薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

PPIとクロストリジウム-ディフィシル(Clostridium difficile)と偽膜性大腸炎と。

勉強法で悩んでいる薬剤師の方へ

知識の身に付け方は2種類あります。

1つはすぐに活用できる知識。現在の業務の中で必要とされる知識です。身に付けたらすぐに活用することができるので仕事に活かすことができますし、忘れることもありません。

もう1つはすぐには活用できない知識です。身に付けてもすぐに使う知識ではないのないので、だんだんと記憶から薄れてしまいます。ただし、この知識こそが薬剤師としての基礎的な力になります。

普段の業務で使用しない知識を身に付けるのは記憶力を必要としますし、モチベーションを維持するのも大変です。そのため、習慣的に新しい知識を取り入れることを生活の一部にすることが大切になります。薄い知識でも重ねていくことで自然と少しずつ、自分の力として身についていきます。
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アストラゼネカのMRちゃんがいらっしゃいました。
今回はネキシウム(一般名:エソメプラゾール)とオメプラール(一般名:オメプラゾール)の添付文書改定について。
併用禁忌として新たにリルピビリン(商品名:レイアタッツ)が追加されたのはいいとして…

その他の注意の項、
海外における主に入院患者を対象とした複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターを投与した患者においてクロストリジウム・ディフィシルによる胃腸感染のリスク増加が報告されている。
クロストリ…?何よそれ?

MRさんもそんなにくわしくなかったので調べてみました。
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)
破傷風菌、ウエルシュ菌、ボツリヌス菌などと同じClostridium属に属する芽胞を形成する嫌気性菌。
入院中の抗菌薬による下痢の20%、偽膜生大腸炎のほとんどはこの菌が原因。
C.difficile関連下痢症(CDAD)と呼ばれる。
抗菌薬により腸内細菌叢が乱れることによるものか、院内感染によるものがほとんどを占める。
芽胞を持つのでアルコールは効かず、完全に除去することが難しい。

ついでに復習。
偽膜生大腸炎
内視鏡検査で大腸壁に小さい円形の膜が見られ、これを偽膜と呼ぶ。
発症の危険因子として、抗菌薬に加え、一部の抗がん剤、高齢者、重篤な疾患の合併、長期入院、経管栄養、H2blockerなどがある。
広域ペニシリン、第二世代以降のセフェム系などの広域抗菌薬、抗菌薬の複数併用でリスクが高くなる。
一方、テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系では中程度のリスク。
アミノグリコシド系、メトロニダゾール、バンコマイシンではリスクは低いとされている。
菌交代現象により、C.difficileが増殖、毒素により腸管粘膜が障害されることが発症の機序である。
治療には、原因となった抗菌薬の中止とメトロニダゾールやバンコマイシンの経口投与が用いられる。
ただし、バンコマイシンでは耐性菌の出現に注意が必要。
メトロニダゾールでは全身性の副作用に注意が必要となる。


ちなみに、エソメプラゾール、オメプラゾール以外のPPIではランソプラゾール(商品名:タケプロン)でも記載が追加されています。(2012年9月改定)

PPIでクロストリジウム・ディフィシル感染が増えるのが何故か?
胃酸が減るので経口で侵入しやすくなる…?
芽胞形成菌であることを考えればそんなことは関係ない気がします。
むしろ、胃酸が減った結果、胃の中に他の細菌が定着しやすくなり、腸内細菌叢が乱れてしまうってことじゃないかなと思います。
PPIの下痢としては以前、collagenous colitis(顕微鏡的大腸炎)についてもまとめました。
PPIの長期利用が増えている中で今後、いろんな問題が指摘されていく可能性はありますね。

written by iHatenaSync

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