薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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平成25年7月26日付承認医薬品

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今回は新薬5剤が承認されました。
⭐フルティフォーム50エアゾール56吸入用・120吸入用、フルティフォーム125エアゾール56吸入用・120吸入用(フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロールフマル酸塩水和物、杏林製薬)
フルチカゾンと言えばフルタイドやアドエア(サルメテロール/フルチカゾン)、ホルモテロールと言えばシムビコート(ブテソニド/ホルモテロール)やオーキシスです。
すでに単剤、配合剤で使用されている成分ですが、この二つの組み合わせは初めてですね。
吸入方法を見れば、ホルモテロールを含むエアゾール製剤も初めてです。

米国ではまだ申請中のようですが、欧州を含む17カ国で使用されています。
用法用量は、通常フルティフォーム50エアゾールを1回2吸入し、1日2回。

国内3剤目となるICSとLABAの配合剤ですが、新規有効成分を含まないだけに何を売りにするのかが気になるところです。
サルメテロールと異なり、用量依存的に効果が期待できるホルモテロールを含むエアゾール製剤ってところがポイントでしょうね。

⭐ゾレア皮下注用150mg・75mg(成分名:オマリズマブ遺伝子組換え、ノバルティスファーマ)
効能・効果は「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」
用量の変更と小児適応の拡大です。
成人1回用量の上限が75〜375mgから75〜600mgへ引き上げとなっています。
今のところ、投与量換算表の変更としか情報がないので詳細を待たないといけませんが、使用可能なIgE値の上限拡大があるのだと思います。(現在、血清IgE抗体700まで)
かなり高い薬剤ですし、アナフィラキシーなどのリスクもありますが、高用量の吸入ステロイドを用いても改善できない患者さんにとっては貴重な選択肢だと思います。


⭐ユニタルク胸膜腔内注入用懸濁剤4g(成分名:滅菌調整タルク、ノーベルファーマ)
効能・効果は「悪性胸水の再貯留抑制」、新有効成分含有医薬品です。
とは言っても海外では以前から使われている胸膜癒着剤です。

ガンによる悪性胸水の貯留を防ぐために、わざと胸膜の炎症を引き起こして肺側と肋骨側の壁側胸膜を癒着させる方法があります。
日本ではピシバニ−ル(ストレプトコックス・ピオゲネス(A群3型)Su株ペニシリン処理凍結乾燥粉末、中外製薬)が使われていましたが、強い疼痛、発熱など副作用も強いため、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が、より副作用が少なく、世界標準の同剤の導入をメーカーに依頼していました。


⭐アレジオン点眼液0.05%(成分名:エピナスチン塩酸塩、参天製薬)
効能・効果は「アレルギー性結膜炎」

抗ヒスタミンの点眼剤。
錠剤・ドライシロップはベーリンガーインゲルハイムでしたが点眼薬は参天製薬からの販売です。
先行薬であるパタノール(成分名:オロパタジン、協和発酵キリン)に対する優位性が気になるところです。
すでに海外では発売されているようですね。

⭐シナジス筋注用50mg・100mg、シナジス筋注液50mg・100mg(成分名:パリビズマブ遺伝子組換え、アッヴィ)
効能・効果は「24カ月齢以下の免疫不全及びダウン症候群の新生児、乳児および幼児におけるRSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制」
RSウイルスに対するヒトモノクローナル抗体の適応拡大ですね。
抵抗力のない患児の入院などのリスクを減らすことが可能です。


報告品目は以下の通り。
⭐キュビシン静注用350mg(成分名:ダプトマイシン、MSD)
環状リポペプチド系抗生物質。
これまでの用法「24時間ごとに30分かけて点滴静注」に、今回「又は緩徐に静脈内注射する」が追加。

⭐スチバーガ錠40mg(成分名:レゴラフェニブ水和物、バイエル薬品)
適応追加です。
「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」が追加。


適応追加の公知申請も了承されています。
⭐ダラシンS注射液300mg、・600mg(成分名:クリンダマイシン酸エステル、ファイザー)
予定適応「顎骨周辺の蜂巣炎、顎炎」

⭐硫酸ストレプトマイシン注射用1g「明治」(成分名:ストレプトマイシン硫酸塩、MeijiSeikaファルマ)
予定適応「マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症」

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