薬剤師の脳みそ〜くすりと医療制度

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

特定疾患治療研究事業(51)と難病医療費助成制度(54)~薬局での対応はどう変わる?

新人薬剤師さんへ
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あけましておめでとうございます。
正月気分も抜けたところですが、新たな医療制度が開始になりましたね。
昨年末のうちにレセコンの対応など準備を行ってはきましたが、いざ始まると完全に理解できていなかったことがわかるものです。
  
ということで、少し勉強してみたのでまとめてみます。
何回かに分けていく予定ですが、まずは難病法に基づく特定医療費制度。
今日は薬局での対応についてです。
  
  

  
  
今回の変更は、平成26年5月30日公布、平成27年1月1日施行の「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づくものです。
この記事は難病医療費助成制度(54)についてまとめています。
小児慢性特定疾病に関しては別記事でまとめています。

  

特定疾患と指定難病

特定疾患治療研究事業の対象となったのは56疾病の特定疾患でした。
難病医療費助成制度の場合、開始時(平成27年1月1日)から110疾病と、特定疾患治療研究事業よりも多く難病指定されていました。
現在はさらに拡大し、331疾病が難病として指定されています。(平成30年4月1日現在)
  

特定疾患治療研究事業はなくなる?

特定疾患治療研究事業(法別番号:51)はなくなるわけではありません。
ほとんどの疾病が難病医療費助成制度(法別番号:54)に移行されますが、

  • スモン
  • 劇症肝炎
  • 重症急性膵炎

は51として継続されます。
なのでこれら3つの疾病で51を取得していた人はこれまで通り継続することになります。
ただし、51はすでに認定されている人だけで、新規に取得することはできなくなります。
  
  

特定疾患治療研究事業(51)と難病医療費助成制度(54)の大きな違い

指定される疾病数が大きく増える以外に51と54にはどんな違いがあるのでしょうか?
  

難病医療費助成制度を扱うには指定が必要

難病医療費助成制度(54)を扱うには難病医療費助成制度指定医療機関として都道府県から指定を受ける必要があります。
特定疾患治療研究事業(51)では指定の必要はありませんでした。
おそらく、ほとんどの薬局が昨年中にすでに指定を受けていると思います。
  
ちなみに、指定を受けることができる医療機関は以下の通りです。

  • 保険医療機関
  • 保険薬局
  • 健康保険法に規定する指定訪問看護事業者
  • 介護保険法に規定する指定居宅サービス事業者(訪問看護を行うものに限る)
  • 介護保険法に規定する指定介護予防サービス事業者(介護予防訪問看護を行うものに限る)

  
指定の有効期間は6年間です。
ちなみに、難病の診断を行う医師については、都道府県知事から「難病指定医」として指定される必要があります。
  

難病医療費助成制度は2割負担が基本

51では薬局での自己負担はありませんでした。
ですが、54ではすべての医療機関で2割負担となっており、月々の自己負担上限金額が定められています。
  
これまでの特定疾患治療研究事業では対象となる薬剤については自己負担はありませんでした。
  

2割負担+自己負担の上限管理

難病医療費助成制度では、自立支援(法別番号:21)や肝炎医療費助成(法別番号:38)のように月々の上限金額が定められています。
その月にすべての医療機関で支払った自己負担金の合計が上限金額に達したら、それ以降その月の自己負担金は免除(54が負担)になります。
  
ちなみに、51の場合、薬局では自己負担なしでしたが、病院では3割自己負担+上限管理という形でした。
54では、すべての医療機関で2割自己負担+上限管理ということになります。
(主保険が1割の場合は1割自己負担+上限管理)
  
  

薬局で必要となる情報

それでは、公費54の対象となる処方箋を応需した場合、薬局で行うべきことを具体的にまとめていきたいと思います。
  

医療受給者証の確認

まずは、受給者証の確認が必要となります。
受給者証により、

  • 疾病名
  • 自己負担限度額
  • (高額療養費の)適用区分

を確認する必要があります。
  

適用区分の確認

適用区分に関しては、「―」、「***」で表示されている場合があります。
これは、平成27年1月1日から12月31日までの間は高額療養費の適用区分なしで受給者証を発行できるようになっているためです。
  
ですが、適用区分は調剤報酬レセプトの請求時に特記事項に記載するように定められており、ほとんどのレセコンで公費54を追加すると、適用区分の入力を行うように指示あるはずです。
54の適用区分は高額療養費の区分に準じています。
そのため、受給者証の適用区分が未記入だとしても高額療養費の適用区分にしたがって入力することが可能です。
  
過去記事に高額療養費についてもまとめているので参考にしてください。

  
前期高齢者ならびに後期高齢者で3割負担の場合

  • 70歳以上75歳未満(前期高齢者:高齢者受給者証取得者)
  • 75歳以上(後期高齢者:39)

