薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

アジルサルタンとその配合剤とハイグロトンの思い出

武田のMRさんからアジルサルタン(商品名:アジルバ)の勉強会を受ける機会があったので少しだけまとめます。
http://d.hatena.ne.jp/pkoudai/20120609/1339245660
以前まとめたものと重複するところもあるかもしれませんが、詳しい部分も加えときます。
カンデサルタン(商品名:ブロプレス)のテトラゾール基 をオキサジアゾール基に置換したものです。
海外ではアジルサルタン メドキソミル(商品名:イダービ)というプロドラッグとして販売されたが、プロドラッグ体(イダービ)でもそうでなくても(アジルバ)効果に差がなかったのでアジルサルタン(商品名:アジルバ)として販売。

アジルサルタンのドラッグエフェクトは他のARBよりも強い降圧効果が長時間持続すること。
アジルサルタンはAT1受容体との結合力が強く、これが優れた降圧効果に繋がっていると考えられる。
また、脂溶性が高く(カンデサルタンの4倍)、これにより優れた組織移行性を示すので、速やかに全身・局所のRA系を抑制することができると考えられている。

24時間以上に渡って優れた降圧効果を発揮するため、リスクの高い早朝・夜間の血圧に関しても十分な効果を発揮するってのが売り。
特に夜間高血圧に関してはリスクの高い血圧変動のタイプを正常型に近づけることが可能です。

夜間高血圧のタイプは以下の通り。
dipper型:夜間血圧の下降度が10〜20%(正常)
non-dipper型:夜間血圧の下降度が10%未満
riser型(inverted dipper型):夜間血圧が上昇
extreme-dipper型:夜間血圧の下降度20%以上

non-dipper、riser、extreme-dipperのどのタイプであっても正常なdipperに近づける(シフトさせる)のでアジルバシフトと呼んでるそうです。
ここで一瞬疑問に感じたことが二点。
服用のタイミングを工夫すれば他のARBでも同様の効果が発揮できるのでは?
extreme-dipperを正常型(dipper)にって血圧を少しだけ上昇させるってこと?
しばらくしたら気付きました。
自ら論破。
夜間血圧のタイプはあくまでも血圧曲線カーブのタイプなので、正常なカーブに近づけばオッケー。
ARBなので、血圧が高ければよく下げるし、血圧が低ければあまり下げない。
ということで血圧の高い日中はよく下がり、血圧の低い夜間はあまり下がらず、extreme-dipperについても正常な形に近づけるということです。
同じ考えで、一日中十分な効果を発揮しないと意味がないので、他のARBの服用のタイミングを工夫してもさほど意味がないってことになりますね。

尿中アルブミンの低下に関してはカンデサルタンと同等。
インスリン抵抗性の改善に関してはオルメサルタン(商品名:オルメテック)と同等ってことも言ってましたね。

アジルサルタンがアディポネクチンを増加させると期待させているって話もあるんですが、そのへんの話は詳しく聞けませんでした。

あとは2013年4月24日にアジルサルタンとカルシウム拮抗薬(アムロジピン)との配合剤に関する製造承認申請を行ったって話。
まあ、そりゃ作りますよね。
降圧利尿剤との配合剤に関しても承認申請中ってことでしたが、利尿剤は国内他社と同じくヒドロクロロチアジド?それとも海外(イダービ)に合わせてクロルタリドンとの合剤なんでしょうか?
ちなみに、海外ではアジルサルタン+クロルタリドン(商品名:イダーバクロー)として売られています。

日本ではクロルタリドンはハイグロトンとしてノバルティスから販売されていましたが、2008年に製造中止となってしまいました。
クロルタリドンはALLHAT研究でCCB(カルシウム拮抗薬)やACE阻害剤と同等、αブロッカーより有意な降圧効果があると証明されていたにも関わらず、日本ではほとんど使用されなくなってしまいました。
国内の降圧利尿剤配合剤にヒドロクロロチアジドが使用されたことが一つの原因だとは思います。
クロルタリドンはヒドロクロロチアジドに比較してカリウムは下げにくいし、効果も長い(48時間)などのメリットもあったのですが…。
エビデンスがこれだけ叫ばれている中で、エビデンスがあるクロルタリドンが姿を消したのは不思議な気がしますよねー。

ファーマナビゲーター 利尿薬編

ファーマナビゲーター 利尿薬編