薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

うがい薬だけを処方する場合の取り扱い~平成26年診療報酬改定

2014年4月からうがい薬だけの処方は全額自己負担に?
うがい薬のみ処方、保険外に 14年4月から :日本経済新聞
昨年末にこんなニュースが話題になりました。
この点に関しても2月12日の中医協資料に記載されています。


調剤報酬関連の最新記事はこちらです。
平成26年度調剤報酬改定 疑義解釈資料(その1)公開 - 薬剤師の脳みそ
一般名処方で先発医薬品を選択した際のレセプト摘要欄記載方法~平成26年度調剤報酬改定 - 薬剤師の脳みそ
平成26年度診療報酬改定 官報告示 - 薬剤師の脳みそ


中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省
総-1 P225
資料から抜粋しますと。
改定案
入院中の患者以外の患者に対して、うがい薬(治療目的のものを除く。)のみを投与された場合については、当該うがい薬に係る処方料、調剤料、薬剤料、処方せん料、調剤技術基本料を算定しない。
ということです。

色々とツッコミどころがあるんですが。
気になる点について考えてみます。

治療目的のもの?

治療目的のものを除く。
医療費適正化の観念から、治療目的じゃないうがい薬を保険適応外にしようということなのですが・・・。
もし、薬局にうがい薬のみの処方せん(想定されるのは自由処方せん)が来た場合、どうやって治療目的かどうかを判断すればいいのでしょうか・・・?
制度として決定すれば「治療目的じゃないよ。」と堂々と言う人はいないような気がしますが・・・。

処方料と処方せん料?

これは個人的に質問を受けたので。
薬局に関係するのは処方せん料です。
どちらも医師に薬を処方してもらう際に発生する費用です。
院内処方にかかるのが処方料、院外処方にかかるのが処方せん料ということです。

調剤技術基本料と調剤基本料?

これも上と同様です。
薬剤師が常駐する院内において調剤にかかる基本料が調剤技術基本料。
薬局での調剤にかかる基本料が調剤基本料です。

自由診療じゃないの?

「処方料、調剤料、薬剤料、処方せん料、調剤技術基本料を算定しない。」
薬局に関係するのは、調剤料、薬剤料、処方せん料。
この条件でイソジンが処方されるとどうなるのでしょうか?
処方せん料が算定できなければ、病院では処方せんの発行に関する料金は無料。
もしくは、自費でいくらか請求されて処方箋が発行されるようになるはずです。
薬局では調剤料と薬剤料が算定できない。
ってことは調剤基本料と薬学管理料は算定できるってこと?
どういう扱いにすればいいのでしょうか?
自由診療になるってのが一番わかりやすいんでしょうけど、算定できない項目が具体的に書かれているだけに意味がわからなくなっている気がします。

この改定の効果

もしこの改定が成立した場合、うがい薬を出したいがためにもう一つ薬を付け加えて処方するというケースが増えてしまう懸念があるようです。
イソジンガーグル + SPトローチとかそんな処方でしょうか?
もし、そうなってしまったら本末転倒ですね。
でも、個人的にはそんなケースはそんなに多くないのではないかと思っています
国の指針として無意味なうがい薬だけの処方をなくしていこうという考えは周知されるわけですから、医療従事者の中では意識として減らしていく方向になり、医療費抑制に一定の効果はあるんじゃないでしょうか?

ヨードうがい薬の効果

少し話を替えて、うがい薬の効果についてのお話。
こんなデータがあります。

ボランティア387名を募り、くじ引きで「水うがい群」「ヨード液うがい群」「特にうがいをしない群」の3群に割り付け、2ヶ月間にわたって割り付けられたうがい行動をとってもらって風邪の発症を追跡した。その結果、発症率はうがいをしない群の1ヶ月あたり100人中26.4人に対して水うがい群は17.0人、ヨード液うがい群は23.6人であった。多変量解析で群間のばらつきをそろえると、水うがいをした場合の発症確率はうがいをしない場合に比べて40%低下することになる。一方ヨード液うがいでは12%の低下にとどまり、統計学的にも意味のある抑制効果は認められなかった。

まとめると・・・
 うがいなし→26.4%が風邪
 水でうがい→17.0%が風邪
 ヨードうがい→23.6%が風邪
ということでイソジンに代表されるヨードうがいではうがいなしとあまり差がないという結果になっています。

うがいをすれば、ウイルス自体を除去できるので風邪になりにくくなるのは当然の気がします。
ヨードうがいであまり効果がないのはウイルス自体を除去はできるけど、喉の正常細胞まで破壊してしまったり、口の中の常在菌まで倒してしまって免疫のバランスが崩れてしまうからじゃないかということです。

ヨードうがい薬の存在意義

なら、イソジンの存在意義は・・・?
もちろん無意味とは言いません。
ある種の細菌などの感染がはっきりしている場合には効果があるのかもしれません。
ただ、予防効果はないということですね。

うがい薬は保険適応外にしてみては?

少しだけ持論を展開。
もう、うがい薬は特殊なケースに限って処方可能で、それ以外はすべて保険適応外でもいいんじゃないでしょうか?
気になる値段についてもそこまで高くありません。
医療用がなくなり、市販の需要が増えるのであればもう少し安くなるかもしれません。

医師が必要と判断すれば、「ヨードうがい薬を薬局で購入して使って」と口頭で指示するという形ではどうでしょう?
それを受けた患者さんは処方せんを持っていく薬局で購入してもいいし、ドラッグストアなどで購入してもいいし、通販などで購入し、家に置いてあるものを使用してもいい。
そうなれば、どこの薬局でもうがい薬は最低限用意するでしょう。
処方でなければ薬局でメーカーを自由に選んだり、味が工夫したものを選ぶことが可能になります。
そこから、かかりつけ薬局として選んでもらうための競争が生まれるかもしれません。

もし、医療用がなくなった結果、使われることがなくなれば・・・。
それこそ、保険適応外で正解ということですね。

まとまりのない話になってしまいましたが、4月からどうなるのか?
今のままでは混乱しそうなので、もう少しわかりやすい取り組みになるよう期待しています。