薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
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イノベロン錠100mg、200mg

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平成25年3月25日付承認医薬品です。
今回は新薬18成分を含む23品目でした。

ルフィナミド錠(商品名:イノベロン錠100mg、200mg/エーザイ)
新有効成分含有医薬品
オーファンドラッグ
効能・効果は「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないレノックス・ガストー症候群における強直発作及び脱力発作に対する抗てんかん薬との併用療法」。
レンノックス・ガストー症候群(Lennox - Gastaut Syndrome:LGS)は、小児に発生するてんかんの中でも難治性のもので、推定国内患者数は3600人程度。
多くは3〜5歳をピークに、2〜8歳で発症します。
点頭てんかん(ウエスト症候群)の後に移行することがありますし、脳炎など脳の病気の後遺症としてあらわれることもあります。
症状として、てんかん発作がいろいろな形で現れるのが特徴です。
強直けいれん(急に手足を突っ張るようにする)を主体として、非定型欠神発作(意識だけがぼーっとする)、ミオクロニー発作(手足をピクピクさせる)、転倒(脱力)発作(突然力が抜けて倒れる)などがあります。
転倒発作による外傷を予防するためにヘルメットをつけて生活することもあります。
また、知的機能の低下を起こすことも少なくありません。

様々な抗けいれん薬が発作の症状を抑えるために使用されますが、LGSではけいれんが治まりにくいことが多く、部分的にしか効果を得ることができていません。
点頭てんかんでは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を使用するホルモン療法が効果を発揮することがありますが、LGSでは効果がない場合もが多いようです。
脳梁離断術という外科的治療を行うこともあります。
これも根治ではなく緩和を目的とした治療となります。

ルフィナミドは、新規構造のトリアゾール誘導体であり、てんかん発作の原因となる過剰電荷を帯びている脳内ナトリウムチャネルの活動
を調節することでナトリウムチャンネルの不活性状態を延長し、抗てんかん作用を示します。
ノバルティスが開発したルフィナミドは欧州では「Inovelon®」として2007年1月から、米国では「Banzel®」として2008年11月から発売されています。
海外臨床第III相試験について 4歳~30歳のLGS患者様138人を対象にルフィナミドまたはプラセボを12週間投与する二重盲検比較試験(他の抗てんかん薬との併用療法)が実施されました。
その結果、ルフィナミド投与群では、強直・脱力発作頻度(発作頻度変化率、ルフィナミド群:-42.5%、プラセボ群:1.4%、p=<0.0001)および総発作頻度(発 作頻度変化率、ルフィナミド群:-32.7%、プラセボ群:-11.7%、p=0.0015)がプラセボ群と比較して有意に減少しました。
また、発現頻度の高かった有害事象は、傾眠、嘔吐、発熱および下痢でした。

日本てんかん学会、日本小児神経学会から要望書が提出されていたことからもわかるように、LGS患者さんの早期治療開始のための大きな選択肢になると思います。

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