読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

複数の紹介会社にまとめて登録可能なサイトです。スマホアプリもあるのでおすすめです。

パキシルCR その1

2012.12.17 パキシルCR その2 公開にあわせてタイトルに その1 を加えました。

ついに日本でも発売のパロキセチン(商品名:パキシル)CR錠。
抗うつ薬で国内初のCR錠です。
CR = Controlled Release

2層構造になった上に、表面が腸溶性のコーティングで覆われています。
2層構造は、
浸食性バリア層:薬物層の表面積を減らす
親水性マトリックス薬物層:徐放層になっており緩やかにパロキセチンを放出
となっています。

浸食性バリア層と親水性マトリックス薬物層の色が異なるため、PTPに入った状態で見ると、とってもカラフルです。(錠剤がPTPに入る時表裏が決まっていないため)

コーティングのおかげで十二指腸まで溶けず、コーティング溶解後もバリア層があるおかげで溶出はすぐには進まず、さらにマトリックス構造により主成分が徐々に放出されるというわけです。
ちなみに、この構造からわかるように、パキシルCRは粉砕はもちろん、半割も禁止です。

近年、海外では精神科領域の薬物は徐放製剤に切り替えが進んでいるらしい。
血中濃度の日内変動をなくし一定に保つことで副作用を減らすと同時に、薬物の効果を一定に保つことができるからでしょうね。

用法の変更(使用回数減)のためではなく、副作用の軽減のために徐放化を行うってのは新しいよね!


パキシルCRに期待されるのが、パロキセチン投与初期に発生する悪心の副作用の軽減です。
パロキセチンをはじめとするSSRIによる悪心・嘔吐は、SSRIがセロトニンの再取り込みを阻害した結果、消化管粘膜細胞近傍のセロトニン濃度が増大し、5-HT3受容体を介して嘔吐中枢が刺激され発現すると考えられています。
投与開始に起こるこの悪心の副作用がパロキセチンによる治療継続を困難にしています。
自分も患者さんに投薬を行う中、悪心がひどく服用を継続できなかったケースに何度か遭遇しています。
海外のデータですが、実際に、パキシルCRはパキシルに比べて悪心発現率が有意に低下しています。
12週間服用した時点の脱落率を比較した場合、パキシルは16%が脱落、パキシルCRは10%脱落ということでCR錠の方が脱落率が低いという結果が出ています。


パキシルとパキシルCRは規格が異なります。
これはCR錠としたためだと思いますが、
パキシル10mg → パキシルCR12.5mg
パキシル20mg → パキシルCR25mg
となっています。
これに伴い、用法用量も変化しています。
※()内が通常のパキシル錠
1日1回夕食後、初期用量としてパロキセチン12.5mg(10mg)を経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として25mg(20mg)に増量する。なお、年齢、症状により1日50mg(40mg)を超えない範囲で適宜増減するが、いずれも1日1回夕食後に投与することとし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として12.5mg(10mg)ずつ行うこと。
用法用量異なるんだけど、新薬扱いではないそうです。
ってことで、最初から長期処方が可能です。

薬価はパキシル10mgとCR12.5mgが同じ。
パキシル20mgとCR25mgが同じだそうです。
あれ?5mgに対応するものがない・・・。

適応は「うつ病・うつ状態」のみ。
通常のパキシル錠はこれに加えて「パニック障害、強迫性障害、社会不安障害」があります。
う〜ん・・・。
今後も適応拡大の予定はないと聞いています。
これは、パロキセチンが使用されているのが「うつ病・うつ状態」がほとんどだからってこと?
経営戦略的な話なのかなあ?

発売のタイミングもパロキセチンのジェネリック発売と同時ってのがすごい。
見事なくらいのジェネリック対策。
副作用の軽減は素晴らしいと思うんですけどね。
こういうのが気になるあたり、性格悪いんだろうなあwww