で3割負担の場合は、高額療養費の適用区分は上位となります。

  • 前期高齢者で3割負担:一定以上所得者
  • 後期高齢者で3割負担:現役並み所得者

そのため、指定難病の適用区分も上位となります。
  

認定証により高額療養費の適用区分が明らかな場合
受給者証の適用区分が未記入の場合でも、認定証により高額療養費の適用区分が明らかな場合はその所得区分から判断することができます。
高額療養費の適用区分に関する認定証とは、

  • 限度額適用・標準負担額減額認定証:低所得該当者
  • 高額療養費限度額適用認定証(70歳未満で上記に該当しない場合)

です。
  

70歳未満で適用区分が未記入の場合
70歳未満で適用区分が未記入の場合は、54の適用区分も高額療養費の適用区分も未記入のままで問題ないようです。(平成27年1月30日 厚生労働省への疑義照会)
  
70歳以上で主保険の負担割合が2割(1割)の場合
最後にややこしいのが、受給者証の適用区分が未記入で、70歳以上(高齢者受給者証取得者と後期高齢者)、かつ主保険の負担割合が2割(1割)の場合です。
この場合、適用区分を「一般」としての対応になります。
ですが、あくまでも区分は未確定のため、レセプトの特記その旨を記載するための処理が必要となるようです。
各レセコンメーカーからその対応の連絡が来てるんじゃないかと思います。
  
  

自己負担限度額管理票の確認と記入

54の自己負担限度額管理票は受給者証と一緒になっていることが多いようです。(自治体により異なるかもしれません)
他医療機関での支払金額を確認し、自己負担上限金額を超えないように、薬局の請求金額を計算し、自己負担限度額管理票への記入を行ってください。
  

介護保険の記入は注意が必要

ただし、患者から徴収した額に10円未満の端数がある場合には、四捨五入した額を自己負担額の欄に記載することとなっているので、介護保険に関する部分は注意が必要です。
薬局で算定する可能性の高い居宅療養管理指導費・予防居宅療養管理指導費は同一建物居住者の場合352単位、同一建物居住者以外の場合503単位

  • 単一建物居住者1人に対して行う場合:507単位
  • 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合:376単位
  • 上記以外の場合(単一建物居住者10人以上に対して行う場合):344単位

となっています。(平成30年度改定)
  
介護保険の利用者負担額は負担割合によって異なり、そこから10円未満の端数を四捨五入した額(→矢印以降の金額)を自己負担限度額管理票に記入するようになります。

(平成30年度改定)

  • 1割負担
    • 単一建物居住者1人に対して行う場合:507円→510円
    • 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合:376円→380円
    • 単一建物居住者10人以上に対して行う場合:344円→340円
  • 2割負担
    • 単一建物居住者1人に対して行う場合:1,014円→1,010円
    • 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合:752円→750円
    • 単一建物居住者10人以上に対して行う場合:688円→690円
  • 3割負担
    • 単一建物居住者1人に対して行う場合:1,521円→1,520円
    • 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合:1,128円→1,130円
    • 単一建物居住者10人以上に対して行う場合:1,032円→1,030円
  
平成30年度改定以降、単一建物居住者の人数が一ヶ月単位で判断するため、翌月にまとめて請求することも多いかと思いますが、その場合は該当する月の自己負担累積額を確認した上で領収額を決定し、記入を行うようになります。
自己負担限度額管理票の記入は領収を行った時点での記入となっているので、実際に算定したタイミングに関わらず、領収を受けた順番の記入で問題ありません。
  

上限を越えても記載を続けるケース

21や38では上限金額に達した場合は、自己負担限度額管理票にその医療機関で上限に達した旨を記載し、その月はそれ以降の記載は不要となります。
これは54でも基本的には同じなのですが、上限に達した後も記載が必要なケースが存在します。
54では「過去1年間に6回以上、医療費総額が5万円を超す場合」については、「高額かつ長期」として自己負担限度額の減免が認められています。
この「高額かつ長期」の確認に使用するため、5万円に達するまで医療費総額の記載を求められる場合があるので注意が必要です。(自己負担はかからないため斜線を記入する)
※自治体によっては自己負担限度額管理表に医療費総額欄が存在しないので対応方法については確認してみてください
  
  

公費51の処方箋が来たら?

公費51のまま処方箋が来ることもあるかもしれません。
その場合も、受給者証の確認を行ってください。

  • スモン
  • 劇症肝炎
  • 重症急性膵炎

であれば、51で間違いありませんが、そうでなければ54の間違いか、54への切り替えが行われていない可能性があります。
  
  

まとめ

とりあえず、ざっくりとですがまとめてみました。

  • スモン・劇症肝炎・重症急性膵炎は51継続
  • 難病医療費等助成制度(法別番号:54)を扱うには指定が必要
  • 自己負担は2割だが主保険が1割の場合は1割負担
  • 限度額を超えた月はそれ以降自己負担はなし
  • 受給者証で自己負担限度額を確認し、自己負担限度額管理票を使用して管理を行う
  • 医療・介護合わせて一つの自己負担限度額管理表を使用(10円未満は四捨五入して記入するので介護については注意が必要)
  • 高額療養費の適用区分もレセプトに必要

といったところですね。