薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
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ザルティア錠 承認(平成26年1月17日)

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(ここからが記事本文になります)

ザルティア錠2.5mg、ザルティア錠5mg(一般名:タダラフィル/日本イーライリリー)
効能•効果は「前立腺肥大症に伴う排尿障害」です。
タダラフィル…?

(一部記事を修正して再掲載しました)

既成のタダラフィル製剤

そう、タダラフィルはすでに販売されている医薬品に使用されている成分です。
一つはシアリス錠です。
もう一つはアドシルカ錠、肺動脈性肺高血圧症治療薬です。

シアリス錠の規格は10mg/20mg、アドシルカ錠は20mgなのでザルティアの用量は少なめですね。

ホスホジエステラーゼ5阻害剤

でも、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)を阻害するのは同じです。

前立腺での働き

前立腺での作用をまとめると・・・。
NO(一酸化窒素)は平滑筋細胞内でグアニル酸シクラーゼ(GC)を活性化し、c-GMPが増加、平滑筋を弛緩させます。
c-GMPはPDE-5による分解を受けることで、細胞内濃度が調節されています。
PDE-5を阻害すると、NOによって増加したc-GMPの分解が抑制、細胞内濃度が増加します。
その結果、尿道周辺の筋肉が弛緩、患部への血流や酸素供給を改善することで、排尿障害を改善します。

効果の裏は副作用

ザルティアは排尿障害改善薬ですが、シアリスやアドシルカの薬効が副作用として起こる可能性が想像されます。
うーん。。。
本来の目的とは異なる使い方を勧める人が出そうで嫌ですね。
薬である以上、様々な副作用が想定されるので、都合のいい作用が出るわけじゃないです。
本来の目的と異なる使い方を行った場合、救済等は受けられないと思うのでやめましょうね。

併用禁忌

ホスホジエステラーゼ5阻害剤ですから、併用禁忌には注意が必要です。

添付文書を見ると…

併用禁忌
硝酸剤及びNO供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)
臨床症状・措置方法:併用により、降圧作用を増強するとの報告がある。
機序・危険因子:NOはcGMPの産生を刺激し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介するNOの降圧作用が増強する。

「等」って書き方が気に入らないのでハッキリさせましょう。
成分と合わせて代表的な商品名も記載してみます。
ニトログリセリン:ニトロペン舌下錠、ニトロダームTTS、ミリステープ、ミオコールスプレー
亜硝酸アミル:亜硝酸アミル「第一三共」
硝酸イソソルビド:ニトロール錠、ニトロールRカプセル、ニトロールスプレー、フランドル錠、フランドルテープ

さあ、ここからは「等」に含まれる部分です。
一硝酸イソソルビド:アイトロール錠
ニコランジル:シグマート錠
ニプラジロール:ハイパジールコーワ錠(点眼液は大丈夫)
ニトロプルシド:ニトプロ持続静注液

けっこうありますね。
忘れずチェックしましょう!

期待される効果

他にも、PDE-5阻害剤は血管内皮細胞の賦活作用で注目されています。
血流の改善が血管内皮細胞の増殖・血管新生作用につながり、アンチエイジング的な効果があることも期待されているので、今後も様々な薬剤として登場しそうですね!

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