薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
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アラベル内用剤1.5g、アラグリオ内用剤1.5g

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平成25年3月25日付承認医薬品です。
今回は新薬18成分を含む23品目でした。

アミノレブリン酸塩酸塩内用剤(商品名:アラベル内用剤1.5g/ノーベルファーマ、商品名:アラグリオ内用剤1.5g/SBIファーマ)
新有効成分含有医薬品
オーファンドラッグ
効能・効果は「悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の可視化」
悪性神経膠腫(グリオーマ)については、アラベル内用剤の製品概要が詳しかったため以下を参照。

悪性神経膠腫は、脳腫瘍の中でも最も悪性度の高い腫瘍に属し、その5年生存率は25%以下と予後の悪い腫瘍です。悪性神経膠腫に対する標準治療は、顕微鏡下手術による腫瘍部位の切除ですが、腫瘍摘出率が高いと5年生存率が向上することが示されており、機能を温存しつつ可能な限り腫瘍を摘出することが予後の向上につながると言われています。しかし、悪性神経膠腫は脳の正常領域に浸潤性に増殖する特徴を有するため、正常組織との境界が不鮮明で、腫瘍部位の完全切除は困難であるのが現状です。

アミノレブリン酸(5-ALA)はアミノ酸の一種で、人をはじめとする動植物には欠かせないものです。
動物ではヘムの原料、植物では葉緑素の原料として働きます。
人が5-ALAを摂取した場合、プロトポルフィリンIX(PPIX)を経てヘムが合成されます。
腫瘍細胞においては、正常細胞に比べて PPIXを生成する酵素活性が高く、PPIXからヘムへの生成を触媒する酵素活性が低くなっています。
そのため、5-ALAを摂取した場合、腫瘍細胞内にPPIXが蓄積されます。
PPIXは青色光線(400 ~ 410nm)により励起され、赤色蛍光(600nm 付近)を発するため、脳腫瘍の術中診断(光線力学的診断法、PDD)に活用することが可能となります。

実際の手術においては偽陽性、偽陰性を示す部位が存在(蛍光組織の陽性診断率は、強蛍光では94.4%、弱蛍光では65.8%)することと、神経機能に関わる部位を考慮して行う必要がありますが、5-ALAによるPDDを用いた手術では通常の手術に比べ、腫瘍摘出率の向上及び6ヵ月無増悪生存率の改善がみられています。
術中オープンMRIを用いた手術と組み合わせることで予後の改善が期待できますね。

用法としては手術時の麻酔導入3時間前に経口投与するということです。

これまでも、使われていた方法のようですが、保険適応がついたことでより幅広く使用されやすくなるということでしょうか?

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