薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
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アドセトリス 承認 (平成26年1月17日)

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アドセトリス点滴静注用50mg(一般名:ブレンツキシマブ ベトチン遺伝子組換え/武田薬品)
効能・効果は「再発又は難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫、未分化大細胞リンパ腫」です。
シアトルジェネティクス社とミレニアム社(武田の子会社)が共同開発。
欧米では「ADCETRIS®」という商品名で販売されています。
CD30はヒト白血球を主としたさまざまな細胞表面に存在する分子(表面抗原)に結合する抗体の分類で、CD30陽性というのはCD30というタイプのモノクローナル抗体に反応する抗原をもつリンパ細胞というわけです。

リンパ腫の分類

悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ種に分類されます。

ホジキンリンパ腫

ホジキンリンパ腫は病理組織学的にはホジキン細胞やリード=シュテルンベルク細胞を認めるものです。
ホジキンリンパ腫は「古典型」と「結節性リンパ球優勢型」のふたつに大きく分類されます。
古典型のほとんどがCD30陽性(CD15も陽性)で、結節性リンパ球優勢型はCD30陰性(CD20陽性)です。

非ホジキンリンパ腫

次に非ホジキンリンパ腫はB細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫に大きく分類されます。
それぞれ細分化されて分類されていますが、T細胞リンパ腫の中でCD30陽性なのが未分化大細胞リンパ腫です。
ちなみに、ホジキンリンパ腫は日本人ではほとんど見られず、悪性リンパ腫のほとんどが、非ホジキンリンパ腫のB細胞リンパ腫に含まれる、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫です。

ですので、この薬は日本において、オーファンドラッグとして指定されています。

アドセトリス

アドセトリスは、CD30抗原を標的とするモノクローナル抗体と、細胞分裂の過程で生じる微小管阻害作用を持つ低分子薬剤:モノメチルアウリスタチンE(MMAE)とを結合させた抗体薬物複合体と呼ばれる薬剤です。
この複合体は血中では安定していますが、CD30抗原を発現した腫瘍細胞に取り込まれた後、タンパク質分解酵素により切断されてMMAEが放出されます。
その結果、細胞はアポトーシスを引き起こされ死に至ります。

CD30陽性のものに限りますが、非常に効果的な薬剤ということで期待が持てますね!

なお、ブレオマイシンとの併用により肺毒性(間質性肺炎等)が高まるため、併用禁忌となっています。

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