薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
2020年11月からURLが変更となりました。(新URL https://yakuzaishi.love)
  

レグテクト錠333mg

m3.comで基礎知識を高めよう
薬剤師の脳みそではm3.comへの登録をお勧めしています。
メルマガやアプリで医薬ニュースを閲覧できるので、毎日医療ニュースに触れることができます。しっかり読む時間がなくても少しずつ知識をたくわえることができ、それが基礎的な力になります。未登録の方は無料登録できるので、是非、下のリンクから登録してください。

(ここからが記事本文になります)

平成25年3月25日付承認医薬品です。
今回は新薬18成分を含む23品目でした。
アカンプロサート錠(商品名:レグテクト錠333mg/日本新薬)
※新有効成分含有医薬品

2010年5月に厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」から開発要請されていた薬です。

効能・効果は「アルコール依存症患者における断酒維持の補助」。
フランスでは1987年、イギリス・ドイツでは1995年、アメリカでは2004年に販売が開始されています。
日本では待望のアルコール依存症に対する新薬になります。

エタノールを慢性的に摂取している患者においてはGABAA受容体はdown regulation(ダウンレギュレーション)、NMDA受容体はup regulation(アップレギュレーション)を受けており、この状態でエタノールの摂取を止めてしまうと、結果的に抑制的刺激を受けることになってしまいます。
アカンプロサートはこのグルタミン酸作動性神経の活動を抑制することで、抑制的刺激を回避し、エタノール摂取を減らします。

類薬の抗酒薬にはジスルフィラム(商品名:ノックビン)、シアナミドがありますが、中枢神経に作用して飲酒の欲求を抑えるのは国内では初です。
要は「飲みたい!」という衝動を抑えるもので禁煙治療におけるバレクリニン(商品名:チャンピックス)に近いものがあります。
身体依存は抑えても精神依存は抑えれない?と思いますので、本人の「やめる」という強い意志が不可欠となり、カウンセリングなどと組み合わせることで効果が期待できそうですね。

肝機能障害の影響は受けにくいみたいで、アルコール依存患者では肝障害がつきものなので、これは使いやすくていいですね。

© 2014- ぴーらぼ inc. プライバシーポリシー