負担額減額認定証を所持→低所得者Ⅱ・低所得者Ⅰ


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高額療養費制度の問題点

現物給付が行われるようにはなりましたが、現状の制度では
個人・一ヶ月・一医療機関
ごとの自己負担限度額しか対応していません。

実際の高額療養費制度では世帯内での合算や、複数医療機関の合算が行われますし、
薬局での自己負担額は処方元の医療機関と合算して考えます。

それらを考慮した高額療養費の支給を希望するのであれば、結局、申請を行うしかありません。
合算などについてはまとめると長くなるので今回は割愛しますが、
現物給付を受けていても、高額療養費が完全に支給されていないケースがあることや、薬局の自己負担額は処方元医療機関の自己負担と合算できるこをは知っておかなければいけませんね。


別記事で高齢者の保険についてまとめていますので参考にしてください。

【後期高齢者】高齢者の保険について整理してみる【高齢受給者証】 - 薬剤師の脳みそ